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江川監督は巨人を変えられるか?&野球人口の減少

 西村健太朗の怪我情報を見て、ああ、やっぱりやってしまったかと思いましたが、打球直撃のアクシデントのようですね。それはさておいて、かつて守護神を務めた西村が、今一軍で投げられなくなっているという話を聞いてむしろそちらに驚きました。

 巨人というチームは中継ぎ、抑えリリーフ陣の整備がうまくないという印象が強いチームでした。巨人に注目して見ていた時からこの印象を抱いて、それを覆すことはとうとうなかったというオチみたいですね。

 長嶋→原という野手監督体制が続いた結果、投手を育てられない・育たないチームになってしまって今に至る。投手整備が出来ないという基本構造は変わってないと思います。尾花コーチという名コーチがいるので、一応投手が育つ環境自体はあると思いますが。

 長嶋さんの前には藤田さんという投手出身監督時代があって、守り勝つ・投げ勝つ野球をやっていた。堅実で強いチームだったというイメージが有ります(見てないのでイメージですが)。長嶋時代になって、勝利よりもエンタメ重視になった。V9という時代があって、強いだけじゃダメ、話題性・インパクト・面白さが重要になった。それはそれで「客」を意識しているので間違いではなかったと思います。しかし目に見えない大事な守備や走塁、フロント・二軍の機能などは重視されなかった。これが問題だったんでしょうね。

 即戦力・補強ばかりで生え抜きが育たないという問題を次の原さんが手を付けましたが、投手の管理をしっかりやって酷使しない、長年投げ続けられるようなシステムを作るというのは原さんでも出来ませんでした。落合監督がコンディショニングの重要性を理解して率先して進めたのと対照的でしたね。まあ中日が浅尾しかり、投手を壊さないシステムを構築できているかといえば疑問ですが。

 原野球では、固定的な采配を打破して、監督の采配で勝つという要素が増えて長嶋采配より格段に上だったし、よかったと思います。しかしその一方、近年の主力の不調に代表されるように、安定して実力を発揮できなくなっているという一面もまた事実だと思います。

 落合さんが、「巨人は下手に動かさない方がいい。どっしりこられるのが一番怖い。タツがベンチで寝てれば勝てる」と言うように、選手にあれこれ指示を出して動かそうとすると、選手の打撃の状態が落ちてしまう。一球毎に指示が変わったり、スタメンを確約されずにその日によって打順や出られるかどうかがわかる、また途中交代も当たり前―となれば、たしかに不器用なバッターは集中して試合に臨めなくなるでしょうね。

 かと言って戦術というのは重要なファクターなので、選手もその指揮官の指示に応えられないというのは能力の低さに違いはないわけで。まあひとつのファクター・能力として、指揮官の指示に柔軟に応えることが出来る「臨機応変能力」「状況対応能力」というものを重視していいのではないでしょうか?野村監督なんか二番最強説で「井端がほしい!なんでもできるじゃない!」と言っていましたが、井端はそういうわかりやすい数字にはない、指揮官の指示に応える能力が優れたバッターといえるのでしょう。

 中村ノリの「うろちょろすんなや」も、チームの中心打者には、バッティングに集中させるために余計な指示を出さない、余計な指示を出して調子を落とさせないというこれまでの野球界にあったセオリーから当然の発想なんでしょうね(あの時の中村ノリがチームの中心打者であったかどうかはさておいて)。

 まあ、そもそも不器用な選手を集めておいて、その監督の指示通りに動かそうというのが問題があるとも言えますが。相手に応じて自由自在に姿形を変えるというのは、己も好きなんですけど、選手がそれに応えられる能力がないのならば、打順をコロコロ変えてはいけない。それこそロッテのバレンタイン監督が日替わりで猫の目打線を組んだのは、そういうチームカラーだったから出来たといえるでしょう。

 今ホークスが3456番辺りは殆どいじらずに色々試している形ですが、チームの中心打者だけは動かさないという基本を守っているが故の強さとも言えるでしょうね。そういう意味で前監督の秋山さんがアホみたいに選手と打順を固定して起用し続けた意図もわかると思います(秋山さんの場合はやり過ぎだと思いますが。エンドランすらかけませんでしたからね(^ ^;))。

 そして、原政権の間に、一回投手出身の堀何とかさんを挟んだ過去がありますが、投手出身監督に課題の投手陣の整備を任せたということなんでしょうが、失敗して今に至ると。

 原さんの投手継投について多分何回か批判したと思うのですが、彼は投手を使いすぎる、コロコロ代えすぎる。789という終盤に固定的に三枚使ったり、投手の試合数の管理とかそういうことを考えない監督でした。山口以外、河原とか越智、久保などの選手は4~5年持たずに消えていきました。そして今また西村という選手がそこに名前を連ねると…。

