別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【2016工藤采配批判③】 歴史的V逸の最大の原因は「継投」にあり

【2016工藤采配批判①】 元エース投手故のリード・守備軽視≒攻撃重視

【2016工藤采配批判1.5】 見当外れな打順批判、固定的起用は好ましくない

【2016工藤采配批判②】 李大浩の穴は存在しない。李大浩がいる前提の野球をしているだけ

―の続き、第三弾になります。本題は「実は継投の概念を理解していなかった工藤監督・ヨシコーチ」のところになりますので、初見だけど長い前フリめんどくせーよ、うっとーしいわ!という方はそちらからどうぞご覧ください。

「去年の工藤公康」は間違いなく名将だった

 どうせまた無茶苦茶長くなるので、新PCでサクサク環境で書きたいと思っていてあと伸ばしにしていましたが、マザーボード云々で一向に完成する気配がないので、今書くことにしました。今年の工藤采配の最大の問題継投についてです。

 以前、というか去年頃ですかね?「工藤公康は間違いなく名将である」*1という記事を書きました。名将というか、間違いなく史上最高の監督は誰か?という話題になった時に、必ず名前が上がる監督になるだろうと思っていました。ですから、もう3・4連覇するのは間違いない。5・6連覇は主力の衰え、他チームの状況や海外FAなども色々関わってくるのでちょっと不透明になるだろうなとは思っていましたが、それも適切な手をちゃんと打って対処をすれば、場合・状況によっては十分狙えると見ていました。


 このチームの問題はフロントもさることながら、優秀な監督がいないこと。そしてOBと元西武のコネだらけで組織される偏ったコーチ陣にある(藤井さんのようにちゃんと実力・能力で取ってくることもありますけどね)。優秀な監督とプラスαとしてのサポートするコーチ、優秀な指導者・コーチが加わりさえすれば、もとより選手層が厚くて優秀な人材が揃っているわけですから、そこのウィークポイントさえ改善されれば、間違いなく最強チームの誕生・黄金時代が幕を開ける事になると見ていました。

 去年、かなりシーズン最初の方から、「ああ工藤はやっぱり優秀だなぁ。わかっているなぁ」と思っていました。李大浩を起用し続けたり、盗塁させなかったり、疑問に思わないこともなかったのですが、それでも彼は優秀。絶対大丈夫だろうと考えた理由は、その優れた投手起用・継投にありました。

 2015年ホークスの継投は全てが全てではありませんでしたが*2、工藤政権になってから、目先の勝利のために、その時状態のいい中継ぎを無闇矢鱈につぎ込むマシンガン継投がなくなったからでした。

継投を制すものはペナントを制す。マシンガン継投はチームの崩壊を招く

 マシンガン打線が一つの理想であるならば、マシンガン継投は真逆に存在する最悪の采配の一つ。先発投手というのは毎試合大体、100~120球を目安に投げるものですが、一回15球目安と考えて、7回を終わる頃にちょうど交代の時期が来る。当然、その目安で先発が7回まで投げきってくれることはそんなにあるわけではありません。

 6回を終わったら、先発が110球くらい投げてしまっているというのはよくある話。ここで7回からリリーフにスイッチだと考えるのが現代野球の常識ですが、毎試合・毎試合、先発を6回で降ろしてしまえば7・8・9回に投げる勝利の方程式をいつも使うことになってしまう。そんなことをやってしまえば、当然セット・アッパー&クローザー=大事な勝利の方程式は、一年コンディションを維持できなくなる

 先発は立ち上がりとスタミナが切れた100球以後に失点する確率が上がるもの。6回・7回に失点することが多いという先発投手は枚挙に暇がないわけですね。当然、使う監督・起用を決める投手コーチにしてみれば、失点リスクを減らして勝利する確率を上げるために先発を早く降ろしたがる。さっさと勝利の方程式・勝ちパターンに移行して、流れ作業のように勝ちを決めてしまいたい・確実なものにしてしまいたがるわけですね。

 しかし、繰り返しになりますが、その目先の試合はそれでよくても、一年というロングスパン、ペナントレースの長さを考えれば、大問題。8月・9月という勝負を決める山場になって、勝利の方程式が調子を落として、同点・逆転されるということになってしまう。そうなると残り30~40試合という段階で、最低~勝して、貯金を大体いくつ作れるから、このゲーム差で逃げ切れる。また追いついて首位を奪えるという計算が立たなくなってしまう。

 だからこそ、どの試合のどの先発で、今日の誰々なら130球まで投げさせても7回を抑えてくれる!と、計算して点を失うリスクを覚悟して、続投を決断しなくてはならないわけです。

 ペナントレースというのは終盤の勝率が高ければ高いほど制しやすいのですから、逆算して、序盤は(当然中盤もなるべく)極力勝利の方程式を使わないことが重要になります。オセロで言ったら、最初に石を多く取ってしまうと置く場所がなくなって不利になるから、序盤はむしろ極力石を取らないようにゲームを進めるというのがセオリーになっているようなもんですね。

 去年、どこかでよそのファンの方から「ホークスは優秀なリリーフがたくさんいるのに、工藤って中継ぎあんま使わないようにみえるけど、なんで使わないの?」と質問されたことがありました(別に己をご指名したわけではないんですけどね)。それに対して「中継ぎを早いうちからアホみたいに使っちゃうと一年持たなくなっちゃうからだよ。去年のオリックスが今ボロボロになってるでしょ?むしろ序盤はこれが普通なんだよ」と応えて、「ああ、そうなんだ。なるほど」みたいなやり取りをしたことがありました。

 2015年のオリックスの序盤からの超低迷を例にあげれば一目瞭然ですね(その翌年の2016年も序盤はかなり負けが込みましたし)。前年最後まで優勝争いをしたオリックスがその次の2015年にどうなったかを見れば言わずもがなですね。一年というスパンでもそうですし、その後の来年・再来年という3年先を考えてもリリーフが崩壊してしまうような継投(マシンガン継投)はしてはいけない。タブーなわけです。

2015の継投はセオリー通りだったが…

 2015年のホークスの継投が完璧だと見なしたのは、記憶だけで具体的なデータを調べていないので定かではありませんが、とにかくリリーフの負担が高まる連投というものをさせなかったからですね。*3

 昔書きましたが、勝利よりも武田の成長のために負け覚悟で引っ張った試合がありました、工藤監督は「今日はサファテが3連投になるから使えなかった。最初からサファテを使うことを考えていなかった。だから武田を続投させた」というようなコメントをしていて、序盤でクローザーを酷使しない。一年をきっちり見据えて戦うビジョンを示していました。だからあの武田続投で逆転負けした試合で、工藤采配は素晴らしい!流石工藤!中継ぎのコンディション管理の重要性をよくわかっている!と唸りました。

 武田の球威・コントロールが落ちて、打たれる確率・逆転負けの確率が高くなっても、シーズン終盤のためにリリーフの連投を避ける継投を優先した。この継投をずっとやってほしかっただけに、「ようやく…ようやく…来たか!まともな継投をする監督が!!」と欣喜雀躍したのも懐かしい思い出です。愛する息子が出征して、死ぬ確率が高い戦地に送られたけれども、無事帰還してくれた時の母親の心境になりましたね(例えが伝わらないかな(^ ^;) )。

2014年までのホークスの継投と言えば、中継ぎ使い潰し継投

 秋山政権時代の継投には、一つの特徴があって、①勝利の方程式を作る。②勝利の方程式をとにかく使う。③そのために先発よりも中継ぎに人材を配分する。という特徴がありました。結果言うまでもなく、④その時状態がいい中継ぎを隙あらば投げさせて、挙句壊す―ということになります。

 「あれ?去年リリーフで良かった誰々は今年どうしたの?」という話がよく話題になると思います。特に、そのチームのファンでない人間がよそのチームを見た時によくありますね。リリーフは毎年毎年安定して数字を残し続けることは稀。山口・岩瀬といった存在は本当に珍しい(だからこそ賞賛されるわけですけれども)。

 そういう傾向がある役割なのですから、彼らの選手寿命のために投手コーチは何をすべきかと言えば、負担がかからない起用ですよね?そしてその配慮をした上で勝つということ
(このことを拙定義で「継投」としています)ペナントレースをやっている以上、優勝が最終目的ですから当然勝たなくてはいけません。

 勝つためにリリーフの酷使は仕方ないとするのは、10年に1度くらいしか優勝できない万年Bクラスのチームがやることであって、毎年優勝争いをするホークスのようなチームにとっては誰か一人に過剰に負担をかけて、優勝のための犠牲にしてまで勝とうなんて考えることはあるまじきこと。

 とにかくその時その時優秀な投手をつぎ込んでいく、なんていうのは采配・継投とはいえません。その年に優秀なリリーフを選び出して、その一人に任せてあとは壊れようがどうか知ったことではないなんて、無責任にもほどがありますし、なおかつそれで勝てることは少ない。

 それで序盤にいくら勝っても終盤に負けが込むようであれば、わからなくなる。2014年がそうでしたよね?優勝争いをした相手、オリックス高山投手コーチで、ウチでマシンガン継投をやっていた人でした。序盤からリリーフを惜しげもなくつぎ込んでいたオリックスは、やはり終盤リリーフが崩壊しました。もし高山投手コーチに継投の概念があれば、ウチは間違いなくまくられて、負けていたでしょうね。

毎年のように消えていく犠牲となった中継ぎ投手達…

 秋山政権で何人の投手が投げられなくなったか?甲藤・藤岡・馬原・嘉弥真…まあ秋山采配のせいというより、三瀬・神内・柳瀬など王政権時代の方の酷使が祟っている選手もいるでしょう。馬原は抑えなのに9回から12回まで投げさせられたといいますし…。千賀が連投に次ぐ連投の挙句、故障して一軍を拒否したのも懐かしい話ですね。同じシーズンでは、今年花開いた岩嵜も同じく序盤は良かったものの、千賀同様結構なペースで投げさせられて、結果終盤には機能しなくなり、その後しばらく一軍マウンドから遠ざかっていましたしね。

 マシンガン継投のハシリとなった、SBMの中心といえば摂津。摂津が二年連続70試合投げていた、しかもイニングマタギありで年間登板イニングは79回と82回。何を考えているかわからない継投・球団と言われてもしょうがないでしょう。継投の役割分担の概念がないなんて、それでどうやってビジョンを形成するのか問い詰めてみたいものです。

 今年の森の数字は、去年・一昨年と比べて数字が落ちました。良くない内容で彼が叩かれるのを何回か目にしましたが、デビューの年に「とにかく困ったら森」状態で投げさせられたら、劣化するのは当然でしょう。プロの環境にまだ慣れてないルーキーが投げさせられまくっていたことを考慮すると*4、むしろ嘉弥真のように何故二軍暮らしになっていないのか不思議なレベルですね。森を叩くのは筋違いな気がします。仮に叩くとするなら一年目の無茶な使い方とセットにしなければ筋が通らないでしょう。

「秋山政権の負の遺産」を乗り越える2015の工藤継投

 今年の工藤采配を叩きたいがあまりに「秋山政権の遺産」という言葉を使う人を何回か見ましたけど、「秋山政権の負の遺産―先発育成失敗&中継ぎ壊しまくりはどこへいってしまったのでしょうか?そういえば病気明けの大隣を2014で酷使する、大隣頼みの終盤&ポストシーズンというのもありましたね…。

 若手育成の放棄、特に捕手など負のツケがあるのに、秋山監督を過度に持ち上げる姿勢には疑問を通り越して都合のいいところだけを見ているとしか言えないでしょう。次の監督になったら「工藤政権の遺産」と言い出して、次の監督を叩く気がしますね。

 とまあ、秋山政権の無思慮・無配慮な中継ぎ酷使とは違い、2015の工藤政権・工藤采配では、中継ぎ管理が徹底していた。故に一年間最後まで勝利の方程式は余力を残して、本来の実力を発揮し続けてくれた。彼らが投げていて、不安になることなんて本当になかったですからね。前半バリオスが活躍して、オールスター以後不安定になって、バリオス使って大丈夫か?くらいでしたかね?継投で不安に感じたのは?

