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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

2019ホークス <続・ホークスは短期決戦に弱い論>リーグ優勝を逃しても三年連続日本一だから工藤公康は名将?否、愚将・迷将の類である

―ということで、続けて福岡ソフトバンクホークスは未だに短期決戦に弱いThe風物詩チームであるという話です。
2019ホークス パCS優勝、短期決戦に強いホークス?No、ホークスは短期決戦に依然弱い。スイープはライオンズがもっと短期決戦に弱かっただけ
続、2019パCS ライオンズがスイープされた理由 短期決戦に弱い理由①打撃・攻撃重視②リード軽視③CS現行制度の欠陥④若手投手陣=ベテランの欠如
 この二本の続きになります。既に先走ってちょいちょいホークスの話を書いてしまってますが、ライオンズが短期決戦に弱い理由をこちらで解説しました。では、ホークスはどうなのか?ホークスも同じ。未だに問題は変わっていない。短期決戦に依然弱いままのチームである。そんな話を前回・前々回でチラホラしました。
 んでまあ、過去にいくらでも工藤采配というかホークスの組織としての問題を既に拙ブログで指摘してますので、過去に書いたもののまとめ直しみたいな話です。ちょっと詳しいホークスファンなら常識みたいな話なので、読んでも大して面白くないと思いますが、まあ一応。セ・リーグ派や最近野球を見出した人。将来、過去の価値観を知りたい、本当にホークスが短期決戦に強くなったのか?工藤監督が名将か検証しようとしたい人のために書いておきます。

 

目次

工藤公康は名将ではない。そもそも球界に戦略・ビジョンを持つ監督がいない

 日本シリーズ三年連続勝利!三連覇!という結果で今年のシーズン、2019の野球が閉幕したので、ホークス強いなぁ。工藤公康は名将だなぁ―と思った方々が少なからずいると思われます。 なのでいま一度改めて記しておきます。工藤公康は愚将であり、工藤采配は稚拙です。
 まあ、采配全てが間違っているなんて言うことは流石に物理的にありえないので、全てを否定するつもりはありませんし、逆に、この采配は素晴らしい!というものも勿論ありました。しかしそれは戦術面に限られたものですし、戦略面においてではありません。工藤公康・采配には戦略的な視点が決定的に欠けています。
 別の言葉でいうと戦術的には優れているが、戦略的には最低最悪と言うべきでしょうね。工藤采配というのは目先のことしか考えずに、トータル的なことを考えない。局地的な事は考えられても、総合的な物事は考えられない。そういう特徴があります。
 そしてこれは球界全体に通底する現象なのだと思います。*1監督は何よりもまず戦略を考えよ!球団・チームとしてのヴィジョンを構築することが基本だ!そんな当たり前の思想が欠如している。故に明らかに、どうしてこんな人物が監督に!?という人事が毎年のように見られてしまう。強いチームが作りたければ、そういう人物を監督にすればいいだけなのに、そういう人事がめったに見られないわけですからね。
 まあそもそもそういうヴィジョンをしっかり持っていて、采配を行えるような人材がいないという前提が存在しているわけですが。

悪しき西武ライオンズの遺伝子を受け継ぐ工藤公康及び近年の勝利でおごるホークスフロント

 前回、ライオンズの問題点・短期決戦に弱い理由を色々語りましたので、同じようにホークスの問題点を一言で語るとすると、悪しき西武ライオンズの遺伝子でしょうね。ライオンズ野球(もしくは勝利をし続けてきた自分)こそ正しいという歪んだ価値観故に、最新の野球・ペナントのセオリーを取り入れない、考えない、無視をします。時代や環境の変化から、野球の常識も変化する。科学・テクノロジーの発展で野球が変わるし、それにつれてセオリーも変わる。つまり変化・進化して当然である故に、その最先端の変化に適応しなければならないという当たり前の姿勢に欠けています。ホークス球団内には、現場からフロントにいたるまで、このおごりにも似た価値観・伝染病が蔓延していると考えられます。*2
 西武ライオンズ十万石まんじゅう野球をしていると書きましたが、工藤公康西武ライオンズからさらなる新しい毒を持ち込んだという風に考えると、名付けるなら十万石毒まんじゅう采配とでもいいましょうかね?埋伏の毒まんじゅう采配埋伏のド工藤采配とでもいいましょうか。のちに頭ひよ子采配マッスル工藤采配といろいろ名付けているので、お気に召したものを自由に使っていただければと思います。

リーグ三連覇も出来なかったのに名将?戦力・当時の状況からリーグ六連覇も十分可能だったのに?

 まあ、いちいち言うまでもなく、本当に名将だったとしたら、そもそもリーグ優勝を逃しませんからね。前回書いたように、ライオンズがあのチームバランスで優勝すること、連覇すること自体がおかしい。なんでリーグ優勝出来なかったの?という話ですから。
 2015年かな?連覇した昔に、書いたとおり、ホークスは今のチーム事情なら他チームの動向次第だが、かなり長期的に優勝し続けることが出来る。三連覇・四連覇はまず固い。五~六~というスパンになってくると、今のレギュラー・ベテラン勢の衰え具合や、他球団の戦力の上昇なども関わってくるので断言できないが、上手く行けば六連覇くらいは出来る。
 そんなことを昔どこかで書きましたが、ママ予想通りでしたね。ファイターズに2016年に歴史的大逆転負けをくらっていなければ、六年連続での日本一制覇でしたからね。ちゃんとやっていればリーグもポストシーズンも六連覇できた。にもかかわらずリーグ三連覇・ポストシーズン勝ち上がりからの六連覇すら出来なかった。六連覇できる戦力・状況にありながらリーグ三連覇失敗からの日本シリーズ三連覇止まりという結果に終わった。こんな有様でどうして工藤が名将なんて言えるだろうか?いや言えない(反語)。
 何でもかんでも自分でやりたがって余計な口出しをせずに吉井に任せていればファイターズに大逆転負けをすることもなかったはずですし、リリーフ崩壊という後々まで尾を引く最悪の事態も免れたはずです。2016年から異常なリリーフ登板過多さえなければ、去年も今年も安定した盤石のリリーフ陣を背景に普通に優勝することは出来たでしょう。
 ※勘違いする人がいるかもしれないので、一応補足追記しておきますが、六連覇チャレンジに失敗したから無能・愚将だと言いたいわけではありません。結果を出せなかったから叩いているわけではありません。ちゃんとやるべきことをやっていて、取るべき策・準備をしっかりやった上で負ける、優勝を逃したという結果だったら、采配を否定する必要はないわけです。やるべきことは全てやった上での敗北であるから、仕方がない。これまでよく戦った。負けたとは言え見事な戦いっぷりだった。あっぱれと称えることが出来ます。ナンセンスなことをやって、チーム・戦力を消耗させる。あげくの果てにそれでも負ける、結果を残せないから采配を否定、非難しているわけです。非論理的なことをやり続けるからこそ、一部のファンは工藤野球を否定し、叩き続けているという事実を今一度抑えておかないとこの話は理解できないので、その点を頭に入れておいていただければと思います。

