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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

続、2019パCS ライオンズがスイープされた理由 短期決戦に弱い理由①打撃・攻撃重視②リード軽視③CS現行制度の欠陥④若手投手陣=ベテランの欠如

 2019ホークス パCS優勝、短期決戦に強いホークス?No、ホークスは短期決戦に依然弱い。スイープはライオンズがもっと短期決戦に弱かっただけ―の続きです。長くなってしまったので分割をしました。こちらに迷い込んでしまった方は、リンク先をお先に御覧ください(と言えるほど対して内容あるとも思えませんが。こちらを読んで、ほぅ面白いな。もっと話を聞いてみたいなと思ってから、読まれても話的には大丈夫かと思います)。
 長くなったのをただ分割しただけですので、話の構成・文のまとまりがよくありません。まあ今に始まった話じゃないですが、起承転結が良くないただの垂れ流しになっていますけど、何らかの参考になれば幸いです。

目次

 

短期決戦に弱い理由その③日程―CS制度の一番の問題点は優勝チームに不利なスケジューリング

 ちょいちょい、ライオンズの話以外に先走ってホークスの話をしている感が否めませんが(^ ^;)、ライオンズもホークスも似たようなチーム構想・思想で愚かしいことをしているという共通項があるので、ちょいちょい比較して話をしてしまうことをご寛恕ください。ライオンズもホークスと同じように短期決戦にしてはいけないことをしている。短期決戦に向かない野球をしているということを今一度念頭に置いていただければと思います。
 で、他に西武ライオンズが短期決戦に弱い理由をあげていきます。これまでの①投手陣の脆弱性に運用の拙さ②捕手の軽視・リードの重要性の軽視―の話をしたので、次は③として日程の問題を取り上げようかと思います。
 まあ、そんな大した話ではなく、散々言われていることなので今更ですが、現行のCS制度は優勝チームが日程上では不利。2位と3位が1stで試合をして勝ち上がるのを待つために、ペナント終了からCSファイナルで試合をするまでものすごく間が空いてしまう。大体2週間近く間が空いてしまうので感覚が壊れてしまう、リセットされてしまう(今回のライオンズは確か12日間ノーゲームだったはずです)。これが選手にとって非常にマズイと言われています。
 小久保氏が解説で「CS・ポストシーズンを初めて経験した時は、レギュラーシーズンが終わって、間が空いてしまって変な感じだった。やはりポストシーズンのたびにそういう変な感じになる。暫く野球を、試合をやってないでいきなり大舞台の試合でふわふわふわふわした、落ち着かない感じになる」というようなことを語っていました。
 ちょうど開幕試合のようなものなのでしょう。そういった状況から自分の調子・感覚を探って、計って、一からコンディションを作っていかないといけない、試合について今の自分の調子はどうなのか?気持ちを上げていくべきか、下げていくべきか。少し身体をいつもより動かして調整したほうがいいか?入れ込みすぎている・興奮しすぎた状態になっているから、呼吸法でもして下げる・落ち着かせるべきなのか?
 選手によってそれぞれやり方・作り方は色々あるのでしょうけど、とにかく試合をする上でベストを作る、また大舞台の大一番での自分の最適を作る事から始めないといけない。その感覚を作ることに失敗してしまえば、短期決戦なので作ってる間に終わってしまう。対照的に1stで勝ち抜けてきたチームは既に試合をしていて実戦感の調整は済んでいる。準備万端チームとそうでないチームという点で大きな差があるという点ですね。
 昔、書きましたけど、現行の制度だと屋外球場で雨天中止が多い球団が有利になりやすい。つまり楽天イーグルスロッテマリーンズに有利なシステム。試合がペナント終盤まで後ろにずれ込みやすい。スケジュール調整しやすい。再試合が多いことでCS直前まで試合をすることが可能。故に準備万端・ベストなコンディションでCSに挑むことができるんですね。はっきり言って、今のシステムだとこの二球団に有利すぎるおかしい制度なんですね。CSおかしいぞ!という意見に賛同はしませんが、この日程の問題についてだけは絶対に改めないといけない。でないと優勝チームがアレどうしてこんなに弱いの?と言われてしまうくらい無様に負けるという問題が発生する。
 サファテが風物詩のピンチを乗り切って、連敗を止めた試合の後にコメントを出していたと思うのですが「この日程はなんとかならないのか?これは難しい・厳しい。なんとかしてほしい」というようなことを言っていたかと思います。優勝チームが日程が変に空いてしまうことで下剋上をくらいやすい制度になっているのは絶対におかしい
 厳しい事を言うようですが、西武ライオンズは、この制度について去年の屈辱から、「日程を優勝チーム有利に変更すべきだ。優勝したチームが不利にならないような制度を設けるべきだ!」ときちんと提言しなかった。敗戦の要因をしっかり分析していなかったのですから、ある意味自業自得の結果であると言えます。ベストを尽くしていなかったわけですから、天も佑ける事はありませんし、勝利の女神が微笑むわけもありえませんね。
 言うまでもなく本家本元、元祖風物詩ホークスと言われるチームは真っ先にこの問題を指摘していて、NPB(多分パ・リーグの全球団の同意だけでも出来ると思いますが)に訴えなかった。あれほど屈辱を味わい、二度とCSで1位勝ち抜けで負けないためにベストを尽くさないといけない。そのチームがこの問題についてだんまり、スルーですからその愚かさ、ホークスフロントの問題の深刻さは西武ライオンズの比ではありません。戦前優勝の本命はライオンズではなくホークスとされていたことを思えばなおさらですね。
 過去、2013年に楽天イーグルスが優勝した年は、オリックスさんにお願いして1stをやっている最中に消化試合をしたこともありました。同じようなことが不可能なわけではないのですから、優勝チームはこれが可能となるようにありとあらゆる手を尽くすべきです。イーグルスはこの点、日程の重要性というものをきちんと認識している。しかし先に挙げた2チームはそうではない。こういう状態であればまた下剋上が起こる可能性が高いという事実を最早指摘するまでもないでしょう。
 

