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続、工藤公康「愚将」論―工藤公康名将論という珍説の検証

 モデムがぶっ壊れるというトラブルなどもあって、少し間が空いてしまいましたが続きです。工藤公康は名将ではない。ホークスは未だに短期決戦に弱い風物詩チームであるという話の続きです。
 前回はこちら→2019ホークス <続・ホークスは短期決戦に弱い論>リーグ優勝を逃しても三年連続日本一だから工藤公康は名将?否、愚将・迷将の類である

目次

 

 間が空いた効用というわけではありませんが、さっそく次のような工藤公康を名将と持ち上げてしまうようなものが出てきました。日本一に三年連続でなった・三連覇したという表層上の数字、結果だけをもって判断して評価するというものです。分析ということをする上で最悪なものの見方の一つですよね。こういう物事へのアプローチの仕方、考え方というのは。
  最低なものの見方故に格好の反論材料となるので、こちらをそのまま応用して書いていこうかと思います。

■セパで明確な実力格差がある以上、日本シリーズに価値はない。連覇は評価の対象にならない

 まあ、そもそもこれらの記事に限らず、工藤監督・采配を持ち上げる人に共通していることなんですけども、①日本シリーズを過大視する―という欠陥、認識の誤りがあります。  
 西武→中日の和田一浩氏が述べていましたけど*1、今年の日本シリーズは一方的過ぎた。日本シリーズという大舞台にふさわしい試合ではない。このような著しい戦力差はNPBという前提・根幹に関わるからいち早くなんとかしないといけないと警鐘を鳴らしました*2。このような主張を見るまでもなく、今回の日本シリーズ、近年の日本シリーズにはそもそも価値がありません。
 パ・リーグの代表にアクシデントがなければほとんど間違いなく勝ってペナントが終わるというのが現実。つまり日本一になることというのは、実はものすごくハードルが低い。リーグ制覇の方がハードルが高いのだから、そのような舞台で3連覇したからと言ったって、そんなことは当然評価の対象にはならない。これが、セ・リーグサイドのチームが勝ち上がって、3連覇なら無論話は逆になりますが、勝って当然のパ・リーグサイドがCSからの勝ち上がりを含めての3連覇、リーグ優勝は1回しかしていないというのだから、評価の対象になるはずがない―という結論に普通は至るはずです。
 リーグ優勝するのが、困難な戦力でありながらもなんとか3位に滑り込んだ。そしてCSファイナルでまず勝つことは出来ないと思われていたチーム相手に勝ち抜けを果たした!―とでも言うのならばまだしも、前回・前々回で述べたとおり、当然そうではないわけですからね。ライオンズは短期決戦に弱く、セ・リーグパ・リーグよりも弱い。そういうことをきっちり押さえていれば、パ・リーグや現代野球のセオリーを知っていれば、特に偉業でもなんでもない。むしろリーグ優勝を二年連続で逃しているというマイナス査定になる話だということすらわかっていないのですから、何をか言わんや。

■故障禍はアクシデントではない、コンディション軽視の工藤采配が自ら招いたもの

 ②故障者続出というアクシデントを乗り越えて新戦力を抜擢、整備して危機を乗り切った―勿論No。壊したのは工藤公康自身の酷使采配の結果。アクシデントでもなんでもない。過去記事*3に書いた話なので繰り返しませんが、選手を休ませてコンディションの維持を図る。戦力を通年&3年先を見据えて勝利を犠牲にしてでも、休養・育成をする―といったペナントレースを戦う上での基本・セオリーを初めから放棄して無視して来た結果が今の故障禍ですので、事実誤認も甚だしいですよね。こういう主張は。
 さんざん主張してきたように、連投を避ける。疲労が溜まってきたベテラン選手をスタメンから外してベンチに下げるべきでした。無論、そういうことをきっちりやっていても、選手の故障は100%避けられるわけではありませんから、故障自体を工藤采配によるもの。100%工藤采配の責任・犠牲者だと主張するつもりはありません。が、監督として絶対にしてはならない特定投手の依存・酷使や「すきあらば~~継投」という起用法をしていた。勝ちも同点も負けのケースも関係なく役割を無視して、とにかく投げさせまくるという投手起用をしてきたのですから、責められて当然でしょう。故障の責任の一つに、間違いなく工藤公康の無茶苦茶な投手起用が背景にあった。現代ペナントレースの常識・セオリーから大きくハズレた選手・コマの使い方をしていたのですから、指揮官に責任があるとみなすのが普通。因果関係をまるで履き違えている。
 投げさせる必要もないのに、すべての試合を勝ちに行こうとしてすきあらば岩嵜を投げさせた。勝ちパターンでも同点時でも、ロングリリーフでも先発でも役割を無視してとにかく投げさせた。現代野球のセオリーからまるで考えられないような使い方をして、翌年少し状態を落とした。それでも岩嵜の起用や他のリリーフ酷使を改めず、サファテがブチ切れたのは周知の事実。
 一部で選手が監督に逆らった、サファテの造反のように報じられましたけど、そんなの当たり前ですよ。あんだけバカみたいに投げさせられれば状態を維持できないし、壊れてしまう。現場が悲鳴をあげて当然。黒田の影響でバカみたいに「男気」という言葉が使われて、サファテがこれ以上岩嵜を投げさせるなら自分が投げると直訴して、サファテの「男気」!みたいなバカな報道がされていました。が、しかし、これは男気でもなんでもなく、使い潰される年下の後輩たち・リリーフ陣の状況を黙って見ていられなかったからですよ。いついかなる時でもペナント終盤のようなブルペンフル回転状態なんですから、リリーフ陣がパンクするのは目に見えていましたからね。先発を引っ張るのも一つの手だと婉曲に表現しましたが、全部の手ですよね。とにかく先発をすぐに下ろしてリリーフに頼りすぎるという悪癖がある監督なので。
 そういう事情があったのにも関わらず、工藤は「サファテと直接話をした。そういうことを言わせてしまって申し訳ないと思っている」などとコメントをして、反省した素振りを見せながら、起用法は一切変えないままでした。ジャック・バウアーのモノマネでもしたかったのかな?という意味不明な対応でお茶を濁しただけで、現場の悲鳴を事実上無視しました*4
 そんなことをしているから岩嵜もサファテも壊れてしまうわけですね。そして翌18年には、その穴を一人一殺継投(1つのアウトをとるのに一人のピッチャーを使う)というバカなやりかた、更に投手酷使戦術を採用して、リリーフに負担をかけたのですから、120%以上、リリーフ崩壊・不安定化は工藤公康の起用法にあります。加治屋が良くなった。上で使えるようになった!!となったら、すきあらば加治屋継投で、加治屋を1年で使い潰した。石川が良ければ石川―と何枚ピッチャー壊したら気が済むのかという体たらく。