大差をつけておきながら大逆転負けをする監督が名将なわけがない

 そもそも名将・名指揮官は大逆転負けなんてしません。名将が2位以下に大差をつけておきながら、終盤に追いつかれて、追い抜かれてしまう。どんでん返しを食らってしまう。まくられて逆転負けを食らってペナントレース優勝を逃してしまうなんていうことはありえませんからね。一回ならまだしも二回もですよ?同じ失敗を繰り返す、学習能力のない監督を名将なんて言えるわけ無いでしょう。後述しますが、根本的に采配が変わっていない以上、また同じことをやって、同じように大逆転負けをする可能性は非常に高いと思われます。危機管理の概念がない監督・チームですからね。
 2016年にはファイターズ相手に11.5ゲーム差をまくられて歴史的な大敗北を喫して、今年はライオンズに8.5ゲーム差をまくられて負けました。大差をつけておきながら大逆転を食らってしまう指揮官・監督が優秀だと言えるでしょうか?いや、言えない(反語、二回連続二回目の登場)。
 とまあ、そういうことを論じたいわけですが、これだけ読むと「何言ってんだ、こいつ!?日本一三連覇しただけ十分凄いだろ!?六連覇なんて欲張りすぎだろ!いいかげんにしろ!?」ということになってしまうと思うので、どうして三連覇が失敗なのか?最低な結果なのか?という話を詳しくしていきたいと思います。
 本当は六連覇が可能だったという話*3と、ライオンズが短期決戦に弱いという前回・前々回の話に続けて、福岡ソフトバンクホークスも未だに短期決戦に弱いチーム、The風物詩チームであるという話をしていきたいと思います。

2016年と2017年のCSファイナルを見よ!一体どこをどう見たら短期決戦に強いなどという妄言を吐けるのか!?

 ペナントレースの戦い方が下手くそ、長期決戦が下手という意味合いにおいてでは、相対的に短期決戦の方がまだまし。そういう視点から見て言うならば、短期決戦に強いということを言えなくもないですね。まあ、言うまでもなくそんな相対的評価なんの意味もありませんが。
 そもそも短期決戦に強いと主張するのであらば、一体なぜ戦力的に有利だった2016年のCSでファイターズに勝てなかったのか説明してほしいものですね(まあ、言うまでもなく、今年と同じでなぜリーグ優勝を逃してしまうのかわからない戦力差であったわけですけどが…)。CS決戦中、相手クローザーが離脱&コンディションの問題で大谷の先発が難しく、リリーフ・抑えの1イニングしかムリだったという幸運に恵まれても、あのざまですからね。戦力的にウチの方が有利な要素が多かったのに、どうしてファイターズにCSファイナルで負けたのか、今のホークス及び工藤采配が短期決戦に強い論者の方に聞いてみたいものです。
 そして、意外と見過ごされているようですが、ホークスは2017年に優勝したあとのCSで風物詩の危機に陥りました。連敗のあと3連勝で一気に切り抜けたので印象が薄れてしまったかもしれませんが、あの采配は風物詩を招きかねない愚行中の愚行、短期決戦・CS史を語る上でしばらく重要なポイントとして語られるくらいの愚かなことを工藤監督はやりました。本当に見ていてつくづく驚き呆れましたね。

2017年風物詩ホークスの危機・再来

 このCSでの捕手は甲斐拓也、ピッチャーは東浜で次が千賀でした。短期決戦においてリードを重視すべきだ&ベテランを使うべき≒経験の浅い新人を使うな―前回書いたそのセオリーを真っ向から無視をするという今年のライオンズと同じことをやって連敗をしましたからね。頭工藤と言われても仕方のないありえない判断・決断でした。
 前回、ライオンズはCSに至る前にやるべきことをやっていない。日程のおかしさを指摘して優勝チームに有利なように制度を変えてもらう、4・5・6位のチームどれかに頼んで1stの試合中に消化試合をしてもらう。そういうファイナルを勝ち抜く上でやるべきことをやりませんでしたからね。
 前回ライオンズが取るべきだったCS対策、セオリーとして新人を使うべからずベテランを使うべし!―という鉄則を守っていませんし、日程・スケジューリングの問題についても対策をしていません。アホですね。まあ、ライオンズの悪しき遺伝子を引き継いでいるから当たり前の話なのですが、ホークス・ライオンズはともに短期決戦において同じタブーを犯した。今年と2017年、そっくり同じ誤ちが起こっているのですね。