経験の浅い若手投手たちの不調・乱調は日程の影響

 この日程の問題というのは、打てなくなる。バッターの打撃感が狂うことが大きいという問題が指摘されていたので、今回のCSファイナルも西武ライオンズ打線が打てなくなるのでは?と思い見ていました。そのような予想で見ていたのですが、むしろ今回のCSでは投手の問題のほうが大きかったという意外な展開になりました。
 が、言われてみれば意外でもなんでもなく、極めて当然。当たり前すぎるほど当たり前すぎる結果でした。今回ライオンズが破れたのは先発がまるで機能しなかったことによるものでした。ニール以外先発がまともに試合を作れませんでしたからね。こういう投手事情であれば、ライオンズは初戦絶対勝つしかない。初戦に負けた時点で既にもうCS敗退が決定したも同然のチーム事情だったわけです。なぜ先発がこれほどまでに脆いのか?安定しないのか?それは彼らが軒並み若かった。ベテランと言えるようなキャリアを持たない駆け出しの若手と言える投手だったからですね。
 高橋・今井・多和田・本田…皆プロ入りで5年以下。プロでの大舞台を経験したのはせいぜい去年のCSくらいで、殆どキャリアのない若手の部類に入る先発ばかり。涌井・岸・菊池と経験ある頼もしいベテランが皆いなくなってしまったという事情を見ると、大舞台にきっちり調整して仕上げてゲームを作ってくれると期待するほうが無理がある*1。唯一キャリアがあるといえそうな先発要員なのが十亀(8年目)。そしてその十亀が4回5失点でゲームを作れないのですから、もう無理ですね。
 しかも先発陣を見ると、右投げばかりなんですね。十亀が一応サイドですけども、ホークスは彼のサイドを苦にしてはいない。投手陣全体でフォームや速球派やコントロール派などの違いもない。キャリアも若手に偏りすぎているという有様で、先発陣全体のバランスが悪すぎですね。若手の右腕ばかりでは、投手でメリハリを効かせて、特定のボール・球種を見せといて意識づけしておいて、明日に活かすなんていう6試合見据えたリードも当然出来ないでしょう。森のリードという話をしておいてなんですが、こういう状態だといかにリードのいい捕手だとしても投手陣を操作して最小失点に抑えることも相当難しいでしょうね。
 ライオンズのニール以外の先発投手は、とにかく吸い込まれるように、打ってくださいと言わんばかりの甘いところに投げていましたから、そりゃあ連打されますし、HR打たれますよ。いくら点をとってもそれ以上にバカスカ取られれば、先手先手を打たれて失点していって常に追いかける展開となったら試合というかシリーズでの戦い・プラン自体が成立しないでしょう。
 若手であるがゆえに、どうやって状態を立て直して最低限の結果でまとめる、試合を作るというノウハウがない。調整能力が乏しい。武田翔太が一年目で大エース級のピッチングをしていた年がありましたが、CSでライオンズに打ち込まれてKOされたことがありました。試合前の解説で、新人?短期決戦は新人はムリだよ―とノムさんが嘆いていましたが、まんま今回もそのセオリーがあてはまりましたね。一球一球の重み、意味がレギュラーシーズンとはまるで異なる短期決戦では、経験の浅い新人は立て直せないし、大舞台を経験していないためにプレッシャーで潰れる。実力通りの力を発揮することなどありえない。
 