■リリーフ再建・世代交代という喫緊の課題を無視する監督が名将?

 毎年毎年、去年リリーフの酷使のツケで今年のウチは優勝争いできないとペナントレース開幕の前に思わせる采配をしてきたのが工藤采配。そんな采配・酷使継投を見て、よく名将だなんだと言えるものだというのが正直な感想ですね(まあ、ろくに見てないからこそ、そういう妄言が平気で出てくるのでしょうけどね)。今年はまず優勝争いできないというリリーフ状況・事情だった。そしてそれに加えて野手の高齢化が深刻化していた。世代交代を図る必要性が前々から言われていながらも若手野手を試さないから、全く世代交代が進まなかった。
 今に始まった問題ではなく、秋山政権時代から内野全般において次のレギュラー、後釜を探さなくてはならないというチーム事情・課題がありましたからね。秋山政権時代は、それ以上に投手陣、先発の駒不足が深刻だったのでそこまでクローズアップされませんでしたが。さらに今宮・晃・柳田が出てきたばかりで、松田・内川もバリバリ打っていて、そこまで世代交代を!という必要性も感じられなかった。まだまだ課題を先送り出来る時代でしたから。
 捕手細川の後釜を―、二塁手本多の―、そして今は三塁手松田と一塁手内川の後釜ですね。甲斐はキャッチャーとしてリードがダメ、暫定セカンドの牧原は守備範囲が狭くて使えない。セカンド・ショートによくいるタイプの1・2番バッターとして繋ぎや盗塁が上手くてテーブルセッターの役割を果たしてくれるというタイプでもない。遊以外の、一・二・三・補と全てのレギュラーで問題を抱えているというのが今のホークスのチーム事情ですね。
 世代交代もそうなんですけれども、ポイントとして重要なのは守備力ですね。ホークスというのは石を投げればゴールデングラブ選手に当たるというくらい内野が鉄壁だった。内野の守備を重視するチームだった。それが年々、内野の守備力が劣化していっている。ゴリゴリゴリゴリSAN値のように毎年毎年削られていってるというのはものすごい深刻な問題。黄金時代のホークスを支えているのはこの守備力なのに、それが最早どこのチームと比較しても大差ないくらいの守備力になってしまっている…。まあ守備を軽視する監督なので次世代の内野のレギュラー陣もドエライことになる気はしますね…。
 今のホークスというのはまともにセカンドを守れる選手がいない。これは非常に頭が痛い問題であると最後に指摘しておきたいと思います。本多が1・2塁間の打球をさばいていた頃に比べると天地の差がある。川島も牧原も、三森も周東も誰もろくに守れない。バッターがセカンドに打球を飛ばしたとき、「よし打ち取ったな」と思ったら全部打球が抜けていく。「何だみんな守備全然ダメじゃないか…。こうなったら明石しかいないな」と思ったら、明石でさえも捕れない。今や明石の守備範囲も衰えてしまって打力に目をつぶって明石で!という選択肢も取れない…。大事な内野の守備にオプションが決定的にかけているのが今のホークスです…。
 短期決戦で守備を重視して本多を!という一時期のようなことはもう出来ない内野事情があるわけですね。せいぜいバックアッパーの高田にやらせるくらいでしょう。バックアッパーなんで今宮が怪我をしたらもうどうしようもない状況になります。今のホークスというのはそういうチーム、危機管理の欠片もないチームですから、何らかのアクシデントが起きれば、一気にチームがガタガタっと崩れるチームになってしまっています。そんなチームなのに上手くアクシデントを乗り切ったと評価するとはこれいかに。むしろアクシデントを招いている招き猫にしか思えませんが…。