2019年の西武ライオンズも驚きたまげるCS前の戦力調整無視、コンディション管理の欠如

 そして何より、異常だ、アホだ。頭パッパラパーなのか???となったのは、当時ぶっちぎりで優勝したのにも関わらず、もう勝利に拘る必要がなくなったのにも関わらず、主力を下げずにそのまま試合に使い続けたことですね。モイネロ・岩嵜・サファテ、確かその勝利の方程式だったはずですけど、最後までバカみたいに勝利の方程式を使い続けた。挙げ句モイネロは故障して不調、CS出場黄信号騒動がありました。
 言うまでもなく、ちゃんと本番には間に合った。試合に出れたんだから良いじゃないかという話ではありません。大事なポストシーズンで万全な状態で迎えさせるために、休み休み疲労がたまらないように使うべきです。決して万全な状態で投げられないようにすべきではない。酷使をすべきではない。この年バカみたいに1年目のモイネロを使いましたが、また優秀な選手が出てきたらバカみたいに依存する「おんぶにだっこ」采配・継投でした。子泣きじじいみたいに石化して抱きついて選手を海の底にでも沈める気なのでしょうかね?本当に一年目は素晴らしいピッチャーだったのに、プロの水に慣れていない選手を酷使するから…という怒りが、このケースを振り返って湧き上がってきますね。
 そして言わずもがなチームの中心である柳田が故障離脱。主力は休ませろ&若手の育成枠に当てろ―そういう基本がわかっていないから、来年・再来年を見据えた事ができない。未だに優勝争いしているならともかく、今年の西武のようにペナントの最後まで優勝争いをしていたのならまだ理解できますけど、なんで優勝決まったあとにもドンドン若手を試さないのか?主力を下げないのか?意味がわからないですね、本当に。西武が平井を81試合も投げさせてバカじゃないの?という話をしましたけど、同じくらいバカですよね?なんで大事なCSの前にしっかり休ませておかないのか、本当にバカ。おすぎに踏んづけられて然るべき暴挙でしたね。
 どうせ、一年通して働くこと、数字を残すことで給料が変わってくるから選手が出たいと言ってきたとか、バカみたいなことを言うんでしょうけどね。チームプラン・ヴィジョン・戦略というものがあれば、休養と育成の重要性からベテラン下げて若手を上げるに決まってる。というか他に選択肢はない。怪我されてCS前で離脱されるのが一番怖いのですからね。こういう先を見据えたことが出来ない、当たり前のことがわかっていないというのが、工藤公康に戦略眼がない・ビジョンがないと主張する所以ですね。

