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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

2013WBC一次ラウンド突破と溢れる不安

WBC代表選手を見ての疑問―これでWBC大丈夫?本当に三連覇出来るのか?―の続きです。

 前回書いた不安以上に、安倍のリスクじゃない、阿部の故障リスクがあることを見逃していました。彼は腰が悪い、一年フル出場が出来ない選手で更に日本シリーズでは膝をやっていた選手。当然このリスクを視野に入れて打者阿部を選出し、捕手阿部としては選出べきではない。万一の際の保険として捕手もできる一塁手、DHとして代表に入れておくべきと前回書いておくべきでした。これも当然の事だったのですが、なにせ突っ込みどころがありすぎて忘れていました(> <)。

 さて、3/6キューバ戦を前にして日本代表が2次ラウンドに進出することが決まりましたが、そこに至るまでの内容・過程が悪すぎる

 重要なポイントとして、WBCというのはプロリーグのないはともかく、日本やアメリカなどのようなプロリーグがあるチームというのはどうしても寄せ集めの急造チームになってしまい、更には普段と違うボールへの対応を迫られるという不利な点もあって、調整をメインに戦わなくてはならない
 (※ですから普段から同じチーム・同じボールでやっている中国、ブラジルと言った国は野球二流レベルの国とはいえ条件が整えば日本に10回やって10回負けるという事にはならない。万一はありうるんですね十分)。

 壮行試合/調整試合という言葉がありましたが、はるか格下と戦う一次ラウンドというのは勝って当たり前の試合なのですから、重要なのは勝ち方内容が問われるゲームです。

 圧勝しろ!100-0で勝て!というのではなく、このゲームは次の条件をクリアすることが求められるゲームです。

 ①まず最初に進出を確実に決めること
 ②本命とされるキューバのデータ収集
 ③どの選手が調子良いか&悪いかの見極め
 ④守備(連携)・代打打順適性のチェック
 ⑤
またどの選手のエンドランコンビの息が合うかのチェック

 まあ優先順位は上の順番とは関係ないですが、上に上げた条件をきっちりクリアして行かないといけません。スモールベースボール高校野球のような一戦必勝方式のトーナメント(リーグ方式含む変則トーナメントですが)では、なによりいやらしい野球やる事(盗塁・エンドラン)が重要になります。

 調整試合を見ても、一次/
二次の戦いを見ても、まず盗塁やエンドランを試みるケースが圧倒的に少なすぎる。プレ段階の、及びそうでない一次リーグでも所詮、本番前のテストマッチにすぎない。そこでいかに走ってかき回すか、決勝前のアメリカやキューバなどといった本命相手に「ああ、日本は走ってくるな、ランナー出さないように警戒しなきゃ…」と印象付けなくてはいけない。なのにそういうことをしていない。ちょっと意味がわからないですね。

 監督がマッチの走塁について「100%セーフにならない限り、ああいうことはしてはいけない」とか、わけのわかんないことを言ってましたけど、ワンスリーのあのヒッティングカウントで打たない&エンドランで仕掛けないことのほうがおかしいでしょう?貧打で打線が沈黙しているんだし、分からない判断ではない。それに「走るな」というサインをなぜかけておかなかったのか?あんな試合勝とうが負けようがどうでもいいテストマッチで、あ状況でエンドランを試さないことのほうが考えられない。何回か試していて今度は動かない状況を想定したいならわかりますよ?ほとんどヒットもなく、ランナーも出ていないなら、普通監督はテストケースとして試す場面でしょうよ。

 前回書いたように、重要なのは1・2番型。小技=バント・盗塁でかき乱すタイプ。相手チームのエース級が絶好調だったら打てませんから、なんとかしてかき乱して一点を取りに行かなくちゃいけない。そういう選手がいない。ブラジルの一番が内安→先制点、第二打席で(第三だったかも?)バントヒット→ディレードスチールをやったような形を取らなくちゃいけない。日本は対称的に短期決戦の基本を守らず、1・2番は好きな様に振り回してあわやというところに追い込まれました。もし相手投手が奇跡的に絶好調続きだったら負けてましたよ。相手が大学レベルの投手陣だったから何とかなったとはいえ、さらに打者の不調が続いていたら…。

 同じ事がブラジルより強いチームで起こった場合、今度は確実に負けるでしょうね。

 そもそもブラジルはあの走れないオリックス相手に6盗塁を許すという、投手のコントロールも捕手の送球すらも、怪しいレベルというのは事前にわかっていたこと。それなのに早めに足でかき乱して相手を潰す。足で相手を崩していけば勝てるという戦略を選ばなかった。ピンチランナーで本多盗塁→バント→内野ゴロか犠牲フライ一点という形も選択しませんでしたしね。

