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【比嘉大吾体重超過事件】 無期限資格停止処分だと!ふざけるなJBC…ってあれ?JBCがまともだと…!?


前回からの続き*1です。比嘉非難がいかに無茶苦茶で理がないものか、具志堅氏が興行・選手指導・プロモートの「素人」であり危険な人物かという話をしました*2。前回からの続きで一番大事なポイント。選手にとって危険な試合を実行してはならないことの話をしたいと思います。そして本題のJBCの処分が意外とまともだったという話を。

■試合をしても比嘉にはメリットが皆無。そんな試合を何故強行したのか?
 また本郷陽一氏の記事*3に戻ります。
 <部分要約引用>具志堅会長が比嘉のことをもっと良く知っていればこの事態は避けられたかもしれない。また現役時代の価値観を今の時代のボクサーに重ね合わせたことで未来ある22歳のボクサーが犠牲になった。16連続KOの日本記録更新も無敗記録もなくなった。わざわざ負け覚悟で試合をやる意義は一体どこにあったのだろうか。<引用終わり>
 どこにあったのだろうか?ではなく、「意義なんてどこにもない。なんで試合を強行したんだバカ野郎」とどうして強く書かなかったのかはさておき、今回の事件で一番解せないのは。そもそもなんで試合をしたのか?ということです。
 体重超過をしてしまえば、もうどんな形で勝っても必ずケチがつく。勝つためにズルをしたクソ野郎と言われてしまう。今回のような試合をするのが無理なコンディションで仮に奇跡の逆転KOというようなことになれば、識者が「あのコンディションでも勝ってしまうなんて、比嘉は本当に凄い!」という評価を下したとしても、勝つために体重超過・インチキをしたんだろ?と絶対そういう風に悪く言われてしまう。日本新記録がかかっていたのならば尚更そう。記録更新したいがためにズルをしたと必ず勘ぐられて非難をする声が上がって、選手としてのイメージ・評判を下げることは避けられない。
 勝ったらケチを付けられ、負けたら記録も消えて無敗レコードも途切れて、選手としての価値を大きく下げてしまう。となれば、もう残された選択肢は「棄権する」の一択しかない。他にあるはずがない。何故試合をしたのか本当に理解できない。

●せっかく面白いスポーツと認知されたボクシング人気に冷水を浴びせる愚行
 前々回書きましたが、ネリケースでもないので体重超過というのはさほど問題にならない。問題なのは、そもそもコンディションを作れなかったということ。試合をできる万全な状態ではないことです。ボクシングはいかに戦うコンディションを作ってくるかということが大きな要素を占める競技です。昔書いたと思いますが、コンディション作り・減量に失敗した王者が見るも無残に敗れ去る試合を続けて見て、リングでの技量ではなく、結局試合前の体作り次第になっている。事前のコンディションで結果が決まってしまうボクシングってなんかつまんないスポーツ・格闘技だなぁと思っていました。一昔前はチャンピオンレベルの選手が大体4~5試合もすると、どこかで必ず調整に失敗してヘロヘロになって敗れるというパターンばかりでしたからね。チャンピオンになかなかなれないし、なってもすぐ負けて引退するボクサーが殆どでした。
 リングの上で面白い試合をする、高いレベルを見せるボクサーがいなければ、客は観に来ることはないしボクシング界が盛り上がることもない。技量がそもそも低い・下手くそというのならば、それが現実なのですから仕方ないにせよ、コンディションを作ってこれない、それで実力の半分も発揮できずに負けるなんていうのは論外。さんざん強い日本人王者!!と煽っておいてあっさりKO負けほど興ざめすることはないですから。
 前回書いたことですが、選手の健康面という視点からも、タイトな試合スケジューリングや過度な減量はNGなわけですが、もう一つボクシング人気を大きく下げてしまうという点・興行面からも論外なわけですね。