采配には長期的視点・戦略的視点が重要。工藤は通年を見据えたプラン自体持たない。目先の勝利という人参を追いかけるだけのアホ馬

 たまにこんだけ戦力があれば誰がやっても勝てるみたいな馬鹿なことをいう人もいますけど、むしろ戦力があればあるほど休養と育成、そして勝利のバランスを取るために采配は難しいはずなんですよ。強いからこそ、次の選手・若手の育成を考えないといけない。主力の誰をいつ・どれくらい休ませるか、どのタイミングがコンディションを維持しつつ、実戦感を落とさないベストなタイミングなのか、きっちり見抜いて起用するのは難しいはずです。選手はずっと出続けるから実戦感覚が安定するわけで、できるだけ試合に出たがるのですからね(勿論給料の面においても)。下手に休ませ続ければ「なんであいつを使ってオレを使わないんだ!」という話にもなってきてしまうでしょう。下手にベンチに置いたり、二軍に行かせたりすれば心理面、プライド上の問題。監督と選手の信頼関係という人間関係の問題からなおのこと起用・采配というのは難しくなるはずです。
 また、二軍の選手が結果を残しているのに、一軍に上げてやらなかったら、声をかけなかったら、なんでこんなに結果を出しているのに上に上がれないんだ!特定の選手を贔屓ばっかしやがって!と選手は不平不満を漏らし、二軍コーチも同じように思う。こんだけ頑張っている選手を、調子状態のいい選手を試さないなら、なんのためのコーチング・育成なんだ!オレはなんのために下で選手を育てているんだ!人を馬鹿にするのもいいかげんにしろ!!とそういう声が上がってくる。そういうことを考えれば、胃が痛くなるような思いをする人も少なくないはず。まあ、要するにペナントというものを、二軍・三軍を含めたチームという組織の構造を理解していない。采配=戦略的ヴィジョンというものを、まるで理解していないアホがそういうことを主張するのでしょうけどね。
 また、この年でいうと、楽天と優勝争いをしていたわけで、次のような判断が重要になってきます。「今主力を休ませて若手を使って、負けるリスクを上げて優勝を逃さないだろうか?そのリスクを取って負けを増やしても大丈夫なのか?勝利を第一に考えて、勝ちを積み重ねて楽天以下・2位以下のチームを引き離しておくべきか?いや、今年の他のチーム戦力を見通せば、まず間違いなくリリーフを酷使している楽天は持たないし、他のチームも終盤追い上げてくるような力はない。故に今先を見据えて主力・リリーフを休ませながら戦ったほうがトータル的な優勝の確率は上がる。よって今の時期は、多少は負けを覚悟で戦って、勝負は9月だ!」―とでも言うような先の展開を見据えた判断・采配、あえてペースを抑えて馬を走らせることで末脚を残しておくという判断がペナントでは重要になるわけですね。まあ、言うまでもなく、この年のペナントでは楽天は8月にもうバテバテで早々ギブアップしたわけですけども。だからこそ7月辺りにちょいちょい有望な若手を起用しながら戦うという育成が、本来できたはずなんですけどね…。
 そういうペナントレース展開、先をきっちり見通して、それに合わせた戦い方を適切に取るのが名将。競馬のレースでいうと名ジョッキー武豊なわけです。そういう状況状況で適切な判断もせずに、スタート直後から馬のかわいいおしりさんを鞭でひたすらスパンキングしまくる鞭全開おじさん。虐待おじさんとでもいうような采配をしている監督を名将だなんて言えませんよ。いついかなる時でも全力勝負で戦力消耗させるんですからね。それで勝てたならまだ理解できますけど、それで負けてるんですからね。1回ならまだわかりますけど、2回も大逆転負けを食らっているんですよ?学習能力ないのか貴様!おまえ、頭ついてんのか?頭にひよこ飼ってるのか?東京銘菓ひよ子を飼っているのか?ひよ子は福岡銘菓だ!!いいかげんにしろ!―と言いたくなるような有様ですからね。
 楽天やら西武やら、他のチーム事情を見誤った。戦力予想について失敗したというのならまだしも、そもそもそんな予想をしていない。他チームの戦力・勝敗の上昇・下降を予測して、ペナント全体の流れを見通して、それに合わせて適切な選手起用をするというのではなく、そんなものはなから考えずに、目先の試合を全力で戦うということしかしていないんですから。采配以前の問題ですよ。そんなことでいいのなら、監督なんかいらないでしょう。何でもかんでも口出したがって全部自分の思うがままに決めたいというのなら全権打撃・走塁・守備・投手コーチで十分。独裁コーチのポストで十分。監督の仕事じゃなくて、コーチの仕事・領分にばっかり足を踏み入れて口出ししている。根本的に監督の仕事というものを理解していないんですから。そしてそれは球界における根本的問題ですね。監督とコーチの仕事は違う。分業をキッチリして権限・責任の所在をしっかりしないといけない。まあ、以前その話はもうしたので繰り返しませんが。
 ※そうそう、書いておくの忘れていましたが、端的に言うと戦力の逐次投入の逆、戦力の過剰投入・過剰供給なんですね。工藤采配の問題というのは。10で勝てるところを100とは言わないまでも、毎回20も30も過剰に戦力を投入していく。勝ちたいがために必要以上に戦力をつぎ込む。故に最後の方では戦力が足らなくなる、疲弊・消耗し、大事な終盤にチームが駄目になる。それどころか来年・再来年にまで響く戦力の低下を招いてしまう…という結果を招いてしまう。
 流行りの言葉で言うとoverloadですかね。そりゃ、用兵においては戦力の逐次投入は戒められるべきことなんでしょうけど、ペナントの指揮においては逐次投入という要素・局面自体があまり、ありませんからね。逐次投入をしてしまった!!だから無駄な戦力消費をしてしまった…なんていうことはあまりない。にもかかわらず、戦力の過剰投入を繰り返す。これは一体何なのか?
 おそらくですが、2016年の大逆転負け。このことについて、ファイターズ・フォビア(恐怖症)という話を以前しましたけど、この他にも愚かな評論家達の歪んだ解説、「油断」という要素が挙げられると思います。優勝候補ド本命であるホークスがファイターズに破れたことを、多くの愚かな評論家は「油断」という気持ちのゆるみや精神性に原因を求めました。極めて愚かな考え方、ものの見方であると思います。かの野村克也ですらそういう不合理な、心の内面・あり方、気構えという抽象的なもの、あやふやでどうとでも言えるものをもってして説明をしていました。愚か極まりない解説ですね。普段からペナントをろくに見ずに適当なことを言っているからそうなる。不真面目で真摯とは程遠い態度で解説業を片手間でやっているからそういうことになる。野村理論を尊敬して、それを基本に物事を考えていますが、そういう負の側面・不合理的な一面が野村氏には存在します。
 話を戻して、愚かな評論家連中は負けるべくして負けた2016年の大敗戦をやれ、大谷がすごかったなど、ホークスの選手たち・監督が巨大戦力でおごった・油断したなどとわけのわからない評価・分析をしました。そしてその歪んだ分析をひよこ工藤が真に受けたということが考えられると思います。わけのわからない分析を真に受けた結果、なりふり構わず目先の試合を全力で勝ちに行く、一試合たりとも疎かにしないぞ!という歪んだ結論を導きだしたということでしょうね。病気とも言える戦力の過剰投入采配というのは。
 故に我慢したり、試合を見切るということができなくなってしまいました。彼は捨て試合を作って見切るという重要な判断をする機能が失われてしまった監督、完全に壊れた監督なんですね。そういう人間を監督として使い続けることがどういうことを意味するか…。言わずもがなですね。

2017CSファイナルにおける工藤采配の暴挙

 連敗して、ファイナル敗退危機を迎えると休ませていた柳田を強行出場させるという故障リスクを上げる愚行を犯しました。この一件を見ても指揮官としての異常性・愚かしさを説明するまでもないでしょう。今シーズン長期離脱した影にこの年の無理・無茶がたたっていたとしてもなんのおかしなこともないことですからね。そう考えれば今年のチームの中心打者柳田の離脱というのは工藤采配の当然の結果。ペナント優勝を逃したのは、自業自得以外の何物でもないことがよく理解できるかと思われます。日頃から選手のコンディション管理を無視した結果ですからね。こういう時に、止めるのが達川ヘッドの役目ですが、彼もなんとか広島魂ということを言い出して、強行出場を促しましたから、アホですね。コンディション管理概念のない世代を上においておくと、チームはもうどうしようもなくなるのだということがよく分かる話ですね。
 で、風物詩ピンチのところから、3戦目に城所スタメンが大当たりして、工藤采配流石!みたいなことが言われたと思いますが、あれも論外の采配でしたね。閃きと思いつきは紙一重ですが、あれは果たして閃きと言うことが出来るでしょうか?個人的にはあの起用は疑問だと思います。
 個人的に城所は好きな選手で、もっと使われて当然と思っていましたが、あの起用はない。というのはシーズンで城所スタメンは全然試されていなかったから。普段から城所を気にかけていて、ちょくちょく折を見てスタメンで使っていた。こういうときなら城所は活躍をしてくれて、こういうときは良くないというテストをしていたというのならば問題ない采配だと思いますが、そうではなく完全な思いつき。準備なき決断というのは指揮官の博打に過ぎない、これはダメ。
 同じく博打的に川島を急遽ライト起用しました。初戦(2戦目だったかな?)で川島が何故かライトで起用され、不幸にも打球が守っていた川島の前で何故か大きくバウンドして後ろにそらして貴重な先取点を与えてしまうという事態がありました。普通の外野手でもあの当たりを後ろにやってしまったかもしれませんが、もしシーズン中から何回もライトで守るという機会を与えられていれば、ああいうことにはならなかったはずです。なぜその準備をキッチリしておかなかったのか?ここが大問題。

