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2016日本シリーズ広島カープVS北海道日本ハムファイターズ 不思議な日本シリーズのおまけ

 

 ―のおまけの感想などです。まずは三戦目の古田解説のあまりから。メモったので一応残しておこうかなと。2回表、黒田は大体狙ったところにボールが行っている。有原は行っていない。鈴木に対して外の球が甘く高く入ってヒット。エルドレッドはまとめ打ちするタイプ。オールスターまでに20~30本HR打ったと思ったらピタッと止まる。打つ・打たないが時期によって波がある。今打っている時・ノッている時かもしれない。要注意と言った所でHR。
 この試合の大野のリードは、左打者のインコース・右打者のアウトコースを軸に組み立てていました。初回は左が二人だったから積極的にインコースを攻める形になっていたが、二回は右打者が続いて全てアウトコース。9・10球全てアウトコース攻めになってしまった。右打者のインコース攻めがないというのが非常に気になるリードでしたね。
 で、古田解説に戻って、打たれだすときというのはバッテリーが後手を踏む。これまでの外のストレート・高めの釣り球をHRにした。なので今回はもうまっすぐで来ないだろと思っていたはず。ファール2球もタイミングが合っていたと。ということは、それを見て配球を変えなければいけなかった。どういう選択をするべきだったのか聞いてみたいですね。
 西川か中島かちょっと忘れましたけど、粘ってファーボールで繋いだ場面で、稲葉さんが「昔スリーツーは消極的に行けということを古田さんが言っていて、まさにその通りの結果」。それを受けて古田さんが「俺、そんなこと言ったっけ?」と応えていたのが面白かったですね(笑)。
 またプロ野球ニュースで笘篠さんのコメント。ハム側の不思議な攻め方。積極的な打者安部に初球簡単にストライクを取りに行った。これまでも初球には必ず手を出している傾向があるのになんで簡単にストライクを取りに行ったのかな?とのこと。ファイターズは投手の状況・投手が投げやすいということを中心に置きすぎという気がしましたね。

■第四戦in札幌ドーム 3-1 高梨VS岡田
 この試合は古田さんが解説ではなかったのでそんなに書くことありません。四戦目、外野の守備力が命運を分けたという話をしておきながら、外野守備に定評があるファイターズのエラー。この試合の広島の先制点はエルドレッドのライトフライを近藤がエラーによるものでした。なんでセンターが捕球しなかったんでしょうか?セカンドが深く追いすぎて迷ったところに近藤が突進してきて遠慮した?2アウトなのでランナー1塁なのに、生還されてしまった。タッチアップ警戒とか、足の早いランナーが2塁にいて、外野に飛んだ場合肩の強いライトが優先的にケアするという場面でもないですし…。そもそも1塁にいるランナーは新井でしたからねぇ…。というか近藤の肩はそもそもどうだったか、地肩はともかくイップスであんまり正確に送球できなかったような?
 というかそもそもこの場面、ここまでノーヒットで抑えられていた高梨相手に、丸が先頭ファーボールで出塁。で4番の新井の場面で1B2Sのカウントで盗塁失敗なんですよね。この場面で普通走るかなぁ?まともにやっていたら高梨は攻略できないという判断…?そりゃツラゲという固有名詞が発生するくらい、ゲッツー打つことで有名な人ですけど。ファールが一塁線切れるゴロでそれを見て引っ掛けてゲッツーがありそうというのもわかるんですけどね。で、結局ノーアウトランナー1塁という形が、ランナーを全く進めることが出来ない。ランナーが釘付けで1塁ままで終わるという最悪の場面だったんですよね。そのカープ側の拙攻を近藤がエラーで助けるという何だこのシリーズ…という展開でした。
レフト松山でレフト方向に狙おうという意識がファイターズ打線にあったかも?たまたまかな。

