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【2016/12 内山VSコラレス】 内山高志は何故敗れたのか


 さて、サボってたブログを再開しますか。あーこれ書くのに3日もかかってしまった。長い長い。毎週日曜更新予定が元日に書いてないから、あとでもう一本書いて日時ずらして埋めましょうか。スポーツ関係ではやはり、内山高志の大晦日の試合について触れない訳にはいかないでしょう。ボクシング関係を熱心に見ていたときには、彼を中心にボクシングを観ていた時期がありましたし、一つの時代の終焉を意味する出来事ですからね、内山の敗戦というのは。個人的にも彼のファンであり、彼の試合の話を多分一番多く書いたと思うので。

検索してみると


 こんなところですかね。三浦戦以前の映像も見たんですが、それについては特に記事にして書いたわけでもなかったようですね。

  一番最初に書いたのはこれで、2011年の対三浦戦。6年近くも前になるんですねぇ。感慨深いですね。まあそんなことは置いといて内山高志は何故敗れたのかという話を云々したいと思います。

 

【目次】

 

ショックだった内山の敗戦

 彼がコラレスに敗れた16年の4月の試合、最初の試合ですね。それについて特にコメントはしませんでした。試合自体も負けたと人づてに聞いて、結果を知っていたので観ませんでした。それくらいショックでしたね、彼の敗戦は。

 内山というスーパーチャンピオン、日本人で山中慎介と並んでPFP(数多いボクサーの中で一体誰が一番強いのか?と語られるランキングですね、トップ10が発表されるんですけど、それに日本人がランキング入りすること、ランク内に入ることは異例中の異例です。ちなみに今だと井上も入るようになっていますね)内にカウントされる絶対的な存在である彼が敗れるということはショック以外の何物でもなく、身内の死くらいの衝撃がありました。

 戦艦大和(おもちゃ)が沈んで「敗戦とはこういうことなのか…」とそのショックの度合をこち亀両さんが説明するようなネタみたいな話がありましたが、当時の日本人としては戦艦大和が沈むということは、国が沈む・破壊されるくらいの衝撃を受けたでしょうし、天地を揺るがす出来事だったでしょう。そういう衝撃が個人的にありました。

 また、金閣寺で例えましょうかね。三島由紀夫が絶対崇高なる存在、汚されてはいけない神聖な存在を「金閣寺」で表現したという話がありますが*1、その自分の中の神聖な存在が崩れ落ちるという感覚がありました。

 そんな話をすれば内山の敗戦がどれくらいインパクトがある出来事だったか伝わるでしょうか?それぐらいセンセーショナルな出来事とはいえ、個人的に意外な出来事ではありませんでした。「ああ、やはりとうとうこの時が来てしまったか…。」という感じでしたね。

内山の敗因は年齢の壁・「衰え」によるもの

 何故か「内山高志」「コラレス」「敗戦」などのキーワードで試合の感想をググってみてみると、語られていないのですけど、今回の内山高志の敗戦の本質は「衰え」ですからね*2。そりゃ、今年37歳(2017年には38歳ですかね)のボクサーが戦って勝つのは無理がある。格下ならともかく、前回敗れた相手=ギリギリの勝負をしなくてはいけない相手。そんな相手に勝つことはかなり難しい。

 年齢の壁に勝てる選手はどこにもいないのがボクシングの常識ですからね(ヘビー級などのパワーが規格外なクラスだと例外的なボクサーが存在しますけども)。16年の最初のコラレスとの試合の時点で36歳、それで敗れたということは、もう「衰え」以外の何物でもない。全盛期のピークを過ぎて限界が来たということ。日本人ボクサーがリマッチで勝った事例もここ最近では川嶋に勝った徳山の事例くらいで殆ど勝つ可能性はゼロに近い(徳山は格下川嶋に一撃をもらってしまってのKO負けという背景を考えるとなおさらですね。後どうでもいいことですが徳山は帰化していたっけか?まあどうでもいいでしょう日本ジム所属=日本人ボクサーということで)。

再戦は内山が勝つ可能性が高いと思っていた

 ただ、事前にコラレスとの試合・りマッチでは内山が勝つ可能性も高いと思っていました。試合内容を観ていない段階で、「ホーリー・ボクシング」さんの内山 vs コラレス というブログ記事を見て、内山の右に下がる癖を突かれたという文章を読んで、こう思いました。

 普通のスタイルで戦う中間距離のボクサーが、身長の低さを活かしてラフなインファイトにもちこむという戦略・戦術に出た。まともに戦って内山に勝てるはずがないから、自分の本来のスタイルを捨てて相手が苦手なことを徹底的につく作戦に出た。自分の長所を活かすよりも相手の短所につけいることに勝機を見出した。普段自分がやらないことを会えてやる大胆な作戦・賭けに出た。そのため本来のファイトスタイルとはガラッと変えて、全く違うボクサーと戦うことになった。それに面食らって戦前に構築したプランが崩壊して、事前予想とは違う戦略を立てないといけなくなって「どうしようかな?」と内山が戸惑っていたところ、不用意な一撃をもらって負けてしまったのだろう。ーとまあそんなことを実際に映像見るまでは思っていました*3