采配には根拠と事前の準備、危機管理の発想が重要

 指揮官の決断として、打った采配が表になるか裏になるかは、根拠の確かさにもよりますが、あとはもう時の運、どんなに理があって妥当な判断だとしても実らないことがある。逆に全く無謀な判断・策だとしても実ってしまうこともある。故にリードどころか采配も結果論ということになる。判断の根拠さえ、ああそういうことかと納得できれば裏目になってしまってもしょうがないと納得できるが、これは明らかに事前の準備を欠いた思いつきの範疇。万一の柳田離脱・欠場に備えた際の危機管理の結果ではない。オプションとして試しておいた策ではない。
 危機管理としてオプションのテストをシーズン中になぜ試さなかったのか?なぜ危機管理のテストをしておかなかったのか?これが本当にわからない、疑問も疑問、大疑問。事前に試しておいて、これこれこういうケースならばこのオプションがベストだ!と事前に探っておくのが名将というもの。最悪の状況に備えておくものが優秀な指揮官の条件。これで工藤采配が素晴らしいとか、優秀・有能なんて言えるはずがない。柳田が故障離脱したあとでも、十分に時間はあった。柳田が出れない!?まずい!じゃあ城所や川島を今のうちに試しておこう!という時間は十分あった。なぜやらなかったのか?危機にそなえてオプションを試しておかなかったのか。理解不能。他に試しておくことがあって、それが出来なかったというのでもあれば、試しておいたそちらのオプションのほうが優先度合いが高かったということ。その優先順位が高いオプションを放棄して突発的に思いつきでやってもいないことを本番で実行するというのは閃きと言うよりも暴挙でしょう。
 野球は守備を重視しなくてはいけない。その守備を軽視して川島エラーで虎の子の1点、大事な大事な先取点を失ったのですから、何をか言わんや。スケベなことを考える人なので、いつも都合の良いことを考える。起こってほしいことが起こると良いな、こうなってくれたら良いなという都合の良いことを考えて指揮を執る、判断して采配を決めるからこういうことになるわけです。こういうことをしているうちは風物詩からは逃れることは出来ないでしょうね。
 このCSは内川の超常的な働きで勝てたと言っても過言ではないシリーズでした。もし内川がいなかったらどうなっていたか?内川がいなかったので負けました。柳田がいなかったから負けました。そんな言い訳でもするつもりだったのでしょうか?そんな馬鹿なことを言う指揮官が名将なわけないでしょう。バカも休み休み言ってほしいですね。何万回も言ってきましたけど、誰か一人がいなくなったら勝てなくなるなんて言うチームを作ったらダメなんですよ。

短期決戦で先手を取られてはならない。連敗は絶対に許されない

 この年は本当に危なかった。本当に風物詩になると思ってハラハラして観ていました。「最終的に逆転して勝ったから良いじゃないか。最終的には3連勝したじゃないか」みたいなことを言う人は、そもそも短期決戦というものをろくに理解していない。短期決戦において先手を取られたらダメなんです。初戦は絶対勝たなくてはいけない。勿論野球という競技において、初戦・その大事な試合100%絶対勝てというのはナンセンス。予想外の出来事の結果、圧倒的に強者で事前に完璧な準備・対策をしても敗北してしまうということはある。であるからこそ、二戦目が大事になる。初戦に万一、負けてしまった際に次の二戦目は100%勝たないといけない。初戦・二戦目続けて負ける確率は0%に近くないといけない。ところが二戦目すら負けてしまった。大事な短期決戦において、ありえないはずの連敗をするという結果になった。先手を取られることで、また短期決戦で連敗することでライオンズがもう半ば諦めムードになってしまった。浮足立ってしまったことを見ればなおさらよくわかりますよね。もう負けられないというプレッシャーが掛かるとチームは確実に弱くなる。その逆境・劣勢を跳ね返すのは相当難しくなる。
 なぜ短期決戦において絶対に負けてはならない初戦を落とし、かつ二戦目も落としたのか?連敗をしてしまったのか?野球のセオリーを無視した戦い方をしているからですね。現代野球のセオリーと真っ向から逆らうことをするからこういうことになる。
 ※思い出したので追記。監督の謎発言について―そもそも事前準備もしっかり出来なかったにもかかわらず、一つも負けるつもりはないというわけのわからない謎発言をしていました。短期決戦とは言えど、CSというのはその後の日本シリーズという最後の戦いを控えている。そこで相手よりも少ない試合消化数で挑むと事前準備・調整上不利になる。相手がストレートで勝ち上がって突破してくれるのならば、むしろ有り難い。こちらは相手より多く試合を消化するために、1つか2つは負けて調整をしておく必要がある。勿論負けることで相手に流れをやって不測の事態を招くリスクがあるのでなかなか敢えて負けるようなピッチャーを使ったり選手をスタメンにするというのは難しいのですけどね。何れにせよ指揮官の判断が非常に難しいことになるのが短期決戦CSという制度、にもかかわらずバカみたいに一つも負けませ~んという謎の発言をする。バカ以外の何者でもありませんね。
 どこかの記事で、他の海外のプロスポーツでも監督が不用意な発言をすることでチーム敗退の悲劇を招いたという事例を紹介していました。この事例を引き合いにして、監督には軽率な発言は許されない。本人にそんなつもりはなくても、結果として敗北をもたらすような事態になりうる。最悪の事態を招くような結果になりうる。一体、どういうつもりでそんな事を言ったのか?万一負けた場合にはどうやってフォローして巻き返すつもりだったのか。一つも負けるはずのプランニングをしていたのにも関わらず、連敗をしたというのは緊急事態と同じ。そのような事態を引き起こせば選手たちは間違いなく動揺する。チームの混乱を一体どう収拾するつもりなのか?―といったような指摘をしていた記事を当時読んだ記憶があります。まさしくその通りで一体全体何を考えていてそんなバカみたいな事を言ったのか本当に謎でしたね。結果的にはたしかに勝ちました。勝ちましたが、ありえない・許されざる指揮官の態度・発言だったとみなして徹底的に検証すべき出来事だったでしょうね。まあ、言うまでもなく責任が追求されることもなければ、責任を取ったこともないのですが…。
 工藤監督は既存のOBや記者達とコネがないので、よくアンチ工藤系の批判記事が出てくるようになっています。工藤監督のワガママを選手たちが尻拭いしているといった類の話が、毎年チラホラ書かれるわけですね。そういうった類のネタに賛同することはないのですが、この時ばかりはベンチで余計なことをした采配ミスを選手たちが必死に尻拭いをした結果と評価されても、なかなかそれを否定することは難しいでしょうね。
 いずれにせよ、指揮官の力ではなく、選手たち個人の能力・個人技の集大成で勝っている。こういう現状を知っていれば、名将だとも短期決戦に強いとも口が裂けても言えないはずです。にもかかわらずそういった謎主張・珍論を唱える人間がいるというのはろくにCSを見たことがない人間がうわっつらの結果だけをもってしてそう言っているのでしょう。