短期決戦に弱い理由その④選手層の薄さもそうだがベテランの欠如

 短期決戦では実力もさることながら、状態のいい選手を見極めて調子のいい選手を使うというセオリーがあります。それに加えて経験のあるベテランを主体にして戦う。ベテランを基本とするというのもまた一つのセオリー。というか、経験の浅い新人を重用してはならないというべきでしょうね。*2
 そのセオリーを踏まえてみると、第二戦で先発が十亀が先ではなく、今井が先だったことも疑問ですし、何よりも継投で平井から平良へというリレーをしたことが理解できない采配でしたね。この継投がこのシリーズのすべてを決めた。両チームの明暗を分けたと言ってもいい決断だったと見ています。
 

CS敗退の決定的シーンは初戦の逆転負け、継投の失敗

 新人に大事な場面を負かせてはいけないというセオリー通りの結果になってしまいましたからね。しかも打たれて失点・同点というのならまだしも、そのあとの決定的な勝ち越し・逆転の大事な1点を失ったのがパスボールですからね。見ていてファンも、守っていた野手もそりゃないだろう…とがっくり来た場面。シリーズの勝敗を決定づけるシーンだったと言っても過言ではないでしょう。
 あの場面で交代はない。いくらいい投手と言えども、新人でリリーフエースから大ピンチの場面という場面で抑えてくれるとふつう思うか?レギュラーシーズンでもやったことのないような継投をぶっつけ本番でいきなりやって抑えられると思うか?監督・投手コーチが都合の良い考え方をしていたようにしか思えない。もし平井の状態が今日はどうも良くない。どうも抑えられそうにないというのならば、あそこは平良が先。そしてランナー溜まって打たれたら負けるというピンチの場面で平井にスイッチ。彼と心中するというのが筋。
 しかし彼も社会人経験の3年目、ベテランとは言えない。ピンチを乗り切るノウハウが足らないと考えるのも当然の判断。判断の一つとして十分理解できます。であるならば、もうあの場面で増田しかない。トチ狂った判断のように思えますが、もうあとを抑えられそうなコマは残っていないわけですから。あとはもう野となれ山となれでそこにCSでの突破・敗退を決める重大な決断をするしかない。初戦を落とせば100%負けるという戦力状況ですから、それ以外には選択肢はなかったでしょう。
 通常の継投にこだわるのでなければ、もっと違うプランもありますね。継投リレーで後ろに任せるのではなく、先発に任せる。また、クローザー増田に頼むという奇策。平良→平井という通常の継投策の延長以外で考えればこういうものになるでしょう。
 詳しくいうと、先発に頼るならば、ニール以外にまともな先発がいなく、後ろも頼れないという状況ですからニールを引っ張る。789回三人の投手でゼロ行進がありえないリリーフ事情ならば、ホークスが散々打ちあぐねたニールで勝負をかける。一番頼れそうなピッチャーはニールと増田というチーム事情なのですから、愚かな判断と言われようと他に選択肢がないんですから、そうする以外ありえない。
 実際の試合では、ニールがグラシアルにHRを打たれたところで交代になりました。確かに球威は落ちていましたし、コントロールも乱れてきていたので交代も当然のように思えました。しかしどちらが確率が高いかと言われたら、ニール続投か増田の投入の方がまだ抑えられる確率が高かったと思います。
 もう一つおまけに余計な話をすると、ニールは100球未満まで&6回までの投手であり、あそこでグラシアルにHRを打たれたら限界。ゴロPがフライを打たれる・簡単にスタンドまで運ばれるというのは、もう致命的。失点率が跳ね上がる。そんな先発を引っ張るという選択肢はありえない―という次のような判断も当然のものに思えます。であるのなら平井→増田か、そのまま増田。ファーストでもライトでもレフトにでも投手を入れて左右別に一人一殺みたいなトチ狂ったリレーを、奇策をやるというのもあるっちゃあるでしょうし、平井を使わずに平良から繋いで最悪増田が6つ以上のアウトを取ってもらうという継投でしょうかね。
 リリーフ事情を考えたら(先発事情においてもですが)、まず西武は負ける。10回やったら8回くらい負けるような投手事情。ならば、どこかで博打・ギャンブルをするしかない。なぜいつもどおりの継投をしたのか?いつもどおりやっていれば勝てるという野球をしているチームではないのだから、いつもとは違う野球をしなくてはならなかった。なのに、なぜああいう継投に出たのか本当に理解できません。*3
 

