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2016日本シリーズ広島カープVS北海道日本ハムファイターズ 不思議な日本シリーズ<後編>何故広島東洋カープは短期決戦に弱いのか

※2018の日本シリーズのために、アクセスが増えたので要点を追記します。広島カープがなぜ短期決戦に弱いのか。
 ①セ・リーグパ・リーグの実力・地力の違い。
 ②DH制の有無によるパ本拠地、ビジター・アウェイでの弱さ。
 ③短期決戦の戦い方・セオリーを知らないor無視した戦い方をする。
 ④短期決戦を勝ち抜くための選手・脇役的な選手がいない
 ⑤監督が戦術を考えて選択をしない。戦略・戦術を決める頭脳であるはずの監督がその役割を果たしていない
 ―とまあ大体そんなことを書いているということを念頭にお読みになっていただければ宜しいかと思います*1。①は当たり前のことなので別に触れてはいませんけどね。この文は個人的に思った感想文、書きたいことをただ書き連ねただけの文でまとまり・一貫性に少し書けるものなので、本質・要点を絞って伝える文になってない。なので、今一度ポイントだけ絞ってまとめておきました。

 ※※今、読んだらあんまり上手いまとめになっていなかった、というかこの文章のまとめになっていなかったので、文章の<前書き>・<導入>を兼ねて再度追記します。
 前回書いたとおり、日本ハムファイターズというのはいくつかの点から短期決戦が苦手、弱いチームであるということがわかる。その短期決戦を不得意にしているチームに対し、広島カープはなんと球界を代表する絶対的な投手大谷を打ち崩しホームで連勝するという幸運・最高の結果を引き出したにもかかわらず、日本シリーズで敗退することになってしまった。短期決戦で連勝しながら4連敗で敗退するということは正直近代野球以後の現代ではありえない。33-4で4連敗するより難しい負け方、考えうる限り最低最悪の出来事であると言える。
 では、どうして4連敗という惨憺たる事態を招いたのか?その理由は一体何なのか?それは広島カープがファイターズのさらに下を行く短期決戦下手だから。そもそも短期決戦というもの・戦いゲームの構造を理解していないからということに尽きる。短期決戦というのは言うまでもなく彼我の戦力差によって決まるものだが、その当たり前の要素の次の要点となるのは、まず守備・守りの計算。そして相手に対する戦略・戦術プラン。つまり指揮官の事前の戦略と当日の現場・結果に対して臨機応変に戦術を繰り出す采配によって決まるもの。それが拙いというだけならばまだしも、最後の指揮官の采配という点では拙いレベルを通り越して存在していないのだから、組織が機能するわけがない。組織が機能不全に陥って機構を停止すれば惨敗をするのは火を見るより明らか。
 守備の軽視、対ファイターズ戦略・戦術プランという采配の欠如、指揮官の采配の放棄、それらがカープがファイターズの下を行った。下回った要因と言えるでしょう。(追記ここまで、以下本文)

 前回(2016日本シリーズ広島カープVS北海道日本ハムファイターズ 不思議な日本シリーズ<前編>何故日本ハムファイターズは短期決戦に弱いのか)の続きです。前回書いたように何故、菊池のバスターと丸の意表を突くバントで広島がシリーズで勝てないと言えるのか?どうしてこの素晴らしいプレーがカープの敗因になるのか?それはこれが指揮官・緒方監督の判断によるものではないからですね。
 日本ハムファイターズの敗因は、日本シリーズという短期決戦用の策がないこと。短期決戦では相手の特徴を理解し、相手の長所を殺しストロングポイントが発揮できないようにして、短所をついていくことが基本です。また、打線の処理で誰を殺すか、どのバッターに焦点を当てて集中的にアウトを重ねるのかというのがポイントになるように、打線を線にしないで分断して処理をする(=アウトを取る)、失点を最小限に抑える工夫が大事になります。そういう工夫がまるで見られないシリーズだったので残念でしたね。お互い戦術と戦術をぶつけて知恵を巡らせるという駆け引きがあまり見られませんでしたから。
 最近の野球の特徴と言っていいかも知れませんが、一試合一試合、途切れてしまっている。バラバラになっている感が強いんですよね。前の試合を活かした判断、プレー。そして次の試合につなげるための工夫・配慮というものが見られない。ある程度のスパン、特定の期間でトータルに考えて長期的視点から戦術・戦略を構築するということをしない傾向があるように思えます。その試合が終わったら、それまでの流れ・経過はポイ捨てして、また違う試合にゼロから取り組む。1カード=3試合で捕手を固定しない、捕手軽視なんかもそうですよね。明日は明日の風が吹く的な傾向が非常に強くなっていて興ざめしてしまいます。

