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別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい

工藤公康監督は名将か(2015年度工藤采配採点)

 

 パ・リーグ史上最速でリーグ優勝を達成しました。今年は異次元の強さを見せつけ、パ・リーグをいい意味でつまらなくしてくれました。日本ハムがひと踏ん張りできなかったら、おそらく9月の頭には優勝が決まってしまったでしょう。それくらい圧倒的な強さでした。

 

 優勝を決めた9/17日までの後半戦のスタート(=オールスター明け)を見ると、9月の成績は11勝3敗、8月は17勝6敗1分け、7月は7勝1敗。トータルで大体4勝1敗ペースというおかしなことになりました。

 

 例年、秋の風物詩と言われる、シーズン終番の弱さはどこへやら。これこそ工藤監督の徹底したコンディション管理のたまものでしょう。特に投手を使わずに、大事なシーズン終盤に残しておいたことが、しっかり反映された結果と言えるでしょう。

 

 強いチームというのは大事なシーズン終盤に強い。工藤さん自身、黄金時代のライオンズのように序盤はいろんな選手を使いテストをして五分で行って、最後にギアを入れて一気に突き放すというパターンを念頭に置いていたようです。それがそのまま一年目の新人監督で、プランどおりに実現させてしまうのは流石というしかないでしょう。

 

 よく、これだけ選手が揃っていれば当たり前という声を聞きますが、選手をきっちり使いこなしてこその今年の圧勝なわけです。多少間違えたら、5勝・10勝減ると明確に足し算・引き算できるものではないというのがペナントレース・監督の采配の面白いところ。選手の起用を誤って、その力を発揮させることが出来なければ、歯車が狂って、苦しいシーズンどころか、相手に勝ち星・流れを与えて自分たちがペナントを取りこぼすことも十分考えられます。故障リスクを放置して主力が欠けてしまえばそれこそチームがおかしくなるわけですからね。

 

 本多・細川・城所、守備で重要な選手が次々と欠けてしまい、守備力がガクッと落ちた結果、それで苦しんだ要素は間違いなくありましたからね。正直、細川がいれば…というのは誰もが思ったはず。細川が一年安定してマスクをかぶっていたらどれだけ勝ったんだろうと思うでしょう(まあ今年の先発の安定からして10勝以上プラスとは考えづらいですけどね)。外野の守備固めがいないために牧原・福田を起用して、それで補えたとはいえないシーズンでした。外野の守備に不安があってもそうそう投入することが出来ず、ああ城所がいればなぁ…というシーンは何回もありました。

 

 秋山采配では勝てない工藤・古田新監督を望むと書いて、①コーチ人材の不足―そういう人を連れてこれないことへの不満を書きました。現在でもヘッドコーチや打撃コーチという点で、どうなのかな?というものはありますが、一番問題であった投手コーチ・ピッチングスタッフを整備できたのでそれはクリア。

 

 ②二軍機能の活用、選手の入れ替えバリオス・摂津・鶴岡と、不調・疑問がある選手を二軍にしっかり落として調整をさせた。バリオスも摂津もタイミングが遅いのでは?と思いましたが、選手とのコミュニケーション・信頼関係を重視するため、わだかまりが残らないようにぎりぎりまで我慢したということなので、きっちり根拠があるので良い判断だと思います。これもクリア。

 

 ③捕手三人制への疑問、若手の育成―これは今年も変わりませんでした。まああやつぐが出てきたら、逆転HRというケースが有り、工藤さんとの受け答えでこれはプロのレベルとはいえないとダメ出しをされたのかもしれませんが。それにしても、スタメンマスクがなかった。これはいただけないところですね。

 

 相次ぐ怪我で、また細川がいつ故障するかわからないという状況で捕手二人体制は引けないというのは致し方ないところでしょうか。塚田だったかな?彼が捕手経験があって、万一の際に捕手できるというのがあって捕手二人体制があった気がしますが、すぐまた下にオチてしまいましたからね。他にも誰か万一の際に捕手できるという選手がほしいですね。

 

 しかしこの時期には、高谷もういらないと書いてたんですね。そういう時がありながら高谷は今の地位に上り詰めたわけで、間違いなく高谷の成長の影には監督のアドバイスがあったでしょうね。細山田を使えるようにしたこと、そして高谷を使えるようにしたこと。それを以って半々というところでしょうかね。捕手育成は優秀な捕手経験者がコーチにならないとまず無理。来年達川さんを連れてこれるかどうか次第でしょうか?