●取るべき手を何一つ取らなかった無責任具志堅
 比嘉の評価に加えてボクシングという競技の評価をも下げてしまう。二重の意味でもう試合をキャンセルするしか手は残されていない。対戦相手に失礼極まりないことですが、こういう事態になってしまったら試合をキャンセルして謝るしかない。キャンセル料・迷惑料をいくらか払って帰ってもらうしかない。
 下手したら試合不履行でベルト剥奪になるかもしれませんが、試合の一ヶ月前には判断が早すぎるにしても、一週間前からどんなに遅くても数日前にはこのペースだともう無理だということはわかるわけですから、その時点でもうキャンセルを申し出るべきだった。選手のことを考えたら、もうやれるわけないんですから、急激な減量及びその失敗で体調を崩したことを理由に、入院するほどの状態ではないにせよ、とにかく嘘でもいいから入院させて、キャンセルして処分を待つべきだった。もうここにきたらそうするしかない。何故そうせずに試合を実行したのか?
 試合不履行・興行キャンセルということになれば、具志堅ジムは処分を受ける。しかし、全責任は会長である私にあると言っている通り、氏が処分を受ければいいだけの話なぜ具志堅氏は自分が処分を受ける事件の顛末を選ばなかったのか?これがわからない。そうしていれば、体重超過ではなく、無理なスケジュールを組んだ&興行能力の欠如でボクシング界の信用を傷つけた云々の非難は具志堅氏に来ても、選手である比嘉には来なかったはず。
 無理な減量を会長に強要された選手として、比嘉を被害者として守り切ることが出来て、何らかの処分はあっても今回のような処分、無期限資格停止という重い処分だけは避けられたはず*4。事前に怪我や事故で興行をキャンセルというか延長するという事例はいくらでもありますから、スケジュールがタイトになっても延期してロサリオと再戦するとか、入院の結果、この階級ではもう無理とベルト返上の道を選ぶ(階級をあげる)とか、比嘉を守るためにいくらでも手を打つことは可能だったはずなんです。ですから一体何をやっているのか具志堅は!ということになって、具志堅氏は異常であると言わざるをえないわけです

●選手を守るためには、最悪体重超過という選択だってある(ない)
 選択肢として幾つものオプションを用意しておかなくてはいけない。それこそネリケースも一つの選択肢です。ネリがやったことは許すべからざる暴挙であることは確かですが、亀田大毅と試合をしたソリスが再計量でも1kgオーバーしたときのように、もうこれ以上体重を作れないとなったら自身の利益を守るために体重を意図的に作らないのも一つの手段。
 勿論、比嘉の階級では一つ上のロマゴンのファイトマネーが7000万行かないことを見ても、日本で記録を伸ばす・防衛回数を重ねる・スポンサー企業を探す、CMに出る・テレビ中継付きの試合をする…―ということのほうが遥かに稼げる。ロマゴンが目じゃないくらいのファイトマネーも手に入るので、日本市場での価値を暴落させるようなネリケースは比嘉にとっていかにボクサーの価値を高めるレコード更新をしても無意味です(例外はありますが)。
 ネリのように勝つために最善手を打つという意味以外にも、これ以上体重を落とすと試合をしても負けるだけor試合をキャンセルするしかないとなったら、殆どのボクサーは意図的に減量を放棄する。現在のボクシング界ではズルをした卑怯者が得をするようになっているのならば尚更です。相手に損失を与えても自分が損をしないようにするのは、こういう世界ならば当然。
 道徳・倫理的にも許しがたいことですが、それこそヒールとなって比嘉選手の利益を守ることも選択肢としてあることはある。悪のプロモーター具志堅を演じて、後々比嘉と袂を分かって、実は比嘉はイヤイヤ仕方なくやらされていたんだというような図式を作ってやるとか、一時的に比嘉を腐れネリ野郎としつつも、のちのちそういう風に救ってやるという絵だってある。
 エンターテイメント的には面白くて、見てみたいとは思いますが、そういうことを見事に演じる演技力も、ビジョンも、興行師としての腹芸をこなす実力もないでしょうから、まあ無理としても、何れにせよいくつもオプションを用意してどんなことがあっても比嘉が損をしない・選手としての評判・価値を守る事が出来る対策を事前に用意しておくべきだった。あらゆる不測の事態に応じて適切な対応が取れるように、策を練っておくべきだった。ところが彼には一つも危機管理としての体重を作れない場合のオプションがなかった。故にプロモーターとして失格なわけですね。最悪の場合、ネリのように体重オーバーしてボッコボコにしてヒールとなるという発想すらなかったと思いますからね。前述通り日本でそんなことやってはダメなことですが、そういう発想・対策を考えておくことはプロモーターとしての仕事・責務です。そういう事ができない以上、この仕事からは手を引くべきでしょう