■ファイターズ同じく短期決戦の基本・セオリーを知らないカープ。そのカープ日本シリーズで惨敗するのは当然
 話をもとに戻して、日本ハムファイターズがその基本をやっていないというのと同じく、広島東洋カープも同じ。その基本を抑えていない。日本シリーズという短期決戦用の策がない。指揮官が戦略・戦術を練って、その基本プランに応じて、状況を判断し決断する。指揮官の指示を明確にコーチ・選手に伝えて、実行するという意志決定過程がそこに存在していないのですね。組織としての明確な指揮系統が存在していない、これではチームとは呼べない。そういうチームが短期決戦で弱いのは至極当然、当たり前すぎるほど当たり前ですね。
 広島のリーグ優勝は25年ぶりだった―ということは、日本シリーズの経験が25年ないということ。ベテランも黒田や新井くらいで経験豊富で支柱となる存在がいない。新井が阪神日本シリーズで何回も活躍してチームを日本一に導いているとかでもあれば、また少し話は違ったのでしょうけど、もちろんそういうわけでもない。圧倒的に経験値が足りない。以前書いたように、広島カープが日本一になるには数回は日本シリーズに出続けて経験を積む必要がある。短期決戦の豊富な経験を積んで初めて日本シリーズに勝てるようになる。クライマックスは同じリーグ同士の対決なので違うリーグの短期決戦の経験とは別ですからね。どう見ても日本シリーズの経験値が足りない。まあ、そんな当たり前のことも理解せずに拙記事に難癖つけてきた輩がいましたが(笑)。
 ①日本シリーズ用の特別な戦術・戦略の欠如、②経験値不足、③頼りになるベテランの欠如。この三点が広島の弱点であり、ままファイターズと共通するんですね、実は。それでも両チームを比べてみると、②でも③でもファイターズの方がまだ上回っている(③は互角にしてもいいですけども)。そういう点でファイターズが上を行った・シリーズを制することが可能だったと見ることも出来るでしょう。より正確に言うと、ファイターズが上回ったと言うより、カープが下回った。勝手に自滅していったというべきですね。

■シリーズ前の懸念と二連敗後の緒方監督への評価
 チーム力というかパ・リーグで普段から揉まれているファイターズが普通に勝つだろう。しかし、シーズン終盤怪我が多発して、万全とは程遠い状態。そこで経験値不足な大谷が乱調となり、初戦を落してしまうと…。短期決戦に強いチームではないだけにファイターズがコケる可能性がある。それがちょっと怖いなぁと戦前は見ていました。ファイターズが勝ってもらわないと球界改革が進まない、セ・リーグの停滞・腐敗状態が改まらない。球界全体の構造・流れが変わらない。ですから、ここでファイターズが負けると、下手すればまた10年は球界改革が遅れる。だから、そうならないようにちゃんと取りこぼさないで上手くやってくれよ…と思って見ていたのですが、連敗で「ああやっぱりやっちゃったか…。何やってんだよファイターズ…。そしてこんなに短期決戦に弱いチームに負けやがってバカ工藤&佐藤義ィイ!」とイライラしていました。
 それとは別として、戦前から緒方評はあまり良くなかった。そんな大した監督だとは思っていなかったので、件のバスターとバントで「こんな思い切ったことをやる監督なのか…。ちゃんと作戦を実行できる監督じゃないか。こういうことをやってくる監督ならば、戦術面で広島にやられてしまう、日ハムは負けるだろうな…」と思い、半ば諦めていました。中村晃めて三戦目を見ました。