■優勝よりも数年先を見据えたチーム作りをすべき

 リリーフ再建・世代交代をしなくてはならない。そういうチーム事情もあって、中村晃が病気で離脱し、柳田も故障でいなくなったところでファンの間では「今年の戦力では優勝はもう無理だから、諦めて育成に切り替えるべきだ。無理して優勝を狙うよりも来年・再来年、将来を見据えた采配に切り替えて」という声が日に日に高まるという状況でした。シーズン序盤5月頃に首位を走っているときは、どうしてウチが今首位なの?と言われるくらい戦力が足らない・チームが整備されていない状態だった。今年はホークス同様、他所のチームも戦力を整備しきれないという事情があった故に、選手が揃わなくてもひょっとしたら今年も棚ぼた的に優勝できるのでは?という気持ちが芽生えるものの、やはり変に欲張ったりせずに、やはり優勝はおいといて若手の育成を、若い選手を起用してください。世代交代をメインでお願いしますという声は根強かった。
 が、しかし、そんなまっとうな意見はなんのその。目先の勝利にこだわってルーキー甲斐野をフル回転、リリーフ酷使を改めることはありませんでした。どうしてウチが首位なんだろう?という謎の背景には、甲斐野ら新戦力をフル回転・酷使したという要素が大きいですね。無論、先発柱となる大竹・高橋礼が出てきてくれたおかげでもあるのですが。
 繰り返しますが、今年はまず優勝争いできないというリリーフ状況・事情だった。それを可能にしたのはルーキーで甲斐野という当たりをドラフトでとってこれたから。他にも泉や椎野というルーキー*5で使える投手が出てきたからですね。
 これで勝ちパターンを構築できるかな?リリーフ層を厚く出来て今後数年先、長い将来も見据えて後ろを安定させる土壌ができたかな?という再建の序盤の段階。酷使のツケがたたった上での投手陣崩壊という近況があるのにも関わらず、勝利よりも投手陣の再建を重視して今年は戦わなくてはならないのにも関わらず、またバカみたいにルーキー達を投げさせまくるという有様。甲斐野が森並に頑丈という特性を持っていない限り、近いうちにまた壊されるでしょう。加えて、そういう采配をする監督ですので、またリリーフ陣を破壊して、大事な終盤に勝ちパターンが崩壊して、バカみたいに大逆転負けをするんでしょうね。ドラフトの成功・補強ありき、戦力ありきの前提でしか采配出来ないタイプの監督ですので。
 チームにとって大切な即戦力ルーキー・中継ぎエース候補を、身体の出来ていない1年目にフル稼働で、65試合も投げさせていますからね。まあ高い確率で、またすきあらば継投で壊されると見ていいでしょう。高い確率で第二のスアレスになるでしょうね。

■2019年だけでなく2018年も見切りをつけられなかった

  名将というのならば、勝てないとわかったら、コレ以上は選手を壊すだけ、消耗させるだけだから撤退の道を選ぶもの。どんなに悔しくても、勝ったときの戦果が大きいものだとしても、不可能だとわかったら撤退するもの。敗北を甘受して次に繋げるもの。見切りをつけられずにズルズルズルズル無駄な戦いを続けるから、選手を壊す。だから前評判が高くても優勝を逃すし、大逆転負けを食らうことになる。捨て試合や捨てシーズンを作れないからこういうことになる。
 これは去年の2018年も同じ。自身の采配の無謀さで岩嵜・サファテを壊して勝ちパターンを崩壊させた。789の必勝リレーが成立せずに、ペナントを戦うことが難しいとわかったら、もうスッパリ見切りをつけて来年を見据えるべき、来年に切り替えるべきだった。2016のように先発の柱がしっかりしているとでもいうならともかく、東浜が6月に離脱。この時点がもうデッドライン。ここでこの年は見切りをつけるべきだった。
 どう考えても千賀・バンデンハークの二人だけでは先発を回しきれない。この年の千賀が180イニング投げてくれるような絶対感があるかと言えばそこまで期待できるかわからない状態。現にこの年は22試合の141回。イニングを食ってくれるか、そうでなくても投げる日はほぼ負けない。絶対チームに勝ちをつけてくれるというわけでもなかった。千賀を中心に計算できるという程ではなかった。この時点でもうアウト。どう考えても優勝までの計算・目処が立たない。
 他に柱で計算できそうな投手は石川くらい。しかしその石川を先発で固定すればロングリリーフや勝ち継投の投手が足らなくなる。しかも、武田がこの年からよくなくなってしまうわけですね(エース候補と言われていた武田の不安定化でホークス先発陣は一気に計算が立たなくなっていきます)。この年の武田は完封以外は負けるという謎の投球をしていました(先発成績は確か3勝9敗)。
 他に計算できそうな先発は見当たらなかった。柱とは到底言えない、投げてみないとわからないタイプの中田がいたので、いくらでもどこまでも投げられるという特性を持つ分、負け覚悟でとにかく中田を引っ張って、この日はリリーフを休ませて確実に勝てる試合だけにリリーフを使って勝ちを拾っていくという戦術もあった。がそういうペナント全体の流れを見据えた判断もできない。中田だから信用できないと、良いピッチングをしていたのにも関わらずにファーボール1つ出しただけで謎の交代というのもありましたしね。
 来年・将来を見据えて戦うが、確実に勝てる試合は拾っていて、終盤上位が潰しあったところで、一気に勝負をかける。万一の時、優勝が狙える状況が来たときには勝負をかけられるようにしておいて、それまでは休養と育成をメインにしておく。あくまで来年・再来年の将来を基本線にする。そういうことをちゃん出来るのが名将というもの。思いがけない幸運が舞い降りたときに限ってだけ、不十分な戦力でも優勝を拾いに行くもの。優勝を狙える戦力ではないのに、身の丈に合わない戦果を手にしようとするような戦い方をする。温存をするからこそ終盤思いがけずに勝てる、優勝を拾うことも可能となるが、そういう選択肢が根本から存在していない。
 温存という選択肢とは逆に、いつでもエンジン全開フルスロットル。何も考えずにピッチャーを使い潰して、将来のリリーフエースの芽を摘むような戦い方をする監督のどこが名将なのか?撤退という選択をせずに、欲張って被害を拡大させる。全滅の憂き目に遭う。2018年か2019年のどちらか一方は必ず優勝よりも育成をメインにするべきだった。どちらか一年は育成シフトをしなければいけない年だった。育成10:勝利0という極端なバランスでなくとも、5:5だったり、6:4という割合でも勿論良し。しかし、そういう育成の割合を増やすということもしないから、去年も今年も大事なところで競り負ける。チームにとって何のプラス材料もないままただ負ける。何の収穫もない下手くそな負け方をする。優勝を狙うのに難しい戦力・状態になっても方針を柔軟に変えることが出来ない。どんな状況でも、優勝を狙えるチーム状態のような戦い方をするから、翌年に稚拙な戦い方のツケが回されることになる。チームを率いるごとに選手が成長・新人が台頭して来て強くなるどころか、年々選手が抜けて弱くなっていっている。優勝できそうだったから育成より優勝重視したというのならば、当然最低限の戦略目標である優勝を達成しろという話になってくる。育成を犠牲にして、ベテランの休養・調整を犠牲にして、勝利を追求したのにも関わらず優勝できず、チームは消耗する。これで一体名将と言えようか?いや言えない。