●王者戴冠試合でのブーメラン発言「タイトルマッチできちんと体を作ってこられないなんてありえない」
 そもそも具志堅氏は比嘉がベルトを取った試合、記念すべき戴冠の試合で、王者サイドが体重超過でベルト剥奪という事態になった時「タイトルマッチでこんなことがあってはいけないよ!」と激怒した経緯を持った人です*5*6。ルールに厳しい・ルール遵守が当然と考えている人間ということは、当然そのルールを守るためのノウハウに熟知しているはずです。どうすればルールを守れるのか知り尽くしているのならば、どんな想定外の事態が起こってもまず体重リミットを守れるという自信がある。だからこその「体重超過許すまじ!」発言のはず。
 そう思わせておいてからの、今回の体重超過ですからそういう当たり前の事も知らない・出来ない無知無能ということですね。それとも気分次第で思いついたことをそのまま発言してしまう危険なタイプか…。どちらでもいいですが、何れにせよ責任ある立場を任せることは出来ません。舌の根も乾かぬうちにこういう失態を引き起こすべきですから、やはり責任をとってジム会長の職を退くべきでしょう。

●続、見えないガラスの天井の話―レジェンド闇協定
 本郷氏の文末には「本当の敗者は誰だったのだろう」とありますが、そんな回りくどい言い方をせずにハッキリ「本当の敗者は具志堅であり、比嘉ではない。比嘉を処分することはありえない。具志堅こそ処分すべき」と主張すべきだったでしょう。まあ、こういう書き方をするということは前回書いたように、そういうある種の抑圧・空気、見えないガラスの天井がボクシング界にあるのでしょうが。 
 下衆の勘繰りになりますし、本当にそうであるなんて微塵も思いませんが、それこそレジェンド級のボクサー達は自分たちの記録が破られないように、ボクシング界での地位を守るために協定・カルテルでも結んでいるとしか思えませんよね。野球でのO氏の圧力のようにG氏やH氏の圧力として、わざと新記録の実現が不可能なような展開に持っていっていると言われかねない出来事ですよね。仮にG氏とH氏の名前を取って、GH協定・カルテルとでもしましょうか。その見えない不文律が作動したと言われてもおかしくない立て続きの新記録樹立の失敗(というか失態)ですからね。
 山中が13試合目の防衛記録を達成してもそこで引退させるつもりだったというのも不自然と言われれば不自然ですからね。普通そこまで行ったらどんなに衰えても記録のチャレンジ自体だけは絶対させるものですからね。ありえない話ですが、浜田氏が危険な挑戦者・ネリを選んで具志堅氏の最多防衛記録を守った。その代償に具志堅氏はお返しとして比嘉をコンディション不良の状態に追い込んで、浜田氏の最多KO記録を破らせないように仕組んだという図式を想像してしまいます。GH取引ですね。
 まあ、流石にそんなことを本気で主張するはずもなく、結論は二人共ただのバカ・指導者やプロモーターとして異常に手腕・才覚がないだけの無能ゆえにもたらされた結果なのでしょうけどね。ボクシング界で責任あるウォッチャーの立場にある人達には、試論としてそれくらいのことは言ってほしいものです。ボクシング界に歪んだ構造・不健康な空気を許さないためにもね。