■二連敗でファイターズの敗北・カープの日本一は決まったも同然
 第三戦は、ファイターズのホームに帰る。ここで流れを変えるしかない。ココで流れを変えれば少し分からなくなる。というかもうホームで三連勝するしかファイターズに勝ち目はない。大谷はもう投げられないし、増井も頼りにならない。広島・マツダのマウンドで実力を発揮できる先発が考えにくい。クローザーだったマーティンも故障でいないため、後ろにつないでいく投手継投でも四苦八苦。将棋で言うと金2枚・銀1枚落ちくらいの感じでしょうか?状況は絶望的。これでここから日本ハムがホームで3つ取ることが出来るか?広島は789に投げる三枚が機能しているのに対し、こちらは誰が789投げるのかわからない状況。これでファイターズが勝つと見なすほうが不自然でしょう。
 さまぁ~ず三村さんがツイートして炎上していましたが、「ファイターズってこんなに弱いのか」というのはプロ野球ファンなら当然の感想でしょう。短期決戦で大事な初戦・二戦をいくら敵地だとは言え、連続して落とすことはありえない。それだけは絶対しないように闘うのが普通。負けたとしても打線を丸裸にした、これでここから1点も取られない。すべてわかった!とでも言うなら別ですが、いくら本来のチーム状態でなかったとは言え、この結果を見れば栗山監督は短期決戦に向かない監督と言えるでしょう。
 結果的にはその後、四連勝で栗山監督の想定内だったのでは?という人もいるかも知れませんが、三戦目は辛勝。9割5分負けていて、ぎりぎりなんとかひっくり返した形。いつ負けてシリーズ敗退となってもおかしくないゲーム運びでした。終始相手ペースで戦ったゲームで計算内・想定内とは到底見做すことは出来ないでしょう。

■2016のファイターズはリーグ制覇・CS突破は素晴らしくとも日本シリーズの戦い方は稚拙
 それだけ投手陣の不調が大きかった。むしろこの状態でよくパ・リーグで勝ち上がってこれたと見ることも可能ですね。その点の評価は決して落ちないですし、称賛されるべきでしょう。しかし、本来の7割位のチーム状況で万全な戦い方ができない。不利な状態で最終決戦に望むという状況にある以上、本来取らない作戦・奇策で立ち向かうべきなんですね。普通にやったら、ファイターズの7割はカープの10割を上回るわけが無いのですから*2 
 何度も言うように、ペナントのような長期の戦いと違う、短期の戦いではいつもと違う戦い方が必要になる。その短期決戦においていつものファイターズの野球をしてしまった。これが大問題なんですね。チームには基本の形があり、それを基準に闘う。しかし、いつもと違う短期決戦ではそれをベースに奇策を盛り込む・特別な戦術をその上に重ねなければいけない。割合はどうなるかは状況次第で変化するためにわかりませんけども、大体いつもの戦い方=基本・基盤が7で奇策・特別な戦い方が3という7:3位の割合ですかね。まあチームスタイルやその時のチームコンディションにその年の対戦相手などに応じて割合は可変するものでしょうけどね。
 いずれにせよ何割かはいつもと違う奇策・対策を盛り込むものなのにもかかわらず、いつもどおりのファイターズの野球をした。これは短期決戦に弱いチームだなぁとしみじみ思いましたね。あまり走らず、犠打で繋いでいく。これは手堅い王道野球です。が、しかしこの王道野球というのはこちらの戦力が確実に相手の戦力を上回っており、かつペナントレースのような単位で戦った時の話です。そういう条件を満たしてのみ効果を発揮すること。巨大戦力を保有するかつてのジャイアンツのような思想ですよね。ジャイアンツのように細かい作戦を実行できる選手が少ない・野球脳が足らない選手が多いとでも言うのならばともかく、どうしてファイターズのような球団がこういう方針を採用してしまっているのか不思議でなりませんねぇ…。

 そしてそのような稚拙な戦い方をしたファイターズに敗れてしまった広島カープはもっと大きな問題を抱えていると言えるわけですね。次はその点にスポットを当ててみたいと思います。

■シリーズ全体を決めることになった第三戦の決断欠如の緒方采配
 で、本題の緒方監督の話ですが、三戦目の古田氏のテレビ解説で元広島の前田氏に話を振って、こんなことを言っていました。古田曰く

