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続、オリックス 投手陣の課題

 前回の続き(優勝候補オリックスという虚妄)です。オリックスの投手陣を見てみます。

【去年の先発陣】 ※イニング数の端数は切り捨てています

金子 1.98 26先発 191イニング 16勝5敗

西   3.29 24先発 156イニング 12勝10敗

ディクソン 3.33 26先発 154イニング 9勝10敗

松葉 2.77 21先発 113イニング 8勝1敗

東明 3.79 16先発 99イニング  5勝7敗

吉田 3.81 14先発 75イニング  5勝6敗

完投は金子が4、西が3、ディクソンが3

【中継ぎ】

佐藤 1.09 67登板 74回

平野 3.43 62登板 60回

岸田 3.36 51登板 80回

馬原 3.55 55登板 50回

中山 2.34 34登板 42回

比嘉 0.79 62登板 56回

マエストリ 1.97 35登板 50回

※岸田は他に先発で4試合投げています、マエストリも1試合あります。

 以前ここ(【ポイントは投球回!】 北海道ファイターズ、斎藤の開幕投手の是非)で書いたように、首脳陣監督・投手コーチというものは一年を戦う上でどうやってイニング数を消化するか、中継ぎをやりくりして一年間持たせるかということを前提に戦います。もちろんそれで勝ち星も計算していかなくてはいけないのは言うまでもありません。

■きっちり機能した先発三枚、ただし残り三枚は物足りない…

 去年のオリックスの先発を見ると、大黒柱の金子が190イニングを消化することで先発一番手の役割をきっちり果たしたことがわかります。それで防御率一点台ですからなおさらですね。快進撃の要因となった序盤、西の8連勝がありましたが(7連勝だったか?)、それ以後は失速しました。二番手西にはせめて160イニングオーバーと、防御率2点台後半で収めるなど、もっとゲームメイクをやりやすくして欲しいところですね。まあ序盤すごく安定して後半不安定で負け越したわけですから一年通して安定することが彼の課題になるでしょう。

 そしてあんまりイメージがありませんでしたが、3番手はディクソンだったんですね。そう言われれば確かにいつも投げていたイメージが有ります。マエストリと区別がつかなくてどっちがいつ投げているかよくわかっていなかったのもありますが、ローテ全うして150イニングを超えていた。彼が勝ち越して貯金を作れるようだったらまた話は変わったんでしょう。

 まあ先発は勝ち星云々よりもまずロングイニングを投げ切ることですから、いいでしょう。4番手松葉は貯金7を作ったものの、いかんせんイニングが食えなかった。平均して毎試合6回投げれていないわけですからね。いかに継投で勝ったかを示す良い事例でしょうね。

 吉田も平均5回、東明も6回。大体先発ローテというのは柱が3人いて、あとは入れ替わり立ち代りというパターンですね。先発6人が26試合というのはまず見ません。そもそも144試合(現143試合)ですしね。

 金子・西・ディクソンという柱はまず役割を果たしたと見ていいでしょう。問題は残りの三枚、先発数もイニング数もちょっと物足りない感じでしたね。そもそも吉田も東明も新人でしたし、新人がローテを全うせよ!はなかなか厳しい。吉田が大物ルーキーだっただけに、それこそ則本みたいな活躍をしてくれれば優勝もありえたかもしれませんが、それは無茶ぶり、無茶な計算ですね。

 松葉は前年、「14先発、73イニング、防御率4点台」という投手だったので先発してもロングは無理というタイプなのでしょう。むしろ今年は数字を伸ばしただけ御の字だったわけですね。これ以上成長して、もっと結果を出せというのは土台無理な話。オリックスは、残り三枚の先発が未知数だったことが優勝に届かなかった一つの要因でしょうね。そしてだからこそ評論家も優勝は厳しいと予想したわけで。

■優勝争いをする以前の無駄な中継ぎ酷使

 吉田も松葉も東明も、なるべく先発を引っ張って中継ぎを使わずに済ませる試合をしなくてはなりませんでしたね。なまじ中継ぎがいいばっかりに使いすぎてしまった。その結果が、今年の中継ぎ陣というわけですが、今年の数字を見ると酷使・使い過ぎといえるのはせいぜいサトタツくらい。

 ハイペースで中継ぎがポンポン出てきたイメージが有りますが60試合をちょっと超えたのが他に比嘉だけだとするとそこまで問題とも言えない(見てないので間隔がわかりませんが間隔を詰めて連投させまくっていたら問題でしょう。連投したかどうかのデータがないのでわからないですが)。ところがさらに前年の13年の数字を見ると、比嘉・平野・サトタツというのは59・60・67試合とハイペースで投げているんですね。それくらい普通では?と思われますが、この年のオリックスの勝利数はわずか66勝。どう考えても登板させる必要がなかったはずですね。そりゃ間隔空くと難しいからコンスタントに投げさせる必要があるとはいえ、勝ちパターンでチームを支えてくれる貴重な投手はなるべく使わずに、長く働いてもらうためにとっておくべきだったはずでしょう。