●比嘉処分前の思慮のない具志堅氏の放言
 具志堅氏はラジオ放送で処分前であるにもかかわらず次のようなことを放言していました。具志堅用高会長、比嘉大吾の計量失敗にラジオ生放送で「やっちゃいけないことをやっちゃった」と謝罪 : スポーツ報知
 引き続き部分要約しますが、曰く「本人に2度と起こらないように教育をしなくちゃいけない。試合に勝つ前に自分に勝たなきゃいけない。まだ22歳で、いきなりチャンピオンになってずっと走っちゃった。食べちゃいけないお菓子を食べちゃう」。
 何を吐かしてやがるんだ…てめえは…。まるで比嘉本人が思い上がっていたから失敗した。そしてその比嘉を教育できなかったことが今回の減量失敗であるかのように語っている…。もうこんなの完全にアウト・ダメでしょう、これは。教育されるのはあなたのほうであって、比嘉の方ではない。
 そもそも適切に試合中止の手続きを行えなかったことのほうが大問題で、それをしなかった・そういうことをどうやって行うか知らなかったあなたの手腕こそ教育されるべき領域にある。一体何を言ってるのか?まるで反省をしていない…。ぜんっぜんことの重大さと問題の本質を理解していないんですよ、この人は。
 フライ級でやらせたことが諸悪の根源、なのにもかかわらず期間が問題でフライ級でやれたと思うという発言を試合直後にしているように。恐ろしいほどの無知・無理解。こういう談話を見て分かる通り、彼は比嘉の転級を認めようとしない異常を通り越して最早危険人物といえる程の存在になった。この発言が処分前の期間であることを見れば、狂人性・危険性は言うまでもない。下手なことを喋れば、比嘉の処分に反映される。比嘉の処分を重くしてしまう悪影響を与えかねない時期にこの発言…。

●責任を取る&比嘉をかばうために辞職・処分をいち早く願い出るべきだった
 何よりも自分に責任があるというのならば、その責任を取るために自分からジムの会長を辞める・プロモート業から手を引く・ボクシング界から手を引くということを言い出さなくてはいけなかった。そうやって責任は自分が取るので比嘉の処分は無しにしてほしいと懇願しなくてはいけない。亀田大毅して…もとい、切腹してお家のお取り潰しを避けなくてはいけない。そういう事態なのに一体何をやっているのか…。言ってることとやってることがまるで違う。精神分裂病や虚言癖でなければ、もう根本的に分かってないとしか言いようがありませんね。

■比嘉再起のために配慮されたJBCの処分
 比嘉の再起は当たり前、被害者なんですから。むしろ手厚くケアしてやるべき。ただし、具志堅テメーはダメだという話なのに、問題の本質がまるで分かっていない人が多すぎですね。比嘉への重い処分で相撲協会は見習えなんていう意見もあったくらいですからね。JBCという組織を少しでも知っていればそんなセリフは絶対出てこないでしょうに。本当は加害者じゃないの?と疑いがある貴ノ岩のケア・配慮に同情的で、本当は被害者である比嘉に配慮・ケアが足りないぞ!と言うどころか、資格停止処分を見てよくやったなんて言っている世論の一つを見ると、ああやっぱり分かってない人って多いんだなぁという気持ちになりますね。

●比嘉を具志堅から守ろうとする配慮を含んだ処分
 見かけ上は無期限資格停止という重い処分に見えますが、今回の処分は比嘉に対する温情・救済処置が含まれた要素が
ある処分です。
 無期限停止処分も引退に揺れる元王者・比嘉大吾に異例の停止解除条項 | THE PAGE(ザ・ページ) ―また本郷氏の文章になります。比嘉がパニック状態に陥ったこと&入院。ボクシングをもう辞めると話していること。1年と期間を区切ってしまうと比嘉が無理してしまうので、健康状態を見ながら解除を決める温情措置だと指摘しています。そして本郷氏自身は比嘉への処分は最低でも1年は解けないだろうとしていますね。
 個人的には6ヶ月を過ぎて本人の体調や意志で処分は解けるんじゃないかなと思っています。JBCもうっすら具志堅がバカだというニュアンスをにおわせているので、半年だと流石に早すぎるので9ヶ月くらいで再起という感じがしますけどね。
 具志堅の異常性に気づいたJBCがとうとう直接動いて、比嘉という一選手をローカルコミッションが保護をするという英断を下した。もしJBCがこの処置を下さずに、一年後処分が解けて再起という事態になった時、この危険人物はよっぽどのことでもない限りフライ級での試合を強要したでしょうからね。JBCよくやった!と大いに褒めてやりたいところですね。
 前回論じたように、ライセンス制度の導入・指導者資格制度の導入で選手を守ることだったり、具志堅氏への追放や資格停止処分(ジム会長が選手に対して今回のようなパワハラをした場合の厳罰化&防止策も欲しいですね)。テレビ局や試合実施についての規制など全然十分なものとは言い難いですが、比嘉への配慮がある点では、今回のJBCの処分は70点くらいは与えてもいい処置ではないかと思います。どうせJBCのようなうんこ組織は、具志堅を処罰せずに、比嘉だけ処分するという凶行をやると思っていましたから。

