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別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい

【2016工藤采配批判④】 「継投」概念の欠如が生んだメイ工藤ラマ 

プロ野球関係(殆どSBホークス)

【2016工藤采配批判③】 歴史的V逸の最大の原因は「継投」にあり

➖の続きです。今回も「継投」の話ですね。今年の大逆転劇はメイクドラマとかけてメイ工藤ラマと言われているようで。まあ今後ずっと言われ続けるでしょうね。

 

栗山も工藤も吉井コーチを放出することで組織を崩壊させた

 吉井理人コーチが中継ぎ陣の酷使を防いでいたというのは単なる推測ではなく、彼が日本ハムを退団した際の理由が、栗山監督との継投を巡っての衝突だったからですね。その年ダルビッシュが抜けても優勝したものの、一年目の新人監督だった栗山は中継ぎをドンドン使っていくマシンガン継投をするタイプの監督でした。そんなことをしていれば投手がどうなるか?両者の思想・方針が根本的に異なるので、自分が身を引くしかないと吉井コーチが退団した過去があるからですね。

 アメブロの彼の過去のブログには、当時の事情が記されています。いわく、中継ぎを準備していなかった・肩を作らせていなかったから怒られたとか。徹底してコンディション重視でリリーフを守ろうとしていたんでしょうね。彼が抜けた翌年、日本ハムが最下位に沈んだことも何ら不思議ではないといえるでしょう。優秀な投手コ
ーチ(現場のNo2・No3に値する)が抜ければ組織は崩壊するに決まってますね。工藤は栗山と全く同じ過ちを犯したわけですね*1

 

投手ローテ・継投の計算の一例、今年はその計算があったのか?

 去年三連敗をしない、特に同一カードで三連敗をしないという大事なテーマがあり、優勝が決まるまで三連敗は3~4回ほど。同一カードでの3連敗はありませんでした。*2

 ちゃんとした投手起用・継投によって、中継ぎの足を終盤に残しておくという戦略ならば、序盤に連敗が続いてしまうということもありえるはずですが、そこは戦力・打てる選手&守れる選手が揃っているだけあって、回避することに成功していました。

 ところが今年はファイターズとの直接対決で3タテをくらうと、続くオリックスとの対戦で連敗して、4連敗することがありました。またハムに初戦勝って連敗、次のオリのカードで三連敗・3タテされて、続くロッテとの初戦にも破れ6連敗ということもありました。

 一つのカードで3タテされる・3連敗をすると、次のカードで負け越した場合、このように5連敗・6連敗という大型連敗をする危険性が出てくる。そのためにまずは一つのカード・3連戦で絶対に三連敗をしない計算を立てる。最悪の展開でも「1勝2敗」で済むような投手起用の中継ぎの配分を考えるのがひとつのセオリーです。

 そうすると一週間二つのカードで最低「2勝4敗」ということになります。その最低ラインから、どうやってもう1つ2つ勝ちを拾うか計算していく。確か中日の新監督森さんなんかそういう考えだったと思います。要するに大型連敗をするという最悪の前提から逆算をして投手起用を考えていくわけですね。

 まあ基本はこういう形でしょう。勿論こういう方式ではなく、各投手コーチの計算方式があるでしょうから、これが必ず当てはまるとは限りません。最近は前半一週間に5試合というパターンがありますしね。エースや10勝を計算できる先発が出遅れているから、前半は多少の負け覚悟で2勝4敗で計算して、借金を作らないことがメインで3勝3敗を狙っていくなんていうこともあるでしょうしね。チーム状態がマズイから初めからCS狙い、今年は無理をしない・させない。2年目・3年目で勝負をかけて優勝する!なんていう計算から無理をさせない育成中心の起用もあり得るでしょう(最近は滅多にそういうビジョンを持った監督を見かけませんが…)。

 三連敗しないという考えで計算するとカードの初戦が非常に重要になる。勝てば3連勝が見えて、負ければ3連敗の可能性が出てくるわけですからね。だからこそ去年はカードの頭を~ということが言われていたわけで。どこのチームもそれは自明なのでカードの頭にいい投手をおいてくる。だから無理せずにカードの真ん中に優秀な投手を置いて、6連戦を最悪●○●●○●で乗り切ろうと考えて先発ローテを組む投手コーチもいるでしょうね。まあこれは、いつものごとくどうでもいい話でしたかね。

 

今年も吉井コーチの計算通りの継投でシーズンが動いた。

 吉井コーチはまず3連敗を避けるという思想に基づいて配分するコーチと見て間違いないでしょう。今年のファイターズは同一カードで三連敗がなかったのを見ても明らかですね。去年・今年と所属するチームが変わって、いきなりタクトをとっても、彼の計算通りにペナントレースを動かせたことになります。