 であるから、所詮付け焼き刃のインファイト。再戦が決まったのなら、相手のファイトスタイル・手口を研究して対策さえきちんと済ませれば、格下相手に本来の戦い方をすれば負けることはない。内山が衰えているとしても、偶然の要素が強い敗戦ならば、リマッチで勝つ可能性も十分あるだろうと考えていました。

 衰えの段階・程度がどのくらいか、それによって勝負は見えないが、まあ6・4か7・3で内山が判定勝利するのではないかなと思っていました。が、結果はご承知の通り敗戦。いずれにせよこれが内山の最後の試合になる可能性が高い。ならば書く気の無くなったボクシング記事を書かない訳にはいかないと実際の試合を第一戦からチェックすることにしました。

コラレスの実際の動きを見てイケるという予断は全く消え去った

 「コラレスというのは、小さくて本来中間距離の選手。スーパーチャンピオンと戦うために強引にインファイトに持ち込んだ。そこまで巧い・強い選手ではない。格下の選手だ。」ー誰だそんな適当なことを言ったやつは!と言いたくなるくらい素晴らしい動きをしていました。第1Rの最初の動きを見ただけで、「あ、これヤバイ。強いぞ」とすぐわかりました。

 リゴンドーやドネア、ガンボア(だったかな?)というような天才型・万能型の系列に数えられるボクサー。まあ人によってはドネアはちょっと違うだろという方もいるとは思いますが、個人的には天才型・万能型と一括りにしています。

 とにかく(スピードが)速いし、(行動するまでの起動時間が)早い。バランスがいいからどんな態勢・姿勢からでもパンチを打てる。万能型はガチャガチャ動きながらもいきなりパッて飛び込んでパンチを放り込んでくる。出入りがうまいんですね。そして回転力がある。コンビネーションが豊富。あれだけパンチを次から次へとバランス良く繰り出されると対処するのは相当難しい。

 内山のようなハードパンチャーの一撃をもらうのは爆弾処理をするのと同じことだと書いたことがあると思いますが、手数&スピード&回転力というのも似たような性質があるといえます。破壊力がないとしても、速いパンチをもらってしまうと一瞬効いて意識を失ったところに2・3発まとめられてもらってしまう。それがダメージとなってのちのちのKOにつながってしまうということになるので簡単には踏み込めない・攻められない。


問題は1Rではなく、2R目の左のクロスを合わされたこと。

 実際に最初の試合を見たときに、最初の1Rのダウンはあまり大したことのないものに見えました。ガードを下げるスタイルの内山は、右にスウェーでかわす癖がある。癖があるというよりも、そもそも内山相手にパンチを放り込めるボクサーがこれまで存在しなかった。一撃・二撃を右にスウェーするだけで、もうその次の追撃を貰う可能性はゼロなのでそれでなんの問題もなかったんですね。

 個人的に「いけない」と思ったのは、2R目の右にカウンターを合わされた時、左のクロスを被されたときでした。見ていて「あっ!」と声が出るくらい完璧にタイミングを合わされた一撃でした。KOタイムが2:59で、あと1秒あれば…と言われていましたが、あそこまで完璧にご自慢の右ストレートに被せられたらあそこで試合が終わっていなくても相当厳しかったと思いました。

 カウンターを合わせられる。タイミングが完璧だったというのは、実力の差がはっきりないと相当難しいこと。たまたまや偶然の出来事で片付ける訳にはいかない現象。個人的にはこちらのほうが問題だと思いました。

 最初の1Rのダウン・追撃の話にもつながるのですが、これまで内山はそんなパンチを貰うことはなかった。右にスウェーする癖があるから、研究されてその対策がハマった結果と言われていますが、それが原因で負けたのでしょうか?個人的には違うと思います。これまでコラレスというタイプの選手と当たっていないにせよ、世界の強豪をことごとく屠ってきた内山相手に似たような対策・作戦で挑まれることがなかったとは考えにくい。

なぜ内山はコラレスのパンチを貰ってダウンしたのか?