 投手出身の監督は傲慢なため失敗しやすいというのは杞憂でしかない。工藤の完璧な投手管理・継投を見ていれば、工藤が素晴らしい名将であることは一目瞭然ではないか?何故世の野球評論家、野球ウオッチャーはこのことを評価しないのか?理解できませんでした。

 それがまあ去年から今年にかけての秋山→工藤政権の感想ですね。似たような話は以前から書いてるので、まあおさらい・前回までのあらすじみたいなもんですね。

実は「継投」の概念を理解していなかった工藤・ヨシコーチ

 それはさておいて、本題。「ここで書いたように、おんどれが工藤公康が優秀だ、名将だと言うなら何故馬鹿みたいに今年11.5ゲーム差も開いた大差をひっくり返されたんだ?リリーフが崩壊したんだ?工藤が名将だなんて、いい加減なこと抜かすな」ということになってくるかと思います。

 その答えは実に簡単でして、非常にたったひとつのシンプルな答えです。工藤公康は継投に関する理解は実はなかった。佐藤義則ことヨシコーチにもなかった。吉井理人ことリトコーチ唯一人、「継投」の概念があった・重要性を理解していた。吉井こそが優秀なコーチだったわけですね。さすリトさんですね。去年の素晴らしい継投、中継ぎの酷使を止めていたのは吉井コーチであって、工藤・ヨシコーチは継投の重要性を理解していなかったと考えるべきでしょう。今年の暴挙というべき継投を見ていると。

 現役時代から優れた数字を残した三人の名投手は、名投手であるが故に三人共継投の重要性を理解している。そう考えていました。ところがそうではなかったんですね。継投の重要性を理解していたのは吉井コーチだけだった。吉井理人ただ一人だった。その彼が消えたらあっという間にホークスの悪しき伝統のマシンガン継投・中継ぎ使い潰しスタイルに戻ってしまった。今年の8月からのリリーフ陣崩壊・勝利の方程式の崩壊は、そういう理由によるものですね。

 楽天ファンの方が、ヨシコーチは先発大好きおじさんで、隙あらば先発を育てようとする。日本ハム時代から、大エースを一人育てるけれども、そのエース以外は目立った功績を残せないという評判が定着しているよ―と教えられたことがありました。個人的に、それはファイターズやイーグルスというチーム事情によるものだろう。ホークスなら戦力的に余裕があるから、そんなことにはならないだろうと思っていて、実際2015年のシーズンを見てやっぱりねと安心していました。

 また、何かの野球ニュースを見ていた時、ヤフコメに「ホークスファン、騙されるなよ。佐藤義則は、時代遅れの中継ぎ軽視のクソ野郎だから、いずれ痛い目見るぞ」というコメントが有りました。表現が汚いので、いつものヤフコメのアレだろうと思ってスルーしていましたが、ヨシコーチは継投・中継ぎを軽視するというのは当たっていたようですね。今年を見てそう思いました。

 思い返せば、2013だったかの楽天日本一の年は、打線と守備で勝って中継ぎは機能していなかった。最後に田中がクローザーをやっていたことを考えれば、ヨシコーチというのは中継ぎ・リリーフ整備が出来ないコーチなのでしょうね。ダルビッシュ田中将大といった日本屈指の投手を育てることに貢献しているので、裏方として、育成に専念させるのが最適な人材とみなすべきでしょう。一軍で投手起用・戦略や戦術といった采配には不向きな人材とみるべきですね。*5

 CSで武田がエラーをした際に、マウンドに行って一度落ち着かせるべきだという失念しましたがどなたか野球評論家の記事を見ましたが、そのとおりだと思いましたね(西本聖さんだったかな?と思ってググったらやっぱり西本さんの記事でしたね)。吉井コーチが高山投手コーチはマウンドに行って間をとる・タイミングを開けるのが見ていて巧いなぁという話をホークス戦の解説でしたことがありましたけど、ヨシコーチがマウンドに行って良い結果になる、間のとり方が巧いという印象はまるでないですね。今年の継投はおかしかったので、特にえ?なんで今マウンド行くの?というシーンが目立ったということもあるでしょうけど。

どうした工藤公康。一体何のための投手出身監督だ

 同じく、工藤公康も投手育成は巧い。長年くすぶっていた岩嵜・東浜といった1.5軍の人材を秋季キャンプなどから見事一本立ちさせた。チームの主力にまで鍛え上げた。その手腕は絶賛されるべきでしょう。

 ただ、終盤の起用法・3回や4回という早いイニングでランナーためたから東浜降板とか、隙あらば岩嵜継投とか、ああいう常識では考えられない起用をすることからも、投手継投・起用を考えることには向いていないと考えるのが自然でしょう。今年のちょっと打ち込まれたら先発を降ろす継投は、怒りを通り越して恐怖を感じるレベルでしたからね。さまぁ~ず大竹のごとく、「うわ~何!怖い怖い怖い怖い」と叫ぶレベルですね。

 早い段階で先発を代えたら、残りの5イニング・6イニング計算がたたない。同点延長になった場合どうするのか?3連戦・6連戦でリリーフどうやりくりするのか?ロングリリーフというポジションはいつでも行けるようにしておくが、その分投げなくても負担がかかる。そしてWBCのような短期決戦で第二先発が重要と言われるように、いつ投げるかわからない、どこが出番がわからないというのは非常に難しいと言われる。ペナントを見ていても、危険球やアクシデントで先発が早い段階で降板する時は、ロングリリーフは打ち込まれる可能性が高い。仮にロングリリーフを使うのならば2回2/3など投げる中で2失点はするものと計算しなくてはならない。

 楽天戦で東浜が満塁のピンチで3回か4回に飯田にスイッチして、飯田がパスボールかワイルドピッチで点を与えてしまっていましたが、ああいうことはむしろ当然。ああいうことをやっていれば先発の東浜・ロングリリーフの飯田のやってしまったという負の意識を生むだけ。ナンセンス以外の何物でもない継投の決断でしたね。

 投手出身なのに継投の重要性がわかっていないというのは、まるで考えられないことで、思考の盲点を突かれましたね。その発想はありませんでした。頭の悪い監督ならともかく、工藤公康は頭がいい。彼の書いてある本を読むと野球に対する情熱、研究熱心な姿勢が見えるので、野球についていろいろ考えている・研究している。ペナントレースのセオリーである継投の概念・重要性を知らないということは想定していませんでした。その発想は本当になかったので、継投がおかしくなった中盤以降は、軽いパニックになりましたね。一体チームに何が起こっているんだ?どういうことなんだ?と不思議でしょうがありませんでした。*6

 今更なのですが、工藤公康の著書を見ると、

工藤公康 粗食は最強の体をつくる!
40歳から進化する心と体 (青春新書インテリジェンス)/青春出版社
DVDでマスター 工藤公康のピッチング・バイブル/カンゼン
ピッチャー視点で“観戦力”を高める 工藤公康のピッチングノート/カンゼン
工藤公康の野球のススメ【DVD付】/朝日新聞出版


 ―とまあ適当にピックアップしましたが、こんなような著作が続いていまして、彼の著作というのは、プロ野球・ペナントというのは~という野球論ではなく、ピッチャーとして、アスリートとしていかにあるべきか?どうやったら成長できるのかという技術論ばかりなんですね。投手コーチとしてプロアスリートを鍛えるトレーナーとしてはよくても、監督としてどうあるべきなのか?とか、では球団としては?あるいは球界はどうあるべきなのか?とか、そういうマクロの話がないんですね。

 まるで触れられていないということではないのですけど、主体はそちらの投手の技術論。投手コーチとしてユニフォームを着ることは考えていても、監督としてユニフォームを着ることはあまり考えていなかったのではないか?と思えてしまいますね。

 また、監督してユニフォームを着た時、「優秀な選手・コマさえ揃っていればなんとでもなる、チームとして優秀な選手が多くいるかどうかだ」と考えていた節もありますね。最低限の守備、クリーンナップを打てる強打者、及び資金。それさえあれば、投手は自分が育てるから、投手を育てられる環境ならうまくいく。そのような発想で監督を引き受けたのではないでしょうか?確かに万年先発ローテ不足、特に若い先発の柱が不足しているウチにとっては投手・先発育成に自信があればピンズド補強ならぬ、ピンズド育成になりますから引き受けない手はないでしょうね。

ホークス悪しき伝統・DNAの復活か…

 ホークスの伝統、悪しき伝統だと思うのですが、エースと4番バッター(HR)にこだわりすぎているところがあると思います。もちろん、エースと4番(≒打線の中心)がないと、ペナントレースを戦うのは苦しいのでしょうけど、それだけではないわけです。リードオフマンの1&2番。投手陣を支える捕手、二遊間の堅い守備、 勝利の方程式やリリーフ陣…。まあ色々大事なポイントはあるわけですけど、エースとHRバッターにこだわりすぎて、クリーンナップを打つ前後の打者の役割や先発以外のリリーフの役割が軽視される傾向があります。

 ダイエーホークスにいて、そのチームの基礎を作った主力の一人である工藤公康にも同じような考え・DNAが染み付いていると考えるべきなのでしょう。去年・今年を見ていると、先発&HRを重視して考えていると思います。結果が出ていないのに吉村を使い続けたのは、他の選手に比べて安打を打つ確率が低くとも、一発の可能性がある。だから吉村にこだわって、彼を使い続けたのでしょう。

 また長くなったので、今回はこのへんで。次回は吉井コーチの話と。継投がまずかったという話をしても、その実情には踏み込んでないので、いかにまずかったかの話を。まあファンならいかに連投してたかとか、シーズン見てて知っていると思うのでいらないと思いますけどね。というか今シーズンはアホみたいにブルペンで肩つくらせていたというので、どちらかと言うとそちらのほうが痛かったとも言えますし…。

*1:工藤公康監督は名将か

*2:確か8月ころに五十嵐を連投させたり、投げさせる必要があるのか?と疑問に感じることもあるにはありました。無論、現場にしかわからない理由があったんでしょうけどね。一年キッチリ持ったのでそれについては勿論どうこういうつもりはありません。

*3:言うまでもなく2日続けて投げるのは許容範囲内で、二連投がNGならペナントで戦えるわけないので問題になるのは3連投ですね

*4:森の一年目を見ると58試合65イニングでそれほど酷使とはいえないのでは?と思われるかもしれませんが彼がでてきたのは5月の中盤。既に35試合を消化していた。残り109試合から58試合ですからそのペースがおかしなものかわかるかと思います。しかも危険球かアクシデントか何かでロングリリーフをやったこともありましたからね…

*5:―以上のようなことを考慮すると、星野監督離脱で代理監督を務めることがありましたが、完全に失敗だといえるでしょうね。楽天首脳陣が田中将大がいなくなって、もうマイナス要素のほうが大きいと判断して首を切るのも必然だったといえるでしょう。

*6:もちろん序盤からサファテ5連投とかおかしなことをやっていたので、なんで今年はこんなことやってるんだ?と思ってはいたんですけどね。中盤からますますひどくなっていきましたね、今年は

【雑誌】 月刊秘伝 2014年09月号

月刊 秘伝 2014年 09月号/BABジャパン

島津兼治伝とてつもなく実用的な古流武術柳生心眼流柳生心眼流とは?
 柳生の島津さん特集ですね。野稽古でよく試した。喧嘩をするときは、相手にも理を残しておかないといけない。だからやった後は大抵仲良くなった。石の上に投げられたら死んでしまうから、柔術は受け身ダコを背中に作らないといけない。これがあれば投げられても死なない。相沢先生の表箇条は振りでシュンシュンと音がした。今後一生かけて修行する人はいないから、こういうことを出来る人はもう出ないだろう。

“剛身"の秘密
 筋電図で測定すると腕全体の筋肉を収縮させていることがわかる。力を入れて固めることで腕を動けなくする。こうすると体全体で動かさないと動けなくなると。
剛身のやり方、腹を凹ませて息を吐ききる。そして左右から中央へ集める。そして腹部中央を前方に張り出す。これで叩かれても痛くなくなる。

人体構造を攻めよ! ~骨絡・筋絡・皮絡
 昔の人の歩き方は草履でつま先から着地した。だから一歩の歩行距離が今の人の倍近い。松尾芭蕉忍者説はおかしい、ありえない。昔の人は普通にあれくらいの速さで歩いたと島津さんが前に話をしていて、どっかでメモした気がしますが、その話ですね。武術は伸筋を鍛える。腱のところ、付着部を鍛える。ボディビルのような筋の真ん中を鍛えて隆起するようなものは武術ではダメ。
 前にあった骨・筋肉・皮膚をつかむという話。技をかけるのは一瞬でやるもの、「その一瞬でできなければもう終わり。その時は大人しく死ね」と師匠から教わったと。


対談 吉田朗×平直行
 リズムを外す。相手が予想している・意識している技は効かない、かからない。意識を外すことを考える。スイッチなどは外す技術だと。まっすぐ相手を見ない。大勢に囲まれた時、刃物相手の時、片目で見る。緊張して居着いてしまうということですかね?片目で見る方がよく見えるというのは、ノムさんの片目でボールを、もう片方の目でバッターの反応を見るというそれに近いのかも?片目の使い方で逆に全体がよく見えるという力学があるかもしれないですね。喧嘩の経験で、大抵の相手は肩に力が入っているからパンチが遅いとのこと。目付けをすればもうもらうものではないと。得物を使った喧嘩での体験談、幕末の剣士が離れた所で剣を振り回したというように、地面をみんな叩いていたと。怖くて間合いに入れないとのこと。面白いですね。背中から入るのは怖いが、この方が刺されたり・掴まれたりする危険性がない。そうして裏拳を入れると。