 長嶋時代も條辺・三浦という選手が壊されたという過去があったと思いますが、チームとしてそういう問題点を認識していないのはどうかと思います。確か2回か3回で満塁のチャンスだかで投手を代えてしまって阿部がベンチでずっこけるみたいなのがありましたが、ああいう投手の負担を軽んじることはやってはいけない。

 ノムさんが奇策というのはセオリーがあってこそ有効というのに同感ですね、そして名監督と言われるために、個人の色を出そうとして必要以上に動きたがるというのも。戦力があるチームはそこまで奇策や動くことは必要ない。もっと選手に信頼して任せないと。

 日ハムが原監督を招聘したがっているという話がありましたが、戦力がそこそこあってコマが豊富なチームこそ原さんに向いていると思いますね。あとコロコロ弄りたいなら、ロッテとか。

 まあそこら辺はさておいて、とにかく投手を壊さないようにしっかり管理する。ちょうど今のホークスのように、試合数をセーブして年間スパンで使っていくような投手出身の監督が巨人には求められると思います。原さんは今年までと言われていますしね。

 ―となると、松井監督がないのならば、江川監督と噂されているように彼しかいない。課題の投手陣整備にうってつけの人材ですしね。

 あとは、江川監督が投手コーチとして誰を使うかがポイントですね。工藤監督、ヨシ&吉井コーチというサポートがあってこその今のホークスの見事なピッチングスタッフ・投手陣の整備があると言えますから。巨人的には桑田コーチか?あまりOBとか後輩とか、そういうコネではなく、実力で選んで欲しいところですね。小宮山さんなんかコーチやらせてみたいですけど、あと野茂さんとか。

 江川監督がどのように投手陣を整備するか、また投手コーチを誰にするか注目したいですね(最早決まったかの如きですが)。

 それと、言わずもがなで、打撃コーチをどうするのかという問題もありますね。投手出身ならば投手はよくても打撃がダメで、打者出身ならその逆という構造がありますからね。今のホークスも投手陣は間違いなく育っていって、ここ5年は投手が安定するだろうという目論見がありますけど、その間に誰か打者を育てられるか?と言われると少し心もとないですから。秋山政権=打者○・投手☓、工藤政権=投手○・打者☓にならないといいのですが…。

※おまけ、そういえば堀内さんはダメ監督のイメージが有りましたが、投手陣の再生&守り勝つ野球(藤田野球)をやろうとしていたんですね。それ自体、ビジョン自体はむしろ正しかったと言えますね。んで守備力優先のために、清原を切ろうとしてチーム内に不和を招いて失敗してしまったと。

 守備力のある選手を、と要請した選手も外れて大失敗と。ヴィジョンはあってもチーム事情を正確に把握せず、いきなり路線を切り替えてしまったからこそ失敗したといえるんでしょうね。梨田さんが守り勝つ野球をやりたかったが、そういう選手がいないために打ち勝つ野球をやらざるを得なかった、チームの特長を活かして戦ったと書いていましたが、堀内さんの失敗を念頭に置いて書いてたかもしれませんね。

※おまけ2、タイトルに書いた野球競技人口の減少ですが、そこまで長くもないのでここにおまけで書いておこうと。中高生はともかく、小学生の競技人口が物凄く減っているとか。少子化相まって、野球という特殊な器具を必要とするスポーツを選択しなくなっているとか。サッカーチームは増えていても、野球チームは物凄く減っているというデータが有りましたが、むしろこれまで野球競技人口が異常に多かった気がしますね。子供の頃はアホみたいに少年野球チームがありましたからね。

 壁当て用の壁を寄贈するみたいな話がありましたが、近くでそういうことをするような壁自体が存在しない環境って一体どういうことなんでしょうね?変な都市設計の結果か?無闇矢鱈な開発の結果なのか?

 むしろ野球界としては野球だけでなく、色んなスポーツを経験できるような社会に変えるべく動いたほうがいい気がしますね。スポーツをやる環境がないことが問題でしょう。画一的な公園とか意味が無いですし、アスレチックなそれとか、色んなスポーツの練習になるそれとかのほうがいいでしょう。

 子供の頃から一つのスポーツではなく、色んなスポーツをやる環境の方が運動能力が育ちやすいといいますしね。

 それと競技人口が減っていくということは自ずと野球の選手が育たなくなるとも言えますね。今のうちに海外選手を育成して、野球の国際化を進めることを考えたほうがいいのではないでしょうか?海外選手4人までもそのうち通じなくなるでしょう。野球途上国の場合は、この枠から外すとか色々な取り組みを求められるでしょうねぇ。米も野球離れが進んでいて、平均年齢が53歳だったか物凄いオッサンしか見ていないとか言われていますからね。

 孤独なボウリングならぬ孤独なプロ野球観戦にならなければいいですけどね。