 10/26、この試合のプロ野球ニュースの気になったメモ。エルドレッドは145キロ以上のインハイ攻めで、低めに早く変化する球で打ち取るというのがセオリー。5回の満塁の場面、4番新井に外中心の攻め方、右打ちを意識していた新井はアウトローに構えていたのがインハイに来て中途半端なスイングになって討ち取られた。対照的に中田はスライダーに狙いを絞ってHR。新聞のインタビューには石原のリードにやられたという話があったが、達川曰く、石原のリードに慣れてきたのではないかとのこと。
 ジャクソンVSレアード。レアードの攻め方で達川解説。レアードのような外国人は真っ直ぐを待ちながらスライダーを打つタイミングのとり方を子供の頃から練習する。ストライクゾーンに入ってくるスライダーは危険。初球外のスライダーの厳しい良い球で、それをマークさせて次はアウトローのいいところ。レアードはいいスライダーを見せられてまっすぐは殆ど捨てていた。そこへアウトローでここまでは完璧。なのにHRを打たれたスライダーは甘いところへ入ったと。

■石原のリードへの感想
 キャッチャーはボールゾーンに投げさせたかったんでしょうね。しかしボール球を投げるという概念がない外国人投手にあの中途半端な所で構えてボール球だという意図が伝わっていたのでしょうか?このシリーズでキャッチャーがボール球を投げるんだぞ!ストライクいらないよ!という姿勢、歩かせても次の打者で勝負。トータルでアウトを三つ取るから歩かせてもいいとボール球という素材を惜しげもなくふんだんに使って豪華な料理をつくるという姿勢がまるで見られませんでしたね。そういう駆け引きが見どころなのに、そういうものがまるでなくて面白くなかったですね。
 それと気になったのが石原のリードで、彼のリードが良かったと言われることが何回かあったのですけど、それっておそらくジャクソンのリードだと思うのですね。良い投手・持ち球が豊富な投手を好リードしても、それはシリーズ全体の話ではないと思います。そのジャクソンの球を活かして次の試合につなげる、次の中継ぎ投手につなげるという展開があったのかと言われると、なかったように思えます。石原のリードに慣れられたというのも、パターンが決まってたんじゃないですかね?序盤はツーシーム・カットで、中盤でカーブ・チェンジアップ、ランナー溜まったら右バッターのインハイにカットというのが5戦目のパターンでしたけど、おそらく1戦目もこの組み立てとあまり変わらなかったのではないでしょうか?ランナー溜まった場面でファイターズ打線はインコースツーシーム・カットを狙っていましたからね。それと左ピッチャーといえば芯を外してのゴロ、引っ掛けさせてゲッツーを取る。ゲッツーを簡単に取れるからイニングを食える、ゲームを作れるというイメージがありますが、ゲッツーが非常に少なかったですよね。パワーピッチャー系だからということなんでしょうかねぇ?
 短期決戦というのは指揮官同士の対決であると同時に、キャッチャー同士の対決でもあります。石原VS大野・市川であまり目立ったところのないシリーズでしたが、どちらかが明確に上回ったとは言えないシリーズ。キャッチャー軽視どうし、課題の残るシリーズになりましたね。
 ファイターズはもう前からなので特に触れることはありませんが、問題は広島カープの方。中村奨成くんが入りましたけど、伝統的にキャッチャーが育たない球団ですからね。広島のキャッチャーと聞いてパッと思いつくのは達川さんしか居ない。そういう球団がキャッチャーを育てられるかと言われるとまず無理でしょうね。

■セパ格差、パ・リーグの壁を想定したチーム作りをすべし&試合ごとに悪くなった広島のリリーフと良くなっていった日ハムのリリーフ
 前回書いたようにポイントになったジャクソンのデッドボール。一度レアードにぶつけているために際どいところへ投げられなかったんですね。パワーピッチャーでまっすぐと外スラのみ。あそこでインコースをつけなければ、まあそうなるでしょうねという所。カープは大事な終盤にボコボコ打たれて同点・逆転されていた。そういうところを見てもキャッチャーの配球に問題がないとは言えないでしょうねエルドレッドもそうなんですが、ジャクソンの球速ではセ・リーグで通じてもパ・リーグでは通用しないという良い見本だったように思えます。マウンドが合わなかったのかも知れませんが、出ていた球速・最速は150や151でしたが、140後半の球が多かった。サファテの160キロなど速い投手がゴロゴロいるパ・リーグでは初見でも対応するのに難しいと感じさせなかったように思えましたね。

