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別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい

真の三階級制覇チャンピオンは現れるか?

井岡・長谷川の三階級制覇について というタイトルで前書いたものを改題して、途中から分割して新しく追記してもう一本書くことにしました。前の長いし、ちょっと付け加えたいことがあったので。あと穴埋め大変なんで(^ ^;)

【真の三階級制覇をする日本人は出てくるか?】

【長谷川の挑戦までの道のりの疑問】

 前回長々書いといて、ようやく本題の真の三階級制覇をする日本人選手は出てくるのかという話題です。三階級制覇に長谷川も挑みました。が、ダメでした。井岡同じく三階級の壁というよりも、そもそも長谷川選手もプランに問題があったのではないか?という気がしてならないです。

 長谷川は興行という点、ボクシングというものの将来・次世代の若手のことを考えて、自分の背中・姿勢を見せるためにああいう戦法を採用したのでしょうか?昔書いたように、長谷川の素晴らしさはリーチとハンドスピード&柔らかさであって、一つの長所が突出しているという極端なボクサーです。全部がレベルの高いボクサー、もしくはある程度バランスが取れていて引き出しが多く、短所が少ないというタイプではありませんでした。自分のストロングポイントを一方的に押し付けて、それで相手の持ち味を全部封じてしまって完封するというタイプでバンタムで一時代を築いたのであって、それはフェザーやスーパーバンタムでは通じないスタイルでした。

 だからこそ、前に出る・打ち合うスタイルの転換を図るというのは正解なのですが、彼の場合、それが極端すぎました。何故かパンチ力(※ハードパンチャーとしてのパンチ力)があるわけでもないのに、自身のハンドスピードと柔らかさを活かしたソリッドな打ち方を捨ててしまいました。本来の打ち方、バンタムで無敵を誇った打ち方ではなく、ハードパンチャーのような一撃・打ち方にこだわりすぎました。長谷川は勝とうが負けようが関係なく、生き様を見せるタイプであり、そういうボクシングをしようとしていたのでしょうか?

 それならばそれで素晴らしいことだと思うのですけども、勝負ではなく結果にこだわるのならば絶対にしてはいけなかった戦術だったとおもいます。勝利よりも内容を優先していたのでしょうか?自身の強さを証明するためにああいった積極的なファイトスタイルを選択したのでしょうか?彼の実力・衰えを考慮して勝ちにこだわるべきだった。三階級制覇王者として疑問が残るとしても、実力を見せて打ち勝つという可能性は乏しかった以上すべきではなかったのではないでしょうか。

 一時代を築いた長谷川ですから、王座復活という勝利&三階級制覇という肩書でドラマとして成立しましたし、自身の強さを証明する・内容にこだわるのはその次の試合にすべきだったのではないでしょうか?

 それとも彼も年齢を重ねた結果、本来の打ち方ソリッドな打ち方ができなくなったという何らかのフィジカル・技術上の問題が発生していたのでしょうか?だとしたら、あの戦術は疑問ではなく、必然だったのですが、そこのところを是非ボクシング関係者は聞いて欲しい所ですね。階級を上げた時も、モンティエリに負けた時も長谷川は判定で勝っているボクサーなのですからね。勝ちにこだわり戦術をしっかりすれば、決して勝てないわけではありませんでしたし、そういう理由は考えづらいのですが…。

 そういう理由よりも、どうも次の試合で終わりにする。ラストにする。三階級制覇を達成したあとで、自分の理想とする現役最後の試合をするという気持ちだったのではないでしょうか?一試合でも長くボクサーであるために試合・勝利にこだわる、ボクサーとしてのトレーニングを更に新しい技術を取り入れる、5年先を見据えるという目標・ビジョンがあまりなかったのではないでしょうか?それ故にモチベーションがもう勝つことではなく、良い戦い方・自分のやりたい戦い方をするということにシフトしていたのではないでしょうか?自分の応援してくれている人を勇気づけるために、何が何でもかじりついてでも勝つとか、一試合でも長く試合をするために、ボクシングが好きで好きでしょうがないから、一瞬でも長くボクサーでありたいという思いはもうなかったのではないでしょうか?