●新ルール・階級上げ規定
 で、JBCはこういう体重超過への防止策として、階級上げ指令を盛り込むようにしたわけですね。比嘉は次からはフライ級禁止になりました。
 山中のところで書く予定だったんですが、そもそも無理やり10kgも12kgも落とすから失敗するんですよ。落とす体重量が少なければ少ないほど失敗する確率は下がりますからね。
 昔、そもそも普段から計量を義務付けて本来の体重から4~6kgまでと基準を作って過度な減量させるなと書いた覚えがありますが、そうすればいいだけなんです。それが無理だとしても、一度でも減量を失敗すれば次からはその階級ではやらせない。失敗するくらいの量を落としているから、そういうことになる。だからもうその階級での試合を禁止するというのは一番わかり易い罰則。これはいい処分だと思いましたね。
 また日頃からチェックして過度な減量をしているボクサーは健康診断などを受けさせて内臓や筋肉への負担を調べて赤信号が灯ったら禁止or強制転級させるべきでしょうね。普段のスパーなどで減量しないほうが明らかに動きが良いなら是正勧告を出すとかでも良いですね。まあ、でも興行の都合上見たいカード・面白い試合ビッグマッチというのはありますから、そのためには例外規定付き・厳重な監視のもとで結局減量しまくりでの試合が行われるんでしょうけどね。まあ少しでも無茶苦茶なケース・ルールの悪用をへらすためにいろいろ試行錯誤するしかないでしょうね。

●新基準で生まれる問題・疑問
 また、試合当日に前日より「12%以上の体重増」、または「8%以上の体重増が2回」があると、次戦で階級を上げるようにJBCが選手に命じるという新制度を導入するようですが、うーんこれはどうかなぁ?というところ。悪くはないんですけど、海外選手はどうするんでしょうか?日本の興行で日本の選手がこの規則をきっちり守ってくるのは問題ないでしょうけど、日本に来る選手はそんなこと知ったこっちゃないよという事態になりませんかね?JBCがそういう海外選手に対して要注意選手として、ネリのように追放処分にするというのならば、日本独自の新基準づくりという点でいいとは思いますが、世界基準に出来なければ日本の選手だけが不利益を被るということになりはしないでしょうか…。前日計量でその規定を守っても試合当日には結局+8kg・10kg~ということになるだけのような…?
 またそういう基準だと厳しいと日本人選手が日本を捨ててしまう危険性も考えておいたほうがいいと思いますが。まあ軽量級は心配ないですけどね。内山のようなスーパースター候補がフェザー・ライトで出てしまった時どうするのか?ちょっと不安がありますね。

●3%で中止ではなく、違反した選手の再増量禁止に、事前測定によるペナルティのほうが良いのでは?
 次に、体重超過があった場合、陣営間の合意での試合を認めてきたが、今後は前日計量で制限体重より3%以上重い場合、認めないようにすると。うーん、これはどうかな?という数字ですね。フライ級だと大体1.5キロオーバーでバンタム級だと大体1.6キロですからねぇ。件の山中ケースでは試合を認めてしまうことになる。こういう規定ではあまり意味がないと思います。むしろ体重超過の場合、そこからの増量を禁止する。減量を守ったほうが得をするように守った側より戻せる体重は-2kg=一階級分体重を少なくして試合に挑むとかそういう制度のほうがいいと思いますけどね。
 また、あまり論じられていはいないのですけど、両方とも体重を作ってこないというケースも当然考えられる。その時にどうするのか?フライ級の試合で双方ともバンタム級の体重だったらどうするか?お互い条件は変わらない、一応フェアだがそれはどうするのか?それでも試合を強制キャンセルするのか?
 1週間前・3日前に数字・基準を設けて、それをオーバーしたら、相手に不利益を与えないために守った方はリミットを500gオーバーしてもいいとか、ポイントで+1ポイント与えるとか、罰金とかそういうものの方が体重超過防止策として有効なのでは?と思いますね。