 

 拓哉・あやつぐを使わないのでダメともいえないので、ここは来年以降に判断保留にしましょうか。鶴岡を落として、高谷を使うという好判断で合格と言いたい要素もありますが。

 

 ④中継ぎ酷使、新人投手のテスト―これはもう繰り返しですが、「なんでこの場面で千賀使うんだよ!藤岡使うんだよ!え?また投げさせるのか!?」とイラッとすることがないシーズンはこれまでありませんでしたから。ホークスファンになってはじめて投手継投を安心して見ていられたシーズンになりましたからね。そういうことを十全にやっている監督なので言うまでもないですね。期待の若手もドンドン上げて使って将来のテストの場にしましたしね。

 

 ⑤エンドラン成功率、代打成功率―言うまでもないでしょうね。序盤は失敗も目立ちましたが(失敗というかその決断が裏目に出る)、後半になればなるほど恐ろしいほど選手起用がハマり、バスターやエンドランもハマりました。成功・失敗云々よりも、監督が根拠を持って策・戦術を決断する事が大事、現場のことはプロである監督しかわかりません。失敗が多くてもそれを以って叩くことはしません、その根拠がなってないのならば、おかしいぞ!とは言いますけどね。

 

 工藤さんはそれを的中させているのですから、この時点でまあ文句のつけようが無いでしょう。本当は「今のエンドランは成功したけど、今のはたまたまで本来はこうこうこういう状況なのだから、ここはこうすべきだ!」といえるような視点が己にあればいいんですけどね。そんなものはあいにく持ちあわせていません。あしからず。

 

 

 まあようするに、前監督時代に感じていた不満を工藤監督はことごとくクリアしてくれた。ちょっと△がありますけど、殆ど○がつく。今年一年を見た時点では、ぶっちぎりで優勝したという結果だけでなく、その過程・中身がほんとうに素晴らしかったといえるでしょう。

 

 個人的に、ああなるほどね、やっぱりねといえる事が多く。今日は川島なのか、ということは監督はこういうゲームプランを考えているのかな?と楽しく見れました。まあ個人的なことはどうでもいいですね。

 

 個人的な評価で名将と確定しても、世間的には違う。一年で名将と言われるならば、誰もが名将なわけで、あとはこれを長期にわたって実行し続けることでしょう。個人的にはもう名将・知将工藤公康と評価していますが、最低三年は結果を出さないといけないでしょうね。前監督の業績からすると五年で三回日本一、全部Aクラスがノルマというところでしょうか。

 

 まあ、黄金時代を感じさせる今年のシーズンから何連覇出来るのか?とwktkが止まらない感じになっていますね。

 

 名将ということは、当然鷹でのキャリアのあと違うチームで監督やってください!と声をかけられることも想定内。パ・リーグのどこかか、横浜など弱小チームの監督になるかわかりませんが、弱いチームでどうなのか?と必ず問われるでしょうね。鷹だから出来たんだ!と絶対言われるでしょうし。

 

 黄金時代の森さんも、西武だから出来て横浜では出来ませんでした。名将工藤監督が弱いチームを改革できるか?ということが早くも楽しみになりますね。まあ最低五年で、今の感じだと八年くらいやるんでしょうけど。ということで二軍にも足繁く通い、夜遅くまで選手の状態をチェックし、ビデオの編集をする工藤監督の健康状態が心配ですね。秘書二人くらいつけて、工藤さんをぐっすり寝かせる環境を作って欲しいです。

 

 ※ラストに、おまけとしてコミュニケーションを重視する監督の素晴らしいところを。ベンチで試合中、試合後によく選手と話をしている姿が映りますが、これだけでも良い上司ということがわかります。優勝インタビューで、ハキハキとアイドルのような受け答えをしていたのが印象的でしたが、注目すべきは最後のセリフ。キャプテンがよくやってくれた!CS/日本シリーズも頑張るぞ!お前に任せたぞ!信頼しているぞ!でもなく、頑張ろうという言葉をかけたこと。

 

 普通はそういう台詞になるはずですが、自分も選手と一緒に戦っているんだという姿勢、その戦う選手を徹底的にサポートするという気持ちがうかがえましたね。選手としてはなんとしても監督を胴上げしたいという気持ちになるのではないでしょうか?

 

 ノムさんダルビッシュをまっすぐでも変化球でも抑えられる「近未来型エース」という表現をしましたが、戦術の采配で勝ち、育成・選手指導をしっかりできる。またコミュニケーションをとって上司というよりも同じ選手の目線で、こうすればプレーが良くなる、長く現役を続けられるといういい兄貴分のような存在になっている。こういう監督は今までにいなかった「近未来型監督」と言っていいのではないでしょうか?

 

 工藤さんのような「近未来型監督」を球界の常識とするためにも、選手にはより一層の奮闘を図ってほしいところですね。

 

 

工藤公康著 野球の本当のこと、ぜんぶ話そう!

昔書いた工藤さんの著書のやつです。ついでに載っけときました