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左投手には左打者をぶつけるのがセオリー +森はなぜ日ハムに弱いのか?

更新してなかったのでだいぶ前の話になりますが、左投手には左打者をぶつけるという話を。交流戦入って交流戦の話を書きたかったんですけど、先にこちらを消化。

 ※タイトルに森が入ってますが、なぜ森が打たれるのか?という理由は書いてませんのでご注意ください。単にその話に触れているだけです。

 よくファンの間で誰が1番で誰が5番とか打順談義になることがあります。個人的にはまるで興味がありませんが、出塁率の高い中村晃を1番にという話題がよく出てきます。

 晃が7番に座ることで、3番柳田からのクリーンナップでジグザグ打線を組める。また、ランナーを貯めてしまったところで一番打ち取りにくい、アウトを取りづらいバッターを迎えることになるので相手投手が嫌がる。相手投手が打線を処理するときに一発がないとはいえ嫌だなぁと思う、晃7番がベストだと思います。

 ノムさんも打線は1・4・7のイースーチーが大事。三凡で終わった時に、次の回の先頭打者になりやすいのがこの打順。ここに誰を置くかが打線のキーだと話していました。1・2回三凡という嫌な流れの時に、先頭打者中村晃が仕事をしてくれる。色々な指示を出して実行して上位につなげる緒を見つけてくれる。まあそういう意図があるのでしょう。工藤監督は「バントでもエンドランでもできる、取れる手が多いから中村くん」という話をしていましたけどね。

 

 とまあ、7番中村晃にはそんな意図があるわけですが、そういう戦略性があるのにもかかわらず、中村晃を1番に置く事がありました。5/18&19ファイターズとの対戦で、吉川・加藤という左投手に1番晃をぶつけていきました(その後の西武戦、多和田・野上にも1番晃を続けましたので、左投手の時だけ晃を1番にする。右の時はしないということでもないようです。好調中村晃で生まれたリズムでそのまま次の試合に挑むというパターンも、もちろん今後も見られるでしょう)。

 去年優勝した後で南原さんのインタビューで「吉川選手に対してどうして左バッターの中村晃選手が1番だったんでしょうか?」という質問があって、工藤監督は「詳しくは言えないけど、左投手には左打者に投げられない球種がある」という話をしていました。ほう、では一体何が投げられないんだろう?吉川投手が中村晃に投げられない球種とはどんな球なんだろう?とチェックして試合を見ていました。

 工藤さんは1番晃だけでなく、2番牧原大成をおいて、1~3番まで左打者をぶつけるという徹底ぶり。必ず吉川・加藤は崩せるという確信があったと見ていいでしょう。実際、吉川は5回で、加藤は2回持たずにKO。

 牧原はそこまでハマったわけではありませんが、晃が吉川から2安打、そして柳田が1安打・1四球と考えると対策は成功したと言っていいでしょう。

 では、投げられない球種とはなんなのか?丁度その日ハム戦で左投手の和田が先発だったので、彼の配球もチェックしてみたのですが、おそらく左打者のインコースですね。左投手は左打者のインコースに狙ってストライクを投げられない。全球チェックして1試合でインコースでストライクを取れるのはゼロではありませんが、あって2・3球ほど。どんな制球力のある投手でも、狙ってインコースでストライクを取ることは難しいのでしょう。そこにストライクを狙ってとれる制球力を持つ投手はいないと見ていいかと思います。
 (※追記、そんなことを書いていたら先日巨人の今村投手と対戦した試合で、彼は左でも普通にインコースでストライクを取っていましたね。ボール球でも良い、決まったら決まったでいい位の感覚でやってるかどうかはわかりませんが。またそれ以前に全体的なコントロールはないので、インコースでストライクを取る以前にアウトロー中心の制球力を磨かないといけない。左投手の生命線であるアウトローの制球ができないのならあんまり意味が無い気はしています。まあ左打者へのアウトローがきっちり投げられて、かつインコースにもコントロールができるというのがポイントなので、今村投手のようなケースはあまり考慮にいれる必要はないケースかと思います)

 左打者のインコースに投げられない。つまりそこを捨てればいい。外や真ん中をマークしておいて、ゾーンを狭めればいいので対策が楽。特に中村晃のような穴の少ない打者にとってはやりやすいことこの上ないわけですね。

 どの投手か忘れましたが、同じくロッテの伊東監督も左投手相手に1番岡田を当てていました。またウチと対戦したとき、左投手帆足相手に左打者を並べてKOされたという試合がありました。名監督たちにとっては一つのセオリーなのでしょうね。左投手に左打者をぶつけるというのは。

 

 ―とすると、これまでよくある左投手相手に右打者をぶつけるというのはなんなのか?またその逆は?俗に采配でそういう傾向がある監督を「左右病」と批判することがありますが、根底から間違っているのか?

 無論、そんなはずはなく、工藤監督だって代打で左投手には右打者をぶつけて、右投手には左打者をぶつけます。これは役割分担ですね。相手投手がいくら嫌orやりやすいとはいえ、打者にとっては球の出どころが見やすい方がいい。またどういう時にどういう相手とぶつかるのか決まっている方がやりやすい。そのための準備を普段からしっかりしておく―というのが現代野球のセオリーですからね。自分の都合を考えるか、相手の都合を考えるか、その違いでしょうね。

 では、左投手に左打者は絶対的に優位にあるのか?左投手が左打者のインコースでストライクを取れないにしても、ボール球は当然あるわけですね。身体の近くにくるボールを避けない訳にはいかない。インコースを捨てても、デッドボールの警戒は当然いるわけですね。