■育てながら(≒壊しながら)勝つ

 工藤監督というのは以前書きましたけど、確かに投手を育てる監督。育てながら勝ってきた監督でした。育てながら勝つというのは采配を行う上で理想とされる一つのものですが、彼の場合は更にもう一つ言葉が加わって、そこに「壊す」という要素が加わります。育てながら壊しながら勝つ。育てながらかつ、壊して勝つ。育成かつ酷使破壊というセット・抱き合わせ販売という監督。かつ勝つ野球をする監督なので、いつだって采配もカツカツになるのです。工藤という監督・工藤采配というものを見る上で、こここそが絶対に見落としてはならないポイントになるわけですね。
 いついかなる時も勝利に全力。シーズンを見据えた戦略も計算もあったものではなく、全部その場しのぎ。その時その時のことだけしか考えない。なので、優勝する時というのは、選手が壊れなかった時だけ&対抗馬の競争チームがこちらの戦力を下回った時だけ。先行逃げ切りで逃げまくって、追い込み型の馬が追いついてこない時だけということになります。
 壊そうがなんだろうが、その年優勝できればそれでいいという長嶋ジャイアンツ野球理論が受け入れられる人はそれでいいのでしょうけども、その年優勝した翌年&さらにその次の年も、必ず優勝できなくなるというソシャゲの強化合成みたいな代償を支払う必要がある野球なんて普通は見たくないはずです。毎年安定して優勝争いどころか優勝を見たいファンはそんなナンセンスな采配を見たくないはずです。
 指揮を取った5年間全て優勝できると思える戦力を誇りながら、たった2回しか優勝できなかったのは、ここに原因があるわけです(吉井がいた時を除けば、吉井放逐後は4年でたった1回ですからね)。先を見据えたら、良い投手をつぎ込んで勝ちを確実に拾いたいのは分かるが、我慢しないといけない。そういう我慢ができずにやったらめったら投手をつぎ込んで酷使するから、シーズン終盤失速する。そして大事な試合で競り負ける。工藤政権・采配の優勝の逃し方は全部一緒ですからね。学習能力ないのか、お前は!と言いたくなる玉砕采配。同じ失敗を何度でも繰り返す旧大日本帝国軍を連想させるものがあります。
 一年目は吉井がいたために、寺原や仁保の故障などは工藤は無関係と言えます(適切な間があって決して無理なペースで投げていませんでしたので)。が、シーズン二年目からはサファテ5連投という狂った継投に始まり、スアレスが酷使されて潰されていきました。ホールドのリーグ記録を樹立し、日本記録の17連続ホールド記録を達成したバリオスが本来勝ちパターンを担うはずでした。本来、バリオスがサファテの前を投げる予定でしたが、去年の故障(不調?)の影響もあり、結局使えないとわかると代役に白羽の矢が立ったのがスアレスでした。
 スアレスの数字を見ると、58試合で53イニング。言われるほど酷使か?と思う数字でしょう。が、実は彼は実質プロ一年目の投手でサファテの後継として発掘されてきた存在だったんですね。つまり将来のための育成枠の投手だった。そんな育成段階の投手を、身体の出来ていない投手を、いきなりプロで通年投げさせたのですから何をか言わんや。
 このときは確か25歳くらいで、未完の大器として素材として取ってきた存在でした。そんな選手を上で投げさせること事態が論外。社会人ルーキー・社会人1年目と考えれば、それくらい投げておかしくないだろうと思うものでしょうが、彼は草野球あがりというド素人だったんですね。日本の高校野球大学野球・アマチュア野球を一切経験していない。向こうのアマチュア野球をやっていたと言いますが、草野球をしていて普段は建設作業員だったという経歴の持ち主です。日本の社会人野球のようなそれと比較するのは無理がある環境で野球をしていたわけです。プロとしてどころか、プロ以前の経験すら怪しい。メキシカンリーグでいい成績を残して*6、ホークスが声をかけたという流れのようですが、これまでの経歴を見れば、通常の外国人枠とは違い、野球経験自体が乏しくアスリートとしての体が出来ていないし、まともに一シーズン高いレベルで野球をし続けたこともないわけです(メキシカンリーグがレベルが低いという意味ではなく、日本の一シーズン=長い期間やり続けたことがないということです)。
 通常、日本に来る外国人選手というのは30歳前後の完成品が来るわけですが、彼は年齢を見て分かる通り発展途上の選手。これまでの外国人選手としては少し違うタイプの選手・経歴だったわけです。そういう若い未完製品・未完成素材枠を取ってきたのは、じっくり経験を積ませて将来のサファテの後釜として長くクローザーとして働いてもらうために、素材として取ってきたということです。そのような5年先を見据えた逸材をたった1年で使い潰してしまった。もし3~4年長いスパンで体作りを主軸に、たまに上で経験を積ませるために投げるくらいだったら…。まずはしっかり身体を作ることをメインとしていれば…。一から体作りに精を出していたら今頃クローザー・守護神に困ることはなかったと考えられるわけです。そんなサファテの後釜がなぜそのサファテ本人よりも早く退団しているのでしょうか…?これは一体どういうことなんでしょうねぇ?
 勿論、うまく言ったらの話であり、必ずしも育成・守護神化が上手くいかないストーリーもありえます。が、本来フロントはそういう戦略・ヴィジョンで考えていたはず、それを潰してしまった。3年先・5年先の計画を現場が無茶な使い方をして壊した。これは間違いなく首脳陣の責任問題になる。その責任を一体誰が取ったのか、こういう暴挙を何故許したのか?その過失の追求は徹底的になされなくてはならない。が、この点での責任が追求されることも当然ないわけですね…。
 面白いことに、どうせスアレスもバカみたいに3連投させてるんだろうなと振り返ったら、実は3連投が一度もないんですね。発展途上の選手である故に、3連投させないという方針があったんでしょうね。しかし連投がリリーフにとってまずい!タブーだ!という意識がありながら、3連投・4連投ためらわない継投をしているのはなぜなのか?成長途上の選手で身体作り段階の選手でも、3連投さえさせなければなんとかなるだろうという甘い考えを持っていたことが理解できますね。58試合で53回という中途半端なイニング数になってるのも森福ワンポイントのあとで使われたりしたからですね。そんな中途半端な使い方をせずに登板試合数自体をもっと減らすべきでしょう。先発は武田・千賀・和田・東浜としっかり柱があって、森・岩嵜・サファテと勝ちパターンもしっかり構築できる。スアレスが30~40試合でも全然困らないシーズン。そんなシーズンで一体何をやっているのか…。それで優勝もできない、CS突破も出来ないとかさすがの名将(笑)ですね。

