別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

2014年末のボクシングの感想

今更ですが、年末のボクシングの感想を。

 ○八重樫戦―八重樫は楽勝で酸階級制覇をするだろうと楽観視していました。なんせあのロマゴンとやりあって、一階級下げて決定戦ですからね。一つ下げることが難しいとか、そういうものがない限り大丈夫だろうと舐めて観ていました。

 んで、実際の試合が始まったら、どうもこれまで己を魅了したようなフットワーク、左右の動きがない。全体的に動きが見られなくて、あれ?どうしたんだろ?と思ってみていました。戦術で敢えてそうしているのかな?とおもいきや中盤にはいっても変化がない。そしてKOに至る1~2R前から、うーんよくないなぁ、これ危ないかなぁと思っていましたが、ボディで沈むかぁ…。

 相手がハードパンチャーでもないのにボディで沈むということはアクシデント、肋骨が折れたとかがあったのかな?と思うくらいでした(そんなことめったにありえないんですけどね)。んでよくよく考えたら、前回九月何ですよね、試合したの。ボクシングの試合間隔、最近決まりきった時期に見ていないのですぐ気づきませんでした。

 階級一つ下げてしかも短い試合感覚で調整がちょっと厳しかったかもですね。やっぱり舐めてしまいましたね。選手本人というよりも試合を組んだ周りの問題が大きかったんでしょう。ロマゴンとやったあと負けたあとでも、「よくやった!男だ八重樫!さすがだ!次も頑張れ!」という声が大きかったですからね。

 本人ももっとディフェンシブにやっていれば…というような後悔があの試合であったので、取り戻すために早く試合がしたかったんでしょうね。あとは井上が上げた後の統一戦ということで興行上の都合があったのか…。とにかくもったいなかったの一言ですね。

 タイトルを取ったポンサワン、統一戦の井岡、二階級あげての五十嵐に、10度の防衛記録を持つエドガル・ソーサ、そして世界的ビッグネームロマゴンとこれまでのキャリアでずーっと勝つか負けるか!?というヒリヒリした緊張感が続く相手とやってきて、ロマゴンという最高の敵、自身のキャリアでこれ以上強い奴とやることはもうないだろうというビッグネームと戦ってしまい、後のキャリアはほとんど余計とも言えるような感じになってしまったのが大きかったのかもしれません。

 本人も心の何処かで負けるなんてありえないと見下してしまったのでしょう。ほんの僅かでしょうし、自身で気づいていなかったかもしれませんが、ロマゴンとやるという恐怖のマイナス面を除いて、且つそれくらいの化け物と戦うという覚悟をする、きっちり準備を詰んでいくという状態にはもっていけなかったでしょう。再起戦を挟んで時間を置いたならともかくね。

 上げたり下げたりでコンディション調整も難しかったでしょうしね。正直、ペドロ・ゲバラがそんなに強いと思っていなかっただけに、もったいない&残念ですね(無論、戦いを見た上で、そこそこいい選手だということは間違いないですが。それでも八重樫の実力なら上回るだろうという選手に見えましたので)。ちなみにこの選手は山中とやった選手の兄なんですね。

 内山が、「楽勝ですねとか、相手は大したことないですねって言わないで欲しい」とコメントしていたように、こっちが勝つと思われている試合は本当にやりにくいんだとか。それだけ周囲のピリツイたもの、緊張感がないとコンディション作る上で本人も危機感とか削がれてしまってやりにくいんでしょうね。

 なんというか井上の時の宮崎でしたっけ?彼の調整失敗でのボロ負けを連想しましたね。アレほどひどくはありませんでしたけど、ちょっと大橋会長やっちまった感がありますね。そういえば日本人史上最速で世界タイトル取らせようとしてイーグルに負けているというのもありましたしね、八重樫曰く、「僕はこれでもうそういう記録とは無縁の人間、大したことない選手」とのこと。

 判定でポイント勝ってるから、いなして行こうとしたら、逆に負けているとのことで急に焦ってさらに下手こいたというのもありましたしね。今回の出来事は、亀田同様かなりマズイんじゃないですかね?どっちがポイントリードしているかしていないかなんて間違えたらダメでしょう。それで行く・行かないという戦い方を決めて戦術構成するんですからねぇ、負けてるサイドが勝ってるって言われたら、まだいいですけど、勝ってると思ってたらやっぱ負けてます―なんて言われたらそこから立て直すの大変ですよ。