■具志堅がフライ級にこだわり続けた謎
 最後におまけとして、どうしてなんのメリットもないフライ級にこだわり続けたのか、具志堅がアホ以外に説明がつかなかったのですが、気がついたのでそんな話をして終わりたいと思います。
 具志堅が比嘉のフライ級にこだわり続けたのは、同じジムに江藤光喜*7選手が在籍しているからでしょうね。彼が一つ上のスーパーフライ級なんですね。世界を狙える選手がもうひとり具志堅ジムにいて、同じジムからもう一人世界チャンピオンを輩出できる可能性があったからなんでしょうね。「あれ?確か具志堅ジムでから、比嘉の前になんとか3兄弟の選手がチャンピオンになってなかったっけ?それで亀田と試合するとか言ってなかったっけ?」と思ったら、この江藤選手がフライでWBA暫定(JBC非公認)を取ったという話でしたね。
 で、その後江藤はスーパーフライに上げてクアドラスとのWBCタイトルに挑戦して敗れていて、そこから4連勝してもう一度返り咲きを狙っていると。そんな状況で比嘉がスーパーフライにあげてしまうと、間違いなく比嘉がタイトルを取って、残り3つのどれかを狙わなくてはいけないという非常に厳しいことになる。仮に江藤がタイトルを取れたとしたら、同じジムに同階級のチャンピオンが2人という異常事態になる。当然2人の統一戦ができないという問題が発生してくる。そういう背景があったんでしょうね。
 比嘉の体格・体重ではバンタムの方が良いんでしょうが、彼の場合身長・リーチがない。161センチと163センチの豆タンク体型。一個上のスーパーフライではロマゴンが階級の壁にあたって苦しんでいるように、比嘉もおそらくスーパーフライが限界(ちなみに比嘉を敗ったロサレスはロマゴンの遠い親戚)。比嘉のほうがロマゴンより体格・フィジカル的な強さがあるのでまあこの階級は大丈夫でしょう。更にバンタムに上げても国内での防衛戦限定でリーチのない相手を選ぶなど苦手なタイプを避ければ長くやれるかと思います。批判されるでしょうけどね。バンタムに階級上げで本来のパワーがさらに発揮!ということにでもなれば面白いんですけどね~。厳しいでしょうねぇ…。そうなってほしいんですけどね。ロマゴンの敗戦を見た具志堅は少しでもフライ級でやらせようとしたというところですかね。少しでも早くSフライにあげれば、自身の防衛記録を破ることもあり得る若さと強さなんですからそれでも理解できない暴挙ですけどね。
 それはさておき、Sフライ江藤&フライ比嘉というWチャンピオンで行きたいと欲張ったんでしょうね。比嘉をSフライにあげて、王者にしてすぐバンタムに上げて返上したタイトルを決定戦で江藤に取らせるとか出来ればそうしたんでしょうけど不可能ですからね。比嘉が絶対王者になれる階級(&バンタムでは不安要素が大きい)であるSフライで一試合して即転級は考えにくいですから。