■クラッシャー工藤・破壊神クドーの犠牲者ースアレス・岩嵜・サファテ・石川・モイネロ・加治屋・二保・東浜・武田…

 この年はスアレス・岩嵜・サファテ。そして翌2017年は石川・モイネロがこのクラッシャー工藤・破壊神シドーならぬ破壊神クドーの標的になります(自動回復で回復するのは自分だけ、選手にベホマをかけるヒーラー要素は何故かこっちの破壊神には備わっていません)。同じく1年目で23歳のルーキーモイネロを3連投・4連投・3連投と惜しげもなく使い続けます。いかに野球大国キューバから来たとはいえども、大卒1年目か2年目程度の選手。上で投げることよりもプロの水になれさせること、身体作りから初めて、徐々に実戦経験を増やしていくというのがセオリー・本筋です。が勿論、選手を育てる上での基本を守るつもりはかけらもありません。身体の出来ていないうちに、疲労や故障対策も知らないうちに酷使をすれば思わぬ怪我を招き、その怪我が選手にとって致命的なものになりうるという発想はないのでしょうね。翌年、投げればまず抑えてくれるという安心感はなくなり、防御率は2点以上悪化し、抑えたり打たれたりの不安定な投手になってしまいました。
 2018年は加治屋。そしてこの年に故障が完治していない二保をピッチャーが足らないからと無理やり投げさせるおまけ付き。まだ完治もしていない投手を無理やり投げさせるなんて…。ムチャクチャにもほどがありますね。
 今年はモイネロが復活してくれたこと、甲斐野が活躍したこと、森が一時期の球威をなくしたものの、見事なコントロールPとして再生したこと。これによって勝ちパターンが安定をしました。森の長年の活躍、ホークスリリーフを支え続けてきた働きを考えると、本当に素晴らしい投手であるということが出来ます。が、裏を返せばここまで投げ続けてきた森は、今年一時離脱もあったようにいつ壊れてもおかしくないわけです。
 リリーフが故障しないように投手コーチが支える。投手の肩を守るというストッパー機能が壊れてしまっているチームなので、誰かが離脱して回らなくなるということは常に想定されますね。来年、3人全員いなくなって、勝ちパターンどころか同点・負けパターンすらもなくなり、リリーフ防御率が最下位を驀進するなんていう事態に陥っても不思議ではありませんね。
 今はもう2度も3度もブルペンで肩を作るな!というセオリーが生まれてきていますが、そんなセオリー知ったことではないでやってきていますからね。メジャー帰りの五十嵐・岡島はメジャー流で肩を1度しか作らなかったし、吉井も1度しか作らせなかった。リリーフ陣を適切に管理しているときもあったわけですが、今はもういつでもいけるように、投手コーチは監督の言いなりでやたらめったら肩を作らせて平気の平左ですからね。
 嘉弥真が契約更改でブチギレていましたけど、当たり前ですよね。馬鹿みたいに何度も肩を作って準備して投げさせられているのに、ワンポイントだから&実際投げてないから査定には関係ないみたいなことを言われれば、じゃあ何のために毎試合・毎試合肩を作って準備してるんだ。無駄に投げているんだって話ですから。だったらワンポイントじゃなくて1イニング投げさせてくれよって話ですからね。地元・沖縄でのハレの凱旋試合で投げたいあまりに4回位肩を作ってアピールしていたらしいですが、それでも投げさせてもらえなかったという記事を読んだときには、涙不可避でしたね。涙そうそうです。いつもどうでもいいときに投げさせられて、こういうときに投げさせてもらえないというのは一体どういうことなんでしょうかね?
 リリーフは惨憺たる有様でも、先発・ロングイニングを食える柱を育成してくれればいいのですが、結果はこちらもひどい有様。手掛けてきた東浜は故障して、去年の8月頃の故障明けからQSするのがやっとの6回までの投手になってしまった。そして今年は言わずもがな、5回投げるのがやっとで7試合投げて今季絶望コース。先発・東浜の場合は、酷使して壊すということはありませんが、育てはしても結局故障させてしまっているんですね。故障を見抜けない・予防できないという範疇の話であり、工藤が潰したというカテゴリーではありません。上手く使いこなせない・育成しきれないという類の話です。先発の育成・起用について、壊さずかつ勝利し、見事に管理仕切るという手腕があればまだ評価されるべきなんでしょうが、当然そういうプラス要素もありません。
 武田は2016年に180イニング以上投げ、先発の柱として目処が立ち、これで千賀・東浜と3本柱でチームも安心安泰!―そう思えた年のあとは先発としての役割を果たせない不安定な状態が続く有様*7。そして今年のペナントの終盤、右肘に違和感があるという状態で無理やり投げさせて挙句の果てに手術で完治4ヶ月だとか…。
 ホークスだけポスティングを認めないというのが話題になりましたが、ポスティングで今180イニング投げる千賀が抜ければ、大黒柱が抜けて家屋倒壊する状態ですからね。リリーフどころかもう先発でさえも崩壊するという有様ですから、そりゃ認められないですよね…。