 8回表鈴木のサイン見落としからバントミス。さらに盗塁で代走赤松が刺されるというドタバタ・拙攻。なんか解説で去年西武コーチの人がいるから中継ぎのクイックなどのフォームの癖も知っている。札幌ドームのグラウンドは、ナゴドかどこかに似ていて走りやすいなんていうコメントが途中アナから上がってきた途端のこれですからね。うーん、というところ。
 6回からリリーフで出てきたバースの素晴らしいカットボール日本ハムは試合が経つに連れ素晴らしいリリーフが出てきた。リリーフの状態が上がっていった。この後に投げた宮西然り、どんどん内容が良くなっていった。宮西は最後に左にはスライダーでいく。自分の一番自信のあるボールで行くと、もう前から決めていたみたいですね。それで丸を討ち取ったと。対照的に広島はリリーフがどんどん悪くなっていった。その差でしょうね。この試合最終回、満塁まで持っていった広島カープの粘りは称賛すべきものでしたね。

■第五戦 加藤VSジョンソン 5☓-1
 三戦と五戦目は古田さん解説なので面白かったですね。細かく書くのはこれで最後ですね。
 一回表、鈴木誠也はスリーボール・ノーストライクでも振ってくる。要注意→振ってファール、その次の球でタイムリーヒット。若手らしからぬ待ち方をすると。
 ファイターズは前回ジョンソン相手にレアードのHRくらいでヒットは出てもいい当たりはあんまりなかった。前回やられた分、ファイターズは攻略の小細工をいろいろ考えてきているはず。加藤は腕のフリの割にボールが来ない。杉内のように腕のフリとボールの速さが一致しないピッチャーは打ちづらい。真っ直ぐでファールが取れるからコントロール、いっぱいいっぱいの所を狙わずにファールでカウントを稼ぐくらいのつもりで―と言ったそばから、チェンジアップが甘く高く入ってヒットと。まっすぐにタイミングがあっていなかった&追い込んでもいなかったのにどうしてチェンジアップを選択したのだろうか?
 同じく2表、ノーアウト2・3塁でショートゴロで3塁ランナーは突っ込まず。ピッチャーゴロのように見えた当たりだが、ピッチャーゴロでもランダウンで同じ2・3塁の形が作れる。ベンチの指示でピッチャーゴロの当たりは突っ込むなという指示だったかもとのことでしたが、これもおそらくカープベンチは明確な指示を出していなかったんでしょうね…。
 田中恒成に対して、まっすぐ8球インコースのきわどいところがボールで最後の勝負球がチェンジアップ。これでチェンジアップなら振るだろうと思えたが、選んだ。初めからカットで繋ぐつもりだったのか、よく繋いだ。とても素晴らしいプレーに映りました。で、継投策で代わったメンドーサが丸を三振と。
 2裏、前回苦労したカットボールが少し甘く入ったのを中田がレフト前ヒット。レアードはジョンソンとアメリカ時代に対戦経験がある。レアードの膝下にストライクが決まるのが大事。ココでストライクが取れて、しかも曲げられることでバッターは迷う。インハイが投げきれずに同じようにレフト前ヒット。
 稲葉曰く、左打者は追い込まれるまで、インコースのツーシム&外のカットボールのどっちかに絞るべき。西川が外のカットボールをレフトフライにしている。この球だと犠牲フライの可能性がある。故に外のカットボールは投げてこない場面。よって田中賢介にはインコースのツーシムの連投でファーストゴロと。賢介も外に打ち上げにくいこの球で勝負と分かっていたはず。分かっていてもこの結果、いいピッチャーですな。こういう球が投げられるからこそ沢村賞ということでしょうね。ふと思いましたが左右の違いはあれど黒田とタイプが似ていますね。メジャー流の動かす球使いという点で。そういう意味でもこの第五戦で慣れという要素があったんでしょうか?
