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大谷翔平のMLB移籍はルール違反であるはず…。少なくともマナー違反。問われるNPBのガバナンス、いち早い野球界全体の機構・体制刷新を

 どうでもいいと言われるとどうでもいい話ですが、個人的に違和感満載で引っかかってしょうがないこの話をサクッと書いておきたいと思います。大谷翔平MLB移籍は本来ありえない異常な出来事であるという話。(おかしい、この半分くらいの分量で終わるはずだったのに、こんな量になってる…。もうサクッと書くとかありえないと思おう…_(:3 」∠ )_)。

初めに:本文の要点
 大谷が5年でポスティングはおかしいというのが今回の主旨ですが、だからといってメジャーに行くな&行かせるなということではありません。というのも普段は論ずるに値しない張本氏が「こんなことを許していては、プロ野球が衰退しますよ」と珍しくまともなことを言っていたことからもわかるように、メジャー移籍への制限・規制というのは、NPBを守るためにあるわけですね。ところがそのそもそも・前提があまりよく理解されていない・認識されていないように思えました。何故田澤ルールのようなもので罰則が存在するのか、海外FAというものがあるのかと言えば、そうしないとNPBが空洞化して衰退するリスクがあるからですね。
 ①まずNPBは今後シュリンクする。日本の人口減・少子化・競技人口低下でまずそうなっていく。②構造改革のためには球団の増加が必要となっている。③球団増=プロ選手の増加でますます選手の全体的なレベルは落ちていく。④海外枠の拡大・撤廃などで選手の質の維持を図るという対策が必然的に予想されるが、メジャーとの競争に負けるなどで上手くいかない・失敗することもありうる。⑤そうなるとNPBというものが衰退、最悪消滅することもありうる。*1
 まあ、消滅などは早々考えにくいですが、人気低迷でビジネス的に厳しくなるということは十分ありうる。日本プロ野球界においては、こんな事は言わなくても当たり前の長期的展望だと思っていたのですが、ひょっとして今プロ野球見ているプロ野球ファンたちはそういう当たり前の事をあまり認識していないのかも…?(ファイターズファンの移籍への肯定的な声や、田澤がマイナー落ちした時話題になった、田澤ルールについての否定的なコメントの数々を見てそう思いました。逆の声は殆ど見かけませんでしたからね)
 NPBには生き残り戦略、大胆な変革が必要とされている。MLBに負けるとも劣らない魅力的なプロリーグを作っていくというビジョン・戦略・経営が要求されている。MLB>>>NPBという図式のままでは、いずれ立ち行かなくなる。今はMLBに負けない独自の魅力を打ち出し戦っている最中。自由競争したら殆ど確実にNPBMLBに負ける。故にNPB・国内リーグを守るために保護規制が存在する。その大事な保護規制に今回の大谷のポスティング移籍は抵触する。ルール違反であるはず。*2
 本文では、それゆえに大谷のポスティングがいかにおかしいものかという指摘で占められていますが、言うまでもなく、MLBに行くのならNPB経由が絶対条件で、NPBをスルーすることは許されない!もしNPBをスルーした場合は、日本の野球機構プロアマ両面から永久追放すべし!という極端なことをいいたいわけではありません。NPBMLBかどちらかしか許さない。100か0か、という極端な選択を現状のプロ志望選手に押し付けたいわけではありません。あくまで今の体制ではNPBを規制によって保護しなければならない。そしてその上で成長戦略によって変革、保護が必要のない新NPBを作り上げる。結果、プロ志望選手がNPBでもMLBでもいろんなルート・キャリアプランを自由に選択出来るようにする。様々なオプションを設けることがするように改革を進めていくべきということが自論ですね。故に、オチはNPBは魅力ある球界改革と、まっとうな機構としてきちんと機能せよ!経営・ガバナンスをしっかりしろ!というオチになっております。長々書いているうちに論点が分かりづらくなってオチもいまいちよいものにならなかったので、あえて初めにまとめることにしました。そんなもので良ければ以下ご一読どうぞ。*3 