長沼敬憲「身体知の世界」第4回松村卓 骨ストレッチに学べ! 脱・筋トレ信仰のススメ
 骨トレの松村さんですね。肋骨を動かす写真がありますが、凄いですね。肋骨を動かす方法とか本に書いてあるのかな?野口三千三さんの弟子のところに行って、背骨が動くのを体感できたと。ベンチプレスは大胸筋のトレーニングだが、骨を意識すれば肋骨と肩甲骨の鍛錬になる。


注目新連載開始! 大宮司古神道や武術に通じる"霊術"の世界を明かす!霊術講座

霊術家の黄金時代/ビイングネットプレス
 
霊術家の饗宴/心交社
 
霊術伝授/学研パブリッシング

 ―が参考としてあげられていますね。ビニール紐を両手で引きちぎる方法、霊術ではポピュラーだが、武術家の集まりで誰も知らなかった。意外と知られていないことを紹介するという話。指円金剛力法、オーリングとも。藤平光一氏が海外で広めたものが逆輸入されたとか。いずれにせよこのOKの形のように親指と人差指で輪を作って、人に開かせようとしても開けないというものだが、簡単なこと。相手の首の近くでやれば、肩を動かしにくくて力を入れられないから開かせることが出来ない。また閉じているところではなく指の付け根に近いところでやってもらうのがコツ。合気揚げと理屈は同じ。


禅とシステマ、奇跡の邂逅 藤田一照×北川貴英宗教的身体操法[後編] 信仰と行法
 静かな観察と全てを受け入れること。般若は獲得するものではない。既に備わっているもの、それをどう発見するか。手に入れようとすると隠れてしまうもの。システマのセミナーで何もするなと言われて、なにもしないで待ってたら相手が勝ってに崩れていった。座禅をするではなく、座禅「が」する。座禅が飯くったり掃除したりということになるのだと。へぇ。


ゆる体操には“裏"の存在があった!高岡英夫の漢語由流体操「腰仙揉溶法 7」
 第一法擦重発展法・第二法横断面
滑切
 氷の塊を舐めて溶かしていくように、腰塊をほぐしていく。床から1センチ・2センチ・3センチとだんだんおなか側に意識が届くようになっていく。
腰塊が小さくなったら、今度は柔らかくするようにしていく。
 次は構造を探索していって、手で触って仙骨・腰椎などを認識できるようにする。腰が呼吸をすると感じる、爽快さを得られる。
 次の二法では、滑切面を作って、上下の箱をツルツル滑るようにする。ぐにゃぐにゃだと意味が無いので注意。へそ、へそと恥骨の中間、さらにへそとその中間の間の計3パターンを行う。手で何度もしつこいくらいに切る意識をつけること。綺麗にスライドしないと、くるんと回転してしまう。それだと一法と変わらない。ずれストレッチ、背骨・肋骨が上下で平行移動させることが目的。脊椎系の開発にはこのズレストレッチが必要不可欠。
 上塊、下塊、上塊をずらしたまま下塊を反対にずらして戻してから上塊を戻す。次はその逆で下塊からやる。最後は上下同時ずらし。ミリ単位で行うもの。三ミリ動いたら大したもの。動かそうとすると面が崩れてくるんと回転してしまう。三×五=一五パターン全部できるのは熱心な人でも五~一〇年かかる。

「直線に支えられた円の動き」システマ・セミナー レポート ヴラディミア・ザイコフスキーCATCH the ATTACKER'S CHANGE 事の起こりをとらえる!
 しゃがんで抑えこまれた状態から、相手の肩・背中・腰の緊張を察して、そこのバランスを崩して相手を崩す。自分のベスト状態・クリーンを保つこと。ボクサーとボクシングをしない、グラップラーグラップリングをしない、相手のゲームに付き合わない。こちらのゲームのルールにすること。know yourself―自分がわかったあとに、本当に他人のことがわかる。一流の歌手は自分のコンディションよりも聞き手にどう伝わっているかを感じて歌い方を変えるという、そうならないといけない。


連載第2回! 安田洋介太極遊戯―陳氏太極拳・大陸練拳秘訣「生活の中で育まれる武術」
 気候の違い、口で呼吸をしていると喉をやられてしまうから、自然と鼻呼吸になると。白鶴亮翅が
白鵞亮翅、周辺に鶴がいないから鵞鳥に例えられたと面白い話ですね。舌を上あごに軽く押しつけて呼吸すれば鼻から体温が出て行かない。鼻で呼吸をしないと、呼吸の長さが変わって脈拍が乱れる。バランス感覚を磨くためにあえて滑りやすいところで行う。かかと重心で、湧泉が僅かに触れるようにする。立身中正は背骨を意識するよりも、両耳で後ろの音を聴くようにして下顎を僅かに引くようにしたほうがよい。小さい椅子での生活により、自然と股関節が鍛えられる。

特別寄稿 濱田雅彦寝技の萌芽を古流武術の乱捕にみる
 甲冑組討の話、竹内流とか小栗流とか関口流とかあるようですね。日本の鎧は動きやすいように重量が外に逃げるようにできている。その分倒れると起き上がる技術が必要になる。そこを狙って押し倒す、組み伏せて相手を召し捕るという技術が発達していったと。講道館柔道の乱捕技法に最も影響を与えたのは、楊心古流(戸塚楊心流)だった。講道館は、都下実力第一といわれ、千葉に拠点があった戸塚楊心流を倒さねばならなかったと。なかなか幕末武術面白くて興味深いですね、剣術にはあまり惹かれないですけど、幕末関係だと色々世の中・武術界も動くので惹かれるものがありますね。

日野晃武道者徒歩記
 自分の子供にいじめの問題があったが、大した事にはならなかった。普段のいじめよりも武道修行のほうがキツイから。出来るまでやらせるという過酷な稽古で子供は登校拒否ではなく、帰宅拒否になったと。学校に問題はあったが、興味がなかったのでどうでもよかったと。連れの親父がよく「お前らは悪くない、社会が悪い」と言って、ほんとにアホな人だな、可哀想と思っていた。暴れたいから暴れていただけで、社会なんか関係なかった。その人の家には共産党のポスターが貼ってあったとか。反抗期は間違った大人に反抗することによって生まれた。

松原秀樹100%動ききるための調整術
 治療の実例の話ですね。原因を考えてそれを治すべきだという。いろんなケースありますが、まあいちいちメモってもしょうがないのでパス。

武術秘伝書夢世界 平上信行
 柔道という言葉は柔術時代から普通に存在していた。柔術が柔道になったわけではないという話。

SB内川「プレー妨害」ブチギレに批判殺到―に個人的非難を殺到させた話

SB内川「プレー妨害」ブチギレに批判殺到 「完全な八つ当たり」「何様のつもり」

 小ネタでこちらに書くつもりはないものでしたが、せっかくなので転載。

 久々にカチンと来る内容だったのでコメントを。あれで内川を批判する人間が多いという事実に絶句。まるで理解できない。プレーを妨害すべきでないのは当たり前だろう。鷹ファンだから、内川に好意を抱いているからどうこう言うのではない。仮に内川を好きではない、敵意を抱いていたとしても今回の一件では感想は変わらない。対戦チームだった西武再度・メヒアが妨害されていたとしても、妨害したカメラマンが悪いという意見は変わらない。ああいうエリア・エキサイトシートと呼ばれるゾーンで、選手が近寄ってくる可能性のあるところで選手の邪魔をしてはいけないのは当たり前。

 インプレー中に観客(カメラマンでも同じ)が、選手の邪魔をすべきではないに決まっている。打球と選手の動きを見ながら、適切な行動を取るのは当然のこと。打球を追いかける選手がぶつかって、選手のケガに繋がることもあるのだから何をか言わんや。

 観客が選手の邪魔をしたこと自体は珍しい話ではない。が、それは滅多に足を運ばない球場で気分が高揚しているとか、思慮の足りない青年とかの話。こういうやらかしをする人間は必ずいるもので、それはもう避けられない現象。観客があそこから手を伸ばして選手のプレーの妨害をしているシーンはもう枚挙にいとまがない。テレビ中継を見ていれば、まあ毎年必ず観客が邪魔・妨害をするシーンを見かける。毎年必ず数回は起こることだとわかる。内川がレフトを守っていて、ボールを追いかけたサラリーマン?良い年をしたオッサンとぶつかったのは記憶にあたらしい所。

 ところが今回はプロのテレビ関係者、こういう時に何をすべきかは熟知しているはず。そういうプロの行為だから罪が重い。素人・お客さんならともかく、プロが何をやっているんだ!となるのは当たり前、内川が怒るのは当たり前。観客でケガをさせられそうになった時、内川が一私人の観客に対して怒ったか?今回の時と比べてみればトーンが違うのは明らかだろう。仕事でお金をもらっている人間とファンの観客=私人では立場が違う。だから内川は怒ったのだ。*1

 あれを見て、八つ当たりだと解釈するのは百歩譲って良いとして、人格にからめるのは正直どうかしていると思う。人格を論じるなら彼の人間性に関わる全てのことを挙げていちいちチェックしてから最終的な結論を出して頂きたい。一つの過失で人格批判をするというのは魔女狩りの発想である、気持ち悪くて見るに耐えない。

 まあ、武井壮という人間に好感を抱いていたわけでもないからどうでもいいのだが、「自分たちの楽しい遊びを仕事にさせてもらっているという意識がなくなればアスリートなんて終わり」なのだとか。内川が震災の時や日頃どういう発言をしたのかも知らないからそういうふざけたことが言えるのだろう。

 アスリートがどれだけ真剣にその遊びについて研鑽を積んでいるか、努力しているか、そういうことを弁えないから、こういうことが言えてしまうのだろう。アスリートがプロとして仕事をこなしている聖地・職場で、同じくプロとして仕事をこなしているカメラマンがいる。そのカメラマンがプロとしてあるまじき行動を取ったから内川が怒ったということが理解できないのだろう。


 よく知りもしないのに、評論をすると人間性を下げる・損なうという格好の見本ですね(ブーメラン)。あと基本的にテレビ関係者、マスコミ関係者は傲慢ですよね。こういう発言が好んで取り上げられるのもそういうことなんでしょうね。他人事ではなく私も気をつけたいとテレビで発言する人って滅多にいない気がしますね。そういうコメンテーターさんの意見を聞きたいんですけどね。

 それと、さっき見たら、「その場で怒るのはともかく、試合の後でもグチグチ言うからダメ」という意見を見ました。これは絶対コメントすべきことだから言うに決まってるでしょう。その特定の人物を叩きたいということじゃなくて、しっかりそういうことは謹んでいただきたいと釘を差さないと、カメラマン業界として行動を改めないでしょう。無論、殆どのカメラマンはプロとしてしっかり自覚してああいうことは決してやらないという人達だと思いますが、ああいう行動をしてしまう人がいる。そういうことをしっかり注意しておかないと再発する可能性があるでしょう。会社が今後こういうことがないようにしっかり教育しなくなる。だから内川は苦言を呈するに決まってますよ。当たり前でしょう。

 まあ、野球を見る階層というのは、アレということでこういううんざりするようなことが定期的に起こりますね。いやんなりますね、本当。

*1:確か、CSだと思うが、当時ファースト小久保が似たようなケースで観客に怒ったことがあった。なぜコチラは非難されなかったのに今回非難されるのは全く理解できない。度合いで言うと小久保の方が悪質なのに、アスリートごときに批判されたくないというマスコミ連中が工作・ネット世論を煽ったということなのか?