 千賀がFAで抜ける頃にはもう工藤政権も終わっているでしょうが、そのときには果たして投手陣がどうなっているのか…。育成以上に破壊する監督なので、適切に管理してシーズンを戦うことが出来ない監督なので、遠からず投手陣は破綻すると見ています。それ以上に下がいい投手を供給できなければ、長嶋ジャイアンツよろしく毎年のように外から投手を獲って補強しなければ、必ず投手陣は崩壊、チームも低迷するでしょう。そのときになってこういう名将論者は一体どう弁解するのか聞いてみたいものですね

■監督は選手に嫌われる必要がある論についてーんなこたぁない

 ③選手との特定の距離を保つため、適切な距離感・人間関係を作るために選手と距離があった―???これもホークス報道を見てきた人には周知の事実。コーチや選手に自分の野球理論を頭ごなしに上から押し付けるから嫌われた。挙句の果てには吉井、達川、鳥越とコーチを次から次に放逐*8。結果、工藤政権二年目に吉井追放の煽りを食らってファイターズに歴史的逆転負け。五年目の今年は、鳥越追放。そこに細川・吉井が加わって、ロッテに歴史的負け越し。それが響いてライオンズに逆転負けをくらったというていたらくですからね。自分のイエスマンだけで組閣して工藤カラーで組織を塗り替えた結果がこのザマです。適切な距離感というのはイエスマンを作ることを意味するのでしょうか?自分に従わない人間を拒絶し、自分の言うことを絶対化することが適切な距離感というのでしょうかね?それで勝てればともかく、確実にどんどん成績を落としていっているわけですから何をか言わんや。後述しますが勝率も急落し、リーグ優勝にも失敗。それでよくもまあ名将だ何だと言えるものだと呆れますね。
 廣岡氏が監督がいい人だと思われたらろくなことはないと、投手に手取り足取り指導して嫌われることも辞さない工藤を褒めていましたが、完全に的外れですね。ヤクルト西武時代にナインを敵に回したが勝っていくうちについてくるようになった。結果が全てを正当化した自身の体験を引き合いに出していますけど、弱小チームの立て直しと元から常勝チームのホークスではケースが違いすぎます。何より今と昔では人との距離感・関係の築き方が大きく異る。そんな昔の人間関係をベースにした事例をあげても、適切な例えにはならない。そもそもバレンタインを招聘したロッテでは、一年で組織が破綻してしまったのに、一体何を言っているのか感が強いですね。*9
 それに嫌われるようになったのは2年目から、何でもかんでも自分でやろうとして、口出しして越権行為を繰り返したからですからね。コーチの領分にまで口出しして勝手に2・3軍の選手の打撃指導をし出して呆れられた。既存方針の指導法とまるで違う打撃を、コーチを無視していきなり直接選手に指示して、現場のコーチや選手を混乱させるというコーチングのタブーを犯した。打順や作戦指示で藤井コーチと衝突したり、コーチの言うことを無視して自分勝手にやりだしたからまずコーチ達に呆れられ、コーチ達に嫌われたわけですからね。それに伴い選手たちもファイターズにじりじり追い上げられるにつれて、あたふたしだしたから監督に不信感を抱きだしてチームも混乱していったわけで。
 優秀なコーチは持論を曲げない生き物だから衝突するわけですね。優秀なコーチはいなくなるし、無能な(もしくは毒にも薬にもならない平凡な)コーチしか残らない。現代野球は優秀なコーチを使いこなせない限り常勝チームを築くのは難しい。選手をかき集めて、その単年・シーズンだけ異常に強いというチーム止まりになるのが関の山。名将とは例外なく優秀な部下の重要性を理解し、その部下を使いこなすもの。そんなこと言うまでもないあたりまえのことでしょうにね…。監督・コーチの言うことを選手が聞かずに困るというのはよく聞く話ですが、監督が持論を押し付けて選手どころかコーチと衝突して揉めるというのは、一昔前ならともかく近年なかなか聞かない話ですよね。
 だから去年も今年も防御率最下位というチームに優勝をさらわれるんです。何でもかんでも自分でやろうとしたって膨大な仕事をこなしきれるわけがない。どんなに優秀で、あらゆる仕事をしっかり把握できて適切な手を打てる人物だとしても、結局時間も体力も足りなくなって仕事を処理しきれなくなる。パンクするに決まってる。そうなったら、意見を聞いてもらえずにいつも上から命令されるだけの部下はそらみたことか!と反発するに決まってるでしょうね。部下の信頼を得られず上手くコミュニケーションがとれない組織がうまくいくわけないでしょう。人心掌握術・部下の操作術がダメダメな上司を、部下を上手く使って組織を上手く動かせない・マネジメントできない上司を、「あの人は優秀な上司だ。優れた指揮官だ」と認めてくれる世界がいったいどこにあるというのでしょうか?
 名将というのは優秀な部下、コーチや選手をリクルートしてきて(監督が直に動いて雇用するというのはちょっとアレですが言葉のアヤということでスルーしてください)、それを上手く使いこなすもの。組織を見事に機能させるものでしょう。組織を破綻させた指揮官が名将とは片腹痛し、へそで茶を沸かしてしまうってなもんですね。去年・今年とCSファイナルを突破出来たのは単なる偶然。CS直前に選手のコンディションが整ったのもそう。事前のプランニングの結果ではない。たまたま上手く流れがきた、ハマっただけです。遇機を以て、運に恵まれたことを以て名将だなんだなんて、へそで茶どころかコーヒーも紅茶も、青汁もミルクココアもタピオカミルクティーも沸かせてしまいますよ。

