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WBC代表選手を見ての疑問―これでWBC大丈夫?本当に三連覇出来るのか?

 

 言うまでもなく監督の能力に疑問符がつく選出ですね。そもそもこの監督がどうして選ばれたのかわからないくらいですからね。


【短期決戦では大砲は不要、アベレージヒッター・ケースバッティングが出来る巧打者が必要】

 投手はあんなもんでしょうからおいといて、問題は野手の選出。短期決戦では守備・走塁・幾つものポジションをこなせる選手を選出するもの。大砲はいらない、パワーヒッターよりアベレージヒッターが求められる。4番より3番型が必然的に多くなるわけです。糸井・長野・松田といった走攻守揃った選手が必然的に選出されます。

 ですが、今回大砲が多すぎる。以前松中が候補に上がりながら落選したように、大砲は短期決戦向きではない(特に彼は風物詩ホークスを牽引したケースバッティング、得点圏で打てない選手なので落選は必然でしょう、守備も上手いタイプではないのでなおさらです)。なのに阿部・中田と足がない大砲型を置いている。一人でも多くのランナーを出す&ランナーを進める。そして犠牲フライや内野ゴロで一点をとれる選手が必要。一点をとって、一点を守る試合を考えなくてはならない。

 それなのに、クリーンナップ型345番タイプが多すぎる。1・2番の専門家・スペシャリストが非常に少ない。ファールを打つ、粘る。右に打ってランナーを確実に進める。犠打を確実にこなす、バントヒットを試みて投手をイラつかせる。そして出塁して塁上でピッチャーを揺さぶるそういう選手がいない。今回確実にその役割を担える、機能する選手は井端だけ、もし井端がいなくなったら誰が二番を打つのでしょうか?

 6番までランナーを返す選手が求められるのでそこら辺はオールスターで選手が揃っているので誰がやってもいいとして、12789番は小技を使える選手でないといけない。バントの名手がいないのはノーアウト1・2塁などの状況で確実にランナーを進めたいというとき、非常に苦しくなり、命取りになる予感がします。


【命取りになる守備軽視。走塁のスペシャリスト、一・二番型選手の代表外し】

 いくら脚が速い選手が多くいるとはいえ、一点を争うゲームにおいて走塁技術に卓越している大島・聖澤を二人同時に外すことはありえないでしょう。どちらか一人は必ず入れておかなくてはならない選手でしょう、普通。足が早くない角中・中田・内川と外野を選出したことは守備力でも問題ですし、ランナーとして出塁した時、二人だったらポテンヒットで本塁に一気に帰ってこれたのに…。というケースが必ず起こるような気がします。さらにはGGケースを再発しないか非常に心配な所でもあります。

 工藤さんがエンドランなどでいくという話をしていましたが、だったら糸井はサインを理解できない、サインプレーができないんですから、外すべきでしょう。もちろん糸井を外すという選択肢はありえないので、やはりランナーを基準に選んで置くべきと思います。

 大島・聖澤が重要というのは彼らは1・2番をこなせるから、一・二番型だからでもあります。特に大島の守備はリーグ1・2を争う名手なのですから外すというのは一体何を考えているのかと疑問に思うどころか理解ができません。打線は水物、ここぞというときに四球・エラーで代走→盗塁で一点をもぎ取るという選択肢が小さければ小さいほど敗れる可能性は高くなると思います。

 角中・中田に1・2番をこなせるでしょうか?無理でしょう。本多が何故か残っていますが、彼は昨シーズン怪我もあって、大不振。守備はうまいですし、走塁技術もありますが、セカンド以外守れない。ショート・サードができるのならば本多で納得ですが、去年見る限りではたぶん無理。そして彼は一・二番を任されているのに、一・二番としてのチームバッティング・ケースバッティングがあまりうまくない。なぜ彼が選ばれたのかホークスファンの己にはよくわかりません。

 ショート・セカンドあたりには生粋の1・2番タイプ、名手&内外野どこでもこなせる器用さ、野球センスを持った選手を選びたいもの。オーダーを見ても誰が1・2番を打つのか見えて来ません。鳥谷?松井?二番が本当につとまるのでしょうか?また長野は本来3番を打つ選手。アウトコースと広角に打てる選手なのですから得点圏で使うべきでしょう。何球もファールを打って粘るという選手ではないでしょう。