 更にサトタツが投げた回は78回と明らかに酷使と言える使い方をされていました。ハッキリ言って今年こうなることは必然だったでしょう。アホとしか言いようがありません。※その前年には平野が70試合で79回投げています。こういう困ったら誰かいい投手に頼るというのは悪いチームの悪癖といえるのでしょう。言うまでもなく、この年も勝利数はわずか57勝に過ぎませんでした。

 他と戦力を比較して計算して、強いチームを作るために戦力を整備する準備期間として、2~3年は捨てるという割り切りをして、中継ぎを温存すべきだったでしょうね。

■毎年整備できない投手陣

 この年(2013年)、金子・西・ディクソン以外に先発をこなしたのは、マエストリに前田、そして松葉と海田くらいでした。金子が29で西が28と通常よりも多く先発をこなしたことを見ても先発が絶対的に足りないというチーム課題が存在していましたね。この年諦めて、有望な若手に先発テストをさせて次世代のエースを育成するという事ができなかったのが響いた気がしますね…。

 育成枠で採って、期待の若手に試すという捨て試合をもっと作るべきだったと思いますね。そういった若手が出てきていないのが厳しいところですね。あたったとはいえドラフト上位・即戦力ですからね、東明・吉田は。下位で数年鍛えてモノになったという選手がほしい、そういう選手が足りないですね。

 今年金子が出遅れてそのつまづきが今に響いているわけですが、先発の柱を育てるというのはオリックス投手陣の課題として3~5年ずっと続くテーマになるでしょうね(まあどこのチームでも先発をこなせる投手を育成するというのは基本的な命題ですが)。

■ディクソンの補強が最大の補強

 さらに前年の12年には寺原16試合(101回)、木佐貫21試合(152回)という先発の二人が抜けてしまったことが非常に響いたと言えますね。まあこの二人はその後を見てもわかるようにパッとしない。長期間わたって活躍してくれたわけではないので残留させていれば…といえるわけでもありませんが。

 以前この話は書いた気がしますが、これによって先発ローテを回せないからオリは必ず駄目になる。しかし糸井というスタープレーヤーを手に入れた。あとは失った先発を手に入れさえすれば…という展開になりました。

 一応ドラフトで東明・吉田といったその穴を埋めてくれる選手を採ったのでまるでビジョンがないというわけではないでしょう。ミンチェ・フィガロマクレーンという選手を切って、ディクソンという先発投手を取ってきたのもいい仕事したと言えますしね。

 というより、ここ数年オリックスの補強を見た時、フロントの一番のファインプレー、素晴らしい仕事をした!と言える選手はきっとこのディクソンなんでしょうね。もしディクソンがいなかったらと考えるとチームはこの上さらにもっとひどいことになっているわけですからね。

 今年3年目で5勝3敗の防御率1.62で55イニング。今年ローテを全うした際には間違いなく彼が一番といえるでしょう。今5連勝中なんですね。彼がこれまでの経験を活かして更に成長して貯金を作れるような選手になるとかなり大きいですね。開幕投手は西じゃなくて、なんでディクソンなんだろ?と思いましたが残当でしたね。

■金子の離脱は投手陣への負担増=防御率は落ちる

 最大の補強といえば、金子の残留に話が行くわけですが、それも大きな仕事をしたといえるわけですが、今年は金子が出遅れる。まず最初の一ヶ月、5試合は無理ということが事前にわかっていた。ということはそれに変わる先発に中継ぎがその穴を埋めることが想定される。

 また6試合投げないと仮定して20試合のみの登板となれば合計のイニング数は140イニングとなり、去年から50イニング消化されないことになる。その穴を埋める先発が出てくるか?埋められなければ負け星だけでなく、中継ぎに対する負担が序盤から大きくなって、去年のように終盤失速することが予想される。

 また早期復帰ということが確約されるわけでもない。やっぱり一年無理でしたということになれば、金子の穴を埋めることはまず不可能と言える。それだけでも今年のオリックスは難しくなるというのは想定できるはず。中継ぎの負担増・金子の出遅れ、大物ルーキー投手の不在―という諸々の事情を考えると、オリックスを上位予想するということは本来ありえない。これだけを以ってしてもなんでプロの評論家が上位予想するのか謎ですね。