 ではなぜ内山はその一撃をもらってしまったのか。戦後「パンチが見えなかった」というコメントをしたとおり、視力の衰えがまず考えられると思います。それもあるのでしょうけど、やはりパンチ力・体の圧力の衰えなんでしょうね(人によってはこの2つパンチと体の力を分けて捉える人もいると思いますが)。

 ハードパンチャーとやるときというのは、どうしてもディフェンスに比重を置かないといけない。西岡がドネアと対戦したときに右のガードを上げて挑みましたよね?ああしないとドネアと戦えないというプランで挑んだ。その時点で西岡の勝つ確率というのはかなり乏しかったんですね(もちろん、それが間違っている。そうすべきではないという話ではありません。もう一つ一応書いておくと、ドネアは今の階級よりも低いときはハードパンチャーと言ってよかったのですが、上げてからはどちらかと言うとスピード&タイミング系ですね。一応補足)。

 ハードパンチャーの考えられない重い一撃を食らってしまえば、それで試合が終わってしまう。ものすごいリスクがある。それ故にどうしてもいつもよりもディフェンスに比重を置かないといけない。普段の比重が、オフェンスとディフェンス5:5だとしましょう。それを4:6や3:7にしないといけなくなる。

パンチ力・体の圧力=防御力

 そうなるとディフェンスに力を入れている分、攻撃力が落ちるんですね。言うまでもなくボクシングというのは攻防一体型の競技、攻撃と防御・守備が明確に分割されている野球のような競技とは違うわけです。ターン制でもないので、攻撃・自分が攻めているという局面でも常に守備や防御に意識を割いておく必要性があるわけですね。

 モハメド・アリがかつて来日したとき、当時目新しいパンチングマシーン測定機械を前にして、アリのパンチ力を試す!!という実験?イベントが行われたところ、アリは軽く打ってライト級くらいのパンチ力だったという話がありました。アリは実戦・試合で防御を無視して全力でパンチを打てる機会なんてないよ、こんなパンチ力測る機械なんて意味がないということを知っていたわけですね。機会ゼロだけに機械もゼロ=無意味(激ウマ)だと。

 最近だと、八重樫が稀代のハードパンチャーロマゴンと戦った試合がありました。八重樫もハードパンチャーではないにせよ、それまでの試合で絶妙なテクニック・試合運びを見せただけに、彼のテクニックが一体どう発揮されるのか?というポイントが有りました。が、実際にはそのテクニックをほとんど発揮することなくやられてしまいました。これも相手のパンチ力を警戒する必要から、攻撃に割くことができる比重が落ちてしまったからですね。

ハードパンチャー相手に防御の比率を下げることは本能が許さない

 となると、「そもそも相手は天下に謳われる名ボクサーなんだから、そんな防御なんかに意識をおいてないで、いちがばちか攻撃に意識10とか9とか8とかおいて、玉砕覚悟でドーンとぶつかっていかんかい!消極的で見ていてつまらんわい!初めから勝ち目が殆どない戦いなんだから、男ならやってやらんかい!」と思う人がいるでしょう(と言うか、昔そんな馬鹿なことを書いた気がする(^ ^;) )。

 そういうふうにできれば簡単なんですけども、6とか7とかくらいに比重を上げることはひょっとしたら人によっては可能かもしれませんけど、人間には防衛本能というものがある。そしてボクサーは当てる練習と同じように避ける練習・躱す練習をするわけですね。そういう長年の練習の上でパターン的な反応をするのが刻み込まれていますから、強打を前にして玉砕覚悟で!とやったとしても自然と体が反応してしまうわけですね。

 先に肌・皮膚や身体で感じて、頭で判断するよりも前に行動を起こしてしまうのがスポーツ・武術の妙。その自然な反応を抑制して危険な行動を出来るかと言われるとかなり難しいでしょう。むしろ身体と脳のバランスが崩れてイップスみたいな変な状態になりかねない。まあ言うは易し行うは難しってことでしょうね。

圧力が落ちた結果、内山の間合いコントロールも落ちた

 まあ、長々書きましたけど、要するにこれまで内山はその強打の威力で相手を自然と下がらせていた。ディフェンスに意識を向けざるを得ない状態に追い込んでいっていた。内山の圧力を前に踏み込めるボクサーなどいないということですね。相手が内山の強打を意識するあまり防御重視で攻撃力が落ちる、結果内山はディフェンス面に気を取られずに攻撃に専念できる(あくまで比率の話で、もちろん本人の意識の上では当然ディフェンスも重視していたと思いますけどね)。相手が防御重視→攻撃専念が可能→なおさら相手は防御意識→∞…のまあ好循環サイクルですね。だからこそ内山は圧倒的な強さ・KO率を誇ることができたわけです。

 「攻撃は最大の防御」といいますけど、優れたディフェンス技術の一番の基礎は実はパンチ力という矛盾した前提があるわけですね。内山のパンチ力の衰えというのは=ディフェンス・防御力の低下とイコールだったわけです。

 コラレスの真価は今後明らかになるとして、良いボクサーであるのは間違いないものの、かといって内山相手にあそこまで簡単に踏み込んでパンチを振れるというのは全盛期の内山なら考えられなかったでしょうね。全盛期でないにせよ、三年前の内山だったら判定に持ち込めても、もっと動きを制限されて、手数が出せずにコラレスは判定負けしていたと思いますね。