【2016工藤采配批判②】 李大浩の穴は存在しない。李大浩がいる前提の野球をしているだけ

 捕手論・捕手起用の次は、打線・打者起用の話をしたいと思います。李大浩の穴はないという話です。李大浩の話は後半に書いてますので、そちらだけで十分だよ!余計な話いらないよ!という方は「李大浩の穴は―」からをお読み下さい。

 ―と書いてますが、李大浩の話を書く前に打順の固定の話を書いてました。追記をしたら無茶苦茶長くなったので、分割しました。ここでは李大浩の穴云々の話のみになっています。打順の固定云々の話はリンク先です。よろしければご覧ください→【2016工藤采配批判1.5】 見当外れな打順批判、固定的起用は好ましくない

李大浩の穴は存在しない―李大浩という選手の特長

 ホークス打線の不調として李大浩の穴が大きいという話題が度々出ますが、小宮山氏も言及していましたが、それはありえないでしょう。小宮山さんの場合は、豊富な戦力を活かして戦ったチームが一人抜けたくらいでどうこうなるわけがないというもので、己のそれとは少し異なるのですけどね。

 3割・30本・100打点の選手がいなくなると戦力ダウンするのは普通では?と考える人が多いのだと思います。が、前々から李大浩という選手は特に必要な選手ではないと書いてきました。彼は足が遅いし、勝負強くない。大事なところで打てないという特徴がありました。移籍一年目はランナーがいない場面ばかりで打つので4番ながら、「李大浩1番バッター」と言われていたほどです。またゲッツーが多くデホゲという言葉もありました。

 ここで打ってほしいという場面で打つわけでもなく、
HRを打つと言っても確か20本以上がソロでどうでもいい場面でばかり打っていた。数字は立派でもそこまで重要な選手ではなかった。

 ファーストの守備がうまかったのは良かったのですが、何よりも足が遅くて類に出る邪魔になっていた・得点効率が落ちたのが、個人的に彼を評価できない最大のところでした。彼が塁に出てしまうと渋滞を引き起こす。長打でない限り塁が詰まって連続して結果を出さないと点にならなかった。後を打つ松田が内野安打の当たりをセカンドフォースアウトにされて、3本程損をしたというのも移籍最初の年にありましたしね。

 
彼は見かけに似合わずに実は器用な中距離ヒッターで、テラスが出来てからHR30本を超えるようになりました。彼のいいところにホークス打線が苦手なカーブ・チェンジアップを打つのが巧いという特長があって、この点においては間違いなくホークス打線に穴が生まれたと言って間違いないと思います。カーブ・チェンジアップが得意な相手投手が先発で来た時、この時ばかりは李大浩がいれば…という意見に賛同せざるを得ないでしょう。

 プラスマイナスで考えると、そこまでプラス要素が大きくはならないというのが個人的実感です。チャンス・良いところで打つわけではなく、どうでも良いところ・試合が決まったところでばかり打っているのですから。とはいっても、死体蹴りでも点を取ってくれれば、継投が楽になる。30本打つバッターには投手にプレッシャーが掛かる。打線に対するイメージが変わって投げづらくなるという要素があると思います。

 その点は間違いないので、以前から李大浩は別に大した選手じゃない、そこまで必要な選手じゃないと書いていましたが、訂正したいと思います。いれば確実にプラスにはなる。だが必要不可欠な選手ではないし、その穴は決して埋められないようなものでもない―と。

ホークスの野球とは守って勝ち、走って勝つ野球

 個人的に守り勝つ野球こそ王道野球だと思っています(まあ落合・野村の影響なのですが)。常にそうではありませんが、守り勝つ野球=投げ勝つ&走り勝つ野球なので、ホークス打線には走り勝つ野球を期待しています。ファンになった年はチームが200盗塁していました。この点もホークスファンになったきっかけでした。李大浩がいるということはその走り勝つ野球ができなくなることを意味します。ですから、彼の評価は高くありませんでした。

 李大浩がいなくなったからHRが減ったというのは正しいですが、得点能力が落ちたというのは錯覚で、李大浩がいる前からホークスというのは点を取る時は、それこそ相手投手を滅多打ちにしてKOすることが多い打線でした。典型的なのがセリーグとの対戦、特に広島がいい例だと思います。それはHRやヒットの固め打ちによってではなく、足によってプレッシャーをかけた結果生まれたものでした(勿論HR・ヒットで滅多打ちにして打ち崩したのもありましたが)。

 広島相手には1イニング3盗塁というものがあったと記憶していますが(その試合では計6盗塁していたと記憶しています)、とにかく毎年走りまくって盗塁を記録しまくっている。結果、プレッシャーを掛けられたバッテリーが自滅するというケースが本当に多かった。ホークスの野球というのはランエンドヒット野球で、四球でも出そうものなら、すかさず次の塁を狙って実質ツーベースにしてしまう。細川と内川以外全員が走ってプレッシャーを掛ける。焦った相手がアウトロー一辺倒になったところを打者が狙い撃ち。バッターとランナーがコンビで投手を攻略して、打線全体で圧力をかけていく。それこそ往年の横浜のマシンガン打線のように、畳み掛けてビッグイニングを作るというのがホークスの野球でした。マシンガン打線こそ一つの理想形・究極形なので、この形を基本とすべきだと個人的に考えています。

 ところが去年の工藤政権になってから、それをやらなくなってしまった。マシンガン打線こそが理想なので、残念だったのですが、工藤野球でもきっちり相手投手を攻略していたので、文句のつけようがありませんでした。しかし今年は別です。なぜならその工藤野球の一つのポイントだったプレッシャーを与える大砲がなくなったのですから、毎試合そうしろとは言いませんが、マシンガン打線のように足でプレッシャーかけなくてはならない。それこそ2014年より前の盗塁・足でプレッシャーを掛けて攻略する秋山時代の戦術を採用するべき。何故そうしないのか理解できない。

 李大浩がいた去年ならばそれでいいですが、今年は李大浩がいないのだから李大浩がいないなりに足を使って戦えばいいだけ。その破壊力は工藤政権以前で実証済みなんですからね*1李大浩がいる前提の野球をやっていれば、そりゃ得点能力は落ちますよ。走れる・脚があるというチームの特長を何故活かさないのか理解できない。去年の自分のやりたい野球・理想にこだわって、現状・現実に適応出来ていない。これはなぜなのか?非常に気になるポイントなので、どうして秋山時代のように足を使ってプレッシャーをかけないのか?誰か解説者が聞いて頂きたいところですね。盗塁に気を使わなくていいのならば、そりゃキャッチャーは配球楽になりますよ*2足の速い選手が好きなのに、盗塁を積極的に仕掛けないというのもかなりの謎ポイントですしね。

李大浩不在で育成ができる(はずだった…)

 で、また李大浩がメジャーへ行ってよかったと思ったのが、彼がいなくなって得点力が落ちて去年より多少勝てなくなるとしても、その分ポジションが空くこと。空いた分色んな若手をそこに入れて育成できるから。勝てなくなるにしても足を使えば、監督の戦術次第でそこまで穴が生まれてしまうとは思っていませんでした。まあ要するに穴が生まれたというか、スタイルを変更すれば幾らでもやりようはあるのに、穴を埋める努力をしなかったということですね。穴が空いたままの欠陥工事というところでしょう。

 フロントも育成をするつもりであえて外国人打者を獲得しなかったのだろう。将来の4・5・6連覇を見据えて、大胆な決断をするものだワイと喜んでいたら、なんと若手選手をファーストやDHで全く使わなかった。塚田・猪本・真砂・釜元・曽根(育成ですが)などなど、上で打席を与えて来年・再来年のために芽をださせておきたい選手はいくらでもいる。あやつぐ・高田・上林などばかりで、これらの選手にはチャンスを与えなかった。あやつぐ・高田はポジション上当然だとして、上林は去年HR打っただけで調子が悪いのならば、優先して使う存在だとは思えない。守備が下手ですしね*3

 前述通り、松田・内川も疲れがたまる夏以降には休養を与えるべき。そこで若手を試すべきでしょう。今年、そういうこともしなかった。確かそれまでフル出場を続けていた長谷川がスライディングで故障したことを考えても、故障リスクを減らすためにやれることは何でもやっておくべきでしょう。今年のDHは殆ど長谷川だった。足の状態が悪いといえど、今年の長谷川の状態を考えればDHでそれほど使うべき存在だとは言えない。

 そもそもケガがここまで長引くということはもう足の状態は治らないのでは…?二桁盗塁できて20本近いHRが期待できる、勝負強くて出塁率も高いという穴が少なくてどんな役割も期待できるというのが持ち味の優れた選手、こういうタイプは球界でも数少なくて貴重な人材だったのですが、足が治らないのならばそこまで重視すべき選手ではなくなる。今年の状態を見ると城所が一時良かったにせよ、若手にチャンスを与えないのは疑問と言っていいでしょう。ここまで重視する以上、来年確実に復活する・例年通りの数字を残せるという確信がないといけませんが、果たして本当に復活させられるのか…。一つのポイントになるでしょうね。

 いずれにせよ、今年下で結果を残してきた若手、特に塚田・猪本を試さなかったことは疑問。勝利に拘るのならばカニザレスが使えないことが発覚した早い時点で、外国人打者を取って来るべきだった。この点フロントと現場の意思疎通はどうなっていたのか理解できないですね。

 李大浩がいないのにいる前提の野球をやる、若手を将来のために育てない。今年のホークス打線の問題はここにこそあるといえるでしょうね。ホークスにとって、松田・内川の後釜育成は大事なのに、またFAに頼るつもりなのでしょうか…。それで本当に4・5・6連覇できると思っているのでしょうかねぇ…。まあ、すでに今年の優勝が危ういので何をか言わんやですが。

 次回は今年のホークス最大の問題、継投の話をしたいと思います。

 

追記ー2015と2016の工藤采配の決定的な違いはエンドランの有無

 忘れていたので追記します。去年は李大浩がいた云々以前に、監督がエンドランを多用していました。継投の問題を除けば去年と一番変わってしまったのはこのエンドラン戦術の放棄でしょう。秋山采配では、エンドランは皆無。バスターもまずない。バントとランエンドヒットのみという硬直的な戦術で指揮官が存在する意味がなかった。監督が相手ベンチの意図や配球を読んで、戦術を繰り出す・駆け引きを行うということがなかった。ベンチが何もせず、選手任せな状況にうんざりしていました。単独スチールとバントだけって、中畑ベイスターズか!と呆れた事もありました。なんのための前進守備、もとい監督なのか意味がわかりませんでした。しかし工藤政権になってからは、エンドランもバスターも多種多様となって、非常に戦術のバランスが良くなった。指揮官が優秀な者に代わるとここまでチームが変わるのかぁ…と嘆息したものでした。

 ところが今年になってエンドラン戦術を放棄するようになってしまった。皆無とは言わずとも去年に比べるとガクッと減った。大野に一度エンドランを読まれて外されたシーンを覚えていますが、もう一回くらい何処かで読まれて外された覚えがあります、楽天戦だったかな?やはり二年目ということで、当然相手も去年の工藤采配をデータ化して研究してきたということでしょうね。何点差のどういう状況、どういうカウントで、どういうバッターとランナーの組み合わせの時にエンドランを仕掛ける傾向があるというデータ化に成功したんでしょう。エンドランの成功率が去年よりも落ちるようになった。序盤で相手にきっちり警戒され、エンドランがマークされるようになると、去年ほど決まらなくなったわけですね。

 栗山さんも確か本で「エンドランを失敗すると体中から血の気が引いた、エンドランのサインはものすごいプレッシャーが掛かる」と書いていました。エンドランの失敗というのはバッターやランナーの失敗以外、つまり相手に読まれて外された場合、100%監督の責任になる戦術です。ですから監督にとってはものすごく重い選択・戦術になるのでしょう。

 監督・トップが責任を取れなくなった時、組織は崩壊するーと考えていますが、指揮官が自分の判断で戦術を決断できなくなった時、組織の中枢が機能しなくなるのですから、今年は相当まずい采配となったといえるでしょう。エンドランで動けなくなった分、その動きたい欲・口を出したい欲が投手継投や打順をいじるという力学に転換されて、必要以上にあれこれいじったということも考えられるかもしれませんね。

 監督2年目となれば相手は当然去年の研究をしてくる。工藤公康という監督はどういう発想で戦うタイプなのか、相手は丸裸にしてくる。それについて、どういう対策を練るか・対応をするのか?これをこなすことが連覇の一つの鍵になる。その所の認識は一体どれほどあったのでしょうか…?優勝した翌年チームは弱くなるというセオリーの認識はフロントになかったのはともかくとして、監督にはどれくらいあったのでしょうか?

