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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【2016「工藤批判」批判】 王会長・工藤監督は秋山時代の「森脇追放」のように、反工藤派(藤井・大道・鳥越?)を粛清すべし

 さて、前回書いたように今回は「工藤批判」批判をやりたいと思います。というかやらなくてはならないでしょう。長々工藤批判を書いてきて、まだCSでの意味不明な継投とか、シーズン中いかに我慢できない継投をしていたかとか、そういう指摘をしたかったのですが、それ以上にホークスというチームの組織上の大問題があるので、こちらを先に書きたいと思います。

 おそらく、工藤叩きを諫める意見としては、「去年あれだけやったのに、今年2位になったくらいで叩きすぎだ。それで監督辞めていたらどんな監督もすぐ辞めざるを得ない、アホか」くらいしかない気がします。まあ、いちいちチェックしたわけではないのですけど。あまりまともな「工藤批判」及び、「工藤批判」批判(工藤批判への反論でいいですね、今更ですが(^ ^;) )はなされていない気がしますので、こういった話をしておかないといけないと思いました。まあ一連の工藤批判のところで、ちょいちょい「工藤批判」批判を書いてはいたんですけどね。今回は工藤采配以上にチーム・組織として問題があることを改めて書いておきたいと思います。
 ※追記、連日の采配ミスというか「継投」失敗で拙ブログを訪れる方が増えたようです。アクセス数1.5~倍になってますから。まあもともとそんなにアクセス数多くないですが。一番人気のあるこの記事にアクセスされてるみたいなのですが、こちらはあまり継投の話には踏み込んでいません。フロント批判・組織の問題の指摘が殆なので、工藤采配の拙さ、「継投」の問題などを知りたい方が多いと思うので、そちら希望の方はこちらをどうぞ。今思うとよくもまあ、こんなに書いたものだと思うくらい書いてます(笑)*1

目次

ホークスの組織としての大問題:情報管理意識の欠如

 秋山監督が辞める時、かなり早い段階(確か8月最後か9月の最初くらい)で「腹心の高山さんもいないし、去年のBクラスの件と家族のこともあって、今年でもう秋山監督は辞めると思いますよ。」―というふうに直前に監督退任情報が漏れたことがありました。夕刊フジだったと記憶しているのですが、ちょっとググっても見つからなかったので断定は避けておきます。

 で、その報道を後追いする形で秋山監督は日本シリーズ前に今年で辞めると発表する事態になりました。更にスポニチから事前に辞めるのでは?という報道がされた結果、会見をしてシリーズ終了後に発表するはずの人事が事前に発表される。チームにとって重要な監督の進退について、シリーズ直前に急遽説明する。というかせざるを得なくなったという事件がありました。

 以前から何回か指摘してきたのですが、このチームは情報漏洩が多すぎるんですね。情報管理がガバガバになっている。かの落合博満が中日監督となって、OBを排除した理由の1つはこの情報漏洩問題があったからですね。とにかく、OBやコーチが勝手にペラペラ内情を話してしまう。これでは組織は機能しなくなる。

 で、落合の鎖国政策で情報が取れなくなった新聞社(中日スポーツかな?)は怒る。そこに評論家や事情通として食い込んでいるOBも落合政権に反対する。かくして反落合派が形成され、批判的な記事が書かれるようになる―という流れがあったわけですね。いつの世も政権交代で中央政治からパージされた旧主流派が反対勢力となって政権批判をするもので、典型的な事例ですね。

 

工藤公康落合博満に学んで情報管理を徹底すべし

 同じく、工藤公康も情報管理に乗り出さないといけない。組織としての問題ですから、本来は王会長がやらなくてはいけないことなんですけどね。それでも落合は監督としてやったわけですから、仮にそういう権限が工藤になくとも、進言・お願いくらいはできるはず。OB及び現コーチが内情をペラペラ喋る、喋っていけないことまでウケ狙いで盛って大袈裟に話す。それが思いもよらぬ監督叩きや選手叩きへと転化して、それを見た選手・チーム内が動揺するということがあるわけです。

 少なくとも王会長は、自身が情報をチェックして「これを外部に漏らしたのは誰だ!!」と作ったあらいに激怒する海原雄山のごとく叱り付けないといけないでしょう。そうしないとこういうバカなことをする組織の腐った空気は変えられない。「こういうことを外部に喋るようなOBは小久保・松中だろうと出禁にする!」と言わなければ、平気で馬鹿なことやるわけですから、わからないと思います。*2

 