 ラストバッター市川、中田・レアードが打ったのと同じような球。それが三遊間ではなくセンター前に飛んだ。田中は中田・レアードの当たり同じく、三遊間をケアしていたのに逆方向の打球を上手く取った。ファインプレーだと。田中の送球がそれたのをエルドレッドがうまくカバー。二重の好守備でしたね。しかし右打者に3回インハイを投げきれなかった。投げきれるわけでもないのに危険なところに要求し続けた石原のリードはどうなのでしょう?これはいいのでしょうか…?全部ゴロ性になったように、あのボールがフライとして上がるリスクがないということなんでしょうかね?ジョンソンのカットはまず上がっていかないということだから、この選択でいいということなのでしょうか?
 2塁ベース付近の当たり、人工芝かアンツーカーでツーバウンド目の跳ね方が違う。ホームグラウンドは有利。
 3裏、中島セーフティーの構え・ゆさぶり。岡のインコースの見逃し方ぶつかりそうな当たりでクルッと回る見逃し方はインコースに強いタイプの見逃し方なのかな?四戦目でもこの巧い見逃し方をやっていたんですよね、岡。ジョンソンは右バッターに対するインコースのカットが生命線。ストロングポイントを逆に狙い撃って投げにくくさせる。マイナス思考に入るとじゃあ外へ。そして逆にその外が狙われたら…となっていくと。相手投手の攻略法の一つに相手の最もいい球を逆に狙ってそれを投げにくくさせるというものがあるということですね。
 で、岡が選んで繋いで西川へ。西川もセーフティと打線で攻略しようという意志が感じられると。西川はジョンソンに対し、ゆるい球・遅い球にタイミングを合わせながら、速い球に対応しようとする。速い球に対応しようとするとファールがもっと前に飛ぶはず。インコースツーシームをバットの根っこにでも当ててカット・ファールに出来るから外のゆるい球が見逃せる。とにかく当てて転がしてなんとかしようという狙い。初戦の3塁への内野安打・ボテボテの当たりもそういう意図から生まれたもの。で、菊池の守備でセカンドゴロになるもののランナーを3塁に進めた。
 4表、メンドーサの好投。ツーシームばっかり、特に右バッターのインサイド右打者は打ちづらい。角度があって140キロ後半で沈んでくる。広島は左投手の加藤用に右打者を並べているから尚更。古田さんは狙ってやったわけじゃないんだろうけどとコメントしていましたが、CSでやっているので確実に計算内ですよね。吉井コーチの計算通り、手のひらの上でコロコロされていますね。
 4裏、カーブ・チェンジアップ、ゆるい球を使い出す。全て変化球で最後に頭にないインローまっすぐでレアードを見逃し三振。打者の頭にない裏を書く石原のリード。右打者へのカットで勝負する場面が多い。逆に言うとランナーのいない場面ではカーブ・スライダーなどで勝負して、その球を効果的に使うためにランナーがいない場面ではあまり使いたくないとのこと。
 5表、メンドーサの膝下に来るボールの角度から言ってバットの下で打ってしまう。初見で対処するのは難しい。ベンチはゴロを打たせないような指示・対策をしないといけない。石原が裏を書いたように、菊池へのインコース攻めで意識付けをさせて外で三振。丸にカーブを見せて外への甘いスライダーを打ち損じからのまたカーブでの見逃し三振。市川の好リード。
 5裏、外の球を合わせてレフト前ヒット。そして市川の送りバントからの中島の三遊間の当たりで暴走・三塁憤死。前日の近藤のエラーのように、このようにハムにもまずいプレーはチラホラあったわけですね。しかし結果はファイターズの勝利という…。
 6表、その前からも使っていたとは思うが、印象に残るツーシーム以外にチェンジアップが冴えたという印象。チェンジアップも決まりだして最後までメンドーサで行けるんじゃないかと思わせる快投。
 6裏、左に対して外主体で攻めるようになってきたかな?どうだったか。前回は粘った西川も今回は普通に凡退。序盤内に投げて意識させて回が進むごとに外を使い、広く使おうということかな。全く肩が開かない大谷のバッティングでツーベース。中田に対して、ツーシームインコースではなくまっすぐの連投。まっすぐとツーシームの使い分けが効果的ということなのかな?待っていなかったカーブで勝負。裏を書かれて見逃すところだが甘く入ってきたのでつい手を出してしまったと。

