[雑誌] 秘伝 2014年 05月号
柳生新陰流(赤羽根龍夫・赤羽根大介)
入門して初めに教わる手之内と運足。足は親指、手は小指。手首の小指側のへこんだところを柄に当てる。ここが足で言うカカト。運足はカカトから力を起こし、手のカカトに伝えると。足は親指、手は小指=体幹にちかいところ、体幹の力を使うということ。手は下筋、脇から小指を聴かせるのが大事とされる。下筋(したすじ)を効かせると人差し指は自然とU字になる、これを龍の口という。
エマすという身体操作。外形では、膝を緩めて腰を落とすだけだが、当然これだけでは十分な力が生まれない。扇をひらくように、骨盤をひらくことで、中心に力が集まる。
古流術理の探求法(齋藤豊)
天神真楊流や起倒流を研究する齋藤豊氏の話。甲野さん系の人ですね。*1明治時代の吉田千春著の通りの手の型にやると、技が効くという話。片胸取りで、膝をしっかり立てると相手の手刀が当たらないなど。
起倒流の「夢中」という捨て身技があるわけですが、この解説が面白いですね。後ろ受け身をすることで相手を投げる。そもそも流派名が「倒れて起きる」なわけで、自分が倒れれば相手を投げられるという話、面白いですね。まあ最小限の力で立つこと、センター作ってあとはそれで相手を巻き込んじゃう感じなんでしょうかね。
一心館合気道 須一和晃館長、松原さんの合気道の師匠だそうです。
格闘技・リングでの実戦経験が豊富なため、極めて実戦的な稽古をすると。打撃をつかむのは難しい、払いながら、戻りを捉える。どんな打撃も必ず戻りが必要だからそこを抑えればいいと。念い(おもい)の力で、心の力で合気をかける。力を入れたらダメ、皮一枚で握る。二教でも関節を攻めるのではない、気の流れだから、手首は痛くない。相手が崩れると。腰に念をやれば腰から砕けると。合気と念、面白い話ですね。
インドネシア武術シラット シギット・プラコソ氏
指一本で全力で押してくる棒を押し返す。集中の力。一時間指を閉じ開きして、疲れて動かなくなったら、意識を集中させて無理やり動かす。一ヶ月続ければコンクリートを叩いても割れると。
コンスタンチン・コマロフの「戦闘心理学」
システマですね。護身の7割は距離、2割が角度。側面に回る・背面に回る。パーソナルスペースでの違和感を磨くこと。当然視覚・聴覚に頼らないこと。米の刑務所での実験で、犯罪者がどういう人間をターゲットに選ぶかテストしたところ、自分に集中して周りが見えていない人間を選んだ。最後の1割は演技力。相手の怒りを駆り立てないような表情、大部分は殴り合いに至らないのだから敵意を示さない・友好を示す演技力が大事。ただ、もしそういう事態になったら数秒で終わらせる。一瞬行動不能にする内股キックで、相手のバランスを崩してそこから制圧すると。
若林理砂「市田京美 ワークショップ・レポート」
ダンサーの人の胸骨を使う話なのですが、胸骨を沈ませるって、胸を呑むことかな?一般的なダンスの胸を突き出す動作の逆ってあるし、多分そうだろう。あと剣状突起より上の胸骨からhigherとlowerで分けて使うという話。西洋ではみぞおち以下は全部足と考える。ハラという観念はない。鎧も胴でハラを守る日本と対照的にブレストプレートやフォールドで、それぞれ相手の身体文化を指す言葉がない。
漢語由流体操「腰仙揉溶法3」
高岡氏は、腰仙揉溶法で腰を液体化させている。手の指のような感覚で腰のあらゆるパーツを自由自在に動かせる。拘縮が取れて27歳の頃より、1.5センチ身長が伸びた。対照的に60代の同級生は縮んでいるので、大きくなったと驚かれる。腰の拘束は加齢現象の中心。
腰が固まると股関節が固まる。股関節が自由運動するためにはつながっている腸骨自体も自由である必要がある。その腸骨が自由運動するためには仙腸関節の自由が必要になる。
関節の状態が悪くなると、脳が使いたがらなくなる。毎日道場で動いている人でも同じ。達人があまり動かないので、自身の動作性の低下を技能の発展段階と混同する。動かないことを良しとするという思い込みがそれに拍車をかけ、擁護システムとなっていく。スポーツでは、加齢に伴いパフォーマンスの低下は当然と考えるから、こういう現象は起こらない。腰仙揉溶法に取り組むことで、70代がかつての40代の記録を出すことも可能と。
股関節は最大・最強の関節、最も鈍い関節(正確な位置把握が難しい)、最も優秀な関節(唯一の完全な三次元関節)であると。
拘束腰は拘束下丹田に繋がると。
護道
廣木道心さん、最終回ですねぇ、上原清吉さんの話があります。面白い良い連載だったのに、終わっちゃったか~、残念ですねぇ。良い連載がドンドン終わっていく…。
福井勉 「皮膚運動学」という秘技
皮膚は運動する際にシワが滑っていく。皮膚は運動する際に反対側にシワとして寄っていくと。肩腱板断裂も皮膚への調整で挙がらなかったのが挙がるようになったと。
鼎談 小口昭宣×平直行×島津兼治
小口さんの話面白いですね。リトルリーグショルダーを簡単に治しちゃうとか。主動筋・拮抗筋ではない、制御筋というものがある。鎖骨下筋など、伸び縮み一方の動作をしっぱなしという筋肉がある。しかし何もしていないわけではなく、この位置がおかしくなると腕が上がらなくなる。ここをケアすると簡単に腕があがるようになると。大腿直筋の上、縫工筋・薄筋半腱様筋があり、この制御筋はスポーツの種類ごとに求められる動きが違うから、付く筋肉の位置が選手ごとに異なってくる、変わっているのだとか。へぇ。
*1:なんかどっかで見たことあるなぁと思ったら、以前取り上げた水鳥の脚の動画の人でした、斎藤さん