別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい

心は折れない/内山 高志―の感想

心は折れない/内山 高志

¥1,365 Amazon.co.jp
 感想というほどでもありませんが、ちらっと。アマ上がり故に、生粋のエリートかと思えば、高校・大学とそれほど優れたキャリアを残してきたわけではない。アマ六冠の粟生君とは対称的ですね。

 屈辱・根性・ストイックという単語に集約される内山さんのボクシングキャリアですが、それだけでは説明し足りないものがあります。内山さんは練習でこなせてしまうから成長因子、伸びるという点で本当にすごいと思います。普通、もう練習したらそれだけ変なところを使う癖がついて、潰れていきますからね。

 ここを使えばいいんだというところを、もう練習によって悟っていったとあります。そのセンスが素晴らしいですね。まだまだ伸びるでしょう。自分の中で足りない、課題が多い、もっと練習しないと!―というのは謙虚なだけでなく、成長するという確信があるんでしょうね。末恐ろしいですね。この前の防衛戦を見ても、確実に成長している…恐ろしい子!ってな感がありましたし。普通鏡の前でじっと構えているだけで、その大切さなんてわからないですよ。おそらくやっていく上で、立禅のようにバランス・全身の使い方・協調性などを学んでいったんでしょうけど。なんでこんなことが出来るんだろうなぁ?

 昔の写真見てもやっぱり平凡なんですよね。高校生・大学生と顔が。今は本当にもう、ティラノサウルスみたいな顔していますから、本当にすごいですね。大学の後半あたりで格上を降したエピソードがあるようにそこらへんで開花したのでしょうかね?叩くことで筋肉をつけた。背中の筋肉が大きくなっていくのがわかったとありますし。

 プロの時にはすでに今の片鱗がある顔をしていますね。ボクシングから足を洗った。親と喧嘩して家を出て、プロで世界チャンピオンになる。オリンピックの夢が絶たれる、父との死別―などなど、そこら辺に転機があったのでしょうか?おそらくそれまでも同じような努力・練習というものは変わらないのでしょうけど、実際に勝負をするという環境の変化や、これで食っていくという決断などが一層彼をひきしめるというか、真摯に向き合わせるという感じになったのではないでしょうか?

 量を増やすというよりかは質をもっと高めようという感じになったのではないかと思います。日常生活のちょっとしたことが気になるなんてありましたしね。変化に敏感になる、特にバランス感覚など本能的に重要なことがわかって、無意識レベルから顕在意識にまでその重要性を自覚しているのでしょう。本当に研ぎ澄まされるという言葉がぴったり来ますね。センサービンビンなんでしょうね。

 内山さんはそれだけじゃなくて、非常に頭がいいんですよね。練習内容とかどうやってやるべきかとかあんまり書いてはいないんですけど、試合をどうやって組み立てるか、ゲームコントロールなどの考えを見ると、非常に頭がいいなぁという感じがします。

 練習については朝走ることで足を鍛え、練習は一日三時間としているようですね。短い時間にきっちり仕上げるのも長いキャリアがあるゆえにできることではないでしょうか。むしろ疲労・怪我を考えて短く・濃くやるというのは重要なことですし。

 やっぱり頭がいいと感じさせるのは相手セコンドの声を聞いて、相手の対応を読んで戦略を組み立てるというところとかそうですね。特に後半の文章は自分がボクシングに対して何を考えているか、読み手に伝えようとする点で非常にシンプルでわかりやすい。この前の世界戦も1・2R様子を見て測ってから、プラン通りにやって行きましたしね。ボディが入って、左が入るなというのも事前の計画通りでしたし。相手が数字より身長高く感じるから、スウェーが上手いんだろうとか、予想通り叩いても深くは刺さらなかった―とか、こういうふうに観察できるのもそうですよね。世界戦から数戦前の感想、試合プランなどが語られていますけど、本当に用意周到だなと思わせますし。

 初めに不用意にもらってしまう悪い癖があると書いてますが、プランを立てるため、観察するためにスロースターターというか、エンジンがあとからかかってくるというか、そういうところがあるかもしれませんね。

 山がパワーを与えてくれるとか、本当に身体がいいんでしょうね。感じる能力が高い。墓参りとかやっぱり絆で死んだおやっさんとつながっているんでしょうな。こういう人は深いですね。験担ぎとか暗示の力は普段から精神・深層意識に働きかけることの重要性をわかっているんでしょうね。

 拳の写真がありますけど、すごいですね。なんかもう直接岩とか叩いてそう、車とか手で直接打って作ってるんじゃないかっていう手をしています(笑)。あと笑顔がむちゃくちゃ怖い。なんかもうこの人何者なんだろうという怖さをいだきます。凄まれて怖いっていう人はいっぱいいますけど、内山選手は笑顔でにこっとされても怖い。八重樫さんが内山選手にビクッとしていたというのも頷けますね(笑)。

 ドネアが四階級制覇しましたが、内山選手とやるところ見たいなぁ。ドネアはなんかもう階級の壁があってこれ以上無理なんじゃないか?って気がしますね。