■勝負を分けた継投策
 ここでジョンソンは95球。まだまだ行ける球数だがベンチは動き出した。ここで代えるのか?7表、小窪にストレートのファーボール。送って石原、進塁打で3塁の形を作るも無駄に。
 7裏、ピッチャー今村に交代で先頭賢介に四球。また送って中島が三遊間にという展開。今度は三塁に進む。浅いセンターフライで賢介が生還同点。カープはダメで、ファイターズは虎の子の1点をもぎ取った。両チームの実力の差を見せつける決定的な場面でしたね。
 確かに前回も7回でジョンソンは捕まったというか、打たれだした。100球が一つの目処になる投手なんでしょう。そういう要素を考慮したというのは十分わかります。しかし789の8回を任されているジャクソンが二試合連続で打たれている。少なくとももう札幌ドームで投げさせられない。投げれば3連投という悪条件も付きますからね。そう考えると7回まで引っ張る。出来るだけ引っ張って、ヘーゲンスか大瀬良なんか挟んで今村と繋いで最後は中崎。ファイターズがマツダに合わなかったように、どうもカープサイドも札幌ドームに合わないという傾向がある以上、今投げているジョンソンに託す。同点覚悟で出来るだけ引っ張って、延長を視野に中継ぎは温存すべき所。そういう場面で789の3枚を通常通り投入するという継投は大問題でしょうね。

 どういう決断を下すにせよ、大事なシリーズ・短期決戦でその都度その都度、調子を見極めつつ状態のいい選手から使っていくという短期決戦のセオリーを無視したことには違いありませんね。継投のやりくりというのはどの監督・コーチでも頭を悩ませる問題ですが、決まり決まった789回のパターンに固執する。JFKで毎回投げさせる投手が同じということをやるのは愚か極まりない判断・決断でしょう。パワプロのCPUじゃないんですから、毎回同じことやっていれば良いのならば監督なんて必要ないでしょうに。監督個人の意志・裁量が極力反映されない決断をする≒責任逃れですね。そういう官僚の前例踏襲主義のような決定をする人間を監督にする組織というのはろくな組織ではないでしょう。谷元・宮西・バースをその日の状況に応じて使い分けた。クローザーをその日ごとに柔軟に使い分け、見事に結果を出した吉井コーチと極めて対蹠的でしたね。

■追いつかれた時点で負け確定。ラストはまさかのサヨナラ負け、しかもクローザーが満塁弾被弾
 第四戦でのジャクソンのスライダー・ウイニングショットを狙って打ったレアードはキャッチャーとして非常に嫌なタイプと。大谷との対決で、ジャクソンはパワーピッチャー。速球・ファールでカウントを稼いでスライダーで勝負をするタイプ。追い込んで外に落したいがそういう球を持ってない。インコースか膝下にスライダーを投げるしかない。
 最後は札幌ドーム初登板の中崎が西川に満塁弾を打たれて前田さんが「ホームランはないだろー」と叫んでジエンド。賢介にファーボールを出してからなのですが、左打者相手に制球が良くなかった。急に悪くなっていました。まあ、正確にはその前の陽に対するインコースの勝負球が甘く入ってレフトフライというところからですが。で歩かせてからバント&ヒットで岡へのデッドボールなのですけども、問題のデッドボールの前のバントとヒットはピッチャー前の当たりで、中崎が処理をしたんですよね。それで慣れないマウンドから降りる時に足でも痛めたのか、内野安打を自分のフィールディングのミスと捉えたために動揺でもしたのでしょうか?更に続く左バッター岡にデッドボールとなりました。岡が怒ったのはそれまでも執拗に危ないところに行っていたからですね、ぶつかってはいませんでしたけど。避けられるところなともかく絶対に避けられないところに行きましたからね、思わず怒鳴ってしまったんでしょう。で、さらに制球のつかない左打者が出てきた時点で勝負は既についていたというところでしょうね。
 また、バントの後で一度投手コーチがマウンドに行っていたので、そこで間を取ることが出来なかった。両軍ベンチ騒然という緊張の場面で、中崎を落ち着けるために間を開けることが出来なかった。あそこで石原が一度マウンドに行ってほしかったですね。もしくはファーストかサードがマウンドに行って肩を抱いてアドバイス・声掛けで間を開ける。一呼吸間をとってほしかった。ファーストがエルドレッドサードが小窪。どちらかにベテラン新井がいて、そういう事が出来れば…。歳を考えれば守備はもうキツイから無理でしょうけどね。
 