 異常なまでに力勝負、正攻法の勝負/対決。打って勝つ、ヒットで点をとって勝つ事にこだわっているように見えますね。なんでしょうか?これくらいのチームなら何やっても勝つから、キューバや本戦前までの打撃練習とでも思っているんでしょうか?もっと楽なケースを築いたほうが選手ものびのび打てると思いますけどね。あるいは走らせてアウトになることを、リスクを取ることを嫌うタイプの監督なんでしょうかね?なるべく走らずにキューバアメリカ相手に今回は走らないなと油断させといて本番に一気に仕掛けるとか?足に不調はないというのにあんまり意味のない偽装戦術ですが…。

 そういえば、槇原解説で摂津がブラジルの3番を敬遠せずに打たれたことを、「歩かせるときはきっちり歩かせるべき」と評していましたが、逆でしょう。相手打者が本当に調子がいいのか2安打程度ではどうなのかわからないですし、敬遠4番でのコントロールミスで大量点につなげるよりコントロールに定評ある摂津なら3・4番続けてミスをして連打を食らう可能性は少ない。最少失点に抑えるあの選択が正解でしょう。その後3番を中心に対処する、4番ユウイチは殺せると判断出来ましたしね。同点のあのケースはどうせ一点取らないと勝てないんですから、まだ早い回でしたし、仮に一点くらい取られてもいくらでも逆転できますからね。実際そのとおりにゲームは動いて行きましたし。


【どうする?不調の選手!?】

 さて、ポイントは不調の稲葉・長野・坂本・鳥谷・阿部…といった打てない選手をどうすべきかという所。おそらくこのキューバ戦が最終テストとでも言える形になるのでしょう。投手でったら春先調子の良くない田中も含めて。杉内もOP戦でこの時期よく打たれるように、本来あんまり良くないんですよね。だから先発は難しいでしょうね、杉内は。

 ああ、松井も打ってないんですね。坂本・長野はH一本止まりでしょうか?ショートは守備面も考えて鳥谷で、セカンドに井端か本多をおいたほうがいいでしょうね。…とすると代打・代走候補がいなくなってしまいますけどね。井端は絶対に必要なこのチームの軸、2番井端は動かせないコマなのに何やってるんですかね?前回誰がランナー一塁の際の代打なのかわからないと書きましたが、ブラジル戦見る限りでは井端を代打の切り札に使うようです。

 まあ、右打ちのスペシャリスト井端ならわからなくもないですけどね…。控えで使うか普通?代打だけなら二岡でもええやんけ…。長もあるし。

 桑田さんの解説で坂本がエラーをした時、投手は誰が守備がうまいかを見ている。ああいうグラブの出し方だと上手くないから、あそこには打たせられないなと判断するといってました。一番坂本ならなんでもできるといってましたけど、一昨年散々書いたように、一番坂本は彼に相応しくない、坂本に一番の適性はない。去年一年で一番として成長したならともかく、そんな要素はありません。一番坂本は死亡フラグです。長野も同じ。本来一番タイプでない彼を一番においたのは巨人のチーム事情、藤村・松本の状態がいまいちだったから、育ってないからという台所事情だったに過ぎない。粘れない巨人の最多安打コンビを一番に置くことは絶対にやってはいけない選択肢でしょう。まあ、他に誰がいるかといえば…ですけどね。

 要するに際立って足がある、守備がうまい、というわけでもないショート坂本を選択した時点でかなり戦略・戦術の幅は狭くなっている。後は彼がヒットを打ちまくるしかないわけです。完全に人選ミスでしょうね。巨人戦で四安打してましたが、彼は固め打ちで、いきなり確変かかってヒット連発。ダメなときはあっさり凡退というタイプですから。使い続ければどこかで坂本で勝った!という試合が出てくるでしょうけど、それとおんなじように坂本ァ!という試合展開が続きます。ギャンブルですね、リスキーダイスです。

 考えられるとしたら捕手阿部との内野連携。普段からやっているから配と守備位置で息が合う=守備効率が良くなるというところですが阿部が怪我を抱えてマスクを100%被るという状況がなくなった今、彼を使うメリットはまるでなくなりましたね。

 相川を二番手に使うなら、こういう時のためにショートをヤクルトからよんでおくべきだったのでは?そういう守備の名手がいないなら、そもそも相川を呼ばずにハムあたりからショート&キャッチャーコンビで選んでおくべきだったでしょうね。というかランナーとして本多を残した位なら、内川・松田・本多細川しかないでしょうにね。んで守備要員でセットでショート今宮でしょ?普通。投手でホークスの投手が多い、摂津・森福・大隣&元ホークスで杉内もいる。ホークスジャパンでよかったじゃん…。ホークスだめなら、別に内野の守備重視してファイターズジャパンでも良かったですし。一体何考えてるんでしょうね?