 とりあえず今年の失敗を糧にして、来年はまたエンドランの成功率を上げるようにすべきでしょうね。また今年の場合、そのような戦術に応えてくれる小細工の上手い選手である明石・川島の二人が離脱してしまったというのも大きかったのは間違いないでしょう(明石は小細工が巧い起用な選手ではありませんが、ファールの日本記録持ってることでわかるように、バットコントロールが巧い。そういう意味でエンドランをこなせる要員の一人ということですね。本多はそういうの上手くこなせませんからね…。守備では本多ですが、守備で少し劣ってもエンドランかけられる彼がいなくなったのは地味に痛かったでしょうね)。

 前デーブ監督がプロ野球ニュースで「セーフティースクイズという戦術は選手任せで、監督が100%責任を取らなくていい選択だから卑怯。スクイズという戦術を監督はよくやった」というシーンが有りました。今年の工藤采配はセーフティースクイズの多用も目につきました。バントが上手くてセーフティースクイズの方が良いという選手ばかりでもないのに、セーフティースクイズが多かったと思いました。もう少し監督が責任を持って、スクイズのサインを出すべきだと思いましたね。ここでスクイズのサインを出しても相手は対応できない!と相手を研究して、スクイズ成功率をぜひ来年は高めていただきたいと思いますね。

 去年は監督の采配・戦術がことごとくハマっていて凄い監督だなぁと思っていました。工藤公康という監督は、パの試合すべてを毎回自分でチェックしているという話を聞いて、ああだからこんなに戦術がハマるのかぁと感心したものでした。相手選手・監督も全て丸裸にしてある。相手ベンチとの戦術の読み合いで決して負けるようなタイプではない、智将タイプだと思っていたのですが、全ての試合をチェックしているというのは一体何だったんでしょうね…。新監督の梨田・福良辺りにデータがないため、序盤戸惑ってやられてしまったというのなら理解できるんですけどね、特に定評のある梨田氏にやられたとかならまだ分かるんですが…。

追記②―ホークス例年の盗塁とHR数

 気になったので数字をチェックしてきました

15年94盗塁141本

14年124盗塁95本

13年87盗塁125本

12年144盗塁70本

11年180盗塁90本

10年148盗塁134本

 ―で、180盗塁でしたね。200はいってませんでしたね。今年はまだ終わってませんが107盗塁114本でした。秋山野球と言えばランエンドヒットで盗塁とバントでしたが、13年は走ることよりも一発を重視したのか、あまり走らせなかったんですね。13年といえば秋山采配を見限ったシーズンでしたが、統一球でHR減はやむを得ずの年だったのにもかかわらず、それに逆らってHR増&盗塁軽視だったんでしょうか…?まあこれは指揮官云々よりもフロントの要請という気がしますが…。

 一昨年と去年を比較すると30盗塁減ってしまったが、その分50本近く増えていたのでまあ全然OK。「走る野球」よりも「空中戦でねじ伏せる野球」を選択したのは間違いなく正解だとわかりますね。しかし今年は30本減ったのに、その分盗塁が増えていない…。盗塁とHRが逆相関関係にあるというよりは、選手がいなくなった・打てなくなった・走ることが出来なくなったなどの要素が大きいので、単純には言えないことですが、デホという蓋がなくなったのにもかかわらず、走る機会を積極的に増やしてこなかったことには違いないでしょう。

 キャンプから今年は走るぞ!とやっておかないといけなかった。それを怠っていたのは相当まずかったでしょうね。そういう意味でキャンプの時点で暗雲を感じておかなくてはいけませんでしたね。キャンプまでチェックしているわけではありませんが、今年は走るぞ!って記事ありませんでしたからね。

 それでも去年より13盗塁増えているから良いのでは?そういうことをやろうとしたのでは?と考える方もいるかもしれませんが、ハッキリ言って全然足りないですよね。14年の124盗塁が一つの目安になりますし、それでも全然足らない。大体30~20盗塁する中心選手が2~3人いて、その他にも足が使えて二桁盗塁選手が多くいることがチーム盗塁数を増やすポイント。ホークスにおいては柳田・本多。彼らが30盗塁する。そして明石が20、長谷川・松田・今宮・晃・城所・福田が10というのが大体ノルマ。まあケガなどがあって、全員がそのノルマをこなせるとは限らないわけですが。柳田離脱が痛くとも、20は走っているわけです。本多という選手が出塁と盗塁に専念していないのは未だに大きな問題でしょうね。もうずっと言ってますけどね。いい加減競うなッッッ!持ち味を活かせッッッ!!って感じで短く持たせて出塁に専念させるべきなんですけどね。

 長谷川の足の状態を考えると贅沢は言えないので、長谷川は除外しましょう。基本が130ラインとしましょう。そして他の選手も微妙に走ってカウントされるのでそこから+10~15されて最終的には合計140~145ということになるでしょう。これまで城所・福田という選手は、代走からの盗塁だけだったのが、今年はスタメンも多かったので20が基本ラインになるでしょう(福田は去年からスタメン多かったですけども)。とすると柳田・本多で60、柳田は40‐40を公言していたので40でも良いですけどまあいいとして、明石・城所・福田で60で120、松田・今宮・晃で150ですね。その他をカウントすると160が基本ラインになります。

 明石・柳田の離脱で-20としましょう。そうすると140が個人的なノルマだと思います。30以上ノルマに足りていませんね。ノルマを全然消化できていませんね。こらダメでしょうね。足のプレッシャーが全然ないですもの。HRのプレッシャーがなくなるとするのならば、じゃあどうするのか?普通は足でプレッシャーをかけるでしょう。走れるチームなのですから。

 特に秋山政権時代に控えに甘んじていた福田・城所を抜擢したのに、この二人が20盗塁いかないというのは厳しい。福田は好調不調の波が激しくて、打てないときが多かった。そういう1.5軍の選手なのに、「お前の魅力は足なんだから、選んで塁に出て盗塁すればヒットと同じ。その試合ノーヒットでも盗塁すれば良いんだよ」と盗塁を増やさせていれば、もっと楽に試合に臨めたんじゃないでしょうか?福田という選手はそういうふうにして活かしてやるべきではないのか?途中出場ももちろんあって、代走の出番が当然ありましたが、この二人に1点ゲームで盗塁で勝負させるという判断・決断も非常に少なかった気がしますね、今年は。

 そんなのお前の妄想だろ、都合のいい計算だろ!と批判されるのは承知の上で、上の数字はまあアホ計算として置いといて、ポイントは福田・城所を最大限活用しなかったことかと思います。抜擢した福田・城所と言えば、何をおいても足が魅力の選手。ですから、秋山政権時代に10くらいのそこそこの盗塁しかできなかった選手を、その足という魅力を最大限活かして、走らせることで倍以上盗塁させて今年は戦う。この二人の足を最大限活かすという戦術を選択しなかったことはおかしいということだけ理解していただければいいかと思います。全員が全員でないにせよ、この二人だけでも「出たら必ず走ってくる…」と相手チームに思わせるようにしなかったことは疑問と言っていいでしょうね。

*4

*1:松田の年齢による脚力の劣化で単独スチールの減少とディレード多用や、長谷川の負傷などの事情も存在しますけどね

*2:こういうところも捕手・リード軽視の一端といえるのでしょうか…?前記事参照

*3:あまり状態が良くなかった上林を上げて使ったのは、もしかして長谷川が良くない。数年でいなくなると想定してのことなのかも…?

*4:アイキャッチ用画像

BBM2015 福岡ソフトバンクホークス Hyper Hawks No.S15 李大浩

【2016工藤采配批判1.5】 見当外れな打順批判、固定的起用は好ましくない

 李大浩の穴は存在しないという記事で追記をしたら長くなりましたので、分割しました。李大浩の穴云々の前に書いた打順は固定すべきではないという前菜感覚で書いたものを分割しておきます。

 要約すると、打順を固定しておけば役割を固定化することによって、選手はやりやすくなる。しかし長期的ビジョンを持つと、育成を考えて若手を何人か試さなくてはならないために固定はできない。また故障リスクを減らすために、休養を与えるべきで定期的な休養を挟むことで固定する余地は更に減る。またポストシーズンや短期決戦という戦いにおいては危機管理が重要になり、誰が抜けても戦えるように、いろんな役割をこなせる選手が望まれる。そのような観点から考えると、打線を固定すべきだという意見は的外れである。

 まあそんな内容になっております。興味のある方はご一読どうぞ。書き忘れていましたが、そうである以上どんな指揮官の指令も柔軟にこなせるような起用な選手を育成すべきであるというのはここで書いてませんでしたね。また、だからと言って全く固定すべきではないわけではなく、軸となる核となる基準は必要である。その基準を形成すべきだという大事なことも書き忘れていました。忘れてばっかですね(^ ^;)。書きたいこと多すぎていつも忘れますね。

打順を固定できることは稀

 よく、打順があーだこーだ言われます、誰を1番にすべきだとか4番を代えるべきだとか、なんだかんだいう人がいますが、そもそも打順というものは固定すべきではないと考えます。去年は3~7番まで固定して起用していましたが、それはそういう人材がいたからこその話。普通、1~8番まで固定的に起用出来るほど完成されたチームというのは存在しません。

 パリーグなのでDHを含めて、打順を1~9番まで1年間固定できればそれほど楽なことはありませんが、そんなレベルの高い選手が完全に揃うことはまずありえません。何より選手が怪我しないなんてありえませんし、層が厚い・薄いかかわらず、長期的なビジョンを持てば、チームの中心である主力選手は引退するし、FAで出て行くorメジャーへ挑戦していなくなります。そういう時代であることを考えると、固定的な起用は好ましくない。強いチームというのは次から次へと、どんどん新しい選手が育ってくるチーム。そのためには3年後にスタメンを張ってくれそうな期待の若手を抜擢して起用することが必要不可欠。そのせいで試合に負けるリスクを増やしても、我慢して期待の若手にチャンスを与え続けることが強いチームを作る&戦力を維持するために重要なのですね。

育成を考えれば固定起用は難しい

 期待の若手に一軍の球を見せておくチャンスが多ければ多いほど、一軍未満の若手が成長するチャンスは増えます。育成を売りにするチームであればあるほど、一軍での実戦機会を与えるもの。

 そういうビジョンを持って選手を育てようとすればするほど、負けてばっかりで何の収穫もないダメシーズンが減ります。優勝が狙える状況だったから、勝ちにこだわって育成が疎かになって、黄金期が過ぎたら暗黒期が到来したなんていうのは言い訳に過ぎません。フロントはこの選手が何年でピークを迎えて、何年でスタメンを張れなくなる。それ故に穴の空いたこのポジションを埋める選手を3~5年で育てるというビジョンを持っていなくてはいけない。もちろんそんなにうまくいく話ではないことは確かなのですけどね。少なくともその現実を認識して、次代の選手を育てるというビジョン&努力がなくてはいけません。

 「育てながら勝つ」でも「勝ちながら育てる」でもどちらでも良いですが、とにかくその「育てる」と「勝つ」の二つのビジョンをフロントは常に持っておかなければなりません。どちらかが疎かになってもいけない、両輪の荷車といったところでしょうか。

故障リスクが高い現代野球

 現代野球はCSを含め日本シリーズ、更には国際試合とシーズンが終わってもそのあとに更なる戦いが待っています。昔は130試合で一年が終わりましたが、今は143+3+6+7+代表戦ということがありうるわけです。下手したら一年の半分近く試合することもありうるわけですね。そうなれば故障リスクは高まる。主力選手の故障防止のためには、定期的に休ませる・休養日を設ける必要性がある。ペナントが160試合以上あってポストシーズンもあるメジャーだとそれが当たり前になっているようですしね。そういうことを考えても、打順を固定起用するというという考えがいかに時代遅れで間違った考えかわかるかと思います。

 ①育成上②故障リスクという理由から選手を固定し適用することは難しいといえます。ただ、それはそれとして特定の選手を特定の打順から外すことで十分であり、打順を組み替える必要はないという反論も成立するかと思います。それは③戦術の重要性ということを考えると、好ましく無いと思います。

戦術上打順を組み替えるのは当然

 戦術によって打線を組み替えて挑むことで相手投手を攻略しやすい・自分たちの打線が不調であるから、最低でも2点を絶対取るという戦術に変えるなど、状況に応じた柔軟な戦術変更という点を考えると、固定起用するよりもある程度時と場合に応じて変化させることを主眼に置くべきだと考えます。

 問題となるケースは、理なき打順・不合理なそれによって結果も出ないという時でしょうね。ですから
 ①監督が無能であり戦術眼がない、打線をいじっても打てない・投手を攻略できない可能性のほうが高い
 ②能力の高い選手が揃っている
 ③若手スタメンが多く5~10年以上安定してチームに在籍してくれる可能性が高い
 ④選手が起用なことをこなせない
 ⑤FA補強が頻繁に行えて戦力劣化というリスクが少ない

―という条件の殆どを満たしている時でしょうか?固定起用をしたほうが望ましいというのは。工藤監督は一年目に結果をきっちり出している以上、なかなか①は当てはまらないと見るべきではないでしょうか?