戦前のライオンズの試合観・思想は浅はかな「なんとかなるさ」といいうものだった?敵も己も知らず百戦して殆うしという可能性…

 CSで試合をこなしているうちに誰か一人くらいまともなピッチングをしてくれるだろう。そこで勝ち星を拾えるだろう。一つ勝てば流れが変わって、ウチに流れがくる。ラッキーボーイ・CS男が誰か出てくる。結果、勢いに乗って連勝できてCSを突破出来るだろう。―とまあ、それくらいの甘々な勝負を舐めきっていた思想で戦いに挑んでいたと。そう思われても仕方ないのではないでしょうか?
 敵を知り己を知れば百戦して殆うからずとはいいますが、自チームの投手事情というものをまるで把握できていないということでしょう。己を知らざる者が無謀な戦いを挑んで惨敗したというのが今回のライオンズ評ということになるかもしれません。敵を知らず、己を知らず、百戦して殆うしという言葉が戦前のライオンズの監督・コーチにあてはまるような気がします。
 何バカなこと言ってるんだ。そんなこと出来るわけ無いだろうと思われた方もいると思います。自分で書いていて無茶無謀だと思うくらいですから。しかし正確にライオンズの投手事情を分析すれば、それくらい戦況が悪い。戦う前から不利。なので、そういう奇策を取らざるを得なくなるわけです。で、そもそもの話になるのですが、そういう奇策を取らざるを得ないような状況に持ち込んではならないわけです、本来。
 

CSという制度下である以上ペナント終盤はCSを見据えて戦力を整えておくのがセオリー

 CSという戦いに挑む、最後の難関に挑む前に事前に、チーム状況を良いものにしておく、戦力を整えておく必要性があるわけです。何回か書いてきましたが、CSという制度が導入された以上、これまでのペナントとは違って、最後に焦点を合わせて事前に戦力を落とさないように余力を残してペナントを終えないといけない。弱い要因⑤にしても良いのでしょうけども、CSという制度・ルール下において、その新セオリーを無視した戦い方をしているのですから、そらそうなりますよ。後述すると思いますが、そういうタブーを犯して楽天イーグルスにあわやという状況を工藤監督は作りましたので、短期決戦を戦う指揮官としては論外です。
 で同じことが辻監督にも言えるわけで、ペナントを見ていないのでなんとも言えませんが、一つ確実に言えることとして、8回を投げるリリーフエースの平井を酷使しすぎ・投げさせすぎ、81試合登板って一体何を考えているのか?投手コーチ・監督・フロント、揃いも揃ってバカなんじゃないかお前ら?と言いたくなる非常識な試合数ですよね?これは。
 藤川・久保田が90試合投げてそういうのはもう無理なんだという話題・テーマが持ち上がって来たように、リリーフで初めてMVPを獲得した浅尾が二年連続70試合以上投げて結局壊れてしまったように(2011年は79試合)、過登板は確実に選手の投手寿命を縮める。同じように2年連続70試合、約80イニングを投げた摂津は、統一球の影響もあり、3年間エースクラスの活躍をするものの、翌年・翌々年は二桁勝つのがやっとの投手となって引退することになりました。それこそ大魔神佐々木や藤川のように体格も大きく特別な投手というのならともかく、どうみてもサファテのような歴史に名を残すようなスーパースターの一人とは言えない。いい投手ではあれど、そのクラスまでではない。
 そんな投手に年間70試合どころか、80試合投げさせるなんて正気の沙汰ではない。一体どういう方針で投手運用・起用をしているのか…。岩嵜・サファテの直近の例を見て何を感じていたのか…うーんこの…。来シーズンともかく、再来年には一体どうなるのか…。ただ無事を願うばかりですね。
 

