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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

鶴岡のリードと高谷のリードについて考えてみる

 鶴岡というキャッチャーについて考えてみたいと思います。前々からリードに疑問がある。高谷のリードがいいのではないか?と思ったので、それを数字で証明できないかな?と思ったので。(5/10までのデータで計ってみました)

鶴岡 計205イニング 82失点 防御率3.60

 ※内訳メモとしてこれまでの試合を順番にメモったものを一応、貧乏性で消せないので見る人なんていないと思いますけどね、一応。もしかしてまたいつかこのデータを利用するかもしれませんし。イニング数と失点を意味しています。9-1だったら、9回1失点ということですね。

(内訳6ー2 9ー2 3-0(あやつぐの二番手) 9-0 7-10(4/1武田) 6-4 5-3 9-0 9-4 9-0 8-0 9-2 7-1 7-1 9-4 7-6(4/16東浜) 9-2 6-9(4/18摂津) 7-4 8-1 6-3 2-0 4-7(4/26スタン) 6-3 9-2 7-2 8-4 11-3 4-1 9-1)

高谷 計91イニング 26失点 防御率2.57(失点を間違えていたので再計算)

 (内訳1-0 4-0 4-0 3-0 2-1 2-0 2-1 2-0 2-0 1-0 9-1(4/22武田) 6-0(4/24西武戦途中から) 7-4(4/25摂津) 2-0 8-5(4/29武田) 1-0 7-3 1-0 1-0 7ー6(5/6武田) 9-3 8-2)

※おまけ

山下斐紹 

計18イニング 9失点(内訳3ー1 6-5(3/29中田) 5-2(4/26スタン炎上後5回から) 1-1 1-0 2-0)

 序盤すぐにスタメンマスクがあったのでスタメンがもうちょっとあるかなと思いましたが、まだ1試合だけですね。大隣はキャッチャーあんま関係ないので大隣で組ませてあげて欲しいですね。

 拓也1-0 細山田2-0、一試合だけのあんまり意味無いものですね。拓也は、2~3試合は負け試合で経験の意味兼ねてマスクかぶっているかな~と思いましたが、やはり1試合だけでした。細山田は5番手捕手、万が一のためのスペア・保険という枠なわけですが、ちょっとリードが良さそうなのでもうちょっと使ってあげて欲しいですね。来年支配下切られたら可愛そうですし。

 で、この数字はこれまでの試合でどれくらいキャッチャー別に失点したかということを図る目的で書いたのですが、エラーを差し引くのを忘れていました…。キャッチャー別防御率というので、Eなどへの考慮が必要なのか?失点と自責の違いが必要なのか?という疑問もありますが、そもそもあんまりデータサイトを探しても出てこないことを考えても、計算式のセオリーがなさそうなので気にしないことにしました(^ ^;)。あくまで目安ということにしといてください。

 ぬるデータというサイトに、キャッチャー別防御率という物があることを今更知って、見てみましたところ、先発のみで計算しているようです。確かにいつも言っているように、点をやっていいところではアウトカウントを増やすことを優先してベンチが1点はいいよという選択をすることがありますからね。特に終盤それが顕著になります。というわけで、高谷のデータから先発のみにして比較してみることにしました。

 高谷7試合 55回24失点 これで防御率は3.90台に跳ね上がります。つまり前述の高谷の数字は、先発とリリーフでの差というのがあるので、防御率としては鶴岡と比較する上ではあまり参考にはならないでしょうね。結局シーズン終わって投手毎のキャッチャー別防御率でも見ないとわかりようがない話ですかね。

 鶴岡の数字は二番手として出てきた試合が数えるほどなのであまり変わりはないと思います。ですので計算していません。鶴岡のスタメンは26試合であり、その数字を考慮すると果たして鶴岡のリードが悪いかどうかということはまだまだ言えませんね。数字上のデータとして比較する母体が違いすぎるので。

 ただし参考になるというか注目すべき数字として高谷のリード、スタメンマスクの日は5勝2敗、勝率7割というデータがあります。これくらいじゃ全然参考にならないのですが、高谷が先発リードをしたのは摂津・武田・中田3+3+1=7試合という内訳になっています。

 摂津と武田は4月の第四週から組み始めて現在に至るまで、この二人の日は高谷確定になっています。どうして、摂津と武田は4月の第四週から組み始めたの?という疑問が浮かぶかと思いますが、これは以前ブログで書いたとおり(引用ですけども)、鶴岡はカーブを使うリードをするキャッチャーではない。高谷はそこそこカーブを使うリード・組み立てができるキャッチャー。そこで高谷がカーブが持ち味の摂津・武田と組むことになったのでしょう。