メジャー移籍で上がらないポスティング行使への批判の声    
 大谷翔平MLBエンゼルスに移籍するという話が持ち上がって、世間の耳目を集めたのは去年オフ(一体いつの話題だって話ですが、思い出したので今更書いています(^ ^;) )。この時、まるで大谷のMLB移籍は当然の出来事であり、異議を唱える人が少ないというかまるでいなかったので、この移籍について非常に疑問に思いました。*4
 疑問を呈したのは確か、広岡氏くらいだったと記憶しています(張本さんのような人物は参考に値しないので排除しています)。他にもいたかもしれませんがいちいちチェックしていませんのでその辺りはご容赦を。問題の所在は、大々的に「何考えてるんだ、それはおかしい!ルール違反だろう!!」という声が上がらなかったことなので。
 
ポスティングを利用すること自体は問題ない。問題は年数    
 MLBでプレーすることがさも当たり前、移籍することが喜ばしいことかのような姿勢・風潮自体がおかしいのですが、それはさておいて、大谷翔平がメジャーに移籍するにはポスティングしかない大谷翔平は入団以前に強いメジャー願望を抱いていて、ドラフト指名を拒否した出来事からもわかるように、いち早い渡米を望んでいた。現今制度の海外FAでは10年かかる(9シーズンプレーすることが条件となる)。これではマイナーぐらしという劣悪な環境や、怪我などによって挫折する。プロ野球選手としては再起不能・キャリア失敗というリスクを背負っても、ドラフト・プロ指名を蹴って即メジャーへという選択をする選手が出てきても不思議ではない。故に、大谷も当初この道を選択しようとしていた。
 即MLBで渡米した場合、活躍するまでのハードルが高く、失敗した時の救済もない。NPB・日本でプレーして実績を積んでからであれば、故障リスクは減り(所属先や条件云々によるが)、国内での実績・収入をバックにメジャー移籍のコストがグッと減る。万一あちらで失敗しても、またNPBでやり直せる。しかし、NPBを経ずに米に直接行くルートを選択すると、具体例がないので断言できないものの、まずそこで野球人としてのキャリアは終わる。メジャーリーグビジネスに携われない限りは、セカンドキャリアにプロ野球関係の仕事に就く道はまずない(アマチュア関係でコネがあって、そのコネで高校や大学・社会人野球に携わることは可能かもしれないが)。何れにせよ経歴に傷がつく、脛に傷持ちの存在となって野球関係の職に就くハードルがぐっと上がる。
 現今制度では日本人選手がNPBを経由せずに直接メジャーリーグでプレーしようとした場合は、一か八かの性質が非常に強い。しかし実際メジャーでプレーするまでにどんなに最短でも9シーズンかかるため、相当時間がかかるとメジャー志望の選手は捉える。故にその折衷案としてポスティングという選択肢がある。ここまではOK。ポスティングでメジャー移籍は何ら問題ない。問題は所属年数・実働。
 
5年在籍しただけでポスティングは早すぎる           
 問題になるのは大谷の所属年数。5年・5シーズンプレーしただけで、ポスティングの行使とエンゼルスに移籍をしたこと。これはどう考えてもおかしい。実際これはありえない選択・行動でしょう。所属先の日本ハムの視点から言うと、「ウチはそんなことにこだわらない。5年居てくれるだけで全然いい。十分元は取れた」ということかもしれません。それは球団・ファイターズのフロントの方針・思想上の話。その判断自体は構いませんが、ポスティング制度を5年在籍しただけで行使するというのはこれまでの前例にない。明らかに権利を与える期間として短すぎる。こんな事をして良いのか?これはルール違反ではないのか?ということがもっと大々的に問われるべき。正直、最初にその一報を聞いた時「え?大谷メジャー?なんで?まだ5年でしょ?バカじゃないの」でしたから。どう考えてもありえない暴挙でしょう。フロントと大谷本人は一体何を考えていたんでしょうか?
 どうして5年ではダメなのか?過去にこんな記事(2016パ・リーグMVP大谷選出への疑問)を書きましたが、大谷という選手は規定に達していないというか、フルシーズン働いた経験がないんですね。投手として0.7、打者として0.6働いた、足して1.3人分だからOKなんていう計算をしている人もいるかも知れませんが、少なくとも「打者大谷」・「投手大谷」としてカウントした時、普通のレギュラー選手として通年での成績を残したことがない。つまりまだ未完成の選手・プレーヤー。「二刀流大谷」という視点で見れば唯一無二のスーパースター・ビッグプレイヤーであることに異論はありませんが、問題は選手としてどれくらい一年間勝利に貢献をしたか?選手の評価・査定はそれで決まるもの。彼はワンプレー・ワンプレーでスーパープレーを見せて観客を魅了しても、一年間通じてエースと言われる中心投手・チームの一番手投手として、また主力打者として四番打者のようなチームの中心打者・顔として、チームの勝利に貢献してはいない(もちろん主力戦力の一人としてカウントされる活躍はしてきましたが、甲子園などの活躍で誰もが「名」を知る選手ではあっても、リーグを代表するほど長年活躍して実績でリーグや球団の「顔」と呼べるほどの存在ではない)。
 