 で、10・27のプロ野球ニュース解説。大矢いわく、レアードはちょっとスピードの落ちるアウトコースよりにツボがある。そして高く浮く甘い球。大野とは違って市川はインサイドの速い球を上手く使う。高木いわくファイターズは大谷・中田・レアードがしっかりしている。が、カープエルドレッドしかいない。そしてエルドレッドの攻め方、インハイにきっちりいくようになった。ファイターズは本当に攻め方を知らなかったのか?インハイを付けきれなかったのか気になる所。4番にエルドレッドだが、穴が大きいエルドレッドを4番に置くか?という高木の疑問に、大矢は「僕は置かない」とのこと。まあ、そういう意味では4番の差なんでしょうね。4番を打てる中田にレアードが控えているファイターズと1~3番はタナキクマルと揃っていても4・5番がいないカープの差と言えるでしょうね。
 ジョンソンのインサイドの使い方、石原のリードが上手かった。高木曰く、7回の犠牲フライで賢介の生還。肩の強いライト・鈴木誠也が取ったほうが良かった。ライトに任せてほしかった。ホークス柳田のように強引に奪い取っても良かったのでは?と。
 エルドレッドがそれたボールを倒れ込みながら捕球しましたが、守備上手いんですね。ファーストの捕球能力は内野の守備力に直結するといいますが、こんなところも広島がリーグ制覇できた要因なのかもしれませんね。

■第六戦 inマツダスタジアム 野村VS増井 4-10
 まあ、もう言うこともないのでラストの締めに入るのですが、間違いなくこの試合でファイターズが勝って終わるだろうなという展開になりました。広島サイドは、内弁慶シリーズになることを願って闘うしかなかったでしょう。言うまでもなくそんな都合のいいことは起こらないし、甘い考えが通じるはずもないわけで。
 カープはこのシリーズ一貫して優位な展開で進めていた。広島ペースの試合運びをしていました。殆どすべてカープ先制で、第三戦で先制を許してもすぐに点を取り返してカープリードの展開にもっていった。このシリーズを見ていない人に全ての試合の6・7回までを見せて、どっちが勝ったと思うか尋ねれば、どう答えるか?そしてカープは7・8・9の三枚が機能していて、ファイターズの三枚が機能していないことを付け加えれば、カープ日本シリーズを制したと10人中10人がそう答えるでしょう。
 とにかくカープは7・8・9回というの大事な終盤に失点する(三戦目は延長10回ですが同じこと)。終盤になればなるほど重要な一点を取ること、一点を守ることという野球のセオリーが出来ない。となると、カープが勝つ試合展開は初戦・二戦目のように4点差以上の大差をつけるしかない。3点でもいけるかも知れませんがまあ何れにせよクロスゲームではまず追いつかれて逆転負けする。打線が序盤に大爆発するしかない。そういう前提で最終戦に突入しました。

