別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【雑誌】 月刊秘伝 2015年2月号


月刊 秘伝 2015年 02月号 [雑誌]/BABジャパン


 塩田剛三特集ですね。大東流の堀川幸道が養神館に訪れたことがあったんですね。へぇ、知りませんでした。スパッと切れる塩田氏の技が後年力を抜いたものになったのは、堀川氏の影響では?なんて話もあるんですか、へぇ(霊術の解説をしている大宮さんはそれを否定していますが)。晩年は悟りの境地、呼吸力を出すと喜びを覚え、無我となり自他一体となって自分が動くように相手を動かせるようになったとか。
 技をかけている塩田氏の写真を見るとつま先立ちになっているのが多いとか。合気がかかるとつま先立ちになるという話は聞きますがかけるほうがつま先立ちになるというのは余り聞かないですよね。自重を伝える、あるいは重心移動の関係なのかな?
 相手の突き、腕が伸び切った一瞬に合わせると吹っ飛ぶという技を多用したと。この技見たことあったかな?ちょっと記憶に無いな。

■江東友の会、斎藤豊氏の話
 親和体道の鍛錬法、お辞儀をした状態から伸びをする、踵から腰・背筋を伸ばすというものがある。氏曰く、養神館の構えはこれに一歩踏み出したものだと。
 二ヶ条をかけるのに前膝を開くのがポイント。つま先が外を向いているソの字立ちで、自然と膝が開く真正面に向けると膝に力が入って効かなくなる。背筋を伸ばすだけで相手によく掛かる。手首を取られて上げる臂力の養成法。後ろ足の膝を伸ばし踵を強く踏むことで受けを崩す。
 上腕骨頭と肩甲骨棘が一直線に揃った時肩がゼロポジションとなる。ゼロポジションになると体幹部の力をダイレクトに伝えられると。
 ハの字立ちについても書いてあって、ギリギリのバランスで立つことを求めているのでは?とのこと。ソの字立ちなんかは普通の軸を立てるオーソドックスの立ち方と違い、体傾斜度がある異質な構えですよね。こうすることで前につんのめる=重心移動しやすい、そういう技をかけるための構えということなのでは?と個人的に思いましたが、どうなのでしょうか。
 足指の操作の話も面白いですね。床を空振りするように親指を握り込むことで、拇指球に重心がありながらも踵から足の外側に力が入る。こうすると相手に多少送れて反応しても後から軽く触れても崩せると。

■システマ創始者ミカエル・リャブコ来日セミナーレポート「シャシュカの用法」
 シャシュカ・ロシア剣の用法、剣を持っていると自然とその重みが消える所がある。そこを探していくワーク。見つかったら左右20分づつ持ち続ける。そうすると体の歪みが矯正されるという。甲野善紀氏も飛び入り参加で日本刀との攻防もあったとか。
 引いて斬るものだから、当然相手に引くことをさせない技術がある。刃に当てられた瞬間抜くことで角度をなくして切れないようにする。剣を武器でなく防御するものと考える。相手の剣を撃ち落として跳ねて思わぬことを招かないように(自分に向かってきたり、第三者に飛んでいかないように)、相手の身体に剣撃が伝わるようにする。首・胸・腰など狙った箇所に威力が向かうように撃つと。不用意に相手の剣を叩き落とすとつながりが切れて、その隙を突かれかねない。持っている武器を敢えて捨てる、武器に意識を持っていかせてその隙に打突という展開も想定済みなんですね。


■日野晃師範が解く達人技の秘密!求道者・成田新十郎“意識の領域"
 どういうことをおっしゃっているかよくわかりませんが、受けをとった日野さんが手首を握ってバランスを仕掛けようとした瞬間手が消えたと書いていますね。気がついたらその場に落ちていた意識・気配が消えてなくなったとのこと。どんな動きをする方なのか一度見てみたいですね。

如是我聞 円和の合氣道/BABジャパン


“円”の合気 修得のキーワード! 稽古日誌に記された短く深いことば


円和の合氣道 [DVD]/BABジャパン

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■心水会・中野由哲師範剣術~空手~中国武術を貫く共通根理
 心形刀流の永野順一氏に教わったことを3つのポイントにしている。①胸をゆるめる②股関節に体重を乗せる③肘を抜く。胸をゆるめるという意識を持つと自然と含胸抜背の姿勢になる。正座をして立ち上がろうとする時、自然と前傾して立ち上がろうとする、その時体重が股関節に乗る。きちんと出来ると全身が統一されて有効な技となる。
 肘を下に向ける意識を持つと、「脇を締める」ということができるようになる。肘を下に向けることで腕の螺旋が生まれ、その解放が威力を作る。肘を抜くのには、肘の力感を溶かす。そもそも人は肘に力を入れないから、意識を溶かしてやればいいと。そういえば甲野先生も昔肩の溶かし込みとか言ってた気がします。永野氏が共同研究者ですし、その延長の発想でしょうかね。
 肘の抜きが出来ているかのチェックで肘を下ろすことで受けを崩すというのがありますが、この動きを一人でトレースしていて、肋骨を動かすのに肘からおろしていくというのも有効なのかなとふと思いました。