 この2チームはNPB・日本プロ野球界を代表する2チームで元から自力があるチームだということを差し引いても、ここまで完璧に計算どおりにことを進められるのは見事としか言いようがないでしょう。個人的には今日本で一番優秀な投手コーチの称号を与えるべきだと思っています(セリーグを見ていないので、そこら辺少し不安要素がありますが…)。

ファイターズの戦績をチェックしてみると次のようなものでした※引き分け除外
 3月 2勝3敗
 4月 11勝12敗 3・4月計13勝15敗
 5月 13勝9敗
 6月 15勝7敗
 7月 17勝4敗
 8月 14勝12敗
 9月 15勝6敗

 月間で負け越したのは3・4月のみ。終盤に強いことが大事だと何度も力説していますが、6~7月の15連勝&5連勝という大型連勝のあとで8月にはちょっと失速していますね。それでも負け越していませんし、まあ9月でちゃんと巻き返しているので誤差として考えてください。

 そして肝心の3連敗は、4月の5~8日、5月の24~27日、8月の28~31日にかけてカードをまたいでの3連敗が3度あるだけですね。同一カードでの3連敗が一度もありませんでした。そのためファイターズは大型連敗をして負けが混んで沈む。チームが「ウチ最近、負けが混んでいるけど大丈夫か…」と不安になることがなかった。歯車が狂ってチーム全体が浮足立つことがなかった。それがウチとファイターズを分けた差ですね。

今年のホークスの戦績を見てみると、
 3月2勝2敗
 4月12勝6敗
 5月18勝5敗
 6月16勝6敗
 7月11勝11敗
 8月11勝14敗
 9・10月13勝10敗

序盤~中盤に突入する6月までの貯金がほとんどであることがわかりますね。6+13+10、6月まで築いた29の貯金を維持しただけのペナントレースでした。まあ、普通のシーズンならば29も貯金を作れば優勝するものですが、そうは問屋がおろさないということになりましたね。

リリーフ崩壊こそ大逆転負けの要因

 そら当たり前ですよね。リリーフ崩壊させてるんですもの。負けないほうが不思議ですよ。むしろアレでどうやって勝てというのか?去年の完璧に近い継投からド素人のようなひどい継投で我が耳目を疑わざるを得ませんでしたからね。

 ホークスは救援防御率7年連続一位というDHCランキングのような栄誉を独占していましたが、今年は日 2.67 、ソ 2.98 、ロ3.35 、西3.42、楽 4.46、オ 3.98➖となって、とうとう日ハムにその座を奪われてしまいました。前半戦は確か1点台で相当抑えていただけに、いかに後半打ち込まれたかわかる数字ですね。

 

 今年は救援陣で借金9を作ったと。ハムは対照的に貯金13、「こんなところにもV逸の要因が」なんて書かれていますがむしろそれ以外に何があるというのでしょうか?前半馬鹿みたいにリリーフ使って、その上、リリーフを毎回のようにマウンドで肩作らせていたって、そんなんでコンディション保てるわけ無いでしょうに。パフォーマンスを発揮できるわけ無いでしょうに…。

 吉村のエラーでサヨナラ負けをした試合がありました。あれでなぜ工藤は守備固めをしなかったのか!という批判もありました。それも最もですが、本質的にはサファテを使いすぎなんですよね。バカみたいに投げさせる・準備させるからパフォーマンスを落とすんです。秋山時代にも投げたがりのサファテを投げさせまくって同じようなことになっていました。去年のように投番をセーブしながら出ないとパフォーマンスが落ちて失敗する確率が上がるというのは当たり前のこと。なぜそれがわからないのか…。

 クローザーは出ればまず間違いなく試合が終わるという絶対感がなくてはならない。途中から今年のサファテはその絶対感が消えていました。そしてこのように他のリリーフも不安定になって、8月頃に勝利の方程式が機能しなくなった頃、野手陣が浮足立ち始めました。これまでは7回までにリードしていれば、流れ作業のようにゲームを決められたのが、リードしていても勝てるかどうかわからないという状況になってしまった。

 となると守備でもそわそわするもの、勝てるかどうかわからない不安定な状況では流れが来るわけがない、流れが作れない。終盤はチームが勢いに乗るサヨナラというものがまったくなかった。リズムが本当におかしくなりました。攻撃面にも影響を与えるからこそ勝ちパターン継投は絶対的でなければいけない。およそ常勝チームの野球とは思えないペナントでしたね。今年の後半は。その試合を勝つのがやっとという展開でしたからね、ハムとはチーム状況がまるで違いましたね。

なぜ、過去の大逆転負けの事例から学ばなかったのか?