■考えられない8回での大量失点
 今回は珍しくファイターズがリードしてゲームを進める。これまでの勢い・流れを引きずった展開となりました。劣勢から5・6回で1点ずつ追加して追いつくというこれまでにないゲーム展開。これならばひょっとして同点のまま9回サヨナラもあるか?とかすかな希望を抱かせながらの件の8回の満塁弾。
 2アウトからあれよあれよと3連打で中田で押し出し。そしてピッチャーバースにタイムリーを打たれてしまい、限界だろうというとこでも投手を代えずジャクソン続投。挙げ句にレアードに満塁弾という???な展開に。伊集院さんがラジオで「勝つにせよ負けるにせよ、今日だけは勝って明日黒田の最後の登板だけは見たい。そういう一種異様な空気に包まれて相当なプレッシャーがあった」。レアードのところも「あれよあれよという間にヒットで繋がれて混乱している所でまさかのバースのタイムリーで何が起こったか分からなかった。そこで更に満塁弾。あっという間の出来事だった」と。観客席・広島ファンからすると本当に衝撃な展開過ぎて血の気が引く思いをしたところではないでしょうか?
 ファンがそうなったとしても何の問題もない話ですが、指揮官・ベンチの人間がこれでは困る。もちろんベンチに居るコーチや監督がどう思っていたかはわかりえませんが、彼らも同じくパニックになっていたんでしょうね。でなければレアードに打たれた後での大瀬良交代というのは説明が付きませんからね。もう今日負けたら終わりという場面でなんで?としか言えない。
 大事な1点を争う場面でこのシリーズ調子を落としていたジャクソンを登板させたことも疑問ですし、使うのならばこのような不出来、ピンチを作ることを想定して、すぐ降ろすことも計算して使うはず。北海道で3連投させてあげくこれですから、もうなんと言って良いかわかりませんね…。
 まあ何度もいいますけど選手を信頼する・任せる・心中すると言えば聞こえはいいですが、要するに何にも考えていないということですからね。心中するというのは、あらゆる手段を尽くして他に打つ手がない。ここでもうこの選手が打たれたらどうしようもない。他に彼以上の選手はいないという状況・場面ならばわかりますけども、そうではないですからね。
 人事を尽くして天命を待つではなく、初めからこの回で使うとただ決めて状態・試合状況を無視して使っているだけですから、最低な采配としか言いようがありません。
 8回という大事な終盤で、しかも今日負けたら終わりというゲームで、2アウトからファーボール挟んでの5連打で6失点という展開はなかなか見れないゲームでしょうね。

■危機管理・継投・投手コーチの差
 吉井コーチはいつものようにあらゆる投手を試して、あらゆる状況・展開に備えるようにしていました。ベンチ全ての投手を使って、先発がろくに機能しないという最悪に近い状況でも勝ちを拾う展開に繋げていきました。対照的に緒方監督・畝コーチは何も考えない投手起用・継投。こういう時にどうするか、危険球・故障などのアクシデント、先発・勝利パターンに投げる投手の不調に予め備えて、投手陣を整備する・試すという発想がなかった。勝ちパターン以外はヘーゲンスと大瀬良くらいでしょう、確か投げたのは。バースの活躍が際立ったシリーズになりはしましたが、他に石井・井口・鍵谷なども使って勝ちを拾いました。ベンチ入り投手で使わなかったのは万一の際のロングリ&右打者対策の左投手&既に構想から外れていた吉川以外では白村くらい。ベンチ入り全員で戦ったファイターズに対し、勝ちパターンに拘ったカープの差ですね。
 一岡や九里や福井を上手く使いこなせなかったカープの投手起用・継投には大きな問題があると言えるでしょうね。この記事(※参照―【日本シリーズ】広島の「DH解除」にネット裏から異論噴出)なんかにあるようにDH解除をするなど戦い方に大きな問題があります。都合の良いこと・都合の良い展開になるということしか考えていなくて、それ以外のパターンに入った時に、予想外の事が起こった場合に極めて脆いという拙さがそこにはあるでしょうね。危機管理の思想がそこにはない。危機管理思想を徹底してペナントを戦い、短期決戦を見据えたチーム作りをしなければならないでしょう。
 まあ、アニマル浜口氏が五輪で娘の敗戦について、引き分けでポイント先取という極めて有利な場面で逆転負けして、「あの場面では足を取られてから投げられながら返す以外にない。そうされないように徹底してそうされない練習をしてきたのに、それをくらうなんてなんていう負け方をしたんだ…。なんて言う負け方をしたんだ…。」とぼやいて呆然としていたのを思い出しましたね。
 松山という大谷キラー、大谷からプロ初HRを打った選手がいて、このシリーズでもまた大谷からHRを打つという最高の展開になった。絶対的な投手から勝利をとる。まず厳しいと思われていた大事な初戦を取れて、しかも二戦目も続けて取れた。これ以上ない最高の結果となった。ファイターズは残り5試合で4勝しないといけない。もう殆ど不可能。これだけ幸運が舞い込んできても活かせないというのは相当な実力差・問題がそこに内包されているということ指揮官の決断欠如・投手継投の拙さ・短期決戦に必要な戦力整備欠如などの問題を解決しない限りこの広島カープの短期決戦での弱さというのは依然変わらず続くでしょうね。