■3連覇した監督は史上5人しかいないから名将?

 ここからリンクの二本目(工藤公康は歴代名将を超えたのか?)の方に書かれている話に移ります。④とすべき事の程ではないので、サラッと流しますが、野村理論に投手と外野手は監督に向いていないというものがあり、工藤公康はそれに当てはまらないという話があります。が、たった今指摘したとおり、彼は投手特有の性格、ものすごいワガママなタイプで自己本位的な上司なわけですね。故に野村理論は適切だったと言えるでしょう。巨人の藤田監督、中日→阪神楽天を歴任した星野監督という、ごくわずかの例外を除いてこの野村理論は適切なものだとみなして良いでしょうね。
 ④日本シリーズ3連覇の監督は過去5人しかいない。故に名将である―①に続く話であるが、勿論No。そもそもなんですけども、日本シリーズというものが価値をなくしているということ以前に、長いプロ野球の歴史で現代野球・近代野球と、少し昔の野球は全く違う別物と言っていい。時代背景の変化で、テクノロジーなどの変化でレベルが違う。一流どころはともかく、昔は一流以外ガクッと選手レベルが落ちるという時代。選手層がかなり薄く、今と比べると選手層に格差があった。今と昔の野球では、比較対象として適切であるとは言えないもののほうが多い*10。現代のHRバッターを、王や野村ほどHRを打ってないからスラッガーとしては二流・三流というようなものでしょう。
 長い歴史から見て、比類なき偉大な実績であるという事実をもってして、名将云々というのはケースバイケースですが、あまり意味がないと思われます。まあ何よりもCSという制度がない時代のほうが長いですしね。ライオンズ時代の3連覇×2や、11年で8度の日本一など素晴らしい実績があり、間違いなく強いチームだったと思います。が、それだけ圧倒的に勝ち続けられた裏にはパ・リーグが崩壊していた。他のチームが弱かった・戦力を安定して整えられるチームが少なかったという事情もあるわけで。
 そういう事情を考えると、逆に今のホークスの3連覇の価値は高い。よりいっそう難しくなった現代のプロ野球でそんな事ができるなんて素晴らしい!と主張することが出来るのですが、やはりリーグ優勝をしていないので、参考記録・指標にしかなりえないと思います。CSからの勝ち上がりで日本シリーズに出れるという制度があったなら、他にも3連覇を達成できたチーム・監督はいるだろうと考えて、まだ優秀な指揮官だと評価を与えるのは早いと考えるべきだと思いますね。20年か30年かわかりませんが、もっと時代が経ってから初めて比較対象となって参考にされるべき話であると思います。
 今回で終わるかと思ったら、予想以上に描きたいことが出てきて全然終わらないので続く…。次回でなんとか終わりたい…。続き→続、反工藤公康名将論 工藤監督・采配のトリセツ

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*1:戦力差歴然…日本一の戦いふさわしくない/和田一浩 - 評論家コラム - 野球コラム : 日刊スポーツ