 監督が自分の戦術・戦略、ビジョンをしっかり持って戦うということは重要な要素ですから、何もせずに選手任せ、その日任せよりこちらの指揮官の方が好ましいと考えます。

固定的起用は主力の離脱などのスクランブルや短期決戦にリスクがある

 ただし、打順を固定することで、役割を固定する=選手が試合に望みやすい効果が有るという論理があります。これはそのとおりだと思います。役割を固定されたほうが選手はやりやすい。これに反対するつもりはありません。物事には一長一短あるもの、役割を限定してあげたほうが、それに専念できるので選手はやりやすいでしょう。

 ただ、その考え方はそれでいいとして、固定的なことしか出来ない応用能力の低い選手が好ましいか?そういうことで常に勝てるのか?という別の問題が当然浮上してきます。CSや日本シリーズという短期決戦や、国際大会で「相手がいい投手だから打てませんでした」は通用しない。代表クラスの選手は、そういう普段経験のない相手と戦うという状況でも結果を発揮できるようにならないといけません。

 絶対的な1番・4番であれば、まずそういうアレコレこなせ!と言われることは少ないでしょう。しかし、そうでない選手が殆どで、そういう器用な選手が多ければ多いほど指揮官は色んなパターンを組めるので有り難い。そういう選手を育てることを目指すべきだと思いますし、選手はそれに応えるよう努力すべきでしょう。

 また絶対的な1番・4番・エースなどがケガや球団からNGが出て出られない、そういう本来の実力を発揮できない時にどうするか?というのが危機管理として問われます。本来の70%の状態で戦いに望まなくてはならないという時でも、結果を出せるようにするには柔軟性が求められるのは言うまでもないことかと思われます。そのために常日頃色々なパターンを試して少しでもこなせるようになる方が好ましいと考えます。

 勿論、不器用な選手もいるでしょうし、そういう不器用な選手に起用になんでもこなすようなことを求めるべきではないという論が成立することもありうるでしょうけどね。まあ言わずもがなケースバイケースですね。

 何より、打順を固定して挑んだ秋山政権の時どうだったか?打線が不調になることはなかったのか?と言えば、当然ノーなわけです。固定しようがいじろうが、打線が不調に陥らないことなどないし、いつでも好調で打てるなんていうことはありえないわけです。それならば監督が状況・コンディション、相手チームの打線の好不調・投手の相性などなどいろんな条件を考慮して打順をいじるほうが良いと思います。

 問題は、その打順の意図を選手にきちんと説明して、使われる選手が納得しているかどうか。意思疎通・コミュニケーションがちゃんとしてあるかどうかでしょう。監督の意図が伝わらず、選手が不安になってしまえば当然動揺してしまう。マズイ結果をもたらす。時に監督が選手と話し合って、7番だと辛いとなったら、じゃあ今回は1番で使ってあげる―などと相談して気持ちを汲んでやる、配慮してやることができているかどうか、一方的に打順を決めて選手の気持ちを無視していないかどうかでしょう、ポイントは。

 事前のミーティングで「今日の投手は~だから、打順はこうする。相性のいい~がしっかり繋いでくれ」とか、意図を説明しているでしょうから、選手も監督の起用の意図がちゃんとわかるでしょう。あるいは「起用に納得出来ない場合はいつでも直に言ってくれ」とオープンにしているでしょう。コミュニケーションを重視する監督なので。

意味不明な工藤采配批判

 まあ、そんな打順を固定すべきではないというくだらない話を長々と書いたのは、たまにゲンダイとか夕刊フジあたりで、変な批判が目につくからですね。いわく打順をコロコロ変えるから打てなくなる―というようなトンチンカンな意見が出てくるのですけど、前政権の秋山時代を知らないんでしょうかね?固定的に起用して果たして優勝出来ましたか?2015のようにブッチギリに勝てましたか?と聞いてみたいものですね。選手が不調に陥ったり、流れが悪くなった時に指揮官が無策で何もせず、選手任せにするよりよっぽど良いに決まってます。

 また謎OBが出てきて、油断しているから、舐めているから、たるんでいるからとか訳のわからないものがありました。そして「指揮官が顔に出すと、選手が動揺する」というのもありました。今どきの現代っ子の選手がそんなことあるわけ無いでしょう。何より毎回ベンチで大はしゃぎしているホークスというチームを知っていればそんなこと言えるわけがない。ノリと勢い、ムードを重視するチームで今更ですね。選手が動揺するときは負ける時、いつもと同じパターンが成立せずに勝てなくなる時に決まってるでしょう。そういう時に選手は動揺して浮足立つもの。勝っている時、そんなことはなんの問題にもならないでしょう。

 前政権のように、失敗した・負けた原因を作った選手を監督が叩くならともかく、捕手以外選手を決して責めないのですから、そんなことありえないでしょう。そんな抽象的な精神論を説く日本の野球評論のレベルの低さはどうにかならないものでしょうか?野球評論に定評のある人を選ばない。ちゃんとしたOBの意見を書かないからクソ記事になるんでしょうね。そもそもOBが実名ではなく匿名で意見を述べるという時点で察しなわけですが。

 今年の采配の問題は打者云々ではなく、どう見ても継投。継投が去年と比べて異常に質が下がった。それ以外にありえないのに、そのことを指摘する記事がないというのは、ハッキリ言って異常だと思いますね。まあその話はいずれまた別でしたいと思いますので、本題の李大浩の穴は存在しないという話を。分割先はこちら→李大浩の穴は存在しない。李大浩がいる前提の野球をしているだけ

【2016工藤采配批判①】 元エース投手故のリード・守備軽視≒攻撃重視

 やはり最初はキャッチャーの話からしようと思います。言うまでもなく、ホークスファンになったのはその選手の層の厚さよりも的確な補強をしたことだったので。その年は内川と細川が移籍して、内川の存在は説明するまでもなく、リードに定評のあるキャッチャー細川を補強したことにフロントの優秀さを感じたのがきっかけでしたのでね。リード=守備を重視したという点が個人的にファンになろうと思った大きな要因だったんですよね(ちなみにハムさん、ファイターズとホークスかで迷ってのホークスでした)。

目次

戦略なき細川温存策

 実は、忙しくて書けていなかったのですが、書く時間があれば、開幕始まる前の細川二軍スタートの決定で、もう今年の優勝を確信した!と書くつもりでした。タイトルはまま「細川二軍スタートで今年の優勝は間違いない」とか「優勝を確信」とかですね。

 細川は守備の要、その選手が前半いないのは厳しい。が、しかし、その細川が下でじっくり調整することで、去年のように大事な後半・終盤に細川不在というアクシデントを避けることが出来る。細川がいるといないではチーム力・守備力がまるで変わる。守備力が落ちるということは、継投に負担がかかり当然それによって使える投手も変わってくる。一年を通した長いペナントレースを制するのは投手力、それを支える捕手のリードが大事というのは現代野球の一つのセオリー。

 チーム事情上、若手捕手育成の必要性という事情もあり、あえて下で落として温存。序盤から使いたくても、コンディションに不安がある細川を調整に専念させる。そして、大事な終盤に使うというプラン。下には将来性ある松本・高橋などの新人投手がおり、彼らのコーチ役としての役目を果たせる。また摂津や松坂というベテランの手助けの役目も担える。そういうことを考えるといい考え、何よりビジョンを感じるので、これで今年も優勝は間違いないだろうと楽観していました。

 そろそろ、細川上げて良いんじゃないのか?まだか?まだか?と思っていた所、ようやく待望の細川昇格。交流戦最終戦、阪神日本シリーズで細川にトラウマがあるので、イキナリそこで使うのかな?とおもいきや出番なし。楽天戦でも温存して、これはシーズンでポイントになるロッテ戦までとっておいて、そこでぶつけるつもりだな!と思っていました。

 この頃は、ロッテが対抗馬でロッテさえ潰しておけば、優勝はまず間違いないという展開でした。その大事な試合で細川をいきなりロッテにぶつける。というか同じ伊東門下の田村にぶつける。兄弟弟子対決になると思っていました。田村は前から、このキャッチャー良いなぁ。面白いなぁと思っていた捕手でしたが、今年打撃も良くなって総合力ではパで一番いいキャッチャーになりましたね。まあ、それでも経験の差からどうしても細川にリードで及ばない。細川の胸を借りて戦うことで、日本一のキャッチャーの階段を登っていくだろうという画が見えて、試合前からこの対決を楽しみにしていました。

謎の首位決戦での鶴岡起用

 ところが、蓋を開けてみたら、スタメンが細川ではなくなんと鶴岡。鶴岡というのは、「打てるキャッチャー」として取った選手であり、守備面特にリードではマズイ部類に入る選手。その選手を大事な試合で起用するというこれまでの名采配ぶりからは考えられない決断で、この日は心底驚きました。本当に「え?なんで」となりました。

 6/27武田(一日開く対ロッテ変則三連戦)、6/29千賀と2日続けて先発投手が炎上。鶴岡というキャッチャーを考えれば、この結果は言わずもがな。細川なら炎上しない、失点しないというわけではありませんが、リードの良いキャッチャーというのは被害を最小限にできる。
一つでも多くアウトカウントを増やして、極力失点を抑えてくれます。武田が3回6失点(自責は4)、千賀が6回4失点。もし細川ならばここまで打ち込まれなかっただろうなぁ…。なぜ細川を使わなかったのか?と問いたださずにはいられない試合展開でしたね。6/30岩嵜は6回2/3で1失点、この試合も細川のリードが光った試合でした。*1

 この大事な首位決戦のカードで細川を使わないということは、高谷の離脱上・緊急昇格であがっただけで、一試合マスクをかぶるのはキツイのか?まさかスタメンではまだ無理なのか…?と最悪の事を考えていたら、次の岩嵜の試合でなんとスタメン。こんな起用をするくらいなら、初めっから細川上げるなよと怒りを覚えました。使うなら始めの武田からでしょう。大事な初戦、何を考えているのか意味がわからない。

 競争の原則というのはたしかにあります。あとからやってきてレギュラーを張るのなら、スタメンの座は実力を示して奪い取らなくてはならないというのもわかります。また、細川のコンディションに不安があって、この時期からずっとスタメンだと怪我のリスクが増すからというのも理解できます。それでも2011からチームを引っ張ってきたのは誰なのか?過去の実績を考えたら細川一択。細川を、ここまでスタメンマスクをかぶっている鶴岡を差し置いて使うべきに決まっている。コンディション問題はこの大事な試合の後しばらく休ませるということでいい。

 ハムは6月調子を上げて、交流戦終盤から7連勝でホークスとの対決になりました。大事なハムとの三連戦の初戦、7/1鶴岡で和田4回5失点、7/2細川で東浜6回1失点(スアレスが2ラン打たれて東浜に負けがつきます)。7/3細川で中田6回2/3で2失点(自責1)。

 この三連戦前の時点でホークスが貯金29、マリーンズが12、ファイターズが10。今シーズンここまで対ハムに相性が良くないだけにきっちり叩いて勝ち越しを狙って、優勝を確実なものにしておきたい。まして7連勝と勢いに乗っているファイターズの流れを止めるために大事な所。ここを軽視したのは如何なものか?和田ならキャッチャー関係ないとはいえ、三連戦のカードでキャッチャーを固定して使うのがセオリー。ここで細川をスタメンで続けて使っても、あとのオリ・楽天戦で鶴岡主体にして細川を休ませればいいだけ、このターニングポイントになりそうなところで細川を固定して起用しないのがわからない。

大事な試合でリードを軽視し鶴岡を起用。首位転落劇の始まり

 ここで鶴岡を起用したのは「打てるキャッチャー」の打撃を重視したからでしょう。はっきり言って、キャッチャー(セカンド・ショートもそうですが)に打力を重視するのは弱いチーム、間違った野球をやるチームがやること。こんな馬鹿なことをやる監督だとは露ほどにも思っていなかったのでショックでしたね。

 ただそれでも、貯金17の差があって8.5ゲーム差あるということは、最悪3連敗でも5.5ゲームなので、まだまだなんとかなる余裕がある状態。ですから、それはまだ許容範囲内の話として、問題は729~31の対ハム三連戦。こちらで、和田・千賀で鶴岡を使ったことですね。これでもうダメだろうなと思いました。鶴岡でも勝ちましたが、それは結果論です。守備・リードを軽視するような指揮官では、ペナントを制することは出来ない。まくられてもおかしくないなと悟りましたね。ウチが貯金29の、ハム23で3ゲーム。そして8/5~7の三連戦で鶴岡固定起用…。

 これでもう奇跡が起こらないかぎり無理だろうなという感じになりましたね。しかも8/7はリリーフが苦しくなったから後ろに回したセットアッパー候補の岩嵜を、中田が打たれるとロングリリーフで起用したのですから、何をか言わんや。Wで狂っている采配・起用を見せつけられて心底驚きました、恐怖を感じるレベルでしたね。そしてここから6連敗が始まり真っ逆さまでしたね。

「エースキャッチャー」鶴岡

 鶴岡というキャッチャーはリードが悪い。今年は工藤監督の指導があって多少改善されましたが*2、彼は基本安全なアウトローしか要求しない。インコースを突かないキャッチャーです。そしてスライダーを多投するという特徴がある捕手です。今の野球では「外スラ」と呼ばれる変化球、外角低めにスライダーを投げて、ベースの際どいところでカウントを重ねるのが極めて有効な球種になっています。ベース=ストライクゾーンに一瞬しかこないので打ちづらいし、投球の基本・生命線であるアウトローの直球と区別しないといけない。またそこからボールになる球もケアしなくてはならないので、外スラという球種が非常に多くの投手に使われているわけですね。

 彼のリードはそれ(アウトロー&スライダー)しかない。相手の反応を見て、相手の反応を観察して意図を察知して裏をかくということが出来ない。勿論これが出来るリードの良いキャッチャーというのは球界でも限られるのですが、特に彼は相手の意図を気にしないリードをする。ノムさんが①自分状況②相手状況③試合状況という3つの状況・都合からリードを組み立てないといけないと言っていましたが、彼はその①投手の状況しか考えない(③は多少考えているかもしれませんが…)。その投手の得意とするボールを要求して、それを自分は受けるだけという考え方をしています。