(※参考1 鶴岡のリードの傾向について―交流戦 対巨人・広島・阪神 の広島戦の当たりに書いています。この中にあるlovebabyさんのブログの解説が非常にわかりやすいかと。ぜひこちらをご覧ください)

(※参考2 高谷のリードについて―7月第三週 対ロッテ 九月のホークス第四週 などで、高谷のリードがひょっとしていいのでは?と薄々感じることがありました。まあそこまで確信してはいなかったのですが、それが確信に変わることになりましたね、今年は) 

 でまあ、去年の時点でもそこまで確信がなかったというのは、3番手捕手で年齢的にもう若手と競争が出来ない。これからはあやつぐ・拓也と言った若手の育成がメインで、彼はあまり使われなくなる。これまで使われない、使われてこなかったということを考えるとリードがよくないのだろうと思い込んでいました。

 経歴見ると社会人を経て大学に入ったという変わったキャリアで苦労人なんですよね。07年からプロで正捕手不在のホークスが即戦力の捕手として期待して獲得。その役割を果たせなかったと。去年0で一昨年は3試合。12年は山崎と併用というか第二捕手を競う形で彼を上回る34試合。大隣・武田と組めたことが大きかったということでしょうか。

 なるほど、パンのFAは鶴岡の獲得でスタメンがなくなるというだけでなく、高谷との競争にもこの時点で負けていたからということですね。この年山崎のスタメンは27試合でしたが、コンビを組んでいた帆足が先が長くないというかローテを安定して守れる可能性が低い。武田がエースに成長すれば細川が高谷と組む。となれば将来的に自分のポジションはまず無いですからね。まあ打撃で山崎>>高谷ですが。

 11年は1試合のみ。10年の山崎・田上時代には1試合のみですね。09年は21試合(最多は115試合の田上)、08年は56試合で最も多く先発マスク(的山30、山崎38、田上18)。07年は7試合のみ、山崎・田上時代ということと、新人で経験が浅かったということでしょう。

 こうして高谷の経歴を見ると期待込みで起用された08年以外30試合を超えて先発マスクをかぶったことがない。田上はともかく山崎くらいのバッティング能力がないのならば、あえて山崎よりも優先して使う必要がないといったところだったのでしょう。09年で見切られ、10年は出番なし、11年細川が来たらなおさらという感じでしょうか。

 12年そんなにスタメンだったイメージがないですねぇ。しかし大隣・武田と組めたことでかなり色々経験になった、成長の道をたどった。スイッチが入ったということでしょうかね。

 【ケース①】今の高谷のなかなか期待できるリードを見ていると、13・14年の彼の起用の少なさが残念ですね…。というのも武田が最近打たれた日にラジオの解説誰だか忘れましたが、元ホークスのOBの誰かだったと思いますが、その方と斎藤和巳さんもピンチでの武田の初球の入りというものを、それはどうなのか?と苦言を呈していました。

 打たれたのはしょうがない。しかし代打で相手は必ず初球からセオリーで振ってくる。入るのならボールから、キャッチャーもそのつもりで外に構えたのだろうけど、もっと外から入るんだ・ボールでいいんだということを示さないといけないと強調していました。バッテリーは要勉強だと。武田=高谷コンビはよく勉強して次に活かしてほしいと斉藤さんは念押ししていました。

 【ケース②】また、摂津の時に、ヨシコーチが相手はおっつけるつもりで待ってるのに、外のカーブ多投したらタイミング崩されてるのがちょうど拾えちゃう。それを考えてカーブを使わないと―と同じく高谷のリードに注文をつけていました。

 ―とまあ上の二つの事例を見てもわかるように、高谷のリードがいいと言っても、このようなミスを高谷も犯しているわけですね。じゃあ、鶴岡と大して変わらないんじゃない?まだ鶴岡のほうが打てるし―と考える人もいるかと思うのですが、やはり鶴岡は飛翔することが多い、HRを打たれることが多い。投手が炎上しやすいのでかなり問題があると見ています。

 上に青字で強調したように、10・6・9・7失点と武田・東浜・摂津・スタンと4人の投手を見事に炎上させていますね。高谷も摂津と組んでいて計4失点と負け試合にしてしまった日と、つい最近の武田の炎上で涌井との投げ合いで投げ負けてしまうという日がありました。そういう日を見れば高谷だって大量失点しているから似たようなものに見えるかもしれません。