野村克也を干した王会長は情報管理の重要性を知っているはず

 かつてWBCの監督選考で王会長は監督の中で一番優秀と思われる≒短期決戦に最も強いと思われる野村克也(以下ノムさん)をその日本代表監督から意図的に外す、干すことをしました。この選択は優秀なものをポストから遠ざけるおかしな人事だと憤ったことがありましたが、後に事情を知って納得しました。それはノムさんがマスコミに勝手に選考過程を喋ってしまったから。

 代表監督選定のトップ達の会談・寄合で、王さんはノムさんに「やりませんか?」とひと声かけた。それをノムさんは否定して「あんたやりなさいよ」と応えた。その後つめかけたマスコミの面前で「どうも星野に決まっている気がする。出来レースなんじゃないの?」とその会議の内容を喋ってしまった。会議の席で、自分の意見をきちんと述べて、「この決定には納得できない。王よ、これはおかしいぞ。こんなおかしな意志決定には納得できないぞ。俺はこれからマスコミに全部喋るからな」とちゃんと直前に抗議していたならともかく、そんな相談もせずに会議中異義も挟まず、いきなり外に向かって暴露した。結果、世論の後押しもあって星野監督案は頓挫して、原監督に決定したという流れがありました。そんなようなことをやる人間は組織においておけない。当たり前の話ですね。トップ会談、意志決定の過程を不用意に外部に喋るのは組織の論理から言ってありえない蛮行ですから(いきなり会議をやる前に王会長は根回しとしてノムさんとサシで話を通しておいたほうが良かったですね。まさかこんなことをするとは思っていなかったのでしょうけどね)。

 組織には役職があり、役職に応じた権限というものがある。組織において上に行けば行くほど大きな権限=責任と、組織内において限られた人物しか知り得ない情報・機密を知る・保有することになる。それにともなって、組織内の重要な意志決定に参画することになる。まあ言うまでもない当たり前のことですね。

 トップに大きな権限・責任・機密があって、下の方にはないといえばたしかにそうなのですが、それでも時と場合によって内部事情を知りうることがある。そしてその内部事情を外に漏らして良いのかどうか?という論理がある。今我々が問題としている情報漏洩問題は、当然漏らしてはいけないたぐいのものなのですね。確かな情報でも不確かな情報でも、不用意に喋ってはいけないことがある。下手をしたらすぐにクビをきられて引退することになる立場の選手に対するマイナスの評価・査定を漏らしてはいけないし、選手・コーチが監督に不満を持っているなんてことも論外。絶対漏らしてはいけない話でしょう、本来。

 自分の部下に対して忠告の類ならともかく、評価査定に直結する内部事情を漏らす組織はありえない。まして部下が上司に対して無能だと思っていることを漏らすなんて普通ありえない。普通の一般的な企業ならそれで特に問題が発生することはありませんが、プロ野球チームというのは特別な組織。一挙手一投足がマスコミを通じて公になる世界。話して良いことのラインが一般世界とは大きく異る。普通の会社員が飲み会の場で不平不満を言って問題になることはまずないでしょう。しかしプロ野球選手・コーチはそういう世界に住んでいるわけではない、違う世界・違う論理の社会に籍をおいているわけです。活字・媒体を通して公になってしまう世界なのですから、喋る内容は決められた手順を守る・筋を通さないといけない。そういう内情話は慎重に外にもれないようにするのが当たり前。

 何より、選手がコーチ・監督に不満を持っているという類の話が漏れたら、それを聞いたコーチ・監督がどう思うか?その選手を探して干すに決まっているでしょう。コーチ・監督というのは起用する側であって、選手にあれこれ言われる立場ではない。将棋で言えば棋士、選手は駒に過ぎない。駒が棋士に文句を言うのはありえない。そんな馬鹿なことをする選手・言うことを聞かない駒は捨てる。新しい駒に入れ替えるに決まっている*3

 選手と首脳陣に溝を作るようなこと、チーム内に不和を作ることをわざわざやるなんて正気の沙汰ではない。要するにそういうことをペラペラ外の人間、特にマスコミに喋ってしまうということは、そんなことも理解できない大バカ者だということですね。

 

納得できないなら楽天・田代打撃コーチのように筋を通すべし

 かつてデーブ大久保監督が楽天監督に就任した時、チーム内に不和をもたらすだろうと言われていました。が、実際は現場を知りもしない本社の人間がFAXでアレコレ指示を入れてくる。それに従わないといけないという異常な体制となり、その体制でチーム内に問題が発生しました。そのことに怒った田代打撃コーチが辞任をするという事件がありました。