 まあ前回指摘した走塁軽視にひき続いて守備軽視。これじゃあね…。坂本・長野・阿部と心中ルートしか残っていないんじゃないでしょうか?大体坂本はセカンド・サード出来るんですかね?見たことないですが。鳥谷はまだ四球とってくれるので打てなくても全然価値がありますけど、坂本は選球眼も内野のどこでも守れるという器用さ、短期決戦の守備性もないですからね。

 いろんなポジションをこなせる選手を呼んで、調子が悪い場合は点差がついた守備控えで起用して復調を探るというセオリーに完全に反していますよね。大島・聖澤を外したから、守備の面で長野を外しようがないですからね。100歩譲って阿部捕手だけはチームの核として固定して不動にするのはいいとしても、ほかのポジションは状況次第で誰がどこに来てもいいようにしておくべきでしたね。

 始めっからショート坂本・センター長野を決め打ちしたんでしょう。だからああいった偏った人選になったということですね。話にならない。まあ己でも長野は基本的に外さないキーとなる選手としたと思いますが、不調の際を考慮して控え外野手を用意しておくという選択肢を除外することはまずないですけどね。

 外野手はこういった怪我、不調の際に本来レフト専門のような選手でもセンターやライトを守らなくてはならなくなるかもしれない。そういった時のために外野をごちゃごちゃ入れ替えてテストしておく必要が有る。外野手や内野手との連携も兼ねて、控えととっかえひっかえして、本来と違うところを守って、
パターンも今のうちに試しておかなくてはいけないのにそれもない。何をやってるんですかねぇ…。

 ようするに戦い方が稚拙すぎる。指揮官の短期決戦用の準備が出来ていない、その重要性を認識していない。コールド勝ち出来るような相手に中途半端な点数で苦しむというのもそうですが、戦い方としてなってない。まあコールドしちゃったら、守備機会が減るのでそれはそれでダメ。コールドになりそうならわざと点をあげたり、なぶり殺しにするように最終回までやらないといけないですけどね。そうなると顰蹙買うので、生かさず殺さず状態にしないといけませんが。

 ブラジルなんかテストするどころじゃありませんでしたからね。あわやの展開で八回にようやくひっくり返すという状況だったから、テストどころじゃなくなってしまった。本来打つ方は8~10点とって、守る方は投手の出来がいまいちだったり、大量リード開いた後に守備をいじってミスが出るから&ランナーためた状況でテストしたいから、3~5点はくれてやる形になる。そういうスコアがベストですね。無論点が多ければ多いほうが大胆にいくらでもテストできるので好ましいですし、テストのために失う点は何点でも構いません。百点取れれば九十点上げても問題ないですからね。現実的にはありえませんが。

 今回ストッパー適性がない山口を余裕の状況で試しましたがダメ。ああいうテストくらいしか出来ませんでしたからね。牧田を酷使したくない、連投避けて万全で使うためにはもう一人くらい抑えが出来る投手が欲しかったのですが…。

 山口が最後に二点取られて、日本が弱くなったみたいな報道していたらしいですが、あれはテストだバカ。5点差あったからくれてやってテストしたんだということがわからなきゃダメダメですね。決勝トーナメントまでは100-0だろうが、0-100だろうが意味ない。関係ない。無闇矢鱈にパーフェクトなゲームで圧勝してもしょうがないってことを理解していない人が未だいるようですな。テストをして本戦前の準備をして勝つ。負けていい状況なら、リーグ戦だから負けてもいい。

 そういう視点から見なくてはいけない。調子の悪い選手に調子良くなってよ!バーニィ!と言っても、そんなどうなるかわからない不確定要素にかけてはいけない。監督が本来打つべき選手が打てないから負けたなんてアホみたいな言い訳するでしょうか?使ったお前が悪いんだと言うしかない。判断したのはお前だといわれるのが当たり前。そういやジーコももっと海外でプレーしなきゃダメとか意味不明な言い訳してましたっけ。

 阿部・坂本・長野が打つ・打たないもそうですが、ここに来てこの調子なら復調してもまた駄目になることだって考えられる。そのために、いかにどの選手の状態がいいかを把握・判断して、その時々相手のタイプなどを考慮して選手を起用する必要がある。つまり監督の手腕にかかっていますね。

 まあ、今から北京臭が漂ってきていますけども…。キューバ戦および、2次ラウンドのテストはどうなりますかねぇ…?