 そもそもWBCという大会は投球制限がありますから、ファールで粘るという意味が非常に大きい大会でもあります。そこで粘る技術がある選手を一定数必ず選ぶのが筋・セオリーでしょう。さすがにハム軍団は粘る・いやらしい野球をモットーにしていますから中田・糸井・稲葉あたりはそういうことを普段からやっているのでいいと思いますが、粘りの専門家・スペシャリストではない。その点大島・聖澤なら…。

 相手投手が粘られて、球数を考慮して安易にストライクを取りに行ったところを狙い撃ちにする。その基本戦術が本当に出来るのでしょうか?うーん。


【バランスが悪い代表選手】

 要するにバランスが悪いんですね、今回の代表選手は。誰が調子がいい、誰が相性がいいかわからない。故に様々なタイプを選出しておくべきなのですが、バッターのタイプを考慮して本当に選んだのでしょうか?ランナー一塁の時の代打、一二間にヒットを打つのがうまい選手、またランナー三塁の時のそれ、しかも三遊間だけでなく確実に内野ゴロ一点、犠牲フライを打つ技術がある選手など日ハムのホフパワーみたいな代打の切り札を誰が務めるのでしょうか?

 また捕手が三人と多すぎる。三人選んでもいいですが、三人をどういう意図で選んだかよくわからない。守備を重視するなら球界で一番リードが上手いといわれる細川か谷繁。谷繁は年齢の点を考慮して、次の大会にはまず出られない。ならば次に経験を伝えてくれる選手として細川は必ず選ばなくてはいけない選手。阿部・相川・炭谷?炭谷を次の大会のための若手枠にしていいのでしょうか?彼はリードが良くない捕手。若手捕手で突出したのは誰か?と言われた時にあまり思い浮かびませんけど、ハムの大野の方がまだいいと思いますが。

 そして阿部が捕手&四番&主将と負担が大すぎる。捕手なら気楽に下位を打たせてリードに専念すべきですし、DH・ファーストで万一の時、捕手ができるという形で選んだほうが良かったと思います。あまりリードが良くないだけに。まあ日本シリーズとか大舞台で結構良いので、意外といいリードするかもしれませんが。

 CSで守備を軽視したライオンズがホークスに敗れたように、捕手をリードの視点から選出しなかったことは不安ですね。

 己は中田を選ぶべきではなかったと思いますが、次の大会のための若手枠ということでしたら、わからなくもありません。ただ去年の成績を見てわかるように、まだやっと一軍に定着した選手、一年通じて成績も安定していませんでしたしね。果たして本当に結果を残せるのでしょうか?気楽に代打で経験をつませるだけという感覚ならいいのですが…。

 また中田のフォームを立浪さんがすり足のほうがいいといじっていたようですけども、打撃フォームというのはチームのコーチと二人三脚で作っていくものなのに、急造チームのコーチが口を出してファイターズから抗議が来ませんかね?


【前回と比べキーマンが減った今回の選手層】
 まあ、こんなところを不安に感じるのですが、前回と比べて確実に選手層が薄くなっているという気がします。オールスターで呼ばれて来るスター選手は何時の時代にもいるので、彼らについては文句ないです。が、WBC用にふさわしい選手、内外野更には万一の捕手までこなせるオールラウンダー、かつてのキムタクのような選手、スーパーサブがいない。また宮本のように内野をどこでも器用にこなせるかつ単打も打てるし、バントも上手い。彼らがいるといないとでは、代打・代走の選択肢の幅がガラッと変わります、こういう選手がいるといないとでは戦力が全く違ってくる。

 また、上で書いたように井端が全盛期を過ぎて、彼のような選手がNPBにいない。書き忘れてましたが、井端がいますし、守備や器用さということを考えて荒木を入れていたほうが良かったのでは?という気がします。また荒波・石川と言った粘ることをモットーにしている選手がベイにいますしね、選出しないまでも代表キャンプで彼らのような1・2番型に、オールジャパンのために井端塾を開いて技術を伝えて次回のWBCに備えておくべきだったのでは?という気がします。

 谷繁・細川先生のリード塾を行なってもいいですしね。この二人以外リードに定評のあるキャッチャー今いませんからね。二人が引退したらどうなるのか…。選考のやり方に問題があったとか言いますが、そこら辺はどうでもいい。むしろオールジャパンでやるならば、相互で技術を教えあいNPBのレベルをさらに高める場にすべきかと思いますね。