 常識的に考えて現場の裁量を逸脱する行為をフロントが行っているわけですから、現場の人間が怒るのは当たり前。これではコーチとしてやっている意味がない!と怒って現場の人間が辞めるのは当たり前の話だと思われます。明らかに楽天フロントがおかしい。監督・コーチはフロントの意向に従わなければいけないものとはいえ、フロントの介入が甚だしすぎる。現場の人間の裁量権を著しく侵害している。それなら別にプロのコーチでなくても、平社員をコーチにしても変わりませんからね。いつか楽天はサラリーマンコーチとしてフロントの指示を実行するだけのプロ経験のないコーチを導入したりして…。

 まあそんなことはともかくとして、その田代コーチが「そんなふざけたことをする球団にはいられない。ふざけるな!」と言ったかどうかはさておき、辞表を叩きつけて辞めるのは非常に理にかなっているわけです。彼はフロントの指図が行き過ぎているという球団の内情を暴露したわけですが、今回のフロントの指図は球界の慣行というか組織の常識に反することですから、それを暴露しても問題にはならない。楽天が絶対喋るなよ!といったかどうかは知りませんが、守秘義務があるとはいえない。というか、守秘義務の要件が成立しないと言うべきか。

 まあなんであるにせよ、田代コーチは自分のコーチ生命、一身を賭して抗議したわけです。「こんな方針には納得できない・我慢ならない。自分は辞める」としっかり筋を通したわけですね。

 抗議の辞任とはかくあるべきもの。男の生き様として見事と言うべきでしょう(なんか田代コーチを褒める流れになってるな(^ ^;) )。まあ要するにチームの、球団の方針を否定したいならば、間違っているぞ!と声を上げたいのならばきちんと筋を通すべきなんですね。

 

辞表を出さず組織のトップに逆らうのはありえない。不満を暴露するならコーチは辞表を提出すべし

 同じように、今回工藤批判をしているコーチ、不満をペラペラ喋っているコーチ陣は辞めなくてはいけない。「工藤、てめえふざけんなよ」と思っているのならば、そしてそれをメディアの前で喋ったのならば、辞表を突きつけなければいけない。まあ「自分は正しいから自分は辞めない。辞めるのは工藤の方だ!」なんて馬鹿なことを思っているとしたら、最低でも実名を公表して堂々とやらなくてはいけない。

 それなのにおかしなことに、今回コーチ人事で辞表を出した2016年の一軍コーチは一人もいないんですねぇ…。関川コーチがチームスタッフとしてフロント入りしたくらいでしょう。二軍・三軍コーチに配置転換されずにチームを去ったコーチはいない…。

 

人民日報の如き御用新聞と化したスポーツ紙はOBの意見を垂れ流す。そこに評論は存在しない

 球団OBいわくという形式で、工藤批判をする記事は枚挙に暇がないわけですが、特に夕刊フジ・ゲンダイに目立ちますね。何故か東スポはあまり偏った記事を書かないですね。前回も紹介しましたが、【ソフトB】工藤監督への不満呼んだヘッド不在…大激戦で表面化ーこの記事なんかかなりまともな分析だと思います。多分媒体というよりも、スポーツ競技の種類など担当ごとにどういう情報源で書いているかで差があるのでこうなっているんでしょうね。また東スポは違う媒体で九州あたりにスポーツ新聞出しているorそこと同じ記事がそのまま載っているみたいな話を聞いたので、地元の優秀な記者が書いたものが、そのまま本社に送られているということかもしれません。他の球団やセ・リーグについてはともかく、ホークス関係はかなり信用して良いのではないでしょうか?*4

 夕刊フジやゲンダイなどはOBの声をそのまま引用して批判記事を書く=自分の頭で考えて書いていないということですね。隙あらば「求心力の低下」*5というフレーズが出ていましたが、 要するに自分の意見が採用されないからコーチが反発しているわけですね。「求心力の低下」ではなくて、正確には「方針・思想の違う上司と部下の衝突」ですね。

 それを「工藤叩き」でごまかしているバカメディアが存在するということですね。もちろん工藤が正しいこともあれば、コーチが正しいこともあるでしょう。ケースバイケースでどちらか一方ばかりに理があるとは考えづらい。にもかかわらず、自分の頭で考えられないバカメディアは球団OBのインサイド情報に依存しているから、OBの意見垂れ流しになっているわけですね。要するにこういう新聞は人民日報なわけです。工藤VSコーチ・OBの政争に報道機関として積極的に関与しているんですね*6

 