 故にその日の投手が悪ければ何も出来ない、ただ受けるだけのキャッチャーなのでキャッチャーのリードで投手を助けることが出来ない。こういうキャッチャーを個人的に「エースキャッチャー」と読んでいますが、エースは制球力・変化球(カウント球・決め球)・スピードなど、投手に望まれる能力が高い水準で備わっています。なので、そのエースピッチャーの球を受けているだけで十分抑えられてしまう。キャッチャーはその日の配球・組み立てを考える必要が無い。エースピッチャーの球を捕球するのが自分の仕事だと、それだけで満足してしまうキャッチャーがいるのですが、彼はその典型的なタイプだと見ています。ダルビッシュの専属キャッチャーだから優秀なのだろうと見ていましたが、逆ですね。典型的な投手言いなりの受け子キャッチャーでした。そもそもダルビッシュのような超優秀なピッチャーにリードなんかいりませんからね。

 ノムさんは杉浦さんだったか?当時のエースの球を受けて、こんなにいいピッチャーなら自分のリードは必要ない、誰がキャッチャーでも同じだと考えて、リードとは何か?と考えたと言います。その結果、二流の投手でもリード次第でいい数字を残せるという独自のリード論を築いていきました。まあ、そういう分岐点・分かれ目があるわけですね、エースの球を受けるだけで満足するかしないかという。また良い捕手コーチに巡り合わなかったのもそうでしょうね、勉強する機会がなかったわけですから。向学心がないのは問題でしょうけども。

 大抵の球団はキャッチャーを育てるときに、まずエースと組ませる。エースと組ませて一通り経験させて、場数を踏んだら他の投手とも組ませていって独り立ちさせるというのがパターンになっていると思います。エースならキャッチャーがヘボでも大怪我しないですからね。「エースキャッチャー」として経験を積んだら、その段階から「正捕手」へという段階を踏む。どんな投手でも「正捕手」が捕手のリードの力で、上手くその力を引き出してやる。なんとかやりくりして投手陣を支える。そうやって捕手は段階を踏んで成長してチームの柱になっていくものなのですが、そのチームを支える&投手陣を活かす「正捕手」になるのは相当ハードルがある。殆どのキャッチャーはただ一番マスクをかぶっているという経験があるだけというのが球界見渡しての現状ですからね。リードの良いキャッチャーが大事だという認識はあっても、じゃあコーチ呼んで育てようと本腰を入れているのはせいぜいロッテくらいでしょう。梨田さんが楽天で良いキャッチャー育てていただけるとまた面白くなるのでぜひ期待したい所ですが…。

 若菜さんが解説で「抑えるのがスライダーなら、打たれるのもスライダー*3なんだろうなぁ」という話をしていて、まさにそうだと膝を打ったのですが。とにかく一つの球種だより。東浜がシンカーが決め球・持ち味ならば、そればっかり要求する。結果バテて、相手の目がなれた3巡目(=六~七回くらい)に捕まってHRを打たれるというパターンになります。今シーズンそのパターンを何度も見てきました。おそらくホークスに来てからずっとそうだと思います。

 故に、9回までエース級の投球をしないかぎり、ピッチャーが状態良くないかぎりどうにもならない。そういう時だけしか期待できない捕手ですね。言うまでもなくそんな都合のいい展開がシーズン通して何回あるかと言われれば数えるほどしかないわけです、エース級以外は。

エース・大投手工藤にリードは不要

 鶴岡のリードが悪いというのは彼がFA移籍してきた2014年からファンなら誰でも知っていること。その鶴岡を使い続けるのだとしたら、守備を軽視するのだとしたら、それこそ打てるという理由で肩に難があっても明石をショートで使うべき。打撃を重視するという戦術を採用するのならば、打てる選手を守備軽視で使うべき。それなのに今宮ショートは外さない(言うまでもなく守備重視派なので、打てなくても今宮を使うべきに決まっているんですけどね)。それなのに、ショート明石は使わずにキャッチャー鶴岡を使うのはなぜか?それは工藤監督自身の歪んだ現役時代の思考があるからでしょう。

 工藤監督は言わずと知れた大投手・エースでした。そのエースが何を考えるかといえば、「打てるキャッチャー」を欲しがるわけですね。リードは自分で組み立てられる・考えられるから、キャッチャーにリードなんか求めない。というか配球で苦労することがないから、キャッチャーに組み立てる力やリードを求めない。自分に良いリード・悪いリードは関係ないから、とにかくランナーを刺せて、球をきちんと受けられて、打って自分のピッチングを楽にしてくれればそれでいい。そういう発想なのでしょう。そうでなければ、打てるからという理由で守備面で難がある鶴岡を起用することは通常考えられないわけです。捕手に打撃を過度に求める。この歪んだ考えは流石「キャッチャー城島を育てた」と言われるだけあるなと実感しました。

 城島が一時期過度に持ち上げられたため、彼はリードも良いキャッチャーだと思い込んでいました。がしかし、ノムさんに「ピッチャーは要求通り・サイン通りに必ずミットに投げこんでくれると考えるのはキャッチャーとして間違っている。ピッチャーは失投をするものなのに、ここに投げきれなかったら投手が悪いという傲慢な考え方を持ったリードをする」と評されたように、ピッチャーが悪い時というのを計算に入れていないようです。それでは二流・三流Pをリードすることは出来ないでしょう。彼が中心だったダイエーホークス時代は四本柱と言われるくらい先発投手陣が整備された時代だったので、そこまでリードの拙さが目立たなかったということなんでしょうね。

 工藤監督は決して選手を責めない。そういうところに好感を抱いていたわけですが、捕手に関しては、失敗した時に注文をつけることが多い。思い返せば去年からそうでした。投手が打たれても、打者がサインに応えられなくても(あるいは見落としても)、守備でエラーが有っても、責めるということはありませんでした。しかし捕手のことについてだけはチクリということがあった。捕手に対しては苦言を呈する事がありました。例えば今年は細川のFCの時などに文句をつけていました。やはり捕手について独特の歪んだ価値観を持っていると思われます。東浜=細川の時、細川がFCで満塁になってHRを打たれた後、細川を外して使わなかった。高谷が打ち込まれて鶴岡を起用し続けたり、一度のミスでスタメンを外しつづけるという懲罰的な起用をする。こういうことはすべきではない。

 思えば、去年唯一の不満として若手捕手の起用をしないという点がありました。重要なCS短期決戦・日本シリーズでも細川を使わなかったり、おかしな所がありましたね。是非一度工藤監督の捕手論というものを聞いてみたいものです。ノムさんでなくとも、伊東さんや大矢さんにその捕手論を正してもらいたいものですね。

追記、拓哉の起用について

 忘れていたので追記。捕手繋がりで、今年の重要なテーマ若手捕手育成について話すことを忘れていました。今年の開幕は山下斐紹でスタートしました。言わずと知れたドラ一の期待の若手です。正捕手細川が一年マスクをかぶれない。捕手陣の高齢化、28歳くらいの中堅クラスの年齢の捕手がいないというチームの問題もあって、若手捕手の育成は至上命題。ベテラン摂津・和田と組ませていましたが、摂津の調子が今ひとつなのはともかくとして、彼はベテラン投手のリードですら危うい状況でした。カーブ・ゆるい球を使えない、インコースを使えないなどリードがまだまだなのは、まあ経験の浅い捕手にありがちなのでいいとして、キャッチングが下手。

 鶴岡程ではないにせよ、キャッチした後ミットがブレる。特に逆球のキャッチングが酷い。他チームの捕手、嶋・炭谷を見ても逆球をしっかり追いかけながら、ギリギリストライク入ったように見せようと努力をしている(ただでさえ逆球はストライクゾーンでも逆行った分取ってもらえなくなりますからね)。高谷・細川はキャッチングの際、しっかり一度ミットを止めています。ところが彼はミットの要求通りにボールが来ても、勝手に「はい、ストライク入ったね」と動かしてしまいます。一度摂津がフルカンでストライク入ったのにボールにされたことがありました。摂津のコントロールが乱れて印象が悪くなっていたのもあったでしょうが、斐紹のキャッチングの問題もあったと言えるでしょうね。

 斐紹は高卒六年目、いわく高卒キャッチャーは3年目までにつかえるようにしなくてはいけない。鉄は熱いうちに打ての原則があると。ノムさんもそう、伊東もそう。そして田村も3年目から正捕手として活躍し出しましたね。育成に六年かけてしまったこともそうですが、六年目でキャッチングがーという注文がつくとは、一体フロント・首脳陣は何をやっているんだ!?とチームのその姿勢に疑問を通り越して怒りすら感じます。二軍のバッテリーコーチは清水将海(ロッテ・中日・晩年鷹)、去年は田村康夫(日ハム・ロッテ(一年のみ)・同じく晩年鷹)。両者とも晩年チーム事情故に補強したという捕手ですね。拓哉が二人の指導が参考になったかどうか次第ですが、あやつぐを育てられていない責任はきっちり取らせるべき、田村を下で育てたロッテのバッテリーコーチに声をかけて引き抜くべきでしょうね。

 それはともかく、今使っているのは拓也です。拓也のリードを二軍の試合で見ましたが、彼のほうが可能性を感じる。ゆるい球にせよ、インコースにせよ、それを使ってどうにかしようという意図がある。今後次第でちゃんとモノになるかは未知数ですけどね、現時点では間違いなく、拓也>あやつぐ。その選手をスタメンで使わないのが解せない。

 たしかに彼は去年一試合しか試合に出ていない。そういう段階にない選手です。ビハインドの負け試合で使って、来年同点や勝ち試合の抑えの捕手・三番手捕手として使いながら、スタメンで使っていくという「段階」を踏んでいる・セオリー通りの起用だということはわかります。

 しかし今は高谷という捕手が離脱してしまった。一番いい捕手細川がいるとはいえ、細川は怪我がち。故障しやすい選手でいつ離脱するかわからない。そして去年一番スタメンマスクを被った高谷がいない。ーとすると、残っている鶴岡も去年骨折で一ヶ月ほど離脱した過去があるだけに、万一の鶴岡&細川離脱という危機に備えて、拓也を何試合かスタメンでテストしておかないといけない。危機管理として拓也を使っておくべき必要性があった。何試合使うべきかは、正解を出せませんが、個人的には最低でも五試合はスタメンマスクを被らせて、負けを覚悟で起用すべきだったと思います。一週間のうち、細川3・鶴岡2・拓也1の割合で使うべきだったではないでしょうか?3~4試合くらい試して拓也が全然ダメなのであれば起用を諦めるということであれば、責められなかったと思いますが、一度も試さないのは今の捕手事情からしてありえないと感じましたね。

 最悪の事態を想定した危機管理ということをしなかった、出来なかったというのは、非常に問題だったと言えるでしょうね。捕手のリード論じゃありませんが、采配というのは最悪を想定して、そこから逆算して組み立てないといけない。一年を考えないといけない。ラッキーは起こらないという最悪から計算するもの。自分に都合のいいことが起こるという想定は極力すべきではない。そういうことをしてしまうのはプラス思考の投手故なのでしょうか?若手捕手の育成はここ数年どころか、もう城島以来ずっとついてまわっている問題なのですが、工藤政権下でもかなり危ない感じがしてきましたね…。

 

以下↓、続編のリンクです。1.5は長いので分割した補論のようなものですね。

【2016工藤采配批判1.5】 見当外れな打順批判、固定的起用は好ましくない

【2016工藤采配批判②】 李大浩の穴は存在しない。李大浩がいる前提の野球をしているだけ

【2016工藤采配批判③】 歴史的V逸の最大の原因は「継投」にあり

*4

*1:※細川の角中殺しについて、この試合は首位打者レースのトップを走っている角中との対決がありましたが、見事に殺していましたね。細川は本当に特定の打者を殺すのが巧いですね。最初の打席でフォークを三連投してスリーノーのカウントを作って、結局歩かせていましたが、後続を打ちとっていました。そしてその次の打席から続けて見せたフォークの残像があったため、アウトローの球に角中はフォークと迷いながらスイングして、振り遅れて三振。日本シリーズでの山田の時もそうでしたが、細川は相手打線の一番いい打者を殺しに行く時に特定の球種を植え付けて、意識づけさせた上で裏をかいて打ち取るというパターンのようですね。多分、一打席目はその意識づけのために使うので歩かせてもいいという配球をするのではないでしょうか?無論その日の投手がそこそこ制球出来て、捕手のリードに応えられるという条件づきですが。細川対策にはその勝負してこない・意識づけの最初の打席を捨てることかもしれませんね。短期決戦だと無理な話かもしれませんけど。例えば山田なら、彼が歩いた次の打者がなんとしても彼を返すことを意識すべきかもですね。殺される対象は無理せず出塁に専念してその次・その次の打者が返す役目を担うという風にするしかないかもしれません