 しかし、高谷の時のそれは、どちらとも首脳陣があえて交代せずにエースにロングイニングを消化してもらうためという判断があった、武田の場合はリリーフを前日・前々日使っていて使えない、また将来のエース候補として彼に育ってもらわないといけないというビジョン・プランもあって負けを覚悟であえていかせたという判断・決断がありました。

 以前バディーヤ限界が来ているのに馬鹿みたいに引っ張って何やってるんだ!と秋山采配を見捨てたきっかけになった試合がありましたが、この場合はあえてこの試合を捨てても先のことを考えているという采配でしたので、むしろ頼もしさを感じましたね。その話はいずれ詳しく別に。

 で、その高谷の負けた2試合と比較して、鶴岡の炎上というのは質が違っていて、ピッチャーが調子を崩したら自滅するのを助けることが出来ない、ズルズル行ってしまうという性質の炎上なので問題だと考えます。

 摂津がQVCに相性良くないだとかもありますけどね。摂津・武田に関してはカーブを使える高谷なら間違いなく鶴岡よりはいいでしょう。東浜が2回の先発で失敗、2軍降格となりましたが、彼もカーブを使うタイプ。去年の日本シリーズのように、まだあの時期ほどうまく曲がったりはしないでしょうけど、落ちる前に一度高谷と組ませてあげてほしかったですねぇ。

 で、高谷のリードでそのようなミスをしたのも、これまで先発マスクの機会が少なかったことが要因の一つであるといえると考えます。経験が浅いことを考えると去年、一昨年必ず誰かと組ませておいて欲しかったですね。鶴岡のFAで鶴岡を獲得する事、それに伴い山崎が出て行クということは事前にある程度想定できたはず。細川・鶴岡どちらかが故障した場合2番手として高谷が必要になるというケースは考えられたはずなんですがねぇ…。まさに今年そのケースになっていますが、本当に秋山政権時代は危機管理や将来へのヴィジョンというものが欠けていましたね。

 競争に負けた選手をそんなに使えないというのはわかりますが、三年後のチームの為に10試合くらいスタメンで起用しておくべきだったでしょう。そうでないのならば三番手捕手として山崎残留を確実にしておくべきだった。それを怠ったフロントのミスでもありますね。

 これまで半分実力で起用されてこなかった高谷ですが、その半分は「干されていた」と考えてもよろしいでしょう。半分は言い過ぎか、3分の1くらいですかね。その「干された」ツケによって経験値が乏しいことは多少大目に見てやるべきだと思います。むしろ今年鶴岡から二番手を奪うのなら、真価は来年・再来年ということになるでしょう。

 鶴岡がFAで「打てる捕手」としてやってきて、三番手捕手として生き残りを図るために、自分に必要とされることを必死で考えたんでしょうね、きっと。鶴岡が打てずにスタメンから外されていったことを見てわかるように、打てたら競争に勝つのに一番いいんでしょうね。ですが、年齢行ってて、いまさら打撃開眼するというのは考えにくいですから、当然「捕手」としての価値を高める方向に全力を尽くしたでしょう。

 高谷は指摘されるまでもなく、鶴岡の炎上を見て「鶴岡はカーブを使うリードが出来ない」ということに気がついたはず。そこでどうやってうまくカーブを使えばいいのかということをテーマに下で勉強していたのではないでしょうか?あるいは細川にその妙を聞いたり、彼のリードを勉強したりしたと思います。

 また去年鶴岡は阻止率が上位でしたが、鷹の捕手陣といえば阻止率が低いことで有名でそこが課題でもあった。アピールする上で「刺せる捕手」というものを打ち出そう、二塁への送球を磨こうというテーマがあってそれを念頭に練習したのではないでしょうか?

 (※今年の阻止率―5/9時点で高谷は1位の.583、鶴岡は9位=最下位の.143)

 カーブを活かすリードをするということは、当然それを狙われて盗塁されやすくなるということでもありますから、いかにそれを防ぐかということもテーマに練習してきた、配球を研究してきたはずです。もちろんこれまであまり脚光を浴びてこなかったので、相手が研究していない。きっちり対策を取っていない結果かもしれませんが。来年もこの阻止率を維持できるかがポイントになるでしょうね。今年も最終的には4割を維持できれば合格でしょう。

 ノムさんは二番手キャッチャーは自分をPRするために交代してから違ったリードをしたがるという話もしていましたね。高谷もインコースを多用したり、カーブを多用するのはそこにあるのでしょう。自分を今PRしなければならないですからね。そのインコースの多用、カーブの多用のデメリット・マイナスをいかに抑えるのかというのも、今後高谷が鶴岡から二番手を奪う上でのポイントになるでしょう。