なぜ秋山政権・采配の批判はしなかったのか?自分に都合が悪い時だけ批判の声を上げるから

 現に同じように「無能として叩かれることがあった」秋山監督のときにはこのような記事など出なかったでしょう。秋山采配では打者を固定して起用して(それはそれで理があったわけですが)、そのような硬直的な起用が批判されるのは当然。長所もあれば短所もあるのですから、負けたときには「いい加減少しは監督が動け、自分の決断でエンドランかけて勝負にでろ」と言う声が上がるのが普通。しかしそういう声は記憶する限り一切出なかった。何故か?バカOBにはどういうときに誰を起用して、いつエンドランをかけるべきかなど戦術面がわからないからです。何をすべきか、また何をすべきではないか―戦術や戦略を自分で考えられないから、そういう指摘をしたくても出来ない。というかそもそもわかってすらいないのではないでしょうか。

 また何よりも散々継投面がまずいと指摘してきましたが、その継投面のまずさという声が紙上に一度も上がらなかったではないか!批判すべきポイント・まずい采配はいくらでもあったのに、それを指摘する声はまるでない。継投の重要性がわかっていないこともさながら、コーチの裁量侵害=自己の既得権侵害ということしか念頭にないからでしょう。

 去年、あれだけ戦力があれば誰が監督をやっていても勝てるというような「?」な声がいくつかあって、なんで工藤の凄さがわからないのだろうと訝しんでいましたが、工藤嫌いがマスコミの殆どを締めていたからですね。政敵工藤の手腕を認めたくないから去年ああいうことが盛んに言われていたわけですね。

 言うまでもなく、その「工藤の手腕」は実際には「吉井の手腕」だったわけです。今年のペナントを見てそのことがはっきりした。にもかかわらず、「工藤は馬鹿だよ、あれほど優秀なコーチをせっかく自分が声かけて連れてきたのに、自分のやりたいようにやるために一年でクビきっちゃった。その揚げ句日ハムに情報を持ってかれて、リリーフ管理のノウハウもないから、リリーフ陣を崩壊させて大逆転された。吉井を大事に扱って、吉井コーチのいうことを聞いていれば今年も間違いなく優勝できたよ。現に今年コーチの言うことをちゃんと聞き入れないから終盤チームがごたついたんだし。来年はコーチのいうことをちゃんと聞くことから始めるべきだね。」という意見・指摘はまるでないわけです。何故ないのか?

 それは外様の活躍を認めたくないからですね。外様コーチが優秀という意見を言ってしまえば、自分がコーチ・役職につくチャンス・ポストが減るわけですから、外様コーチが優秀だとは死んでも認めたくない。エゴ丸出しの歪んだ批評なわけです。*7

 というかまあ、人民日報・機関誌に掲載される意見というのはそういうものですから、そういうふうに割り切って読まないといけませんね。彼らは認識能力が低いというよりも(まあでもやっぱり低いんでしょうけど)、自分たちの派閥の権利の主張第一で、強いホークスを作るというのは二の次・三の次なわけです。あるいは「今強いんだから、うまく行っているんだから、これでいいじゃないか」というバブル期の日本経済のような価値観でいるわけですね。*8

 まあどこの球団でもOBとはそういうものなのでしょう。OBのその後をしっかり面倒見て、そういう腐った派閥化を防ぐ、腐乱させないように手を打つという意識・ノウハウを持っている球団というのはありませんから。かくあるのもむべなるかな。そういうことに取り組んでも良いと思うのですけどね。球団は黒字ですし、OBの余生を保証してやればこういうバカなことも減らせると思いますし、セカンドキャリア的にも重要かと思いますね。余談ですが、日ハムなんかはドライにやって、切り捨てまくっているのであれは成功しているとは言えませんね。

 

中畑監督待望論という謎の声

 また、巨人監督に中畑監督待望論というふざけた記事がありました。どうして中畑監督が持ち上げられるのか?と言うと、高橋監督はしゃべらない・PRしないから。しゃべってくれない=情報がない、記事が書きにくいわけですね。どんなバカみたいなことでもリップサービスで相手チームを煽ったり、選手褒めたりとにかく何か言ってくれれば記事を書きやすいわけですね。

 高橋監督は無口で派手なことを何もしないから記事にしにくい。今年確かに高橋監督は目立ったことをせずに、采配で優秀なところもあまり見られなかった。それ故にまあ中畑のほうが良いんじゃないのと言われるとしても、監督がメディア対策という面で失敗しているという要素の方が大きいでしょうね、こういう記事が出るのは。

 あまり優秀なところが見られなかったとはいっても、一年目から監督を代えたほうが良いのではと言われるほどではない。メディアが自分たちの仕事に都合のいい監督・やりやすい監督が良いから、こういう記事が出るという要素を重視すべきでしょう。球団・球界にとって良い野球をする強いチームを作ることよりも、自分たちにとってやりやすい監督を好むというふざけた論理を優先させている。その上で好きな監督・嫌いな監督とジャッジして贔屓して報道する傾向があることを、我々は野球報道を見聞きする上で念頭に置いておかねばなりません。