おかしいのはCSではない。特定のチームがCSで弱いこと&ホークスが優勝を逃したこと&日本シリーズが形骸化していること

 ライオンズがCSで負けて日本シリーズに出れなくなったことで、またぞろぞろCS不要論・おかしいぞ!という意見が出てきていますが、なんのおかしくもないことです。おかしいとすればライオンズがCSを見据えてきっちり戦力を整えてこなかったこと。ライオンズがやるべきことをやっていなかったのですから負けて当然。何らおかしいことではありませんね。制度の前にライオンズのフロントのおかしさ・いびつさを指摘すべきでしょう。
 ついでに何度も書いていますが、日本シリーズの価値観が下がる!とか日本シリーズの意味がなくなる!みたいなアホな意見も見かけますけども、日本シリーズなんてとっくに価値なんてなくなってますからね。「セパ親善試合」でしかない今の日本シリーズに興行面以上の意味はない。パ・リーグファイナルで勝ったチームがそのまま日本一になるだけという事情が一体何年続いているというのか。2001年からセ・リーグが何回勝ったか。巨人以外のチームが勝ったか見てみれば一目瞭然でしょう*4。その日本シリーズの形骸化、セパの明確な実力格差を指摘せずして、CSの制度がおかしいということを論じること自体がナンセンスですね。ここ10年巨人以外のセ・リーグサイドのチームが日本シリーズで勝ったことがないというのが、今のセパの現状ですからね。
  話を戻して、ペナントで優勝したければペナントで優勝できる戦力を整えること。そしてCSで勝ちたければ、同じようにCSで勝ち抜けるような戦力を整えて、シーズン終盤に余力を残すこと。ただそれだけです。新制度でそういう新セオリーが生まれたのに、制度に適応せずに古いセオリーのまま、シーズン終盤までエンジン全開フルスロットルで勝手にバテといて、余力を残した相手にまくられて負けて卑怯だ!―なんてことを言うほうがナンセンスです。ホークスで例えると、ファイターズが11.5ゲーム差もつけたのに、リリーフの脚を最後までしっかり残して終盤驚異的な勝率を残して逆転するなんて卑怯だ!というようなものでしょう。そういうルールで戦っている以上、そうするのが当然であって、負けたほうがマヌケという他ないですからね。
 また、そもそも論が続いてしまって恐縮なんですけども、そもそも、今シーズンのライオンズにまくられて負けるホークスがバカなんですよ。こんだけ戦力差があって、投手陣で優位なのにライオンズに最後の最後で競り負けるほうが本来おかしいんです。交流戦辺りで、今年はこの2チームどっちが勝つと思う?と聞かれたら、「まずホークスは怪我人が多くて得点力がオチているけど、故障者が帰って戦力整ったら、やっぱりホークスじゃない?ライオンズは確かに浅村抜けたのに得点力がオチていないのは凄いけど、いかんせん投手のコマが足りなすぎるから、今年ライオンズがまた優勝・連覇するのは無理でしょー。」と答える人が殆どだったはずです(この辺りについてはまた次回の続編で詳しく)。
 今年のライオンズは敵失・敵の愚将の愚策で棚ぼた的に勝ちを拾ったに過ぎないわけです。リーグ優勝するという運に恵まれたが、CSを制する上ではライオンズにとって好ましいことが起こるという運に全く恵まれなかった。厳しい見方になりますが、本来ライオンズがホークスに勝つほうがおかしい。むしろこの戦力、防御率最下位という異常な事情でリーグ優勝できたことが奇跡でしょう。敵失・棚ぼたとは言えども、このような偉業を成し遂げてリーグ制覇・連覇を成し遂げたということ自体を褒めるべきではないかと思います。
 

ライオンズは今後どう戦うべきか?