 キャリア終盤での意外な負け、衰えというのは引退コースまっしぐらというイメージがあるので、ちょっと怖いですよね。八重樫は未だ再戦を望む意欲があるようなので、今度は万全な準備でお願いしたいですね。軽快なステップで相手を翻弄する八重樫を見たいです。

 ○河野―相手が上手かった。でもパンチが強くて、河野がパンチを当てるたびに局面を河野有利に立て直すというのが面白かったですね。パンチがなければまず、相手が勝っていたでしょう。河野というのは不器用で面白くもなんともない、つまんないボクサーでよく王者になれたなくらいの印象しかなかったんですが、今回の試合は不器用なパンチャーがうまいボクサーをねじ伏せるような感じだったので意外な感じがある試合でした。へぇ、こんな試合するんだと惹きつけられましたね。

 もし河野と亀田興毅なら、ディフェンスとか相手に合わせて組み立てる戦術の上手さで、まず亀田かなぁと思っていました。しかし今回の試合見ると、やらせてみたらどっちが勝つかわからない。実力が丁度同じくらいで面白いんじゃないかな?と興味が湧いてきましたね。河野VS亀田戦見てみたいですね。

 以前の試合は不細工な殴り合いにしか見えなかったんですが、河野のパンチ力が増したということなんでしょうか?それとも相手も強打者で踏み込めなかった、or相手が打たれ強かった?もしパンチ力が強化されたということなら面白いので、成長性と合わせて次もちょっと見たいと思えるボクサーですね。

 しかし、2~3ポイントくらい取って2-1の判定勝ちかな?と思いましたが、引き分けと。やっぱ判定で勝てるタイプではない、老獪なごまかすボクサー出てきたら簡単に判定負けしそうなのが怖いですね。

 ○井上尚弥―VSナルバエス。快勝・楽勝、また辛勝、地味な判定、お互いぶつかり合って白熱した試合展開での良い判定決着、もしくはキャリアでごまかされて消化不良感半端ないじみーな試合になって判定負け。さあ、どれになるかな?と思っていて、まあそこそこやりあって判定で勝つ感じかな?と思っていましたが、2RKOと。

 まあ、相手が歳も歳なんでね。まず井上だろうという感じはしていましたが、ナルバエスはコンディションが悪すぎでしたね。なんか肌ツヤ悪いなぁ、おじいちゃんみたいだなぁ、これ大丈夫なのかな?と思いましたけど状態悪すぎですね。いくら歴戦の強者といえど、年齢には勝てなかったか。39ですもんね。もっと長く見たかったですね。井上の状態良かったというのもあるかもですけど、消化不良感がすごかったですね。

 たしかに井上のパンチは凄かった、事前の想定と違うので面食らったとはいえ、額に受けてそれでスリップダウンするというのは相当ですよね。まあ井上も良かった&ナルバエスも悪かったというのが重なった結果なんでしょうが。最低でも6Rくらい打ち合うのが見たかったなぁ。

 ナルバエスは身体に力がなかった感がありました。もうちょっといい状態で見たかったですね。多分明日に行われる試合も含めて一番面白そうなカードだっただけに、ワンサイド決着は個人的には残念ですかね。これで井上は世界に名前が売れたので次が楽しみになりましたね。

 いきなりロマゴンはないでしょうから、ビロリアとかエストラーダとかと次やるのでしょうか?そこら辺片付けたらいよいよロマゴン…!ということになるのでしょうね、ファンはもうVSロマゴンでwktkしてるんでしょうけども。井上の真価は次のビッグネームとの対戦ではっきりすると思います。というかそうじゃないとこの階級での彼の動きがよくわからない。というかもっと見たいという願望なんですけど(^ ^;)。

 まあ世界的な評価はもう次世代のニュースターで変わらないと思うんですけどね。左出して、ナルバエスが右をかぶせてきたのを素早く察知して、そこからさらに左戻してあわせたのなんか凄かったですもんね。カウンターをカウンターで返してました。しかもキレーに正確に。

 多分ナルバエスはパワーとそこから生まれる優位を利用してインサイドで戦うタイプなんでしょうね。プレッシャーかけながら距離潰していく感じでしょうか?前提のパワー優位が崩されて、しかもリーチもないから、もう何もできなくなっちゃったんでしょうね。