 であることを考えると、Sフライに一つあげて返上した比嘉のタイトルを王座決定戦で江藤に取らせるでいいのでは?*8と思ったら、身長172センチのリーチ177センチか…。よくSフライで試合やってるなぁ…。手ながチャンピオン佐藤洋太と殆ど体格変わらないですね(佐藤はリーチ179センチですが)。しかし、いずれにせよこの体格でもSフライでチャンピオンになれないならおとなしく諦めて引退するかバンタムでやるしかない。こんなサイズの選手をフライ級でやらせていたっていったいどんだけ減量させていたんでしょうか…。
 明らかに体格差のあるクアドラスに4ポイント以上で判定負けならもう無理じゃないですかねぇ?比嘉が復帰する前になんとか王者になるか、そうでなければおとなしくあげる。そして比嘉がSフライでやり続けて5年位経っていよいよ返上バンタム戦線に殴り込み!というタイミングで王座決定戦で王者狙いしかないでしょうね。でも88年生まれの30歳だからそれは無理でしょうな…。もっと早いうちからバンタムでやっていれば良いんでしょうけど、いまさら体格的な優位があまりないバンタムに適応は出来ないんじゃないかなぁ?見たことないからわかりませんけど。引退前にジム移籍で最後の餞に比嘉に挑んで沖縄対決をやらせてあげたら良いんじゃないですかね?同郷対決で盛り上げれば面白い気がしますが。
 ああそうか、減量して無理やり本来の階級ではない下の階級で試合をしてるので、本来の階級でやる実力がない選手・卑怯な減量ボクサーかと思ったら、具志堅が強要している可能性もあるんですね…。フライ級なら世界戦を組むことはたやすい。が、しかしバンタムになると東南アジア以外の中南米系の選手が増えてくるので少しタイトルマッチを組むことが難しくなるという話を見かけました。もし、具志堅ジムが弱小で金もコネもない結果、バンタムで世界戦をそう簡単に組むことが出来ない結果が江藤の過度な減量であるのなら…。そして本来バンタムでこそ江藤の真の実力が発揮されるのだとしたら…。今回のルールにより江藤は多分Sフライでやり続けることは出来ないでしょう、体型的に再計量で大幅に身体を戻しているでしょうからね。今回の事件がきっかけでバンタムでの江藤の飛躍というものがあれば、また日本のジム制度の歪んだ面が暴かれるので面白いですね(江藤の写真を見たんですけど計量の後にしてもガリガリ過ぎますからね。バンタムで身体・フィジカルトレーニングを徹底して本来の実力が発揮されるパターンもあるかも)。というか、具志堅は日本人選手としては最高のボクサーと言われる一人なのに、金もコネもなくて世界戦を満足にできないような存在なのか…?
 いずれにせよジムに王者2人誕生させたい!と欲張った結果ということですね。なんでもかんでもほしがる欲張り王者のフルコースセット願望がもたらした悲劇ですね。これで今回の比嘉の体重超過事件の話はおしまい。かぶる話も多くて、編集の仕方が悪いですね。誰が読むんだって話(笑)。計画性もなくダラダラ書いてるからこのザマです(^ ^;)。