実働が短いがゆえに一流選手としての数字を残していない    
 彼はまだまだ完成途上の選手。「打者大谷」・「投手大谷」としてどちらもまだまだ一流選手としては不適格。通年で数字を残して初めて一流ですから(また更に一年間素晴らしい成績でタイトルを取ったとしても、三年は安定して打撃や投手10傑に名を連ねないと一流選手とは言い難いでしょう。ぶっちぎりのすごい数字を残さなくてもプロで一流として認められる選手というのは長年安定して数字を残し続けることですからね。たまに隔年プレーヤーというのもいますけど、それでも長年やって実働でのトータルの数字で名選手として評価されることもありますし、単年では大したことなくても長くやることでトータルで数字を残して一流として認知される選手は数多いです。)。故に言わずもがなで「二刀流大谷」も全然完成していないわけです。
 過去にファイターズのフロント・球団の代表か誰かが10勝・10本で「二刀流成功したでしょ?ちゃんと書いてよ」みたいなことを言ってましたが、10勝なんて先発投手の指標としてはイニング数と防御率に比べれば優先度は落ちるものですし、10本打つ野手が毎年何人いるかと言われれば言わずもがなでしょう。そんな事をもって二刀流の成功になるわけないじゃないですか。まるで理解できない発言でした。二刀流の成功はどちらも一流の数字を残して通年プレーした時に決まっているではないですか(無論、誰もやっていないことを現代プロ野球で達成した事自体は快挙であり、素晴らしいことであり拍手喝采したいところですが、まだまだ通過点にすぎない出来事でしょう)。そういう選手として完成していない、発展途上の段階の選手がポスティングを行使してメジャーへ行くということを認めていいのか?
 
前例と比較しても十分な数字を残したとは到底言えない     
 過去、日本のスーパースターがポスティングでメジャーへ移籍した実例を見ると、イチローは9年、951試合で日本で1278本ヒットを打っています。対して大谷は5年で403試合で296本のヒット。イチローの場合は、彼自身がポスティング制度というものを作り出したパイオニア的存在ですので、指標・比較対象としては少し材料として弱い存在・事例になります。また大谷の場合HRがあるのでそこでも少し違った評価がされる存在ですし、今回の話では余り参考にならないかと思います。そのため日本の二大投手ダル・田中と比較するのが最適になるかと思います(他にも岩隈・前田などの事例がありますが、最短での行使ではないので比較対象としては除外しています)。

 ダルビッシュ   7年167登板164先発93勝1268イニング防御率1.99
 田中将大    7年175登板172先発99勝1315イニング防御率2.30
 大谷翔平   5年85登板82先発42勝543イニング防御率2.52


 比較してみると一目瞭然で分かる通り、大谷は偉大な日本人投手の先例、2ケースと比較してかなり劣った存在。NPBでスターだった、大活躍したとは言い難い存在。故に必然的に、そんな選手にポスティングを容認するというのはいかがなものか?ということになってくるわけです。大谷が打者をやっていたために登板機会が少なくなるという理由は言い訳にはならず、投手として明らかに前二者と劣っているのにもかかわらず、メジャー移籍について優遇されたことになります。果たしてこれはフェアと言えるのでしょうか?個人的には明らかにアンフェアであると考えます。後述しますが、実働で見ると大体彼は実質3年半くらいしかプレーしていないわけです。実際前二人と比べて半分くらいの数字であることが示唆するように、5年NPBでやったとはいっても、残した成績は彼らの半分程度でしかないわけです。だからこそ大谷のポスティングはおかしいと思うのです(打者として大体400試合、300安打・50本くらいの数字を残していますが、これが先発50勝、700~800イニングに相当するものかと問われれば言わずもがなですからね)。
 