 しかし、井上はパンチがないのがネック。だから今後上の階級でどうかな?通用しないんじゃないか?と思ってただけに、これは予想外でしたねぇ。八重樫が「尚弥のパンチはロマゴンよりも重い」と言っていましたけど、リップサービスでなくマジだったんですねぇ。こりゃ驚いた。

 ドネアと並んで写真写ってましたけど、井上のほうが一回りちょい小さいんですね。ドネアでもフェザー限界、無理のようですから、井上はスーパーバンタムまでですかね?目指すはドネア・リゴンドーでしょうか?

 というか、こんだけパンチがあって動けるのならはじめからこの階級でやって、減量負担を最小限にして世界挑戦の時だけ下げる方が良かったのでは?若いということは臓器や骨格の成長の余地があるのですから、減量で負担かけて成長を阻むようなことをやるべきではなかったと思いますが…。1センチでも身長・リーチが伸びる余地があったかもしれませんしねぇ…。

 ○内山戦―今年も内山はやはり強かった。去年のことがあったからちょっと心配だったけど、文句のつけようがない内容。まあ相手がそれほどということはありましたけどもね。いつものような段々段々相手を削っていって小さくしていって、一定のラインを超えたら後は少しづつへばるのを待つ、いたぶる感じの試合運び。本当イジメみたいですよね、相手が可愛そうです(´-ω-`)。

 5Rの感じでこれくらいのダメージ・試合運びなら8RくらいでKOかなと思ったけど、9Rになりましたね。また拳痛めてないといいですけどね。今回は前哨戦みたいなもんだから、次は強いやつとの試合を見たいですね。前回の若いやつと違い年齢が変わらないので、まあ万一という可能性も考えなくてよかったでしたので。

 普通の選手が6kgとか8kgとか落とすのに、普段から節制しているから3kgくらいなんですってね。内山さんはほんますごいですね。だからそんなにコンディションが悪くなったりしないのでしょうね。だったら、一階級くらい下げられそうですけどね。ドネアとリゴンドーが一つ挙げて(二つか?)お互い調整してビッグマッチを…。まあ無理でしょうけど。

 そういや内山選手の存在故、テレ東でここ数年はクラシック聞きながら年越しているなぁ(笑)。同じ人が日本中にいっぱいいそうw

 ○後テキトーに。もはや完全に主役を食われてしまった感のある井岡選手、見た限りまあまあ、そんなに悪くはない感じがしましたが、どうでしょう?自分が主役だ!ということを示すためのビッグマッチが必要ですけど、誰とやりますかね。今のうちに井上とやったほうがいいんじゃないでしょうか?後二三年したら、ほとんど勝ち目はなくなる気が…。キャリアの差がある今の内の方が未だ可能性がある気がします。

 天笠、リゴンドーとやりましたね。リゴンドーってどっかで聞いたことあるなぁ?と思ってたら本当にあのリゴンドーが日本に来たんですね(笑)。一階級落としてリーチ差で翻弄か?と思いましたが、無理でしたね。あんだけリーチ差があるんだから、左をつきだして距離とって入ってくるところを迎え撃てばいいのになぁ…。なんでせえへんのやろか?という感じでしたけど、それくらいパンチがあって且つ早いということなんでしょうか。

 くっつかないと当てられない。肩あててボディ完全ガードで上に来るパンチを何とか対処する。んで相打ち狙いであわよくばですか。スピードに対応できないだけでなくパワーもとなるとああいう形しかないんでしょうかね?スリップ臭い倒れ方でしたけど、まあ二回転がしただけよくやったということになるんでしょうかね。

 田口見過ごしました。村田はまあいつもの通り、すこしづつ進歩してるなぁ~という感じ。まあそれほど惹きつけられなかったので、いつかすごい試合して、なんか書きたくなった時に見なおしてコメントする感じで。

 ボクシング雑誌を読んでから書こうと思ってましたけど、読んでも特に書くことなかったですね(笑)。

 ※しかしスーパーバンタムとフェザーでチャンピオンがいないのが寂しいですね。内山いなくなったら、またスーパーバンタム止まりの時代が続いちゃうんでしょうか…。