野球のセオリーを無視する工藤野球

 風物詩野球を未だにやっているというのは、工藤野球の本質にあります。工藤野球というのは、そもそも王道野球ではありません。トータルでどこよりも勝ちを積み重ねればいいという発想をしています。優秀な選手・戦力に依存して勝ちを計算するのが工藤野球の基本思想であり、力でねじ伏せることを基本に据えています。なので、王道野球=野球の長い歴史の中で培われたセオリーを無視した野球をしています。エースと大砲、速い球を投げられる投手に、遠くへボールを飛ばせる長距離砲を重視する。野球の原点とも言える話ですが、原点である選手の能力に捕らわれすぎて、線であるチーム全体のバランスという点がすっぽり抜け落ちてしまっています。原点は抑えていても、応用という話になるとまるで目を向けないのが工藤野球。個人としてではなく、それぞれの選手達を全体で一つとしてみた時、組織としてどう活かすかという視点がまるで足らない。故に今シーズンを見て分かるように、リーグで一番四球を出すし、四球を選べないという状態になる。
 マネーボール以来、出塁率OPS(出塁率長打率)が重視されるようになりました(もっと前からかな?)。野球に勝つためにはいかに塁にランナーを出して、その塁上を賑わせたランナーをヒットで繋いで一気に返すかという点が重要視されるようになりました。故にファーボールが大事だという概念が広まるようになりました。相手投手に球数を使わせれば、その分相手は長い回を投げにくくなる=リリーフを使い込まざるを得なくなる。故に球数を稼ぐことが重視される。逆にこちらは球数をいかに少なくゲームを終えるかということが重視されるようになりました。*4
 現代野球のセオリーはいかに球数を多く投げさせて、こちらは球数を少なくするか。またそのためにいかにファーボールをもぎ取り、こちらの投手はファーボールを出さないかというものになりました(言うまでもなくファーボール至上主義で、ヒットは二の次・三の次でどうでもいいというわけではありません)。過去にイニング・投球回の重要性を語りましたが、先発ピッチャーで大事なのは勝ち星よりも(勿論勝ちがつくのにこしたことはないですけどね)、どれくらい投げてくれるか、低い防御率でイニングを消化してくれるかということが大事になりました。先発がイニングを食えないとリリーフを使い込まざるを得なくなりますからね。安定して試合を作ること&いかにリリーフを休ませてくれるかという新しいセオリーが生まれました。リリーフ陣の安定や勝利の方程式の安定、それがペナントを制する新セオリーとして今や重視されるようになってきたわけですね。

出塁率=四球という現代野球のセオリーを無視して球速とHRを追求

 にもかかわらずチーム打撃成績を見ると、リーグで一番ファーボールが少ないし、投手は逆でファーボールがダントツ多い*5。無論、投手陣については、防御率が良いので、他チームと比べて特別にピッチャーが悪いという事情なわけではない。ホークスの投手陣がリーグの中でダントツ悪いというのならまだしも(実際ホークスの防御率はリーグ1位)、それでもファーボールがダントツ多いというのは、速球を異常に重視してコントロールを無視しているからでしょうね。
 指揮官が異常にまっすぐ推しなので、まっすぐにこだわるようになっている*6。それ自体は悪いことではないのですが、まっすぐ推し=パワー推しゆえにコントロールが脇においておかれている。結果、粘られるとコントロールを乱して歩かせるというケースが非常に多いように見受けられました。相手が粘らなくても、ちょっと調子が悪い日は制球が安定しない。制球が定まらずにカウントに苦しんでリズム・テンポが悪くなり、挙句の果てには歩かせてしまう。ランナーを溜めて痛打、ゲームを壊す。そういうケースが非常に目立ったように思えます。
 付け加えると、三振アウトもパで一番多く取っています。この点でもゴロを打たせるというマネーボールの発想と真逆な野球をやっていますね。バッターはHRを打って相手投手をねじ伏せる、ピッチャーは三振を取って相手打者をねじ伏せる。そういうねじ&ねじ野球を、中尾彬野球をやっているから、調子・状況が悪い時、相手がいい投手・打者が来た時にやられてしまうということでしょうね。
 力こそパワーみたいな戸愚呂思想、力を技で封じ込められながらも、更により強力な力を求めたキング・オブ・デストロイみたいな思想で投球理論を組み立てて指導しているからこういうことになる。ダメな時にどうするのか?苦しい時にどうするのか?そういう危機管理の発想がないからこういうことになる。力で全てねじ伏せろ、レベルを上げて物理で殴れみたいな考え、21世紀最凶の暴君みたいな発想で野球をしているからこういうことになる。
 駆け引きにおける引き出しが異常に狭い。勝つか負けるか二つに一つ。一か八かで野球をやっているからこういうことになる。そんな都合の良いことを期待して、現実化すると考えて野球をやるなんてナンセンス極まりないと思います。