 鶴岡で???と思ったのは、スタンの炎上の日だったか忘れましたが、QVCでスタンが初回ぽんぽーんと2ストライク取って、アウトロー真っ直ぐを投げて三球勝負に行って2ベース打たれた試合ですね。

 結果論なんでそれ自体がどうこういうわけではなく、2点とってもらって、リードしている。相手が新人投手で今後も点は容易に取れる。そんな余裕がある試合の立ち上がりで、あせらずにじっくり行けばいい。勝負事に絶対はないので、打たれるにしても、仮にそこを投げて打たれたとしても、後続を抑える自信がある。その次の対決にそれが活かせるという計算があって三球勝負しなくてはいけない。その計算が成り立っているものだと思っていたので、ツーベース打たれてもまあ大丈夫だろと見ていたら、そのあとで普通に打たれて初回でいきなり同点に追いつかれてしまって「何やってるんだコイツ…」とあきれた時ですね。

 本人は「カウントが速いからストライクいらない、ボールでいいんだよ」と思っていたのなら、もっと外に構えてギリギリを狙って!とPRしないとダメでしょう。あっちのピッチャーは追い込んでからの三球目だろうが、常に勝負の気持ちで投げるんですからね。若菜さんが外国人投手にリードの意図を伝えられないとくぎを差していましたけどまあそのとおりでしたね。

 対照的に中田と初めて組んだ、高谷は自分の意図を明確に伝えていたと思います。田村(ロッテ)もそうですが、彼が若いのにいいキャッチャーだなぁと思ったのは、自分の意図を明確に伝えようとする姿勢があるからなんですよね。ピッチャーと一生懸命コミュニケートしようとする姿勢が見ていて気持ちいい。この日の高谷は「低くだよ」「左右どっちでもいいんだよ低く行けば」とか「広く広く」とか「うんうんいいよいいよ」とか中田に自分の意志を明確に伝えていたと思います。

 ロッテは4/19のQVCだったかな?他にも4/28のハム戦ですね。大隣のリードで逆転の走者一掃のタイムリーツーベースをハーミッダに打たれた試合。若菜さんが解説していたのですが、何を投げるにせよ、球種の選択をするにせよ、一番失投の可能性の高いボールを選んでしまった。打たれるのはともかくにしてどうしてそれを選んだのかわからないとのこと。

 鶴岡はおそらく一番結果が出やすいもの、投手の最高のボールを要求する楽観的なリードをするんでしょうね。最悪を考えた計算というものが出来ない気がしましたね。古田さんがリードとは少しでも結果を下げるもの、HRならツーベースに、ツーベースならシングルヒットに…と逆算していかなくてはいけないと言ってたのを思い出しますね。

 つい最近では9日の楽天戦ですか。二保が逆転HRを嶋から打たれたわけですが、これも失投。もちろん投げた二保にその責任はありますが、嶋は捕手としてリードを計算に入れて打つバッター。スリーワンというカウントでノーアウトで先頭を出したくないから、まっすぐ一本に絞って振り切った感じに見えました。大事なところで一発を打たれてしまう、投手の状態を計算に入れたリードが出来ないというのも問題ではないでしょうか。

 (※そういえば高谷も森がリリーフで、メヒアだったかな?誰か忘れましたが、初球変化球から入ってそれを痛打された試合がありました。森という投手、まっすぐで推していくタイプの投手にどのボールを選択すべきなのか、ボールで入るつもりだったんだろうけど、ピッチャーのタイプを考えてボールでも真っすぐから行くべきという話もありましたね。高谷も問題がないわけではないのは同じですね。要するに今後競ってその結果次第ということですね。)

 力尽きたのでこのへんで、本当は鶴岡のハム時代のデータを載せようと思いましたが、それは後で追記します。しかし、FAで来て第三捕手にレギュラー奪われそうになるってのはどうなんでしょうね…?今高谷が打てないので鶴岡をなかなか下げない感じになっていますけど…。リードだけでなく肩という面で今年は高谷が光っているので、今後も高谷の出番が増えることになるでしょうね。鶴岡が1割台で全くさせないのは大きなマイナス要因ですし。

 まさか高谷も鶴岡が来て山崎が出て行くことになって、自分が第二捕手の地位を確立できるとは想定していなかったんじゃないでしょうかねぇ。巡りあわせてというのは不思議ですねぇ。細川が観戦の大きなポイント、ウェイトを占めていますが、鶴岡スタメンでつまらない。高谷が出てきて面白くなるとは一体誰が想定したでしょうか、不思議なシーズンですねぇ、今年は。