 内山のほうがリーチで7センチ長い。内山のほうがその分有利にも関わらず、間合いをコントロールしていた時間が長かったのはコラレスだった。これもいかに内山の圧力が失われたのかという裏付けのひとつになるでしょうね。

 1Rのダウンも2Rのダウンも、要するに内山の圧力が減ってこれまでなら踏み込めるはずのない間合いに踏み込まれたから。圧力の低下=間合いコントロール能力が衰えた・内山の支配エリアが縮まった結果、内山は本来想定する必要のないスウェーした状態から追撃のパンチを貰ってしまった。コラレスのディフェンスの比重を上げることができなかったが故に右にカウンターを合わされてしまったということでしょうね。


30歳の壁・35歳の壁

 内藤も長谷川も30歳を超えたあたりで少し「おや?」というところが出てきた。そして35歳ともなればもう限界、まず無理ですね。むしろ内山は35歳でそれほどの相手ではなかったと言っても3RKOという健在ぶりを見せつけたことを賞賛すべきでしょうね。西岡も「もうキャリアを終える、最後にやるとしたらドネアしかいない」ということになったのが35歳だったことを考えると当然すぎる結果ですね。

 不沈艦・難攻不落の要塞内山が陥落した今、山中慎介が日本の現役最高ボクサーと考えられるわけですが、彼もその35歳という壁に迫りつつあるわけで、モレノというスーパースターを下して、最後の試合は一体誰とやるのか!という段階に入っているといえるでしょう。

不利な再戦で今回の戦略・戦術は最適だったか?

 内山は前回の対戦よりも衰えることはあっても成長することはない。対照的にコラレスはこれからのボクサーで成長する可能性が高い。コラレスの調整失敗などがなければ、前回よりもさらに悪い条件でぶつかることになる。リマッチ・再戦の難しさというよりも年齢の時点で既に不利。基本的に「相手は更に強くなり、こちらはさらに弱くなる」という前提の上で戦略・戦術を構築しなくてはならない。果たして今回の対戦はその工夫があったのか?とセコンドの姿勢に疑問を覚えました。

 内山の戦略というのは世界トップクラスのパンチ力の圧力で相手を下がらせて、序盤は相手を覚えることとボディで相手のスタミナ・戦闘力を削る作業に集中する。そして頃合いを見計らって仕留めるという基本的なものです。内山の強打を嫌がって誘導して、ガードを下げさせて上を打ったり、頭を下げさせてこちらに近づいたところにボディ・下に打ったりとKO前には相手をコントロールして、今の自分から打たれに行っただろという状態に追い込む、追い込み漁が内山のハンティングのパターンの一つですね。今回はその追い込みがろくにできなかった。

 というか、ああいうスピード型を捕まえる・仕留めることは衰えた今相当難しい。その相手を追い詰めるために何をするのか?足を使うのか、これまで持っていなかった新しいパンチ*4を身につけるのか、スイッチか、遠くなる間合いを潰すために体・肩をぶつけていって距離を潰すのか、サウスポーの得意なノーモーション(空手で言う追い突きですね)の左ストレートは自然と頭が流れる位置が一定になるのでそれにカウンターの左を合わせるのか…。

 まあ色々考えられると思うのですけど、そのような目新しい対策がなかった。既存の強打からのプレッシャーで終盤仕留めるという戦略を採用してしまった。これでは再戦で勝つのは難しかったでしょうね。

 特にまずかったのは内山が右を振れなかったこと。本来、ガードを下げて圧力をかけるスタイルだったのに、ガードを上げて相手の左を警戒しながら戦った。結果、右の手数が減ってしまった。一番警戒すべき大砲がない以上、コラレスは非常にやりやすかったでしょうね。

 KOされたきっかけの左のクロスが見えなかったとは言え、ガードを終盤まで上げ続けたのはどうなのか?序盤右のボディで削って相手のスピードを落とせた、危険性はもうないという段階でガードを下げて本来の内山スタイルに戻すべきではなかったか?あのスピード&回転力のあるコラレス相手に右のストレートを振らずに勝とうというのはいくら内山でも無理がある戦略に見えました。

 まあ、それを言うなら前回の最初の試合で想像以上にスピードがある。1Rでダウンを喫した時点で、「ちょっとスピードあるからガードを上げて、ボディ叩きに集中して削って、パンチをもらうリスクを下げようか」という指示を2Rはいる前になぜ出せなかったのかという話になるのですが。

 6Rくらいから行こうと思っていたという話だったようですが、実際内山優位に持ち込めたのは終盤の9Rから。消化不良で余力を残して終わってしまったというように、ペース配分に問題があった(もちろんこちらのペースに持ち込む戦術が欠けていた結果ともいえますが、右を振れず終始コラレスペースでしたからね。勝負をかけるポイントになる局面が殆どなかった結果ともいえます)。

大晦日の再戦というスケジューリングへの疑問

 どこかでガッと勝負をかける瞬間・詰める瞬間がなかったのでスタミナが落ちているのか?と心配をしたのですが、試合後のコメントを聞くとどうもそうではなかった様子。事前に復帰戦をやって前回2Rで終わっているので試合感の調整、また今のコンディションで12Rといわなくても長いRを消化できるかどうかの確認をやっておくべきではなかったでしょうか?