ポスティング(※早期行使)とは超一流選手に与えられる特権   
 ポスティング制度というものをどう捉えるか、人によっていろいろな考え方・主張はあると思いますが、日本球界で突出した存在。そういう特別な選手に対して例外的に海外FA前にいち早いメジャー移籍権利・プレー権利を与えるものだと解しています。故にポスティング費用の分、給料も自ずと通常より割安の契約になる。そういう趣旨のものであるのに、選手が移籍を望んでいるからという理由でホイホイポスティングを容認するというのは制度のあり方と外れる・間違っているものだと考えます。勿論大谷は突出した存在であり、同じ期間プレーすれば素晴らしい数字を残すことがほぼ間違いないと見込まれる選手です。ただし、実際にプレーしてきちんと数字を残していない以上、その権利を与えるのはおかしいはずです。
 海外FAで9シーズン、ポスティングで7年というのはメジャー移籍願望が強い選手にとって条件として厳しすぎる。という論理・見方は個人的にも同意するものです。しかし、現今制度では残念ながらそういう制度になってしまっている。ポスティングにルールとしての年数規制がないとはいえ、NPBで一流選手と言える数字・実績を残していない大谷がポスティングを行使するのは許されるべきではない。大谷がいくら凄い選手とは言え、ダルビッシュ・田中の二人を大きく凌駕する程の選手ではない。二人は7年間プレーしてから所属球団を後にした。文句のつけようがない実績を持って海を渡った。この二人よりも優遇される理由がない。ハッキリ言ってズルであり、アンフェアであると思います。先輩の菊池雄星が同じ強いメジャー志望を持ちながら日本球界で未だにプレーしていることをどう思っているのでしょうか?

菊池ケースと比較すると大谷はやはりアンフェア        
 この話をすると、菊池雄星はメジャーよりもNPB入りを選択した。結局最終的には日本球界を選んだ。しかし大谷翔平は初めから指名を拒否した。日本球界よりもメジャーを選んだ。そういう違いがあると主張する人もいると思います。日本ハムファイターズに入団する以前に、本当に入団するかどうか話題になったくらいですからね。大谷は厳しいマイナーの環境・異なるアメリカという異国の地、茨の道を選択するつもりだった。そこにファイターズが横槍を入れて説得をする形だったのでケースとして異なる。そう捉える人ももちろんいるでしょう。
 確かに菊池ケースと大谷ケースはその点異なるわけです。しかし、大谷は事前に「プロ志望届」を提出しているわけです。この「プロ志望届」を提出しない以上、アマチュア選手はプロから指名を受けられない。初めから提出しなければ、そもそも日本ハムファイターズに指名をされることもなく、何の問題もなくメジャーに行くことが出来た。ではどうしてそうしなかったかと言われれば、田澤ルールと呼ばれる規定・NPB復帰に制限がかかるから。やっぱり日本に帰りたいとなったとき、3年間はプレーできないということになる。しかしプロ志望届を提出して、指名されなかったということになればこの規定の適応外となる。故に大谷はプロ志望届を出しながら、会見で各球団に指名をしないでというお願いを表明したわけです。
 以上のような経緯を見ると、ハッキリ言って虫が良すぎる。メジャーには行きたい。しかし、失敗した際のリスクも減らしておきたい・NPB復帰の道も残しておきたい。そんな虫のいい話が許されるわけがない。だったら何のための田澤ルールなのかわからない。田澤ルールがどうして設けられたかと言えば、制度の成立端緒を見れば一目瞭然。米日での年俸競争だったり、日本の人材流出を避けるため。その流出阻止の抑止力として設けられたルールなのに志望届を出して指名されなかったからセーフなんてことがあるはずがない。*5
 また、菊池雄星は現在才能が開花して素晴らしい投手として活躍をしているものの、プロでは苦しんだ。大谷はそうではない。抜群の対応力・潜在能力を見せた。スーパープレーを魅せた。ゆえに優遇されて当然という論理も当然通りません。大谷は先発として3年&打者として1年レギュラーとして十分な仕事をしただけに過ぎないのです。計4年とカウントしていいかは疑問ですが、その程度の貢献でメジャーに行けるのならば、菊池だって投手として4~5年活躍すればメジャー移籍・ポスティングしていなければおかしい。実績を考慮すれば去年のオフには行けて当然の数字だったことになる。何故自分だけ特権を享受しようと思ったのか、してもいいと思ったのか?これがわからない。
 常々、他人が得をしたからと言ってそれをズルい!卑怯だ!なんてい言ってはいけない。チートでもない他人が上手く立ち回ったり、偶然で得た利益を自分も得られて当然だーなんて考えることは歪んでいる。他人がたまたま手に出来た利益をズルいなんて妬むのは自身の努力や成長を放棄した歪んだ証と、他人を妬む愚かな行為を非難してきました。ブログで書いた覚えはあんまりありませんが。他人が気づいて得たものを自分が気づかなかったからズルいなんて言い出すのは小学生・知能が低い証です。調べない・知らない、そしてその上で気づくことが出来なかった自分が悪い。それを他者や環境のせいにするなんて愚かですし、それこそそんな発想の方が卑怯千万。
 しかし、大谷のこの行為は制度をうまく利用したとか立ち回ったという次元の範囲ではないのです。制度・慣行を考えればこれはチートに相当する行為なはずです。*6
 