アイキャッチ用画像

 

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*2:ちなみに具志堅氏が全くプラス要素がない、メリットのないダメ人間とまでは言えないことも確かです。なんといっても最多防衛記録を持っていて、天真爛漫な天然キャラでテレビに出続けて、元ボクサーとしては抜群の知名度を誇るからです。その氏の興行となれば当然メディアに取り上げられる機会が増えて、大衆の目に触れる確率がぐっと上がりますから、そういうメリットは勿論あります。前回書いたように長嶋監督のようなものですね。采配面ではマイナス要素があっても、興行面ではそれを遥かに上回るプラス要素・人気と集客、そしてそれに伴う興行収益をもたらしてくれるという性質がありますからね。

*3:“棄権”負け比嘉は当日計量後に体調が急変。試合は中止にすべきだった?! | THE PAGE(ザ・ページ)

*4:後述する通り重くならない、停止期間が長引かない可能性も勿論あります。問題になるのは、名目とは言え無期限資格停止という処分を受けたことで傷ついた比嘉の名声・評判面ですね

*5:ボクシング比嘉の相手再計量、3キロ戻した程度で具志堅会長もホッ― スポニチ Sponichi Annex 格闘技  この記事にある通り、相手は意図的な体重超過をして最強挑戦者比嘉を卑怯な手で返り討ちにしようとしたわけではなく、減量失敗。きちんとルールを守ろうとしたわけですね。
 というか意図的なら、あとちょっとの200gオーバーなんて半端な違反はしないでしょうからね。ここまできたらむしろ200g落としてベルトを守れる道を選ばないほうが逆に不自然な数値ですからね。相当きつかったんでしょう。そういうボクサーに対して怒りをぶちまけておきながらの今回の900gオーバーですから言い逃れできないでしょう。この時点で比嘉の完成度がそれほど高くなく、相手王者のほうが強いのでは?という戦前評を見れば尚更です。今回のロサレスのように自身が得をしておきながらこの発言ですからね…。何をか言わんや。
 それはそれとして、この記事でポイントは再計量でのリミットは+4.5kgまでということになってはいるものの、これも非公式な約束で拘束力はないというもの。問題になるのはここでしょうね。ネリ・山中戦で両者が共に試合当日で+7kgしていたように、リミットを守った選手でも違反しなくてもこれくらい増やしてしまうのが現状でしょうから、違反してなおかつ大幅な体重増を認めてはいけない。こういうことを体験していたのにもかかわらず、体重超過の場合は試合を中止する・興行を中止するための手段を確保しておかなかったことはありえないわけですね。+3kgだったから目くじら立てず、「よかった×2」で済む話ではなくて、それこそ8kgも10kgも大幅に増える可能性がある。その場合に備えて対策を打っておかなくてはいけない。負けた後に卑怯だなんて言っても試合が成立した後ではもう通りませんからね。
 そういうことを具志堅氏含めて日本のジム会長は誰もやっていないのが現状でしょう。問題視する所、本質はむしろそこにあるわけです。戦う前の戦術としてルール違反・反則を許さないという基本ができていないことこそが真の問題なのです。世界のボクシングの常識は勝つためにならば多少の反則・ダーティーな行為は許される―ということになっているのですから、その常識に則った適切な対応をとらなくてはならない。とって当たり前なのです。その当たり前のことがあまりにも出来ていなさすぎるんです。

*6:日本初汚点! 計量失格「比嘉大吾」の“嘲笑”ブーメラン | デイリー新潮 もう一つ、王者戴冠をした試合の件で指摘したいことがありました。この試合で体重超過王者を倒して比嘉は王者になったわけですが、比嘉はその王者と同じ結末を迎えることになりました。比嘉大吾は悪くない!と彼を支援する話を書いてきましたが、自身も減量がキツイ立場でありながら、こういう態度・発言。これは頂けない。こういう発言はしてはいけない。試合前の舌戦・煽りとかならまだしも後日談的に話すのはダメ。かなり時間が経ってから実はあの時~とネタとして話すのならばともかく、こういう話は本人の耳に入ったら傷つく類の話題でしょう。それこそ同じ立場で全身の毛を剃ってパンツも脱いでこない比嘉が言えたものではない。今後、アンチから「比嘉は自分がバカにしたエルナンデスよりもちんこがちっちゃくて恥ずかしいからパンツすら脱がなかったんだろう」―と通り名としてアンチから「比嘉<ちんこちっちゃい>大吾」と言われてもやむをえないでしょう。
 こういう軽率な発言が出てしまうのはそもそも比嘉本人にも危機感がない証拠。彼は彼でこういう劣悪環境から如何に脱するかを考慮して策を練らなくてはならなかったわけですからね。ボクサーがボクシングだけやってればいいという恵まれた環境にないわけです、今のボクシング界では。こういう状況下でいかにして自身や他のボクサーの権利を守るかしっかり考えないといけない立場。ボクサーとしての労働環境改善を、トップボクサーとして考えないといけない立場。それこそ村田・井上などに並ぶ存在になりかねない選手なのですから、そういう面での自覚が欲しいですね、彼には。

*7:江藤光喜 - Wikipedia

*8:もしかしたら有望な若手がいて、その選手がフライ級で世界タイトル狙えるくらいまで比嘉にタイトル守らせて、その時が来たら比嘉がSフライにあげて、その選手にタイトル禅譲させたかったのかもしれませんが