HRか三振か、ヒットか凡退かでつなぎなし、得点効率を無視

 バッティングも同じでHRばっかり狙っている。まあ、以前書いたのでまた繰り返しですけど、歩いて選んで、粘って繋いで、チーム全体で打線で投手を攻略するという発想がないからこうなる。ひたすらヒット・HRで投手をKOすることしか考えていないから、それが出来ない時は点数が非常に入りにくくなる。出塁・盗塁などで繋がることがないから、秋山政権時代と比べてビッグイニングが少なくなってしまった。
 全員長打を狙ってバットを長く持ってフルスイングしているだけでは、その日の相手と打線の調子次第の博打になる。相手が良くない、失投を投げてくれて、HRが出るならばそれでもいいが、相手がいい時はどうするのか?相手が少ない球数でどんどんイニングを消化できてしまえるから、対戦チームとしては投手のゲームプランを考える上で非常にやりやすい。負ける時は負けるが、勝つ時は楽に勝てる。相手が嫌がることをまるでヤラない、自分がやるべきことをやれば勝てるというものすごい自己本位的な野球をしている。敵を知り己を知れば百戦殆うからずという前回の話の続きになりますが、敵を知るという要素がすっぽり抜け落ちてしまっている。
 付け加えると天の時・地の利というような、環境の考慮・状況判断という要素もない。だから毎回毎回バカみたいに同じようなやり方で負ける。別に非力なバッターでも初球からバットを長く持ってフルスイングという戦術を採用しても構いませんが、そういう効率の悪いことは、今日のケースはこれでいけるという判断があるときだけ。相手のエース級とか、通常のゲームでそううまくハマるケース・確率の方が低い。普段は非力でHRも期待できない打者だけど、今日は好調&相性がいい。だから松田でも内川でもグラシアルでもデスパイネでも、普段はランナーを返す役割の選手が敢えてバット短く持って、大きいのを狙わずに彼につなぐ―とか、そういう状況に応じて役割を入れ替えるとかそういう戦術・選択があるならまだしも、毎回全員が長打狙いのフルスイング*7。塁にでる役割、繋ぐ役割の非力なバッターが選んで塁に出ないし、そうやって非効率的なバッティングを繰り返すから効率が悪くなる。
 今年はソロHRの一点のみ、またHRは出るけどタイムリーが出ないというケースが目立ちましたが、ランナーが出ないからクリーンアップ・大砲の一発もソロで終わって効率が悪くなる。秋山政権時代と比べて、ランナーためての一発や、連打連打で打ち崩して先発KO、途中交代の投手を捕まえて大量点という試合が減ったのはそのため。いい加減、HRばっかり期待するスケベな思想と決別すべき。得点効率は悪いし、相手投手を打ち崩すことも期待しにくい。確かライオンズがファイターズ相手にHR6本打っても13-6で負けるという異常な試合をしていた記憶がありますけど、つまるところそういうチームになりかねない。
 まだライオンズさんよりも投手がいるからそうなってないだけで、いつそういう自体に陥ってしまうかわからない野球をしている。今年のライオンズは走塁に力を入れたので得点面でかなり効率化が進んでいましたが、その走塁重視という要素もホークスにはないので、ライオンズ打線の非効率化されたヴァージョンになっています。いつ投手陣が崩壊するかわからないのですから、行き着く先はライオンズより効率の悪い得点をするチームということにもなりかねません。*8
 今年のファイナルで西武ライオンズの若手投手をボッコボコに打ちのめしましたけど、アレだけ甘いところに投げてくれれば、そりゃあHRはガンガンでますよ。でもシーズン通してあんなことがどれだけあったか?ああいう試合がどれくらい期待できるのか?プレッシャーがかかれば経験の浅い投手、二流・三流の投手はああいうことが期待できます。が、しかし一流はどうなのか?エース級から同じことがどれだけ期待できるか?考えてみると良いでしょう。まあ、考えるまでもないですけどね。
 前回、ライオンズが優勝したのは偶然という話をしましたが、ひょっとしたらライオンズファンの方が読んでいたら、なんだと!貴様ッ!となったかもしれませんけども、この偶然というのはホークスも同じなんですね。運否天賦に任せた野球・勝負をやっている。戦う前にこうなったら良いなという甘い見通しでやっているという点でもこの2チームは共通しています。ですから、ホークスはペナントで痛い目を見ましたし、ライオンズもCSで痛い目を見たというわけですね、今年のパ・リーグというのは。というかほとんど毎年運否天賦の結果なんですね、どこが優勝するかしないかというのは。だからもう見ていて面白くないんですよね。