 長谷川が三階級制覇に失敗した時の事前の試合で調整・次戦の世界戦を無視した試合内容だったのを見てこれはまずいのではないかという話を書いたことがありましたが、特に負けた後新しいことをやらなくてはいけないという段階で復帰戦をパスしての再戦というのは非常に疑問の残る陣営のスケジューリングだったといえるでしょう。

 TV局の都合、大晦日に必ず試合をやるという変な縛りを考慮しなければ…と思わざるを得ませんね。8・9月頃に復帰戦を挟んで、そこから半年を目処に再戦というスケジュールは組めなかったのでしょうか?年齢との戦いになるので間を開けるのも良くないのでしょうけど、間に一試合挟んで短い期間になってしまうけども、すぐ再戦というスケジューリングの方がまだ良かったという気がします。コラレスの都合が優先される、再戦の機会を実現するのにはその日程しかなかったというのなら話は別ですが…。

 セコンドへの疑問は盛んにジャブを突いてという指示を出していたこと。それはセコンドがあえて言うほどのことか?ということと、ガードを上げた状態でこれまでの位置からのジャブと軌道が異なるのにそのジャブをある段階までならともかく、始終やらせるべきかという疑問があるからですね。

 そりゃジャブは基本ですけど、普段の下げた位置からではないジャブは内山は慣れていないはず。上から打ち下ろし気味、かぶせるようなジャブになってしまう。それでは内山本来のジャブ・真っ直ぐ系のパンチの威力が出ないのではないか?

 たまに上から相手のガードを下げさせるようなジャブをすることはありましたが、今回はそのようなキレのない上からのジャブが目立った。内山のまっすぐ系のパンチは目を見張る物がありますが、今回はそのまっすぐ系が右のストレート以外にジャブもキレが悪かった。もちろん良いジャブもありましたけどね。相手が下がって、回って距離が空いていたとはいえ、かなりキレの悪いジャブがありました。

 どこかの段階でいつものように右ボディをぶち込んで、相手の動きが衰えた所でガードを下げていつも通りのスタイルで行けという指示をだすべきだったでしょうね。ガードを高く挙げた分、これまでの内山のパンチの軌道ではなくなった。その微妙な違いが与えた影響は軽視できないでしょう。内山はグローブで鼻あたりをこするという癖がありますが、その癖がいつも以上に目立っていたと思います。普段の自分の思うプラン、相手をコントロール出来ないという苛立ちが彼の癖となって現れたと思います。思い通りに行かない時に人はいつもの癖で心を整えよう・落ち着けようとするものですからね。

負けた後の再戦は基本戦略と方針を変えなくてはいけない

 輪島氏が再戦で勝った経験から、再戦の心持ちとして同じようにやったら前回と同じ展開になる。初めの3Rで6R分の力を使って戦うくらいのペースで挑まないといけないという話をしていました。相手のスピードという性質を考えると、輪島氏のアドバイスをそのまま応用できないのは確かですが、同じようにやってはいけないというのは当てはまったはずです。何かいつもとは違う切り札を用意しておいてほしかったですね。

 右のガードもそうですが、左のガードを上げることで、ソリスをKOしたようなショートフックも出しにくくなる。相手がスタンスを広くして頭の位置を自由自在に変えてくるタイプでその動きを制限するためには、低い位置からの左のショートなど、動きを制限するパンチが重要になる。相手の体を起こすためにもどこかで左を低い位置において見せてほしかったですね。

 再戦というと最近では山中に敗れたモレノマクドネルに敗れた亀田和毅を連想しますが、勝った相手もそのままではいない。再戦する上で前回やった相手との経験を活かしてさらに作戦を練ってくるもの。前回は自分がこういうのがまずかった、その不味かった点・短所すら克服すれば、気をつければ次回は勝てるという安易な想定があったように見えました。当然その考えは相手にもわかると言うか、想定の範囲内。負けた方はさらにもう一つ二つ相手の予想外のことをしないといけない。

 亀田興毅が判定に疑問符が付いた結果、ランダエタと再戦して今度は前回と全く違うスタイルで足を使って完封したように、再戦というものには前回とまるで違う何か別の引き出しが必要であるというふうに個人的には思えました。