*2:※余談ですが、このような状況を見ればセはDHを導入して当然。むしろ遅すぎて今まで一体何をやってたんだ!という話なのに、原監督のDH制導入論を4連敗・スイープの言い訳のように受け止めている意見がチラホラ見られました。彼我の実力差は歴然、3リーグあって1つのリーグだけが弱いというのならばまだしも、2リーグしかないNPBではこれは死活問題。にもかかわらずこういう現状を放置して構わないという意見・主張には驚き呆れますね。なぜセ・リーグサイドには危機感がないのか…。ファンも巨人や原を叩いている場合ではない!一刻も早くパ・リーグに追いつけ!追い越せ!で改革を進めなくては!という声が聞こえてこないのが不思議でなりません。

*3:2018ホークスのチーム崩壊の話、崩壊はヴィジョン・育成・組織論理の欠如故の当然の帰結

*4:岩嵜は、2017年の成績を見ると3連投4回もしていますね…。内3回は移動を挟んだ上での3連投という更に疲労がかかるモノ…。優勝決まった9月にもロッテ相手に3連投しているのとか頭おかしいですね、本当

*5:椎野はルーキーというか2年目の若手ですが、ほとんど試合出てなかったのでルーキーみたいなものなので

*6:メキシカンリーグを見ると、110試合制。そこで43試合投げていますね。つまり日本の野球の1年というか1シーズンに及ばない期間しか投げていない。通年でプレーした経験がない投手ということですね

*7:おそらくこれもWBC(WBSC?プレミア?)開けなのに休養を挟まずに投げたことが影響しているんでしょうね。

*8:自分の考える野球論やトレーニング法に従わない細川、摂津、大隣などベテラン選手とも衝突してましたね。そういえば。一番最初の犠牲者は松中ですが、まあ松中はね…。微妙なケースなんであれですけども。
 関係ありませんが、余談として帆足や中田などもはや一線級の力はないが、使いようによっては戦力になるかもしれないというベテラン選手をあっさり見捨てるという悪癖もあります。自分が手掛けた選手ならともかく、そうでもない単なるベテランに目をかけて最後の花道を飾ってやろうとか、少しでも輝けるように状態が上がったら使ってやろうとか、そういう温情を選手にかけるタイプではありません。長嶋監督よろしく、一度使い物にならないと見きったらもう二度と使わない。そういうタイプの監督ですね。
 選手のために監督が何が出来るか?選手に何かをしてあげるという思想を持つのではなく、監督のために選手が何をしてくれるかということを考えるタイプです。つまり自己中心的なタイプの監督。辛抱強く使えるようになるまで待つとか、選手に目をかけて最後まで見守る・決して一時の不調や失敗で見捨てたりしないというタイプではありません。ですので、ちょっとでも期待はずれだ、使えないとみなすと情け容赦なく切り捨てます。
 自分が戦力になると思う一流の選手以外は軽んじるタイプの監督であるので、なかなか実力が伴わない選手・未知数な若手を使うのをためらうわけですね。2016年のシーズン危機管理上、経験の浅い拓也を上で使って試さないといけないのに試さないとか、加治屋が使えると分かるまでテスト登板を何回もしたり、新人を信用するまで時間をかけるように、若くてまだまだ使い物にならないだろうという選手に星野監督のように大胆にチャンスを与えるようなことはしない。起用に臆病なタイプであることがわかりますね。

*9:日本シリーズ、甲斐拓也を見直した/廣岡達朗コラム―これなんですけど、なんというかまあ、いつものことなんですけど、巨人をサゲたいがために色々理屈立ててますけど、因縁付けの嫌がらせに近いですよね。大田育成失敗のときも、大田がレギュラー競争に負けたという当たり前の事実を無視してましたしね。
 無駄な補強は必要ない、何でもかんでも選手を取ればいいってもんじゃないという主張には賛同できますが、それを言いたいがためになんでもかんでも巨人下げ・否定をしていますよね。選手育てられるから、いつ出て行ってもらっても結構だなんていうチームじゃないですよ、ホークスは。
 3連覇したからリーグ優勝逃しても良いみたいなことを出だしで書いてますし、原監督のDH制導入を負けた言い訳としているのも見当違いも甚だしいですね。単に現巨人とその組織の長である原監督を叩きたいだけでしょう、これは。DH制がないならば、投手がヒットを打てばいいじゃないみたいなマリー・アントワネットやってますけど、現実的にそんなこと無理でしょうよ。打撃練習に時間を割けば、その分投手のレベルが下がるだけだし、投手の故障リスクも上がる。一方がDH制を採用した以上、もう弱い方はDH制を採用する以外道はない。そんなこともわからないんですかね?
 甲斐のリードについてもまあシーズンは間違いなく見ていないでしょうね。日本シリーズのリードは確かに別人のように良かったですけど、果たして本当にオプションがあったか疑問ですからね。千賀と礼がうまくインコースに投げられたから良いものの。では、もし投げられる状態じゃなかったらどうだったか?投手が悪いときにどういう他の組み立てで打線を封じることが出来ただろうか?と言われると…うーん、ですからね。

*10:昔はショートよりもサードのほうが守備の役割が大きかった・重視されていたとか今の人はまず知らないでしょうからね。当然そんなこと知る由もなく、長嶋がいくらすごいと言ってもサードだからなぁと思っていましたからね。守備がうまいと言ってもサードだし、上手かったらショートやってるでしょ?と思ってたのを、教えられて初めてサードが重要という時代があったことを知りましたからね