やはり今年の打線崩壊もこれまでの采配・起用の結果、自業自得

 今年は柳田が長期離脱したから勝てませんでしたというバカみたいなことを言うんでしょうけど、そんなことはなんの言い訳にもならないです。既に書いたとおりコンディション管理を怠って使い続けて、挙げ句の果てには強行出場ですし、そもそも柳田一人いなかったら勝てませんなんていうチーム作り、打線を作ってる時点で論外です。
 去年のチーム崩壊の話で、選ばない・走らないで打線が機能しなくなっているという話をしていて、中心となっているのは柳田。こんなつなぎを無視した打線じゃダメ。これじゃあ柳田一人いなくなったら崩壊する。かろうじて晃が粘って出塁している、上林が走って機動力となっているくらいじゃないかと書いていましたが、その3人がいなくなってバランスが異常に悪くなったのが今年の打線というわけだったんですね。若手の上林の離脱は予想外だとしても、晃クラスのヒットメーカーが補えないものだとしても、選ぶ・粘るといった繋ぎを実行するサブがいないのはどういうことなのか?そういう繋ぎを実行しようとした控えはいたか?そういう役割をこなせるのはせいぜい川島くらいでしょ?しかも彼は通年働くことが期待できない選手。晃の代わり、上林の代わりとして危機管理のオプションはどうなっているのか?バカみたいに勝っていた時に先を見据えて若手をドンドン抜擢して試しておかないからこういうことになる。

筋肉・パワー絶対のマッスル信仰

 筋肉・パワー理論・大正義マッスル理論というのは、ハマればものすごい力を発揮して圧倒的に勝利して、相手を威圧出来る。敵をひるませることが出来ますが、ハマらなければあっさり負ける。闘牛士に翻弄される猛牛のように、牛若丸に翻弄される弁慶のように、強大な力はいなされたら意味がない。パワーを重視するというのならそのパワーをかわせない・いなせないパワー封じに対する手段を備えた上でやらないといけないのに、そんな事を考えたことすらないのでしょう。
 パワー・スピード・テクニック、いろいろな要素バランスよく整えることで弱点や穴がなくなるのに、パワー頼みのいびつな戦力にしすぎでしょう。また筋肉・パワー理論のまずいところは、それだけ巨大な力が身につけば、その分壊れやすくなる。アスリートにいちばん重要なのはバランス感覚ですからね。しょっちゅう故障している一因にパワー偏重・過大評価という要因は間違いなくあると見ていいと思います。
 そらアスリートですから、ウェイトをがんがんやって身体を大きくしないといけない。筋肉も育てないといけない。しかしそれ以上に大きくなったパワーとどう向き合うのか。巨大な身についた力をどうコントロールするのかという難しい要素がある。大事なところを見落としているように思えますね。
 まだまだ続きますので、ひとまずこんなところで終わります。続きはまた近いうちに。続き→続、工藤公康「愚将」論―工藤公康名将論という珍説の検証

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*1:うん、この人は間違いなく明確な戦略を持っているな。そう思える監督はついぞ見たことがありませんでしたので。落合さんはなかなかいい線行っていたと思いましたけど、やはりヴィジョンが足らないところがありましたのでやっぱりダメでしょうね。まあ、セ・リーグ見てないですし、最近はパ・リーグもろくに見る気が起こらないので、ろくに通年で野球見ていないのでなんとも言えませんけどね。それでも、そんな監督・フロントだったらもっと話題になるので、まずヴィジョンを持った優秀な指揮官はいないと断言して間違いないでしょう。

*2:まあ、福岡移転で弱い時代にいかにお客さんに満足してもらうかということでエースと大砲だよりになったという集客上・興行上の負の遺伝子も当然存在するのでしょうけども

*3:これ見出し付けて書いたと思ったら書いてなかったですね。でもまあ、単なるまとめになるだけなので特に見出し付けて書くことでもないですかね。ファイターズに大逆転負けを食らったときの分析はすでに過去で書いていますし、去年・今年とリーグ制覇出来ない理由は折々について触れていますので、その辺りを踏まえていれば十分優勝できた、六連覇も不可能ではなかったと解釈して読んでいただければと思います。王道野球やってセオリーに則った野球をやることと、目先の勝ちにこだわって無駄に戦力消耗させるなというだけですしね。

*4:球数が多くなれば、当然相手投手はストライクゾーンで勝負をしてアウトカウントを稼ごうとする。早く勝負をしようという発想になる。このボールはボールゾーンでもストライクゾーンでもどっちでもいいやという状況と、ストライクを投げなきゃダメだという状況ではどちらが攻略をしやすいか言うまでもありませんからね

*5:無論言うまでもなく、四球の他に死球も関わってきますが、今回の話とは関係ないのでその点については触れずに飛ばしてます

*6:打たれたときは異常にもっとまっすぐで押せというコメントしてましたからね。そりゃキャッチャーはまっすぐばっかりになりますよね。変化球投げたら怒られるんですから。まっすぐまっすぐばっかり、まっすぐ工藤さんですね。選挙出たらそれをキャッチコピーにしたら良いんじゃないでしょうか?後述する通り力信仰なので、マッスル工藤の方が良いかもしれませんが

*7:勿論、長打を求められるクリーンアップにバットを短く持てというのは非現実的な策ですけどね

*8:※追記ーライオンズは内野守備においても外崎・源田と改善されています。出塁率、ファーボールを見ても、ホークスとライオンズでは雲泥の差があります。出塁率でライオンズは1位でありながら、ホークスはビリ。ファーボールをで159もの差があるシーズンでした。死球も6つ多かったことを考えると、ホークスより165人もランナーが多く出塁した事になります。ざっくり平均で1試合でホークスよりも毎回ランナーが1人多く塁にでていたということです。その上でワンヒットでホームに還ってくる効率も上だったというのが、チーム得点で174点も差をつけられたという結果になったということでしょう。HR頼みの野球がいかに効率が悪いかということの実証になったシーズンでしたね。今年のホークスの総得点は、3位の楽天614点、4位のロッテ642点に及ばない583点で、チーム得点は4位。チームが崩壊したレギュラーを最後まで揃えることが出来なかったオリックスと日ハムにしか得点で下回ったチームはなかった。データを見ていかに効率の悪いことをやっているか、いかに間違ったことをやっているか普通は気づきそうなものなんですけどね…