■バランスの悪いカープの戦力・左欠乏症
 で、最後なんですけど、何かの記事でどうして清宮を指名しなかったのか?みたいな話で、カープは年齢別にどのポジションの選手がどれくらいいて、チームに求められる選手が一目瞭然でわかる。清宮はそこにハマらなかったから早々とカープは撤退した。長期的なビジョンがあってそれに沿って動いているカープは素晴らしい―的な記事がありました*1
 で、「え?」っていう話になるんですけど、今年散々話題になりましたが、広島は左投手・左のリリーフがいない。左のワンポイントリリーフがいないから勝負所で筒香に打たれて負けたというような場面がありました。先発左腕に左のワンポイントに、ロングリリーフ。7・8・9回も必ずというわけではないですけど、やはり左投手を1枚挟みたいもの。森福がやっていたように7回でもいいですけどね。9回岩瀬はちょっとというかかなりレアなケースですけど、右が三枚続くというのはなるべくなら避けたい。こういう事を考えても明らかに&絶対的に左投手が足りない。これでどこにビジョンがあるといえるの…?そもそも広島は右のロングリリーフもよくわからない。右のロングリリーフは誰なんでしょうかね?
 また、このシリーズでも加藤→メンドーサで目立ちましたがとにかく左バッターが弱かった。松山が活躍したのは初戦の大谷のみで優秀な左バッターは田中と丸くらいでしょう。これはいくらなんでも問題がある。この広島東洋カープ部には問題がある。左投手どころか左打者も足りていない。左欠乏症というのを何とかする必要性があるでしょうね。広島カープは。

 まあ、そういう問題は2016年の時点でわかっていたはずで、そういうチームの課題・欠点に手を付けないからこそ、今年(もう去年ですが)風物詩を爆発させたわけで*2。まさに負けに不思議の負け無しというやつですね。しばらくリーグで優勝を狙えるチームなだけに、今年・来年いつまた風物詩となるかわからない。こういうリスクを抱えているのに放置していていいのでしょうか…。
 金村さんが采配を痛烈に批判して、試合後鈴木誠也が泣きながらバッティング練習をしていたという話をしていましたが、選手たちが可愛そうですね。丸・菊池の存在は前から知っていましたが、田中・鈴木といい選手が揃って、凄い良いチームになった。それがこんな大逆転負け・惨敗をするのですから心情察するに余りあります。まあ問題の本質に手がつけられることはないでしょうね…。オーナーが代わらない限りは。

アイキャッチ用画像

*1:ちょっと話は違いますが、これにも書かれていますね。広島は、なぜ清宮争奪戦から撤退したのか? 再び脚光浴びるドラフト戦略3カ条 | VICTORY

*2:大砲と先発投手・クローザーなど、戦力を集めればそれで勝てると考えるかつてのダイエーホークスに似てきているとみなしても良いかも知れません。大砲ではなくて俊足巧打者という点では決定的に違いはあるんですけどね。これで強打の捕手が揃えば…