渡米直近のシーズンでろくにプレーせずにポスティング…?   
 そして今回のポスティング行使ですが、5年が短すぎるということ以前にそもそも最期のシーズン・5年目にろくにプレーをしていない。怪我で殆ど一軍にいなかった。5試合先発して、65試合打者として試合に出た。つまりシーズンの半分ほどしか一軍にいなかった。主力選手としてチームにまるで貢献できない数字・シーズンだった。そんな状態でNPBから卒業してさらなるステップアップとしてメジャーにという道を選択していいのでしょうか?
 大谷の入団以前に、日本ハムファイターズは「最短5年でメジャー行きを認める。投手だけでなく打者もやらせる。二刀流を考えている」そんな報道が出てきて、二刀流プランに「流石日ハム!俺たちには出来ないことを平然とやってのける(ry」とワクワクしたものでした。しかし同時に「二刀流をやることで選手としての成長・完成が一般的な成長路線を辿ることはなくなる。投手としても打者としても普通の選手よりも大成するのに時間がかかる。必ず遅くなる。必然的に5シーズンフルで活躍する可能性は低いから、最短5年でメジャーに行くのは難しいだろうな。結局、ダルや田中と同じ7年位になるし、ポスティング制度の見直しの絡みで6年になることもあるかもしれないな」と当時思ったくらいです。*7
 実際、彼の二刀流は観ていて非常に面白く、エキサイティングなプレーヤーが出てきたなと注目していましたが、二刀流をやることで使う監督・首脳陣サイドは未知のことに取り組むことで非常に大変だったし、起用法で他の選手に割りを食わせた。負担も大きくその分怪我で離脱も頻繁にありましたしね。球団に一定の貢献もありながら、同時に通常の選手よりも起用法などで大変負担が大きかった、迷惑をかけたわけです。二刀流としての初期投資をしたのにその見返り・リターンと言える活躍・大谷無双でシーズン投打で主要タイトルを取るようなまさに二刀流の完成ということもなかった。
 今、投打を両方こなす異質な存在、唯一無二の二刀流のスーパースターとしてメジャーでその地位を築こうとしていますが、ファイターズに入団しない限り今の大谷という存在は絶対あり得なかった。「二刀流大谷」は即メジャールートでは絶対ありえなかった。その事を考えても、普通は契約上は今年で行けることになっていても、もう一年残留して球団に貢献してからメジャーに行きますとなるのが普通の感覚でしょう。
 2016年くらいの数字を残してメジャーに行くなら、疑問の余地はあるもののまだ理解できましたが、球団への貢献度がただでさえ少ないのに、怪我でろくに試合に出れなかったのだから、普通はもう一年残留してから行くと考えるはずでしょう。そうやって球団やファンに、そしてこれまでの日本球界の慣例に敬意を示してから行くべきだと思います。大谷のメジャー移籍は個人的に自分のことしか考えていないワガママに映ります*8なんのために規制があるのか?NPBという枠組みを守るためにルールが有るわけです。NPBが興行として崩壊することになったらどうなるか?これまで先人が築いてきた大切な財産が途絶えれば、最悪日本に根づいた野球という文化が消えてしまうことだってありうる。そういうことを考えれば、将来プロ野球選手として代表的な存在になる彼がこういううかつな行為に出るのは、非常に問題があると考えるわけです。形式上クリアしたから何をやっても良いなんて、憲政の常道を理解しないどこかのバカ総理じゃないんですから、ちょっと何を考えているんだろうなと彼のセンスを疑ってしまいます。
長いので分割しました。続きはこちらです→続、大谷翔平のポスティング移籍の話