*2:バッターの意図を考えれば際どいところに投げきれなくても抑えられるんだよという話をしたと言ってました。相手の状況を考えるという当たり前のことを今更教えても、長い間マスクを被っていてもそういうことをしてこなかった=経験値ゼロですから、学習して成長するということはありえないでしょう。前に書いたかもしれませんが、彼は移籍一年目にピンチのときにピッチャーに声をかけにマウンドに行くことがなかった。なんで細川みたいにマウンドに行かないんだ?と不思議に思ってましたが、状況とか相手の反応とか見ていないのですからそういうアドバイスがそもそも出来ないんでしょうね。投手言いなり捕手なので、自分が投手をまさにリード=引っ張ることが出来ない。そういう捕手でした。細川に相手チームのバッターの情報を共有しようと持ちかけられたときも拒否していましたが、そもそもそんなデータが無いんでしょう。データがないから共有するしない以前の問題ということなのでしょうね。

*3:ノムさんがスライダーというのは便利な球で、真っ直ぐを待っている相手に非常に効果的だと言っていました。ということはダルのように真っ直ぐが滅法速い投手は、真っ直ぐにタイミングを合わせざるをえないので、抜群の効果を発揮したでしょうね。つまり、①真っ直ぐがそこそこ速く②スライダー持ち、という二つの条件を満たした投手しかリードできないんでしょうね、鶴岡は。彼がよく組んでいた投手が中田とスタンでしたが、まさにそのパターンでしたからね。大隣を炎上させた試合、また今年の山田なんか見ていると左腕や制球型の投手をリードすることは無理なんでしょう。

*4:アイキャッチ

カイザー(Kaiser) 野球 軟式 キャッチャーミット KW-340

スポナビブログを止めた話

 ブログ引っ越しついでにスポナビで野球ブログを書きました。そしてすぐに止めました。野球専門というかスポーツ専門ブログということで、書いてみるのも面白いかな?面白いことを書く人と交流が増やせるかな?と思って始めてみたのですが、有益な分析をするというものは少なかった印象ですね。まあ己のが有益かといえばそうではないわけですが(^ ^;)、その人のオリジナルの視点から「なるほど、こういう見方・考え方があるのか!」というものはあまりなかったですね。まあ、そんなに他所様のブログを拝見したわけでもないのですけどね。

 まず、ブログサービスが悪かった。連休に入って、これまで書けていなかった分10本くらい記事を連投しようと思っていたら、旧記事のインポートが不具合でエラーを起こして、スパム扱いを受けてアカウント停止に追い込まれました。解除されるまで2日半かかった上に。対応が悪い。何度もやり取りをしなくてはならなかったですし、解除されたと思っていたら、コメント投稿ができませんという半端なことになっていましたからね。自分でエラーなんとかして下さいみたいな「?」な対応を一度受けましたし。

 インポートの不具合で昔書いたものが新着コーナーに表示されてしまうという他の方への迷惑行為をさせられる羽目になったのはかなりキツかったですね。他の人に「何こんな古い話してるんだ?こいつ目立ちたがりのアホか?」と絶対思われたでしょうからね…。せめてトップページか何かでそういう説明をすべきですよね。こちらの信用を傷つけるようなことをしてその後の対応がないってどういうことなんでしょうかね…?まあ、SNS・ブログサービスをいくつか利用してきましたが、流石にこういう仕打ちは初めてなので、どういう方針でスポナビはブログ運営をしているんだろうか?と不信感を抱きましたし、どういう人間が方針を決めているのか気になりましたね。

 結局、インポートエラーのために、一つづつインポートしなくてはならないというので、そのエラーが直るまで待っていましたが、結局そこから3ヶ月位して止めたので、関係なくなりましたけどね。インポート機能が復旧したら、連絡・お知らせしますとメールを貰いましたが、あの対応からすると絶対そんな対応・アフターケアをしっかりすることはないなという気がしています。絶対放置してこちらがまだですか?などメールを送らないかぎり対応しないでしょう。対応が全て後手後手でしたから。というかそんなエラーがあることに気づかず、しかも修復するのに3ヶ月以上かかっているんですから、まあなにをかいわんやですね。

 それはそれとして、またブログを書く事自体がやりづらい。色つけたり、文字を大きくしたりなどがアメブロと比べてやりづらい。本などのアマゾンリンクも貼れませんしね。そういうやりにくさを感じていたので、止める良いきっかけでしたね。

 

 で、まあ、なんで止めたかというと荒れたからですね。評論書いたら、侮辱だ何だとそういう手合の人がいたので、ああこれはちょっと無理だなぁと思ったので書くのを止めました。批評をすると、能力の有無・高低について論じ無くてはならない。そういう理解がどうもない人が多いようですね。タグというのがあって、そこからファンが流入してくることを知らずに、タグを貼ってしまったのはこちらのミスなんですけどね。

 自分に都合の悪い意見は聞きたくない・見たくない。またAという風に自分が解釈したら、それ以外の解釈を認めない。こちらがいくら「Aではないですよ、そういうことを言っているんじゃないですよ」と言っても、理解しようとしない。まあそうなったらどうしようもないですよね。もう自分の言ってることが絶対で、それ以外は許さない。そうなったらもう無敵ですね。

 そういえば、以前、セ・リーグ・巨人を中心にペナントの話を書いていた時にセ・リーグのタグをツイッターで貼って、今年のヤクルト優勝はもうないと書いたらヤクルトファンがそんなもんヤクルトのタグに流さないでという人がいたことがありました。ファンは優勝を信じて応援しているとか「?」な感じでしたが、戦力分析で現状どう見ても不利だろうという分析とファンの気持は関係ないでしょう。というか不利なのか、今危険な状態になるのだとか、そういうことが分からなくては対策の立てようがなくなる。目の前の危機から目をそらして座して死ぬつもりなのか…?中には変な人がいるものだなぁとその時はそこまで気にしませんでしたが、今になって思うと野球ファンにはかなり変な人が多い。プロ野球を見る人口が多いことを考えれば、まあそうに決まってますね。

 酒の席で政治・宗教・野球の話はするな!ーとか、この3つはタブーなのだとか。個人的に酒の席でそんな話をしても、相手が起こったり変な空気になるような経験がなかったので、ああそういう人が世の中には多いのかと今更改めて認識しました。特に顔が見えないネット上のコミュニケーションではそうでしょうね。平気で初対面の人に丁寧な口調・敬語も使わず、話しかけてくる人がいる。そういう非常識な人達がいるんだなぁとあらためてカルチャーショック的な感覚を抱きました。

 そういえば、いつも試合を観戦する時、ファンの感想をチェックするところでも、暴言を吐く人は本当に多いですからね。馬鹿野郎辞めろ!とかいらん!とか平気で選手や監督叩きますからね。そういう空間で、ちょっと結果を残せないくらいで人のことを叩くなんて恥ずかしいとは思わないのですか?なんて言っても通じるわけないですね。

 アメブロの頃、プロ野球観戦系のブログを3本くらい見てましたけど、文章を書く人というのはそういう人ばかりだと思っていましたね。んで、その中の一人が、「辛口で書いてますので容認出来ない方は読むのを控えて下さい」的なことを書いていて、どうしてそういうことを書いているのだろう?と不思議に思いましたが、まあそういう変な手合の人がいたからでしょうね。コメント付ける人の中でも、頭のおかしいようなコメントを付ける人は極稀にいるので気にしていなかったのですが、そういえば一人・二人いましたね。目につかないところだから、来ないだけで、もしもっと説記事が人気出たら変な人がいっぱい来るんでしょうなぁ…。

 まあ、そんなことはツイッターで知っていたので、積極的にフォロワーやブログ仲間を増やそうということはある時期を境にしなくなりましたね。この人おもしろいこと書くなぁという人は本当少ないですからね。

 

 スポナビの人達の他のブログ見ると、なんというか一喜一憂が非常に多い感じがしましたね。「勝った~!やった~。」「負けた~悔しい~次は勝とう!」的な。別にそれが悪いとかそういうことではないのですけど、個人的に目指すものと方向性が全然違いましたね。中にはこの球種が有効だが、これは序盤は有効でも3巡目からは対応されるとか、リードの特徴がどうだから投手との相性考えて、今回の配球がどうしたこうしたとか、この采配の決断がセオリー外だが、実はこういう意図があった!とかそういうものがあるかと思ったのですが、なかなか見当たりませんでしたね。

 以前、鶴岡はスライダーをうまく使うキャッチャーでカーブはうまく使えないという話をスポナビブログで知ったので、そういう面白い話をする人が多いと思っていたんですよね。多くなくても一定数いるものだと思っていました。そうじゃないなら拙スタイルと水が合わない。よく考えたら、検索かけてスポナビブログにヒットすることって早々ないですからね。ということはまあそういうことなのでしょう。

 

 そういう観戦してただ楽しむ、ファン同士が仲間内でワイワイやる感じを前提としたブログサービスということなんでしょうね。そういうところで評論みたいなのをやろうとするのは畑違いも甚だしかったですね。勢いで始めたのが良くなかったですね。他の人はすぐブログ内容書き終わってるのに、己だけ毎回4P位書いていましたからね(笑)。おそらく、贔屓のアイドルとか、猫ちゃんブログみたいなノリなんでしょうね。スポナビって。だから贔屓のそれ以外について、これがよくない・あれがよくないとかそういうことを言ってはいけないと言い出す人が出てくるのでしょう。そういう捉え方をする人がいるというのは、なかなかいい社会(?)勉強になりました。ね

 ああ、そうそう。そういう痛いコメントが少なからずあったのですけど、NGワードみたいなものがあったら弾く設定にはしているようですが、普通のブログサービスに存在するコメント禁止みたいな装置がなかったのはかなりマズイと思いましたね。まあ、あんまり良く見なかったので本当はあったかもしれませんけど、そういう機能もきちんとされていないのは「?」でしたね。一件だけ「てめえふざけんなよ、こらぁ」みたいな、酷いものがあったので、流石にこれは見るに耐えないのでNGにして通報しようと思ったのですが、そういう機能がない。これはちょっとどうなのかな?ブログではそういう事が必ずありますから、そういう機能がなかったらどうするのだろうか?問題があった時どうするのだろう?とかなり疑問に感じましたね。

 ブログ運営として原則コメント受け付けなさいというのも「?」でしたね。中にはコメントなんていりませんよという人だっているでしょうに、そういう選択をユーザーにさせないというのはなんでなんでしょうか?ゴルスタなんてのが話題になりましたが、そういう高圧的なスタイルなのでしょうかねぇ…?

 気になってツイッターで検索かけたら、昔はコメントの方式が違っていてもっとコメントが盛んだったとか。下手したらもっと荒らされていたのかなぁと思うと…な気になりますね。まあ、ですから、スポナビで「鷹ファンならこのブログを知らないと!&見てないとおかしい!」みたいな大手がないんでしょうね。そりゃぁ廃れるだろうなぁと個人的には思いました。

 でまあ、俺たちの戦いはこれからだ!で打ち切りでブログを終わらせたわけですけど(ちょうど10本くらい記事書いたので10週打ち切りですねw)、選手・ファンの無事を願って一富士(無事)二鷹三連覇!というブログタイトルだったんですけど、肝心の自分が大丈夫じゃなかったんですが、それは大丈夫なんですかね…?

 

 まあ6月交流戦終わってから一本も野球ネタ書いていなかったので、ちょいちょい書いていこうかなと思います。御存知の通り、大失速して優勝も危うい状況になっていますからね。工藤監督は日本一の監督・名将!と書いておきながら、まさか工藤監督無能論を書くハメになるとは思いもよらなかったですね…。采配のマズイ要因が3~4ありますが、さてはて、どれから書いたものか。

 

 んで身体論のカテにも入れていますが、どうしてかというと、コメントが荒れてそのへんな意見の対応で、体調を崩したからですね。思いもかけないコメントだったので、不意をつかれて怒りで腸が煮えくりかえる状態になりました。身体がカッカして、怒りで眠れなくなりましたし、腸が煮えくり返ったので、食事も受け付けなくなってしまった。3日位は体調不良のままでしたね。本当に辛かった。腸が煮えくり返るという表現は本当に適していて、ドンドコドンドコ腹の中に虫か小動物がいるかのように、暴れるんですよね。

 それもこれも、肚・丹田がしっかりできていないからこういうことになる。戦争だったり戦いというのは、自分が始めるものではない。緊急事態は突発的に起こるもので、不意をつかれるのが当たり前だと考えるべき。こういう風に急な事態でも対応できないのでは、いざというときに使えないなぁと自分の未熟さをまざまざと思い知らされましたね。もっと肚を鍛えないといけないなぁと感じた出来事でしたね。

 何万人という大衆の前で、ここで打たなければ日本が負けてしまう!というプレッシャーをはねのけて最高のパフォーマンスをするには、肚・下丹田が必要不可欠。それどころかそういう応援・期待をエネルギーの源泉にしなくてはいけない。そういうスタープレーヤーを日ごろ見ていて応援している自分がこんなことでどうするのかと不明を恥じ入る日々でしたね、不調の間は。