 「カープは守備・攻撃が自由・各個人の裁量に任されていますよね。」

 一回裏のランナーがいる場面で、長打が出る場面ではないから、外野がもう少し前に出ていい。なのに外野は殆ど定位置だった。これを見て古田氏がこういう解説をしていたんですね。ハッキリ言ってこれはありえないこと。選手の自主性を重んじるという領域ではない。外野の守備位置をその選手に任せるなんてありえない。その打者の調子・投手の調子を把握して配球を考えているキャッチャーが指示を出すというのならまだしも、大事な短期決戦で外野手各個人がそれぞれ位置を自分自身で決めるなんてありえない。指揮官の判断もしくはコーチが指示を出して決めるべきことでしょう。
 そしてこの試合・第三戦目は延長でファイターズが制しましたが、そのサヨナラの場面は次のようなものでした。延長10回裏、西川が走って2塁へ。西川が還ればサヨナラ、外野は前進するはず。丸がコーチの指示を確認して定位置よりも少し前に来たくらいであまり位置を変えなかった。それを見て、古田は―ということは歩かせるんでしょうねと、語る。しかしバッテリーはゾーンで勝負して、石原がマウンドへ確認しに行く。大瀬良は勝負するんですか(もしくは勝負しないんですか)?という顔付きで石原やベンチを見ていた。そういうどっちなんだ?と誰もが思う中で、「ベンチの指示がバッテリーに任せるというのならバッテリーが考えることだが…」と古田氏が解説していた所で結局、勝負を選んで大谷がヒットを打ちサヨナラとなりました。勝負に至る過程で明らかにベンチと選手の意思疎通が取れていない・上手く図れていない。これではピンチにおいて、危機管理が出来る・臨機応変の対処ができると考える事はできないでしょう。いくつかのケースを想定しておいて、すぐ指示が出せるようになっていなければ選手が目先の勝負に集中することは出来ませんからね。
 そして、この決断の根拠が結局よくわからない。個人的に理解が出来ないんですよね。大谷>中田と決めていたなら最後まで中田勝負で敬遠すべき。投手ジャクソンと大瀬良の違いなのか?ジャクソンならともかく、大瀬良ならば大谷のほうが抑えやすいという判断・根拠があったというのか?また中田の次の岡を見れば岡勝負というのも十分にある。ジャクソンが岡を簡単に打ち取っていたのだし、岡勝負でいい。最悪大谷・中田二人敬遠して、岡と勝負ではないのか?打線単位で考えて処理をすることを考えれば後者でしょう。大谷・中田二人からアウトを取ることと、岡とどちらが怖いのか、どちらがアウトを取れる可能性が高いのか言うまでもないでしょう。1点でゲームが決まる場面でなぜ警戒していた大谷と勝負なのか理解できません。大谷・中田にはくさい所を突き続けて駄目なら駄目でいい。結果的に歩かせて満塁にしてしまってもいい。1点勝負でどのバッターからアウトを取るのがベストなのかを考えると大谷・中田はカウント次第で勝負すべき。1アウト満塁でもう歩かせられない場面になったとしても、岡で2つアウトを取る(無論、三振でアウト1つ止まりならその次のバッターとさらに勝負)という選択でよかったでしょう。トータル3人でアウトを取るという視点が何故なかったのか?今日負けるとしても、主軸・クリーンナップの大谷・中田に打たれて負けるのと、伏兵岡どちらに打たれて負けるのがシリーズ的にいいのか、本当にちゃんとした計算があったのでしょうか?それがあって、大谷・中田勝負のほうが抑える確率が高いというのだったなら良いのですが…。どうもそういう物があったように思えないんですよね。ベンチのドタバタを見る限り、思い切っていけ!位の感覚しかなかったように見えました。

■シリーズ敗退を決定づけた外野守備軽視
 10/25の第三戦は本当に不思議な日本シリーズを象徴する試合でしたね。また、その前の8回の勝負所。カープが1点リードで8回を迎えた所、大谷敬遠で中田勝負、レフトの松山がボールを後ろにそらしてしまって同点どころか逆転を招いてしまったのも言うまでもなく疑問。何故そこで外野を松山から赤松に変えておかなかったのか?守りきる・逃げ切る展開で次の回松山に打順が回るなどと欲張るべきではない。初めから中田に打たれる前提でいたのか?守備固めをしなかったというのは、同点のリスクが高いということ。もしくは同点延長で十分こちらに勝算があるということ。最悪同点でもOKだと判断したということ。であるならば、外野に飛ぶ際どい打球は無理するなという指示を出しておかなくてはいけない。後ろに逸らすということだけはするなよという指示を出さなくてはいけない。それを怠った。指揮官が判断・決断を放棄した。これで広島カープのシリーズ敗北が決まったと言っていい場面でしたね。
 どういう考えを持ってああいう形にしたのかはともかく、いずれにせよカープの弱点外野守備がここで出たわけですね。どこで書いたか忘れましたが、カープがホークスにむちゃくちゃ弱い・天敵状態になっているのは、走られ放題であることに加えて、外野守備が拙い。広島カープというかセ・リーグ全体の傾向ですが、外野が狭い分、ヤフオクドームや札幌ドームの広い外野で致命的なミスをしたり、守備範囲が狭い外野手をおいて捕れそうな当たりもヒットにしてしまうという傾向がありました*3。一点を競ったクロスゲームで終盤エルドレッドだったか忘れましたが、外野の何でも無い当たりを捕れずに大事な一点をホークスに取られて敗戦という試合があったのを覚えていますからね。外野守備のレベルの差というのも交流戦パ・リーグが圧倒する理由の一つになってるわけですね。長年自チームの課題を克服できずにいる、対策を打ってないことも広島カープの問題点でしょう。