アイキャッチ用画像

*1:必然の帰結のように書いていますけど、当然②の球団増加というルートを選ばない場合もあります。選ばなければそのまま衰退していくだけで結果は同じですね

*2:こんな、面白い記事があったのでリンク―米黒人の深刻な「野球離れ」、希望の光はリトルリーグ。そのMLBでも野球人気は落ちているとか、100億ドルの市場を誇りながら視聴率は低下して、30年前のワールドシリーズの視聴者4000万がいまでは半分になっているとか。視聴者の平均は53歳だとか。NFLが47歳でNBAが37歳…。若者が全然入ってきていないみたいですね…。というか全体的に若者がスポーツ中継をを楽しんでないということか?中南米など海外の黒人が参入してきても国内の黒人はバスケやアメフトに流れているようですね。日本としては米国内の黒人をターゲットにアカデミー作るくらいのことやっても面白そうなもんですけどね。アマレスとプロレスが違うみたいに、日本で硬式と軟式野球があるみたいに、いやソフトボールか、そういうアマチュア専用の野球の基礎が学べて且つ面白いミニベースボールみたいのを入り口として設けた方が良いんじゃないんですかね?日本も野球人口が急激に減っているように、施設・道具・広いスペース=グラウンドとそもそも野球はとっつきにくいスポーツですからね。というか、中流以上のスポーツとか、黒人スターの不在とか、完全に米社会構造の問題ですよね…。米の黒人選手・市場を狙うって凄い面白そうなんだけどなぁ…

*3:初めにこう書いておけばよかったのに、グダグダになりましたね…。文章構成能力が堕ちたものだなぁ…。_(´ཀ`」 ∠)_

*4:ファイターズファンはやはり異議を唱えているんだろうなと個人的に思い込んでいたのですが、ファイターズファンのまとめブログでコメント欄をチェックしたところ、違和感を抱いている人はあまりいませんでした。メジャーで頑張ってみたいな反応が多かったですね。否定的な意見でもこれじゃ「日本のプロ野球が…」という意見は見かけませんでした。何のための規制なのか理解されていないのか…。プロ野球が消滅するという危機感を抱いている人が少ないのか…

*5:誰が入れ知恵したか知りませんが、なかなか人を食ったような行為だと言えましょう。また、この事件はファイターズの強行指名で決着したためNPBは何ら見解を説明せずに終わりましたが、大谷のような選手は田澤ルールの規定にある通り、ドラフト上位候補の有望選手であり、こういう手段に出ても田澤ルールの回避とはならないと明確にしておく、会見や声明で明言しておくべきだったでしょう。

*6:まあ、チートというより、こういうある種の不正行為はする方よりもされる組織・機構側の不作為こそ問題とされるべき話というべきなんですが。この文書のメインテーマもそちらにありますしね

*7:ポスティング制度自体がメジャーで問題視されているので廃止議論が出ており、今じゃないとポスティング制度を利用できなくなるのでやむなく今年で行使を認めるというパターンですね

*8:そう言えば昔、松本人志氏が著書で才能あるやつはワガママですよと伊良部のメジャー移籍云々の騒動でコメントしていましたね。そういう点、才能を十分に発揮するためにワガママであることはいいのですが、ルール・マナーを弁えないとは一線を画す話と捉えて下さい