 はっきり言って中畑監督というのは無能な監督。DeNAの場合は親会社も変わって集客能力を高めることが第一目標だったので、その目的にかなっていたので良かったでしょうけど、長期政権を任せるにふさわしい監督ではなかった。ちょっとやってもらって球団経営が軌道に乗ったらそれで役目はおしまいという監督だった。

 にもかかわらず、去年DeNAが躍進すると、中畑が育てた!みたいなわけのわからないヨイショ記事が出てくる(選手を育てるのは監督ではなくてコーチの仕事なのに)。それは中畑を好きな記者がいるから、そういうふうな話がでてくる。評論ではなく好き嫌い、あるいは仕事のコネで貸し借りみたいなものを作ってやっている結果でしょう。野球報道の世界は相当歪んでいるとみなすべきでしょうね。*9

 

工藤監督はメディア対策というものを一から考えよ

 また工藤批判のために栗山監督と比較して論じるものがありましたが、栗山監督は記者の対応の仕方が上手くてまるで信者のような気分にさせられるから批判的なことが書きにくいと書いていました。采配の善し悪し、上手い下手ではなく、人物が好きか嫌いかで記事を書くという自分たちの痛さを自覚していないからそういうことを平気でかけるのでしょうね。

 腐っているから、スポーツ新聞社ふざけるな!いい加減にしろ!という話で済むことではなくて、そういう業界であることは工藤監督自身昔からそういうものだと知っているはず。だったら、記者対策・マスコミ対策をするべき。落合のように鎖国政策を取るのか、それとも栗山監督のようにたらし込むのかどちらかやらなければいけない。ノムさんのようにリップサービス・書きやすい記事を提供して、記者を味方に付けるでも何でも良いですけどメディア対応を怠ったから、「工藤叩き」が活字となってチームを混乱させた、選手が監督・コーチが揉めているのではないか?と不信感を抱いたという側面は間違いなくあるわけです。その点、しっかり肝に銘じて対策を行うべきでしょう。

 どうも工藤監督は野球(選手育成≒投手育成)だけやってればいいという近視眼的な発想が見えますね。監督業というものは実際の試合の采配以外に色んな仕事・役割があるという多角的側面を見落としている・認識能力に問題があったかもしれませんね。まあ殆どの監督がそういう高い認識をあまり持ち合わせていないといえばそうなんでしょうけどね。「吉井いらね、俺が継投自分で決〜めよっと」みたいに、「監督?試合で勝てば良いんだろ?」くらいの感覚だったのかも…。監督就任前は知性的なので、もっと深いところでいろんなことを多角的に考えている人だと期待していたんですけどね。

 

監督の意見に逆らうコーチがいる以上、ホークスコーチ陣の「粛清」は避けられない

 コーチの意見が正しいこともある。この投手にはこの打者は合わない。過去3〜5年現場で見てきたから知っている。過去の経験から進言して、そしてそのとおりになった。だから言ったじゃないかほらみたことか!―となったケースはいくらでもあったでしょう。工藤監督よりもコーチ歴長い人が多いわけですからね。

 しかし、だからといってそのコーチが正しいことにはならない。どんな馬鹿な上司でも上司は上司。決定権・意志決定の権利は上司・指揮官が持つ。その指揮官に逆らうなら組織を去るしかない。そうでないなら軍隊ならクーデターをするのか、上官反逆罪で打ち首。対立をすれば待っているのはどちらかの破滅しかない。そういうこともわからないのは常識の面で問題がある。

 今回そういう対立をしたのにもかかわらず、辞表を提出しなかった。何回も書きますけど、はっきり言って何を考えているのかわからない。吉井コーチは「監督とコーチが意見が合わない・対立した以上、自分がチームを去るしかない」と出処進退を明らかにした。言うまでもなく吉井は日本一の超優秀な投手コーチですから、吉井がなんで辞めなくちゃいけないのか、栗山ふざけるな!辞めるならお前が辞めろ!となる事案なわけです。でも組織というのはそういうもの、上司と意見が対立したら意見を引っ込めるのは部下、これは当たり前。その方針で成功するも失敗するも責任を負うのは上の立場の人間なんですから、これが当たり前。吉井が辞めるのが正しい。