 1996年、広島が11.5ゲーム差を巨人にひっくり返されています。このメイクドラマが有名ですが、戦力の乏しいチームや投手陣に不安があるチームはひっくり返されやすいわけですね。カープの主砲、江藤智が打球を顔面に受け骨折で離脱したのが理由としてよく挙げられますが、継投ですよね。当時の広島といえばいつも夏まで強くて、夏になるとピッチャーがバテて負けまくるというチームでしたからね。

 1998年、日本ハムが西武に10ゲーム差をひっくり返されたそうです。この頃見ていないのでわかりませんが、西武はリリーフにデニー橋本武広らが活躍したとのこと。リリーフがいてこその逆転優勝と見ていいでしょう。まだ日ハムが弱い頃というか、パ・リーグ全体を見てもいてまえ打線やら、ビッグバン打線やら、ダイハード打線やら打撃中心で守備や投手の視点があまりなかった時代のようですね。ですからどのチームも非常に崩れやすかった時代と見ていいでしょう。

 2008年には有名なVやねん!で阪神が巨人に13ゲーム差をひっくり返されました。この一件で岡田監督はどんでん(どんでん返しから)という不名誉なあだ名になるほど見事な大逆転劇でした。巨人は、山口・越智・クルーンの方程式で猛追を図った結果、つまりリリーフの差が命運を分けたわけですね。

 大逆転されたことで迷将のイメージがある岡田監督ですが、彼は04年・07年と二度リーグ制覇をしている。優秀な監督であることは間違いないわけです。その原動力となったのが、JFKと言われる勝利の方程式を確立したことにありました。絶対的なリリーフ3枚で789回を制す。6回を終えて勝っていれば、間違いなく勝てるという必勝パターンを作り出すことでリーグを二度制覇し、球界の常識となる必勝リレーという戦術を生み出したのですから間違いなく優秀でしょう。

 ところが、前述通り大逆転をされてしまった?何故か。それはリリーフ管理・継投の概念がなかったからですね。同じく主砲新井が離脱したから、などと言われますが、問題は一年を通じてリリーフをもたせられなかったこと、JFKのような優秀なリリーフをむちゃくちゃ投げさせまくって数年で方程式を壊してしまったことですね。

 2011年、ヤクルトが中日に10ゲーム差をひっくり返されました。結構新しいので記憶に残っている人も多いかと思います。己もこの頃中日がひっくり返すだろうみたいな話を書いた覚えがあります。そして前年には前半首位を独走していた巨人を8ゲーム差ひっくり返して優勝したこともあって、落合野球・守備重視野球の信奉者になりました。そしてまたしても同じく巨人・ヤクルトは最後迄リリーフをもたせられなかった、「継投」に失敗したからですね。

 96年・98年は古い時代の話なのでまあいいとして、08・10・11年と直近にどれだけゲーム差をつけてもリリーフが崩壊してしまうと、大逆転されてしまう可能性があるということをプロ野球ウォッチャーは学んだわけです。なぜこんな常識を知らないのか?頭が悪い監督ならともかく、頭の良い監督が?。中日とは縁が無いとはいえ、愛工大名電・愛知県出身であり、もしかしたら地元つながりでコーチの声がかかる可能性がある中日・落合野球を何故研究していなかったのか?理解に苦しむ所ですね。

 こういうところを見ると、昔見当違いのコメントを秋山ホークス時代にしていて「ペナント、シーズンちゃんと見てるのかな?」と思ったことがありましたが、あまりペナントは見ていなかったのでしょう(監督就任してからは全試合チェックしているようですけどね)。

 話を岡田監督に戻して、リリーフ整備・育成に優秀な監督であれ、起用によって壊してしまう・一年もたせられない。そうなると、大逆転される可能性がある。もし大逆転負けをすれば、監督の評価は急落・失墜する。この危険性を外から勉強して監督の座を狙っている監督候補生達ならば肝に銘じているはずなのですが…。

この倍以上の文量になったのでとりあえずここまで。また編集し直すかもしれません。

アイキャッチ用画像、吉井信奉者になったので吉井さんの画像で

BBM2006 レコードメーカーズ アクティブスターズ No.AS5 吉井理人

*1:言うまでもなく、組織の方針はそのままで、同等でないにせよそれに準ずる人材を連れて来て穴埋した場合はまた別ですけどね。今年の投手コーチは出戻りの田之上氏でしたからね…。

*2:優勝したあとは戦力整備・休養などで6連敗などしていましたが