ゆる体操には“裏"の存在があった!高岡英夫の漢語由流体操「肩肋後回法3」
 岩合光昭氏が引退作品で述べた言葉、野生動物はなんて柔らかいんだろう。写っていた白くまの肋骨がぐにゃぐにゃであっただけでなく、野生動物は皆柔らかい。そして人間の肋骨もそこまで到達することが可能である。
 やり方は、胸の下部・中部・上部と順番に盛り上がらせていく。行ききったら、次は背中の上部・中部・下部と移動する。肩と肋骨の関係は180度反対の位置に来るようにする。(文字で説明しても伝わらないと思うのでモデルなどの図を直に見ることをおすすめします)。実際には一本一本ではなく数本まとめて動いていく。ちょうどスタジアムの観客のウェーブのような感じ。または窓にあるブラインドを指で弾いていく時、数枚まとまって弾き続けている時、最初の方がもとに戻っていくような感じ。
 前回、球としてモデル化して説明したわけだが、実はこれは不完全なモデル。というのも肋骨は球状ではないし、そういう動きをするわけでもないから。実際の肋骨は1~12番、12枚のプレートで成り立っていても、上・中・下で構造が大きく異る。上部は水平でも、中・下部は背中から脇に向かって下がり気味になって、軟骨は胸骨に向かって上がっていく。下部になればなるほど軟骨が大きくなり、胸骨に向かって上がっていく角度も大きくなる。最下部の11・12番は胸骨にくっついてすらなく浮いている状態。これを「自由肋骨」とする。フロートしているこの二本は可動性が高い。肩との相対運動しやすい。が、胸の下部・腹の全面には肋骨が殆ど無い、自由肋骨も中部・上部に比べて小さいもので、動きはするものの回転運動にならない。下部が動いても効果が小さい。ブラインドで言うと歯抜けになっていて弾けない状態。下部は回転ではなく開放する動きになって、開閉運動になってしまう。
 実際に効果があるのは1~6番まで。ここの部位が動くと肋骨の回転運動になる。昔の指導では、下部を動かすな&上部を動かせ!と硬直的な指導をしていたが、いきなり上部を動かすのは難しく、余りリターンがない指導法だと気がついた。あくまで開閉運動と理解しながらも、疑似回転運動として、下部から動かして少しづつ動かせる範囲を丈夫にスライドしていくほうが効果がある。
 
■忍術・武術・修験道・俳句──青い目の忍者「月影」の世界ハロルド・スチュワート「妙風庵の忍武術」
 武神館の流れをくむ忍者・忍術ですね。アメリカからやってきた方の話です。キレを出す技は危険。強さを隠さなければいけない。キレにこだわるな、キレが出ない強さの見えない技を磨けと。他の武道の高段者で時に上達してもイライラしている人を見ることがある。それは日常に使える技ではないから、日常と直結されていない強さだから。なるほど。小指薬指を使うと、手首が固まらずに自由になるから普段から底を使って荷物を持ちなさいとのこと。そうすることで日常から整えられていく。「堀炬燵 母立つたびに 炭香る」とか俳句良いですね、感性が磨かれているのがよくわかりますね。

■大宮司朗霊術講座「梃子の原理を用いた技」
 昔流行ったスプーン曲げにはトリックがあったという話。霊術でもテコの原理を用いたトリックがある。テコの原理の話。

■元・極真空手チャンピオンが辿り着いた“武の理"志田清之師範「衰えない“武の力"とは! ?」
 体重を威力へと転換するためにはどうしたら良いか?骨盤の垂直落下によって生まれる力を歩みで前方の力に変える。つま先・膝がブレーキとなって力が伝わらない、そこを柔らかく使うこと。関節を順番に使うドミノ倒し、各骨の力の線を養成する。


■藤本靖―意識のホームポジション「知覚の反転」
 直接視と間接視、ものを見る時に直接焦点をあわせるのを直接視。焦点を手前や奥に置くことで間接視になる。間接視だと見る人に圧迫感を与えない。(視線が痛いという言葉がありますが、見られる事自体が圧力になるということですね。ですから焦点をずらしてみることでそれが外せると)。
 間接視にすると、直接視の一部にスポットを当てる・注目する感じではなく、全体の輪郭・対象が浮かび上がって見える(これも言葉ではわかりにくいと思うので実際に載っている図をみたほうがいいでしょう)。これを「知覚の反転」という。遠位点だと身体の外側に、近位点だと身体の内側に意識を当てやすくなる。目が見やすいものを見るの延長で、水平に目を動かして呼吸、筋肉の緊張が一番リラックスできる所を探すのが良い。
 内田樹氏が14/01月号で言っていたように、肉体という物体に触っているのではなく、存在そのものに触るようにする。肉体に触るという感じだとどうしても部分的になるので、存在=スペース全体に触るようにする。そのイメージが難しいのなら相手の奥にスペースが有ると思ってやると良い。
 瞑想で肉体・身体の感覚を掘り下げるアプローチ以外に、あえて自分の肉体にアプローチせずに掘り下げる方法がある。全体にアプローチしやすくなるかわりに自分の存在と乖離しやすくなるデメリットが有る。
 耳だと、人の話が頭に入りづらい場合、雑音・空調などに耳を傾けて、間接的に入ってくるようにする。集中して聞こうとすると緊張して却って話が入ってこない場合はこうすると良い。
 楽に相手を見る、緊張しないように向かい合うために、視線を合わせながら間接視が出来るようにする。遠位点なら緊張しないとはいえ、ずっと壁を見て話されたら相手は嫌だからそうするわけにもいかない。目を合わせながらも呼吸・緊張を観察し続ける。全体と対象どちらにも焦点があっている感じになる。対人恐怖症だったり、あがり症だったり、そういうものを克服するトレーニングにいいのではないでしょうか?

中島章夫「技アリの動作術」
 趾尖球(指と裏の付け根のところですね)に体重を乗せる訓練、足裏全体で立つために「どこでもない処で立つ」ために趾尖球の感覚を鍛える。趾尖球フラット接地と3Kルートのテストの話。

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