コラレスの終盤の「逃げ」よりも問題は審判のジャッジ

 試合を見て、9R以降逃げ回っていて汚い・卑怯だ!という意見を持った方が多かったようです。が、内山のようなハードパンチャー・名チャンピオン相手に真っ向から打ち合えというのがそもそも無茶な注文。ポイントで勝っていれば、まず普通は逃げ回るでしょう。ボディが効いたのなら尚更ですね。

 内山本人も言っていましたが、ああいう逃げ回る相手でも仕留めないといけない。ボクシングというのはそういう競技ですからね。しかし疑問に思ったのはレフリング、レフリーの判断ですね。いつも言うように相手がクリンチを多用したらしっかりホールディングの反則を取らないといけない。一回目はよくあることなのでいいとして、二回目で注意して、三回目は絶対に減点しないといけない。次のRにまたいだとは言え、ボディが効いて嫌がって四回目のクリンチに入ったとき確実に減点すべきでした。あれをやらなかった以上、もうボクシングとしての競技は成立していない、競技になってないですね。

 ホールディングを取って、-1点にしても総合的な判定には影響がなかったと結果から逆算できますが、あの時点でしっかりレフリーがホールディングを取っていれば、これ以上はクリンチができないとコラレスも陣営もクリンチをためらうし、クリンチでしのげという指示も出しにくくなる。そこに内山がパンチを当てる機会が生まれる。反則一つとる・とらないで展開がガラッと変わる。そういう重要な所でしっかり反則を取れないボクシングの試合ほど見ていてイラッとするものはないですね。

 今回の試合はコラレスが上回っていた、これに異議はない。しかしそういうアヤがついてしまうからスッキリしない、イライラするのです。仮にレフリングに問題があった、レフリーが反則をしっかり取るべきだったとあとからWBA協会がジャッジして無効試合にしても同じでしょう。だからもう一回再戦せよと司令が下ることになったとしても、内山のコンディションはこれから更に落ちるわけですからね。

コラレスの反則について

 また内山の足をコラレスが何度も踏んだという報道がありました*5。写真からすると、計4回ですかね?コラレスが内山の足を踏んでいました。記事では偶然ではないと思うがと書いてありますが、わざとに決まってるでしょう。反則をしようがなんだろうが勝つというのがボクシングのプロの世界の常識。もちろん意図的に踏みに行ったというよりも、間を詰める・前に踏み込む過程で足を踏めたらラッキーとか、仮に踏んでしまってもアクシデントの一貫、踏んでしまっても構わない。絶対踏まないようにしようとケアする必要はない。クリーンファイトに徹する必要性はない。注意されたらその時初めて踏まないように気をつけようくらいの感覚なんでしょうけどね。

 ああいうのはその場ですぐ抗議をしないといけない。ホールディングもそうですが、ラウンド終わりに反則をすぐ審判になんで減点をしないんだと問いたださないといけない。クリンチも足踏みも一回はただの偶然でも二回目からは故意であれ、偶然であれなんであれ、すぐ反則にしないと競技として成立しない。すぐにやられた側は自己申告すること、現代は映像チェックなんか簡単なんだから、ビデオ判定員がすぐチェックして、事実だと認定出来たらすぐ審判に伝える。そして次回からはR合間に反則が確認されたの減点しますと観客に周知してすぐ減点する。もちろん審判が自分の目で確かめて即減点のジャッジをするのが一番いいのだけど。いつまでたっても反則は通ったもの勝ちという伝統で興行をやっていれば、競技としての完成度・透明度が向上することはないでしょうね。

 内山は自身ではアマのエリートではないということを言いますが、反則に対して対処の引き出しがないというのは他のアマのエリートと変わらないのでは?という思いを一瞬抱きました。というか通常の内山ならそもそもそれすらさせなかったので対処とかいちいち考える必要もなかったでしょうからね。

 1Rでコラレスの前足に内山の前に出した足が引っかかってよろめいたシーンが有りましたが、ああいうのはこれまでなら絶対になかったシーンでしたからね。ああいうバランスを崩すというシーンはやはり今の内山の状態を象徴しているのだと思いました。

海外に出る日本ボクサーは反則技を練習すべし

 個人的には現在のボクシングルールが反則を積極的に減点しない以上、反則を練習に組み込んで練習しておくべきだと思います。肘打ち・頭突き・足踏み(後はローブローですか?)、日本のボクサーはこれらを練習としてある程度組み込んでおくべきでしょう。

 無論、実際の試合でそれを使えと言いたいわけではありません。かつて新コータローまかりとおる 柔道編 という漫画の中で相手を意図的に破壊して勝つケンカ柔道・ぶっ壊し柔道というものがありました。そのイカれた流儀はなぜ生まれたかといえば、より実践性を高めて護身をする上で、相手があらゆる手段を講じてくるという前提で柔道を構築しなければ、実戦では機能しない・使えないという発想から生まれたという設定がありました。