 仮にその主張が正しくて、工藤が間違っていたとしても辞めるのはコーチ。にもかかわらず二軍・三軍オチという配置転換で今回の人事は終わってしまった。組織としてはあるべきでない異常な人事ですね。ゲンダイのこの記事(2年目の壁” パ大逆転劇の裏に監督の手綱さばき)では、コーチは「選手のためにも、オレがサインを出してやりたいよ。でも、ヘッドコーチでもないから、その権限がない」と嘆いていた―と書かれていました。現役一軍コーチでないとこういうふうには言えないでしょうから、間違いなく一軍コーチ。しかもサインを出す立場ということは打撃コーチでしょうね。藤井・大道のどちらかが、このようなバカなことをマスコミに口外しているということでしょう。

 藤井・藤本コーチは長いことホークスに在籍していて優秀なコーチですけども、こういうことがわからない、わきまえられないコーチであるのならば、残念ですがチームを去ってもらうしかないでしょうね。来年粛清するしかないでしょうね。本当に藤井コーチがこういうことを言ったんでしょうかねぇ…。ホークスOBではなく、その手腕を買われてオリックス・阪急から来た外様コーチなので、同じ外様(工藤監督はOBですけど、ホークスのキャリアは短くて、殆ど外様みたいなものですからね)の工藤監督と対立することは考えにくいのですが、まあ「工藤派」の色はないですからね、藤井さんは。藤井・大道とキャリアを考えるとそういうことを言える強い立場なのは藤井さんっぽいですが、どうなのか…。

 大道コーチはホークスのキャリアが長いとは言えコーチは13年から、さほどコーチ歴があるわけではないので、工藤わかってない!ダメだ!ということはないと思いますけどね…*10。もしそんな状態で監督批判するとしたら相当なものですね。まあ、OBコーチ陣に工藤監督への反発が高まっていて、その結果不満を言いやすい空気になっているということも考えられますけどね。

 

藤井・大道の二軍降格は粛清の一歩手前の人事、鳥越コーチも粛清されるか!?

 もう一人可能性としては鳥越コーチが考えられますね。何故かずーっと一軍コーチとしてホークスにいる鳥越コーチも粛清の対象になるでしょうね。松田や今宮の守備指導に功績があったと言われますけども、ホークスでの選手時代からのキャリアが一番長くて一軍コーチにいるのは彼。工藤政権一年目で影のヘッドコーチ*11と書かれていたように、チーム内での信頼が厚い。ということは裏を返せばOB派の中心人物である可能性がある。

 ただ記事で書いてあるように欲のない、日和見的な人でどちらにもつかず調整役をする人であるという可能性もあります。今回一軍在籍のまま、二軍に落とされなかったということはそういうことの裏返しかもしれません。逆に反発が強いため、鳥越というボスを外すことだけは出来なかったということであれば、来年優勝で工藤政権の地盤固め完成で晴れてようやく粛清が出来るという流れになるでしょう。

 

秋山政権の「森脇粛清」のように工藤政権でもパージ・粛清が必要

 で、まあ今回書きたかった最大のことですが、秋山監督誕生で、ホークスの中心人物・参謀役だったNo2森脇さんが「粛清」されたことがありました。07・08年に総合コーチという役職で秋山政権をスタートさせる下地作りが始まり、09年に秋山政権がスタートした途端、急遽森脇さんはクビになりました。何故か?

 それはチーム・組織に二人のボスは存在し得ないからですね。別に秋山氏が森脇は邪魔だから消してくれと言ったわけでもないと思いますけど、秋山監督もしくはフロントが森脇排除、「森脇外し」を実行するのは当然のことなんですね。森脇さんは優秀なコーチとして知られていて、06年にはWBC王監督がいない際の代行監督を。さらに王さんが手術でチームを離れたときも代行を務めました。代理の肩書であれど、ホークス現場のトップについたことがある森脇さんはチーム内で非常に強い立場にあったわけです。

 なおかつ、森脇さんは選手として1987〜1996年まで在籍し、そのままコーチとして20年以上もチームに在籍している。調べてはいないですけど、おそらくチーム最年長の在籍キャリアだったでしょう。チーム在籍期間も過去のポストもチーム内で突出している。時期後継者の秋山氏と並ぶ存在になっていた。

 作戦面で勉強熱心でノムさんに意見を伺ったり、その手腕を認められて巨人コーチに誘われたり、オリックス・そして中日と渡り歩いているわけですが、優秀なコーチであることは論を待たない。であれば、秋山政権がスタートして、新人監督秋山が作戦面で失敗したらどうなるか?また作戦について森脇さんの意見のほうが悉く的を得ていて、秋山さんはベンチで寝ていて欲しいということになればどうなるか?コーチも選手も秋山監督より森脇さんを頼るようになる。組織上のトップ秋山をこれまでの実績によって実力者森脇が上回ってしまうことになり、組織内に二人のボスが生まれてしまう。秋山の部下であるはずの森脇に実権が集まることになる。秋山は自分のやりたいことをする前に森脇の影を常に感じながらやらなくてはならなくなる。そうなると組織はうまく機能しなくなる。

