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別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい

八重樫、ロマゴンの前に散る

 うーん、やはりロマゴンの壁は厚かったですね。ロマゴンは強かった。序盤のダウンがもったいなかったですね。アレがなければもうちょっと違ったペースでやれたかもしれませんが。

 八重樫も大きいほうじゃないですが、ロマゴンもそんなに体格が大きくない。160センチですからね。で、新井田とやった時の印象だともうちょっと小さかった。八重樫戦で見ると、あれ?こんな大きかったっけ?と驚きました。再び新井田戦の映像と比較してみるとそこまで違いはないんですね。階級増やして体重増というのはあるでしょうけど、パワーを感じますねぇ。

 ロマゴン身長あればあと2~3階級余裕であげられるんでしょうけどね。天性のセンス持ってるんですけどねぇ。もっと上、バンタムくらいまで上げてほしいなぁ。

 ロマゴンがもっと小さかった。ひょろっとしたイメージがあったので、やっぱり天才は最初細い、ガリガリでのちにでかくなるというエピソードを思い出しましたね。ロマゴンのキャリアのはじめの方知りませんけど、ひょっとしたらガリガリタイプだったかも。

 猪木も白鵬もはじめはガリガリ、だんだんデカくなっていった。マー君もそうですよね。なんか甲子園特集みたいな雑誌を目にして、その表紙が斉藤と田中だったんですが、田中はガリガリというかひょろっとしている。甲子園出のスター選手はみんなそうですよね。ひょろっとしていて、後に身体を作りこんでいく。そういう事を考えても斉藤や松井裕樹はちょっとのびしろがなさそうですよね、やはり。

 そんなことをロマゴン見てふと思いました。で、八重樫の戦い方を見ていて、もっと足を使うべきでは?左右のフットワークで幻惑しながら、もっと動いて回って回って戦わないとロマゴンに勝てない!と初見では思いました。

 先ほど二回目、もう一度試合を見なおして、八重樫の選択は「ああ、正しかったんだな」と思いました。プランとしてもっと足を使うパターンと、打ち合うパターンを想定していたようです。で、実際に向き合って足を使うパターンでは無理と判断したと。前に立ってそうしないと無理だと判断させる彼の圧力故なんでしょうね。八重樫がそう判断した、感じたということは下がったらそこからパンチを当てるのは無理だということなんでしょう。

 確かにロマゴンのパンチのヒット数が上回っていたと思いますが、八重樫が距離をコントロールしたラウンドもありました。判定で8ラウンドくらいまでロマゴンが一方的だったみたいですが、そこまで差がつくかな?と疑問に思いました。志村けんの仕草みたいに左右スイッチしながら構えで幻惑したのは見事と思いましたしね。八重樫もパンチ当ててましたし。

 新井田戦では左のボディアッパーを多用していました。左・左・右というボディアッパーのコンビネーションで相手の身体を起こして距離を制するのが一つの基本パターンですね。ボディアッパーが本当に凄い上手いですよね。ロマゴンはハードパンチャーなので、インファイターというイメージを持っていましたが、パンチの伸びが素晴らしい、中間距離でこそ生きるタイプですね。彼のリーチの伸びを考えると、10センチはリーチで勝ってないとまともに中間距離では打ち合えないのではないでしょうか?

 パンチが伸びるというタイプは珍しくありませんが、彼の場合スナッピーかつ重いというボクサーとして理想的なパンチを打ちますから、凡百のボクサーでは相手にならないでしょうね。伸びるということはそれだけ体重が載せられないはず。なのに彼は拳に体重を載せられる。

 パンチの音が明らかに違いますからね。バシッ!とかベシッ!とかパンという音じゃなくてバシャーン!って炸裂する音がしてますからね。新井田選手がロマゴンには安全地帯がないと表現していました。普通はここにガードしておけば、ここに頭を置いとけば、もうパンチを貰うことがない。そういう安全地帯を作れるのに、ロマゴンにはそれが通用しない。ディフェンスを崩される。必ず隙間からパンチを放り込まれると言ってました。

 八重樫をKOしたラウンド、9Rかな?パンチを3~5発まとめるシーンなんか印象的ですけど、打った後元の位置に手を戻さないで、中間くらいまでしか戻さないんですよね。そこからまた相手のブロックにぶつけたり、当てに行く。殆ど手打ちパンチが効いてしまうんですよね。マウントポジションで小さいパンチを当てるという技術がありますが、あれもそんなショートパンチなのにどうして効いてしまうんだ?という打ち方の技術があるわけですね。

 ショートパンチに体重を載せて効かせるというのは打撃系の一つの理想型ですから、ロマゴンのレベルがいかに高いかわかりますね。ベストやアーダーという身体意識がものすごく発達しているのでしょうなぁ。

 彼を攻略するには、やはりその能力を発揮させないように空回りさせること。外に回って、まっすぐ行かないこと。そして八重樫がやったようにカエル気味にいきなり飛び込んで行ったりペースを乱すこと。中間距離では彼のリーチ、パンチの前に沈没させられますので、インファイトでしょうね。そりゃアウトボクシングできればそれでいいんですが、今の階級ではアウトボクシングしてポイントアウトできるボクサーはいないでしょう。くっついてサイドに動いて相手のパンチが届かない距離を作るしかないでしょう。まあそれも結局フットワークが必要なのですが…。とすると、そんな高度な技術を持ったボクサーはめったに出ないのでほぼ不可能に近いですね。