■短期決戦用のチーム作りを怠ったまま日本シリーズに挑んだカープが敗北するのは必定
 1点が大事な終盤で外野の守備固めを怠る。外野の守備固めをすると、得点力が落ちるのが怖くて代えられない。そういうチーム作りをしていたことが本質とは言えないまでも、カープの敗戦の要因の一つと言えるでしょう。レギュラーに素晴らしい選手が揃った、主力がリーグを代表する選手だらけになったとは言え、選手層が厚いとは決して言えない。であるならば、脇役でそれぞれ役割をこなせる選手を育てる・トレードなどで獲得しておくべきだった。
 たとえば守備固め代走要員に左右の代打の切り札。選手を交代した時の控えもしくはアクシデントのときのためのユーティリティープレーヤーなどですね。そういう役割をこなせる選手を普段から求めて試合で使うようにしておくべきだった。こういう選手がいない以上、短期決戦を考えたチーム作りがなされていないとしか思えない。短期決戦・日本シリーズを戦うつもりがなかった・勝つつもりがなかったとしか思えない。各戦局で重要になる役割に応じた選手がいない。これでどうやって日本シリーズを闘うつもりだったのか逆に聞いてみたいくらいですね。「いったいどういうつもりなのですか?これで短期決戦どうやって勝つつもりなのですか」と。現代野球のセオリー無視という要素は決して見過ごすことができないでしょうね。

■指揮系統・意志決定が存在しない広島カープ
 後でわかったことですが、広島カープはこのように選手が判断する領域が多すぎる。菊池のバスターも丸のバントも、実は緒方監督の判断・策ではなく選手自身のアイデア・思いつきだったとか。短期決戦の重要な場面での判断を選手に任せるということは、自分自身は何も考えていないと言うのに等しい。監督が選手の意見を聞きいれないとかそういう類の話ではなく、基本的にプレー・作戦の判断は監督・コーチの仕事。いくつか状況に応じて選択権を与える。この場合はこうして、違う場合はああするという指示を出して、最終的にどれを選ぶか選手が決めるということももちろんあります。しかしそういう場面ではない。大事な場面では絶対監督・コーチが明確な指示を出さなくてはいけない。流石「行けたら行け」というあやふやな指示を出す監督を輩出したチームだと思いました。
 戦略プラン上、ここは少しおかしな指示でも長期的判断に基づいてセオリーから外れる選択をするというのは監督にしかできない仕事。選手は指示がおかしいと思っても長期的な判断・作戦立案をすることはできないし、わからない。ですから言われたことをただ実行するしかない*4。目先のプレー・仕事に専念することが選手の役割だからです。選手が各自勝手に判断して行動していたら、組織は機能しない。チームは破綻します。
 監督が作戦立案・采配を放棄している。これでは監督が存在していないのと一緒。ベンチにFAXが送られて来て、その指示どおりに采配が決まるのと一緒ですね。これで勝てという方がおかしい。いったいどういうつもりで采配しているのか。またどういうつもりでフロントは彼を監督にしたのか。地元メディアは荒れに荒れてフロントを叩くレベルでしょう。ちょっと近代組織の常識からは考えられない人事ですね。

 要点は語り尽くしたので、もう殆ど重要なことで語り残したことはないのですけど、プロ野球ニュースメモや古田さん解説でメモったことがあるので、それにチラホラ触れて終わりたいと思います。中途半端な長さになるのでおまけとして別枠で日本シリーズの感想を残しておきます。おまけも意外に長くなりそうなので、ちょっとバランスがおかしくなったら、またこちらにいくつか追記します。おまけ編→2016日本シリーズ広島カープVS北海道日本ハムファイターズ 不思議な日本シリーズのおまけ

アイキャッチ用画像

*1:守備軽視とか入れても良いんですけどね、それはまあいずれ書く2018の日本シリーズのところで書きましょうかね?いつ書くのか知らんけど

*2:セ・リーグ見ていないので、その時のカープの状態が10割か9割か断定できないんですけどね、実は7割だった!!ということもあり得るかもしれませんけど、まあ多分9割以上の状態だったと思います。

*3:ヤフオクドームはテラスができてからは狭くなりましたけどね

*4:無論、事前に監督・トップがこれこれこういうことでプランを立てているから、おかしいと感じるかもしれないが実行してくれと事前に説明することはありますけどね