 いきなりクビにしたことは問題ですが、仮にそうでなかったとしてもいずれ森脇さんが排除されたのは間違いなかったでしょうね。ホークス内で優秀で突出しているからこそ粛清されなければならなかったわけです。個人的に秋山監督よりも森脇さんの方を評価しているのですけども、秋山監督を新監督・トップとしてフロントが選んだ以上、森脇追放は当然の出来事だと思います。

 

フロントは今、工藤のために粛清をするか、工藤を見切るかの選択を迫られている

 かのように、工藤政権を長期政権として位置づけるならば、最低でも秋山監督くらい監督をさせるのならば、工藤政権を機能させるために粛清は不可欠でしょうね。工藤監督は外様のコーチを率いて「工藤派」で組織固めをしていますので、あとはホークス時代の同僚・後輩で周りを固めるなど子飼いで人事を掌握する必要があるでしょうね。

 逆に今年の結果次第で工藤政権をテストする。優勝かAクラスか条件はわかりませんが、成績でダメとなったら次の監督のために今の反工藤派も併用し続ける、更に進んで工藤監督が連れてきたコーチをクビにするということもあるでしょうね。来年の新監督の繋としてやりたければどうぞおやりなさいくらいに冷遇することもありえるでしょう。ホークスのフロントはあまり監督をクビにしたがらないので連続Bクラスや、三年連続優勝を逃すとかでもなければまず切らない気がしますがどうなるでしょうか?

 

※おまけ:既得権のOB権益が存在する以上、王会長が外様の監督を新監督候補に選出しないのは当然だった

 秋山監督の辞任の時、「外様の優秀な監督を連れて来るべきだ。監督を選ぶのにOB、チーム在籍があったことを条件にすべきではない。捕手育成が最大の急務なのだから、古田を選択肢に入れないのはおかしい」と憤っていましたが、このようなOBが顔を聞かせる歪んだ環境・土壌ならば外様の監督を選定するのは土台無理な話ですね。仮に古田監督ということにでもなっていたら、間違いなく外様の古田のやる事になんだかんだ反発したでしょうからね。王さんがチーム在籍経験の有無にこだわったのも今なら理解できますね。

 あともう一つ忘れていたので追記。注意としてコーチがバカなことを考えていてメディアに放言していると指摘してきましたが、本当はもっと穏やかに言葉を選んで言っていた可能性も十分あります。それを面白おかしく煽るようにマスコミが脚色したというパターンも当然ありえます。しかし、そういう場合だったら、途中でマスコミにこれ以上喋ると好き勝手に脚色されるからまずい!と情報が途中で絶えるもの。変わらずそういう声が流れ続けるということは、やはり確信犯or組織の原則を知らないアホとみなして良いでしょう。

アイキャッチ用画像

微差は大差 オリックス・バファローズはなぜ変わったのか

*1:

*2:松坂がタニマチとの付き合いを避けることが出来なくて、飲み歩いて太っているという話がありましたが、タニマチとの関係・付き合いから選手や元選手はココだけの話をサービスでポロッと話す・内情を暴露するという流れがあるんでしょうね。おそらくホークスに限らずどこでもそうでしょう。スポーツ新聞社にも同じ。記者やかつての先輩選手、つまりOBに内情をポロッと話す。タニマチとの付き合いは避けられないでしょうから、口頭注意くらいでいいでしょうけど、少なくともマスコミ関係者への情報漏洩だけは徹底して防がないといけないでしょうね。もちろんマスコミと付き合うな、口を聞くなというのは不可能ですから。喋ってはいけないこと、ココまでは許されるがこれ以上喋ったらアウト。懲罰対象になるということをきっちり選手に説明・教育する。情報管理について方針・基準を明確化しないといけないということですね