 左のボディ打ちが上手いので、距離を潰してサウスポー・右構えで相手の左を打たせないようにすべきでしょうか。エルボーブロックとかストッピングとかそういう技術が彼を無力化する鍵ではないでしょうかね。まあ、それをやっても余程のボクサーじゃない限り、それをフェイントに使われて、まっすぐズドンでやられちゃうでしょうけどね。真っ直ぐ系のパンチが打てないわけじゃないでしょうし。

 あと、やっぱりカウンターですよね。カウンター取って相手にパンチを出すのをためらわさせないと、主導権は握れないですよね。八重樫も何回かはカウンター取ったんですが、ロマゴンを下げさせるほどのパンチではなかったというところでしょうか。

 そうそう、そういう風に距離を作って回りながらも必ずどこかで、コーナーやロープ際に詰められて打ち合わなくちゃいけないですからね。その点八重樫は消耗して動けなくなるまでなかなかうまかったかと思います。相手のパンチ引っ掛けて体を入れ替えたところなんか、思わず「うまい!」とうねりましたからね。

 敗れたとはいえ、八重樫の試合は面白くていいですね。次は一つ下げて井上と入れ替わりで三階級制覇でしょうか。日本人対決なら宮崎ですか。まあ、間違いなく八重樫は三階級制覇するでしょうね、あとは面白い試合をするような強敵がでるかどうかでしょうか。

 で、同門のモンスター井上が今度は階級を上げてロマゴンに挑むと。気持ちはわかりますけど、今の井上ではまだ無理でしょう。試合を見て、今まであんまり良い評価をしてこなかったのですが、今回はじめて、「おお!いいジャマイカ」と彼のボクシングを見て初めていいね!と思いました。悪いというより印象に残らない、あんまり面白くないなという感じだったので、今回は彼に可能性を感じさせるいい試合だったと思います。

 彼は上手いし、才能はあるけれども、面白い試合をやってない。パンチがないので階級上げても限界だろうなという印象が強い選手でした。今回の試合は途中から見ましたが、L字ガード・前の腕をくの字にしつつ相手をコントロールする見てて上手いなぁ~と思う試合でした。スイッチもありましたしね。

 減量苦で足が痙攣したといいますが、それでもあれだけやれるのですから大したもんでしょう。ただパンチがないのは彼のボクシングの特徴なので、スピードやバランス・手数という点でいかにTKOに持っていくかというのがポイントになると思います。真の天才ボクサーとはフットワークで相手を幻惑する。スピード&異次元のボディバランスあってこそでしょう。それさえあればパンチ力なんかなくても手数で圧倒できますから、もっとスピードとバランスですよね。世界の天才ボクサーと比べて身体の使い方が全然固いですからね、今の彼は。そこはトレーナーの指導次第でしょうか。ロマゴンと戦う上で彼以上のバランス感覚に、「浮沈」が出来なければ到底及ばないでしょうね。

 ロマゴンに挑む前にビロリアとか強いのがいますので、先にそういうビッグネームを蹴散らしてから挑んで欲しいですね。

 井岡・宮崎の前哨戦は相手が弱いのでなんともコメントしようがありませんでした。おもしろくなかったので、そこまで真剣に見てませんでしたし。ただ、井岡のレナードを参考にするというのは、そもそもタイプが違うし、どこがレナードなんだ?とちょっと理解できませんでした。

 井岡のボクシングの悪い所はガード固めてまっすぐに追うことしか出来ないこと。直線的すぎて、ボクシングの引き出しが少なすぎること。階級上げてこれまで自分以下の体格の選手をいたぶれなくなって、足を使う・間合いをコントロールすることが重要になってくる中で、あんな戦い方で大丈夫かなぁ?と思わずにはいられない所。

 現時点での話ですが、井上と井岡なら、リーチがある井岡のほうがまだロマゴンと良い試合が出来るでしょうね。将来性・伸びしろということを考えると井上でしょうけどね。井上は次、そのまた次で大きく成長・進化が見られそうですけど、井岡はちょっともうそういうのないでしょうからね。

 あ、そうだ、井上の顔が良くなってましたね。かれはぼっちゃんというか、まだ子供みたいなあどけない顔をしていましたが、すこし青年というか鋭い感じがしましたね。何か、彼を変えるようないい経験があったのでしょうか?

 さてさて、今年の大晦日はどうなりますかねぇ?

 ※ボクシング雑誌読んできましたが、井上拳を両方試合中に痛めたとか。毎回痛めてないですかね?ちょっと心配ですね。

 ※※八重樫とそのトレーナーはボディストレートがイヤだったと語っていますね。そのパンチで流れを切られるとか、そのパンチがあることでリズムが作れなくなるのでしょうか。上はともかく下に来るストレートってあんまりそれに絞って地味に対応したりしにくいでしょうからね。柳川先生が空手にとって大事なのは「天王山」を制すこと、こちらが相手にパンチを届ける間のエリア、中間点をそういう風に名づけていました。同じようにあいてもその中間点を抑えてパンチを出してくるわけですから、そこを制すことができれば攻防でグッと優位になるというわけです。ボディストレートがその「天王山」を制するのに有効な技術ということかもしれませんねぇ。

 とすると、そのパンチをどうするかということがロマゴン攻略の一つの鍵なのかもしれません。身体の圧力が凄いというのに加えて、ディフェンス重視で技術のレベルがものすごい高いと。ハードパンチャーというイメージの一歩先に、テクニシャンという姿がある所がロマゴンの凄さなんでしょう。

 あと自分が見た限り、ロマゴンの身体はまだまだ全然できていないという同トレーナーコメントが有りましたが、それは筋肉に頼った動きをしてないんじゃないですかね。筋肉鍛えたらどうなるこうなるという発想は危険だと思いますけどね。