 ライオンズの戦力を考慮すれば、「ウチはペナントで優勝できるチームではない。では、3位以内に滑り込んで、CSで勝ち上がって下剋上することが可能なのか?もちろんそういうタイプのチームでもない。ではどうするか?リーグ優勝を念頭において、そこを最大の目標として選手を育成しながら、数年先を見据えて戦っていく。万一優勝できたら、御の字。CS敗退は悔しい事かもしれないが、それを将来の糧として数年先を見据えて戦っていこう。」
 ―とまあ、普通はこういう基本姿勢の下、投手の育成を見据えて一年戦っていくものでしょう。ところが目先の試合を全力で戦って全力で消耗して、なんら投手陣に明るい材料も見られずに、とりあえず優勝を成し遂げた。優勝したことは僥倖だが、なんのCS対策も取らなかった挙げ句CSでスイープされた。これが今年のライオンズの一年に思えます。
 CSで勝ち抜ける・勝ち上がるという明確な目標を打ち立ててリーグ優勝とCS突破&日本一というさらなる高みを目指すか。それとも「もう現状の戦力・資金力ではムリだから、ハナから諦めてリーグ優勝さえできればいい。日本シリーズに出ることは諦める。万一CSを突破できれば儲けもの」という姿勢で行くのか、球団としての姿勢・思想が問われると思います。
 個人的にはもちろんリーグ優勝してCS・短期決戦に強いチームを目指してほしいと思っていますが、どうも現状を見るとライオンズは依然体質を変えないように思えます。風物詩はファンの心をズタズタにするのでどうか短期決戦に強いチーム作りを目指してほしいのですが…。
 
 あー長い。日本シリーズ前に書き終わる予定が試合終了にまでずれ込んでしまった。ホークス編の続きはまた次回→2019ホークス <続・ホークスは短期決戦に弱い論>三年連続日本一で工藤公康は名将?否、愚将・迷将の類である 

アイキャッチ用画像

*1:まあ、そういう事情背景があるからこそベテラン内海が使い物にならない可能性が高くても、その経験値を見込んで、若手に色々大事なことを伝えてくれること・手本になってくれることを期待して獲得したのでしょうけどね

*2:ホークスは代わりがいる、選手層が厚い。しかしウチはそういうわけではない。そもそも代わりがいないという話がありました。んで、だからこそ選手層を厚くしよう!という話を見かけました。そりゃ選手層を厚くすること自体は良いのですが、そんな事ができる資金力も組織内のリソースもないでしょう。そんなことよりも投手&投手&投手というのが現状。頼りになるベテラン先発・リリーフエース、そしてそれをしっかり管理しきれる投手コーチが肝心要の補強ポイント。そこを無視して適格な対策を取らなければなんの意味もないでしょうね

*3:※あとついでに、余談ついでに9回榎田という継投が叩かれていましたが、そこは本筋ではない。ポイントは平良という新人に大事な場面を任せて、平良ならピンチの場面でも抑えてくれるという都合のいい考えをしたことでしょう。CSでは選手の状態を把握するのが大事なので、森から2点も3点も取れる!なんて甘いことを考えずに、あの場面で同点延長を見据えて榎田を起用すること自体は間違った判断ではない。
 ―と思っていたのですが、ご存知の通り、当時は歴史的な台風が来ることが予想されていて、まず試合が中止になることが見込まれていた。ということは、クローザーの増田をあそこで使ってもどう考えても3連投以上投げることはないということ。というような日程を考えると、あそこは榎田がよっぽど状態が良くてあの場面で投げても抑えてくれるという確信がない限り投げさせてはいけない。結果、あの通りの展開になりましたから、あれはもう100%投手コーチのミスですね。大ポカ、考えられない論外の継投ですね。

*4:01年ヤクルト・02年巨人・07年中日と09年・12年の巨人の5回のみですからね