*3:本論ではないのでおまけとして中畑・中村ノリ事件について一言コメントとして、書いておきます。中畑監督に批判的な己ですが、これは中畑清が自身の選手起用についてコーチに相談した中村紀洋を追放した論理と同じです。組織の論理を見る限り中畑が正しい。が、これは一面的な話に過ぎず、そもそも選手とのコミュニケーションをきっちり図っておけば問題にならなかった類のレベル。現場のトップとして監督の権限を揮って一選手を追放すべき規律違反とは到底思えない些細なレベル。もう一度話し合うというワンクッションを置けばそれで是非がハッキリした取るに足らない下らないレベルの話。現場のトップである監督としても、駒としての一選手としてもそんなことでいちいち衝突・トラブルレベルに発展するの…?と外部に聞かれたら恥ずかしいレベル。組織としての未熟さ、規律・ルールの未成熟さを感じさせる、新興球団らしいといえばらしい事件。現場トップの監督がおかしいという事件はいくらでもある。駒である選手サイドが正しいということはいくらでもある。問題となるのは、そういうケースにおいて適切に現場が異議を唱えられる機能・回路が存在しているかどうか。現場が無能上司によって限界に来ています。パニックです―そのような異常事態は当然ありうるわけですから、そういう危機を未然に防ぐために下のものの報告をキャッチアップする手段・ルートが必要。そういう組織としてあるべき回路・機能が存在していないという点でDeNAは問題がある組織と言えましょう

*4:ちなみに上の東スポの記事ではヘッド不在で意志調整がうまく図られなかったということが指摘されています。それはそのとおりなのですが、他の媒体フジやゲンダイなどのOB派の意見というのは要するにヘッドをおいてコーチの言うことを聞けということですね。そして何よりもヘッドという役職をおくことで少しでもポストを増やしたいわけです。またそこにつくコーチは当然No2待遇ですから出世にもつながります。待遇良くしろ&出世させろということですね。またゲンダイで秋山監督待望論が出ているなんていうのがありました。これも同じようなことで、工藤新体制を破棄して旧態依然の組織に戻せということですね。投手&捕手が育たず、今将来のための投手育成の時期に入っているのに、吉井がいるならともかく、吉井もいない&ヨシコーチは育てられないのに、どうやって旧来の秋山政権に戻して戦っていく&投手陣を育てていくつもりなのでしょうか?自分たちの意見が通るなら、やりたいように出来るのなら組織が崩壊して弱いチームになっても構わないというのでしょうか?まあ、要するにいま不満を言っているコーチというのはそういうことですね。まあ、ゲンダイさんは「ホークスは金満球団で控えだけで戦っても優勝できる」なんていう球界OBの声を平気で垂れ流す痛さがあるのでそんなこと言ってもしょうがないとは思いますが(^ ^;)

*5:ソフトバンク・工藤監督悩ます一発病 注意喚起も求心力低下? こんなのとかですね。まあミーティングでこういうふうな攻め方・意識・考え方を持てば一発は食らわないからなんて言われても、言われてすぐに出来る選手というのはなかなかいないわけで。説明して何でもかんでもすぐに出来るようになると思い過ぎかもしれませんね。なんでもかんでもやりたがる=何でもかんでも理論・理屈を説明して、そのとおりに実行したら思い通りに結果が出ると思い込んでいるのかも…。人知・人為に頼りすぎている。老荘思想を知らないのかな?

*6:とにかく監督を叩いておけばそれでいいというバカみたいな考えで書いているところが多いので、監督叩きの一種とみなせることも出来ますが、今回の件はそれだけではないと考えるべきだと思います

*7:ですから、ソフトバンク、球史に残るV逸 工藤監督「選手に油断なかった」 (西日本スポーツ) この記事のように、「選手が油断していた」とかいうわけのわからない理由で批判するわけですね。この記事はその批判に対するカウンターで、監督が選手をかばうために選手に油断がなかったと説明しているものですけど、いくつかバカみたいに油断しているから、とか舐めているからとかみたいな精神論でチームの不調を説明する記事が出ていましたからね。サファテ5連投のときは一体何をしていたのですかね?警鐘を鳴らすのは序盤に若手を積極的に使わなかったこととか、もっと前からいくらでもあったと思いますけどね。

*8:SB工藤公康監督 まともに会話するのは飯田哲也コーチぐらいこれは実名ですので無責任なOB曰くの垂れ流し記事とは一線を画すと思うのですけど、意見を述べているのはデス杉本とのあだ名を持つ杉本氏…。しかも投手コーチなのに、なぜ打撃の問題を指摘するのか意味が解らない…。本業の投手コーチとしての継投のまずさを指摘すべきなのに、コーチとの不和を言っている場合じゃないと思うのですが…。まあマシンガン継投で中継ぎ崩壊&破壊させまくる手合いの人のようなので言ってもしょうがないとは思いますが(笑)

*9:参照― 

*10:ホークス→ジャイアンツで同僚としての期間が長いかなと思ったら工藤さんがベイスターズに移ったときにちょうど入れ替わりで巨人だったんですね。それだと大道さんはそこまで工藤さんとコネがあるわけでもなさそうですね。

*11:工藤ホークス “陰のヘッド”は鳥越コーチ