 ストライクを取れないからといって、じゃあインコース投げませんとやってしまえば、おもいっきり踏み込まれてしまいますので、打者の体を起こして外のボールを遠く感じさせるためにインコースをボールゾーンに投げること自体はしますから。また、左投手の球の軌道は左打者にとって見にくく、顔の付近に来るのでは?と恐怖を感じますからね。森福投手はそれを最大限に活かしているからこそ対左のワンポイントとして機能するわけですからね。

 また昔書きましたが、左投手のアウトコースというのはキャッチャーが左手でボールを捕る分、目の錯覚でどうしてもゾーンが広くなりやすい。よって、外の出し入れだけで勝負できるわけです。左打者はアベレージヒッターが多くて、パワーヒッターはそんなにいない。大怪我する可能性が少ない左に心理的に優位に立てるという要素もあるでしょう。

 まあ要するに、どんな左投手でどんな左打者かという当たり前の事が大事になるわけですね。またその日に打撃コーチがどういう攻略法で臨むかというのも大きいでしょう。狙い球をどういうものに絞るか、また誰が粘るかなどそういう要素でも変わってくるでしょう。「とりあえず左投手だから左打者を並べておけ」ということではダメなのは言うまでもないですね。

 結局のところその前提を踏まえた駆け引きがポイントになってくるわけですね。左投手VS左打者のときは、ストライクの取れないインコースをどう使ってくるのか―というのを観戦のポイントにするとより面白く試合を見れるのではないでしょうか?

 ※追記、忘れていましたが、宮西が復帰して投げた時に、左打者のインコースにスライダーを投げてストライクを取っていました。いわゆるフロントドアですね。左で狙ってインコースでストライクを取れるとなるとこれはかなり厄介。宮西はウチに弱い・打ちやすいPだと以前書きましたが、そうだとばかり言えない可能性がありますね。今後もあのフロントドアが投げ切れるのか注目したいと思います。

 

 もう一つついでに、日ハム戦での森の話をしておきたいと思います。森は春先は良くないシーズンが続いているので、開幕以後そんなに状態が良くなかった。ちょこちょこ打たれてセットアッパーとして不安定な時期が続きましたが、5月に入って気温も上がってきて状態が良くなってきて、もう大丈夫だろうというふうに見ていましたが、5/19の日ハム戦で3ランを浴びて負けのきっかけを作る投手になりました。

 4/1静岡、4/23のヤフオクドームの日ハム戦で負けています。今シーズン日ハム戦で実質3つ負けていることになりますね。防御率を見るとオリックスで1.46という数字がありますが、他には0.00で、日ハムだけ6.75と突出しています。去年もハムと楽天だけ防御率が高かったですね。どうしてか日ハムには弱いようですね。

 まあ、中継ぎで自責の数字を見ても、他人が出したランナーを返さないという重要な点が反映されないのでなんとも言えないのですが、今年日ハムで3試合まずい試合をしているのは事実。

 一年目・新人の時は、カット気味に投げることで、微妙に動かすことでシュート回転しない。失投を投げないということで非常に有名だったのですが、去年くらいから、そして今年は特に甘く行くボールが増えるようになりました。まあ要するに経年劣化ですね。毎年安定して数字を残せるスーパーな中継ぎは数少ないですから、それは仕方ありません。

 また、去年までいた吉井コーチがハムに復帰したことで何らかのクセがバレていて、読まれているなども考えられますね。とりあえずは日ハム戦にあまり森を使わないこと。楽な場面優先で使うことでしょうね。

 谷口に3ランを浴びた試合などは、前回フィールディングが遅れたために内野安打に繋がり、結果スクイズで勝ち越しを許してしまったという小さなミスが有ったので、フィールディングを意識して微妙に感覚が狂ったんじゃないでしょうかね?一発のない相手ということで多少甘く行っても構わない、力押しでいけるという感覚で行ったところ、そこを痛打されてしまいHRになってしまったという感じでしょうか(確かスリーノーでストライクを取りに行ったんだったかな?)。

 今年11試合ファイターズとやっているわけですが、引き分け展開・シーソーゲーム展開が非常に多い。ワンサイドは北九州の2‐7のゲームくらいですね。あとそれと城所が3ラン打って6‐2で勝った試合だけですね。2点差が2試合、引き分けが1試合で、残り6試合は1点差ですね。

 際どい展開・場面ばかりで投げるようになれば、それは当然打たれる確率が上がるわけですね。しかも延長ということになれば、いつどこで自分が投げるのかわかりづらいわけですよね。森のファイターズ戦の登板に限っては、時間をいつも同じ時間にするorイニングの頭からにする。必ず7回以降で使うなど準備がしやすいようにした方がいいでしょうね。

 今シーズンイニング跨ぎが目立つので負け覚悟で使うしかない場面は別ですが、もうちょっと減らしたほうが良いかと思います。貯金があるのですから無理せずにキツイ場面でも岡本などを使って、中継ぎ陣の疲労を減らすことを考慮した方がいいでしょう。星野・嘉弥真なども負け覚悟で入れ替えることも考えるべきではないでしょうか?

 去年と違って中継ぎの投入が早い。そして6回で森福ではなく、森なの?というところで森を使って打たれるというのはブルペン担当の吉井コーチがいなくなって、リリーフ投手の調子がちゃんとつかめていないのでは?また、中継ぎ陣をドンドン使ってしまえという方針に歯止めがかけられなくなっているかもしれないので怖いところです。

 森は去年四球を10しか出していないのに、今年は既に9個。かなり状態は悪いと考えるべきでしょうね。また左打者に.360と被打率が高い。これをどうするか考えないといけないでしょうね。五十嵐もいない今、なかなか頭が痛い話ですね。