密息―中村明一
「密息」で身体が変わる (新潮選書)/新潮社
日本人の身体にあった呼吸法とはなにか?という話ですね。尺八奏者であり、それに必要な呼吸を探して行った結果、こういう密息という呼吸法に行き着いたと。あんまり熱心になって読まなかったのですが、腹式呼吸は腹を膨らませて多くの空気を取り入れますが、帯なんか絞めるとわかるように、着物でもそうですが、日本人は着崩れしないようにずっと腹を膨らせたままで呼吸するのが自然・楽なやり方なんだとか。
んで、まあ一応気になったメモとか載っけときます。
p110、書は呼吸の芸術。文字には息に合わせて書かないと上手くかけない。―そんなことを考えるとイスラムの文字の芸術も、そこに民族の息吹・息遣いが宿っているのだろうなとか思いますね。
p133、日本人は、いよ~っポンで手拍子を合わせられるが、西洋人はワンツースリーのようにしないと合わせられない。日本人独特の間の感覚がある。
p142、超一流の演奏家は間のとり方がうまい。ここというところで音をビシッと合わせてくる。西欧での経験談の紹介で、沈黙が通じないという話は面白い。「うーん」、と間をためてその次に出す言葉に重みをもたせるということが通じない。その僅かの間で、どんどん発言されてしまうので、間を開けるということが通用しない。
p165、音は基音と倍音からなる。湿潤で植物が多いから基音より倍音の方が伝わりやすい。住環境でも基音より倍音の方が伝わりやすい環境に日本はある。石造りの住居などは基音が響くからそっちが主になる。倍音は楽譜では表現できない。楽譜では基音が表現されている。よって表現できない倍音の世界に惹かれて尺八演奏者が世界中で広がっている。
p166、外国の人は日本の街の騒音に耐えられない。確かにうるさいと感じるが、日本人は雑音をシャットアウトする、音を選別しているので特に気にならない。外国の人は蕎麦屋で啜る音がうるさいと感じてしまう。