 作中で鮫島春樹が「ぶっ壊し柔道はぶっ壊されないための柔道だ」と言っていたように、反則ボクシングは、こちらが反則をするためではなく、相手が反則をしてくるとなったときに、それにやられないようにするためのボクシングになるわけですね。反則への対処をするには、反則を意図的に行う場合、どういう意識で繰り出すものなのかを知っておく必要がある。事前にどういう意識で反則をするものなのかということを十分に理解しておかないと、とっさのときに有効な対処ができないと思います。

 相手が反則をしてくる!その対処もしなくては!となると、あれもこれもケアしなくてはならなくなる。が、実際は反則をする分、他の行動が制限されるわけですから、そこまで対処は難しくない。まあ、なんの世界でも同じですが、知ると知らないでは大きな差がつくということですね。事前にしっかり知っておくべきことだということですね。予防注射みたいなものと考えましょう。

 また修羅の門なんかで、傭兵で戦場上がりの相手が反則を仕掛けた結果、主人公の陸奥が本気になって同じようにルール無視の反則を仕掛けてねじ伏せたという話がありましたね。同じように、基本的に反則をすることはないが、相手が反則を仕掛けたら、ただじゃ済まさない。こちらも反則を解禁して徹底的に相手を叩き潰すというスタンスで行かないと相手に反則の使用をためらわせることができない。抑止効果によりクリーンファイトをせざるをえないという段階に持ち込めないでしょうね。

 今回のように中南米の才能あるボクサーが勝つためにはなりふり構わない、反則しても勝てばそれでいいという考えが存在する以上は対策としてしっかりやっておくべきでしょうね。アマ上がりのボクサーが多い今、日本人ボクサーはキレイすぎる傾向があると思います。前々から気になっていましたが、そういうボクシングは変則や不意の事態に脆いんですよね。今回のように強い相手ならまだしもつまらない相手につまらない敗戦をするリスクがある以上、ジムはしっかり対策をしてほしいと思います。

判定への疑問、7ポイント差はありえない

 またやはり触れておかなくてはいけないのは判定について。ダウンさせたRと9R以降内山が取って、それ以外はコントロールしたコラレスが取ったとして、2ポイント差でコラレスの勝利とするのがまあ妥当なライン。そこから人によってジャッジが変わって、内山につけてもおかしくないし、4ポイント差でコラレスの勝ちにしても、ん~と個人的におかしいと思っても、まあ想定の範囲内。しかし7ポイント差はどう考えてもありえない。一体どこに目をつけているのかという話。

 WBAが手数を重視する傾向があるとはいっても、7ポイント差ということは一つドローで9Rコラレスがとって、内山が取ったのはダウンを与えたラウンドと他に1つだけということになる。いくらなんでもそれはない。アグレッシブに左右をまんべんなく振ったコラレスに対し、右を殆ど振れなかった内山が前半ポイントを取れなかったのは妥当。が、後半9R以降ボディが効いて逃げ回ったコラレスの手数を評価するというのはおかしい。それならとりあえず手数を出して後は逃げ回れば良いことになる。試合をコントロールしているアウトボクシングと逃げ回っていることも見極められないなら判定員なんか辞めたほうが良い。というか辞めさせるべきでしょう。

 審判・判定ともにケチがつく嫌な試合になってしまいましたね…。

反則対策の他にドーピング対策も導入すべき

 また、これは書くかどうか迷いましたが一応書いておきたいと思います。セコンドの対策に疑問と書いたのですが、コラレスが内山に挑戦する前の暫定王座決定戦の対ロドリゲス戦の映像をチェックしたのですが、正直大したボクサーには見えなかった。スピードとスイッチをすることと、コンパクトな連打があるものの、基本的にディフェンス重視でそこまでの選手ではない。内山の圧力を前にジリ貧かもしくは仕留めきれずに判定に持ち込まれるくらいの予断をセコンドが持ってもまるでおかしくないという試合でした。

 そういうボクサーが若くて成長の余地があるとは言え、内山との試合では一段階成長して別人のようなキレとスピードを持っていた。井上のように階級を一つ上げて減量から解放されて本来のパワーを発揮したとか、そういう事情があるわけでもないのに、こんなことがありうるのか…?と疑問に思いました。

 が、2013年のアービング・ベリー戦の映像があって、それを見る限り、まあ今回のような出来でもおかしくはないと感じさせる動きをしていました。

 15年5月に、同じくスーパーフェザーで現ライト級の粟生隆寛WBOの王座決定戦でベルトランというボクサーにKO負けするものの相手は禁止薬物を使用しており無効試合になったという例がつい最近ありました。