 まるで勝ち目がない試合、引退試合のようなものならともかく、長谷川の試合運び次第では勝ち目もあったでしょうから、そのようなモチベーションで挑んでいたとしたら個人的には残念という感じです。

 彼の三階級制覇のプランもプランとしては?というところがあります。本来、1つ上からやっていくはずが、なぜかいきなり二つ上げた。そして王者を倒すのではなく、決定戦での戴冠。その資格がなかったとは思いませんが、果たしてその階級であの試合を勝ったことで長谷川が間違いなくフェザーの王者だと言えたでしょうか?フェザーで長谷川が間違いなくこの階級でも王者に、スーパースターの一人で間違いないという実力を証明する前にジョニゴンに敗れてしまいましたし、仮に長谷川がスーパーバンタム級で勝っていたとして三階級で間違いなく王者といえる存在だと疑いなく言えるでしょうか?勝利後、また別の実力者とやればスーパーバンタムでは強さを立証できたでしょうが、フェザーで名のある選手とやってその挑戦を退けていない以上、フェザーでの実力はかなり疑問がつくことでしょう。

 三階級制覇の偉大さというのは三階級でベルトを巻いたことではなく、三階級において強さを発揮した、名勝負を繰り広げた、絶対王者であったということでしょうからね。

 以前長谷川の調整試合のコメントでも書きましたが、序盤は様子見で離れて戦うべき、そして相手のリズムやパターンを学習して、戦術として撒き餌をしっかりして、そこから5R以降徐々に勝負に出ていくべきだーと。ところが序盤でガンガン出て行ってダウンを喫するなど戦術的にちょっと?というところがあったといえるでしょう。勇気と無謀が履き違えられていないかという気がしてしまいます。

 フェザーでも自分のパンチが通用するんだ!みたいなことを言ってセコンドを無視して打ち合っていたように、長谷川には何か強迫観念のようなものがあった気がします。勝つために戦術・組み立てを考えるのではなく、こうしなくてはならないと囚われてしまって、柔軟性を欠いてしまっていた気がします。モンティエリ戦でベガス殴り込みの夢、トップスター・スーパースターへの道が閉ざされてから、今の長谷川の状態に応じたベストを模索するのではなく、悪夢を振り払うために必至にもがいていた。そう見えてならないですね…、長谷川の必死な姿勢は。

【おそらく亀田・井岡は三階級制覇の肩書のみで終わる】

 亀田もライトフライ・フライはまだともかく王者としての力があったということができるでしょうが、そこから先はまず無理でしょう。河野に勝って三階級制覇は出来るでしょうけど、スーパーフライで亀田の実力を証明するような試合は多分出来ないし、やらないでしょうから、結局その肩書のみで終わるでしょう。亀田弱い!河野に勝てるか!みたいなのをヤフコメでよく見ますけど、河野も結構微妙ですから、彼に勝っても微妙でしょうからね。

 井岡もライトフライで名のあるボクサーと名勝負をしていない。三階級にわたって文句なしに実績を残して王者になる存在は現れるのでしょうか?名のある王者を倒す、KO防衛を繰り返しその階級の実力者になる。それを三階級にわたって出来るボクサーは現れるでしょうか?ただ三回王者になればいい、では到底三階級制覇とはいえないと思うのですけどね…。

 期待できるとすれば強いやつしかやらないと公言する井上でしょうかね。多分彼は強敵と戦っていくという本格派ストーリーを歩むでしょう。ただそれが彼のサイズから言ってどこまで通じるか…?八重樫もその実力はあるでしょうが、年齢的にどうでしょうか?あと減量出来るかわからなさそうですしね。ただロマゴンとやって、もし負けて三階級制覇という道を歩んでも彼のそれが高く評価されることは間違いないので、八重樫がロマゴンとやる!と言っているのはそれがプランとしてあるからかもしれないですね。

 ※今ライトフライ王者井上以外スカスカ状態なので、ロマゴンに負けて階級下げて八重樫三階級制覇VS井上という画まで見えましたね。それとも井上が統一王座を先に手に入れるかどうか?

 忘れていましたが、山中いましたね。一つ挙げてサンタクルスとやる。まずはここでしょうね。ここをクリアしたら三階級制覇の偉業を成し遂げるでしょう。長谷川がラスベガス進出と10回などの防衛記録にこだわって、結局プランを間違えた。加齢に伴うファイトスタイルの変更を視野に入れるという作業を怠ったことを教訓とすれば、今一つ上げてスーパースター候補に挑むのは正解なんでしょうね。あとは優秀なトレーナーを付けて、左以外の技術をどうするか、左を活かすための細かいテクニックとか、フットワークなどをどう磨くか。そしてフィジカル体づくりをどうするかなどなどがポイントになるでしょうね。