 ですから、オリが浮上する・優勝争いするためには大型投手、エースと言われる存在が育ってこないといけない。そういう選手を今二軍で育てられているかどうかがポイントですね。今のところそういう話を聞かないので今年は無理かと思います。

 近藤という08年に二桁勝った投手が復活したようですね。10年まで3年間ローテを守っていた選手のようですね。その三年間コンスタントに150イニングくらい投げていたと。彼が復活すると大きいんでしょうね。ただ11年以後まともに投げられていないのを見るとどうか…。

■金子離脱とそれに応じた補強―外国人枠の柔軟な活用

 補強選手を見たいのですが、ブランコ、小谷野、中島、バリントン。今見たように必要なのは投手。先発に優秀な中継ぎ。しかしそういう存在はなかなか市場にはでてこない。去年のウルフ・サファテ・スタンリッジと豊作だった年ならば、血なまこになって競争すれば誰か一人採れたのでは?という気がしますが…。それはともかく今年はバリントンがいたと。

 しかし最初のデータを見てわかるように、ディクソンが先発の柱としての役割を果たしている、またマエストリがロングリリーフとして貴重な繋ぎをしている。とすると投手での外国人枠は残り一枠だけで果たして彼を採っていいのか?ということになる(※ちなみに外国人枠は4人でも投手4人、打者4人ということはできません)。

 ―というのも野手の方で、ヘルマンがいる。ヘルマンとブランコどちらか一人にすれば去年のような形は作れなくなる。とするとわざわざとっといて使わないというのは考えられないからヘルマンは控え?予備になるのか?

 ブランコもバリントンも一年間安定するとはみなさずに、入れ替えつつということでみているのでしょうかねぇ。まあ前述通り序盤は金子がいないから、バリントンを優先で使って、金子が戻ったらバリントンを落としてブランコ・ヘルマンでという計算なのでしょうね。(※先発に中継ぎの崩壊という事情を考えると、ディクソン・マエストリが安定したのなら、バリントンが先発で数字を残せなければ彼を中継ぎで使うとかあるのかもしれませんね。適性があるかどうかわかりませんが)

 まあ金子次第で外国人枠を柔軟に利用していこうということでしょう。小谷野・中島獲得を考えて、ヘルマンの年齢ということを考えて、ヘルマンは多分今年までという計算だったんでしょうね。打者は基本二人までということでペーニャを切ったということですかね、DH専ですしね。

 守備で難がある中島に大金を出して獲得したのも外国人枠でないから補強する上ではいいということだったんでしょう。ペーニャの代わりと見ればちょうどいいピースだったのでしょう。メジャー帰りでの知名度と集客効果というのもあるのかもしれません。ペーニャが枠の問題がなければ多分取っておいたんでしょうけどね。枠もそうですし、守る場所もないとなれば切らざるをえないですね。

 しかし、ブランコ・ヘルマンがWでダメでさらなる保険で採ったカラバイヨが大当たりとか面白いですね。これ来年間違いなくヘルマンはいなくなるとして、ブランコどうなるのでしょうかね?投手陣の崩壊でバリントンを外せないとなって、枠を投手優先で使うとなれば、ブランコを使いにくいですからね。

 ひょっとしたら、ペーニャはDH専ということ以外に一軍優先契約みたいなのがあって、抹消して二軍に落とせないみたいな契約があったのでしょうかね?だから契約更新しなかったと考えると筋が通りますが。

 ビジョンがないという話で書くつもりでしたが、意外とそこそこちゃんとした計算があるというふうになってきましたね。まあやりたいことはわかるという感じですが。ただ、中継ぎの酷使を止めることと、新人投手の育成環境を整備すること、捨て試合新人に任せて育成をする―などやらないといけないですね。ホークスもそうですが未来の若手エース・先発の柱育成が急務ですからね。

 そういえば伊藤が二軍落ちて、パンに競争負けるのか…?と思いましたが、金子の復活を再優先して一緒に調整させてるんでしょうね。そういう配慮はいいですね。

 しかしこういう記事(育成へのこだわり、松坂の扱い…工藤監督の信念に迫る)を見ましたが、ビジョンをもって指揮をする監督にびっくり!みたいになってるのですが、普通はそれがあたりまえじゃないですかね…。なんでフロントが主導して3年後、5年後の構想を描いて現場に指示を出さないのでしょうか…。理解出来ませんねぇ。

 ※追記、結局若手の成長がポイントになるわけですが、西野というドラ7の選手が今のとこ当たりっぽいですね。社会人ですがショート出来るというのがいい。あとは一年出来るかどうかですね。塚原とか海田とかそこそこ良さそうなので使い潰さないように気をつけて欲しいところですね。