 これだけ別人のように動きが良くなるということと、内山戦以後試合をやってないことを考えると、ひょっとしてコラレスは薬かなにかやってるのではないか?と粟生の事例から疑ったのですが、過去の映像を見る限り、まあ、ああいう優れた動きをしても別におかしくないでしょうね。

 ただコラレスにも薬物反応マリファナ無効試合にされた過去があるんですね。こういう話を聞くと日本ボクシング協会は積極的にドーピング検査を試合の事前と事後に徹底化する必要があるのではないかと思いますね。海外の試合でもドーピング検査を奨励する・試合条件に組み込む必要があると感じました。

 コラレスが優れたボクサーで、今回の勝利にも異論はないにせよ、変な疑いが入る余地は事前にしっかり潰しておいてほしいと感じました。ゴタゴタでまるで機能していないJBCに望むのは厳しいのでボクサーOBやジム会長連は積極的に働きかけてほしいかと思います(というかJBCの再生が先か…)。

最後に

 とにかく、内山というボクサーは強かった。素晴らしい完成度だった。自分が見た限り間違いなく日本史上最高のボクサーでした。たまたまCSで見たファイティング原田みたいな存在もすごいと思いましたが、やはりスーパーフェザー級という軽量級が主体の日本人ボクサーの中で中量級でその実力・強さを発揮し続けた点で、やはり内山を日本史上最高にあげたいと思います。長谷川・徳山・山中と言ったスターも彼らはバンタム以下でその真価を発揮したという点で個人的にやはり内山を推しますね。

 その優れた最高のボクサーがマカオやベガスという最高の舞台で最強の相手、ウォータースやガンボアやガルシアやロマチェンコといった望む相手とやれなかったこと。せめて海外の舞台で顔を売りにいくという意味合いがあるフォルトナと試合ができなかったのかと悔やまれてなりません。

 年齢の壁に当たったとは言え、自分が戦いたいと思う強い相手と最高の場所で戦って敗れるなら納得もするもの。しかし、これからの若手のホープと戦いたくもない試合を組まされて、そこで現役のキャリアを終えるという展開を見ると、悔しくして悲しくて本当に辛いですね。

 戦って、やるべきことをすべてやった上で負けて死ぬならともかく、戦うことすらできずに退出を求められるなんて、その背景を考えるとこんなに心が痛むことはない。

 もし内山さんの友人でリングサイドにいたとしたら、号泣してしまったでしょうね。それくらい可哀想で残念でならない。負けた後も本人はやることをやった上の結果・これも天命ということでサバサバしているでしょうけど、周りはもうどん底に沈むのではないでしょうか?お通夜状態になってもおかしくないと思いますね。

 かの吉田沙保里が負けたことで取り返しのつかないことをしてしまった。日本国民すべての皆さんに謝りたいというセリフを発して話題になりましたが、亡き父への思いなど色んな思いがあったにせよ、応援してくれる人たちが自分が負けることでショックを受けてしまう・傷ついてしまうという事実を知っていたからこそ、ああいう表現・涙になったのではないかと今更ながら気づきましたね。

 いづれにせよ、内山高志さんは個人的に今まで見てきた中で素晴らしい最高のボクサーでした。ボクシングを辞めたとしても、これからもずっとファンで有り続けるでしょう。最高の試合に感謝の言葉を添えて今回は終わりたいと思います。素晴らしい試合の数々ほんとうに最高でした、ありがとうございました。

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内山高志写真集 漸進 (日刊スポーツグラフ)

*1:金閣寺 (新潮文庫)

*2:無論、衰えについては一応は触れてはいるものの、技術上の問題やビッグマッチを逃してモチベーションの欠如という方をより重要という見方が殆どでした。モチベーションの低下、気力の問題を軽視はしませんけども、それよりも何よりも一番大きいのは衰えだと個人的には思います。ここの文章はそういう意味ですね

*3:もちろん、本当は違ったのですが、コラレスが肘を振り回して当てたというコメをどっかでみたこともあって、己の内山がまともに力負けするはずがないという偏見・予断があって、そういう解釈をしていました。三浦・金子戦などのように、たまに内山は不用意にもらうこともあるので、その延長だろうと勝手に解釈していました。実際にコラレス戦を見て、もう一度ホーリー・ボクシングさんのブログ記事を読み直すとブログの主が書いていることと、当時思った拙感想と全然違う受け取り方をしているんですけどね(^ ^;)。思い込みというものは恐ろしいですね

*4:たとえば、出入りの激しいボクサーなのでそうさせないように、入る瞬間にアッパーを合わせるとか、当てなくてもアッパーを見せれば相手は簡単に踏み込めなくなるでしょうからね

*5:狙われた左足 コラレス・内山戦で繰り返されたあるシーン