 長谷川は三階級制覇なども視野にあって、結局どちらつかずの中途半端なキャリアになってしまったことも大きかったと思います。山中の「強い選手に勝つ」というシンプルな目標設定はいいことではないでしょうか。

 そして、これを書こうと思っていて忘れていましたが、強い選手を作るためには技術交流が欠かせない。引退後、引退興行のような形を設けて元王者をねぎらうこと。そしてスパーでその培った技術を肌で体験させるなどしてその経験を国内ボクサーに伝えさせる機会を設けるべきではないでしょうか?あまり階級が離れると無意味かもしれませんが、近い階級の選手にはもう衰えて引退するという選手でもその技術を肌であじわい、打ち方などを教えてもらうのはいい勉強になるでしょうから。

 長谷川の長いリーチ・ハンドスピードを活かしたボクシング技術を近い階級のボクサーに伝授する機会をぜひ作るべきでしょう。内藤などの変態的技術も一度味わっておくことで物凄い財産になるでしょうしね。プロ・アマ交流がメダリストを産んだように、世界で通用するボクサーを輩出するために、普段あまりジム交流がなくてもそうすることが出来るようにする制度は有意義だと思います。

 また、あまり関係ないですけど、幻の三階級制覇王者と言われるファイティング原田のボクシングを見ましたけど、凄いレベル高いですね。びっくりしました。ジョフレとの再戦だったか、左もうまいし、遠間からのパンチもあるし、むかいあっての右ストレートでのボディ打ちも威力あるし、肩を突き出すようにして変則的に左を打ったり、もう技術の宝庫みたいな人でしたね。ロープ際追い詰めてフック引っ掛けて体を入れ替えるのを、入れ替えられた途端フックあてて、また体を入れ替えたり、ホント上手いんですよね。うまいなぁ~と何回もうねりましたね。

 ぱっと見雑なんですよね、彼のボクシングは。被弾も多いですし。でもそれを上回る手数で攻めていく。なんというか物量戦で、圧倒的物量差で押しつぶしていくというか。ですから見ていて本当面白いんですよね。打たれずに打つというボクシングの理想がありますが、今の潮流は「打たれずに打とうとしてあたらない、でもまあしょうがない。打たれるよりはマシだよね!」って感じになってると思います。それだと正直興業的にはキツイというか、見ていてつまらないと思います。ああいうボクシングこそ理想として原点回帰しないといけないでしょう。

 あんだけ動いて、打たれて15R持つのか?という感じですが、無論落ちてるんですけど、それでも十分やれるんですよね。凄いですね。ジョフレの見事なボディもあって、途中ちょっと休んだりしてましたけど、それでも手はちゃんと出しますからね。見事なボディくらって、やばいと思ったら、サークリングしつつ急に左を6~8連射して相手を釘付けにしてピンチを凌ぐとか、こんなことも出来るんだ、どんだけ引き出しあるんだよ。IKEAの倉庫より引き出し多いんじゃないの?と感心しましたね。

 そしてもう一つ、あの時代の人ってあんまきれいなまっすぐ打たないんですかね?あんまりストレートが上手くないんですよね。というかそれだとあたらないから、あえてまっすぐ打たないというか。微妙に?少し、曲げて打ってるんですよね。多分ああやって打つことで当てやすい、コンビネーションに繋げやすいとか理由があるんでしょうね。

 んで、体つきも今のボクサーと違うんですよね。計量を有利にするために脂肪を極端に落とすみたいな発想とちょっと違ったんですかね?昔の人は?亀田がよくバッキバキの身体を見せてますけど、ああいう身体の作り方は却ってよくないのかもしれないですね。ジョフレも原田も脂肪がついてるとは言いませんけど、少なくとも板チョコボディのような身体ではなかったんですよね。白黒だったからよく見えなかったということかもしれませんが。

 キレイなまっすぐを打たないということとムキムキボディを作らないということはフルラウンドパンチを出せるという事実と関係してくるのでしょうか?だとしたら興味深い話なんですけどね。あとあれだけパンチを貰ってもけろりとしているのもしなやかな身体使い&作りとか変わってきているのではないか?とも思いますしね。原田さん本とか出してないかなぁ、気になるなぁ原田さんのボクシング理論。

 まあ、あのボクシングを見ると、日本人の軽量級・中量級でナンバーワンはあの人かなぁという気がしました。本当素晴らしいボクシングでした。技術の宝石箱や~と言いたくなる上手さでしたしね。

 とりあえず、今のボクサーにはファイティング原田を見習って欲しいですねぇ。ああいうボクサーが出てくれることを望んでやみませんね。