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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

摂津はカーブピッチャー


 時間がなくなったので短くて更新できるものを。摂津といえばシンカー、シンカーといえば摂津。摂津はシンカーピッチャーだというのが定説というか、多くの人が思っていると思います。

 しかし、摂津というピッチャーはカーブピッチャーなんですね、実は。彼の生命線はカーブ。この前細川と組んで投げた試合を見て思いました。鶴岡と組んだ開幕戦の時、細川がカーブを使わないのがアカン。と言ってましたが、細川はよく序盤にカーブを多投させます。カーブを投げることで腕の振りが良くなり、中盤立ち直りやすいというセオリーですね。

 ただそれだけじゃなく、摂津というピッチャーは立ち上がりが良くない。まあ立ち上がりが特によくてその後も安定して投げる投手ってそういませんけどね。初回さえ抑えればあとは大抵スッと言ってしまうピッチャー。自分のコンディションに、その日のマウンド・環境への適応、審判のゾーンの確認等色々な調整が多いですからね、初回のマウンドは。

 で、球が浮く・抜ける、逆玉になるというのが投手が良くない時に起こるものですが、摂津の場合シンカーが曲がらない・落ちないという事があります。シンカーが決まらないことがある。しかしカーブが決まらないということはない。よって彼の生命線というのはコントロールとカーブなんですね。

 カウントを取ったり、決め球になるシンカーですが、これにはフォークのように落とすのと、そのまま沈む二種類のシンカーがあるといいます。ですから繊細なコントロールが要求されるのでしょう。

 大抵ダメなときは、コントロールが悪くて&審判に嫌われて臭いところを取ってもらえずに、歩かせてランナーをためてしまう。そしてタイムリーを浴びてしまうというパターンでした。開幕からロッテ・楽天がそうでしたね。シンカーが低めに決まればそれは問題にならないが、決まらないと打たれて点を取られてしまうリスクが跳ね上がるということでしょうね。

 過去の成績から見ると大体2ヶ月くらいの波があるみたいですね。安定する月が一点台で、しない月が三点台。まあ先発としての経験が三年でしかも一年統一球シーズンありますから、そこまではっきりしたデータではないですが、ムラがあるのは間違いないと思います。無論、そんなものはあるのが当たり前で、一年安定しっぱなしという人のほうが少ないですよね。

 勤続疲労が心配される摂津ですが、むしろこれまでは想定の範囲内・範疇といったところでしょうか。去年・一昨年と一年に2・3回ほど炎上をしていますが、それに比べればまだなんてことはないでしょう。ロッテ・楽天で昨年から6試合連続4失点以上だったか、しているというデータを見た時はかなり心配でしたけどね。楽天の時は、それは流石に入ってるだろというのを取ってもらえずにランナーためてしまったのでね。取ってもらってればあそこまで失点しなかったと思われましたからね、良くはありませんでしたが。無論、その怖さがあるのも間違いないため、ローテにこだわることなく1回・2回飛ばして休ませていいと思います。若手のチャンスに先発機会与えてもいいでしょう。

 で、シンカーが決まらない時は、見せ球・カウント球として使えるコースを探し、カーブとアウトローのコントロールで勝負するという感じでしょうかね。カーブの緩急で相手は必然的にタイミングを取りづらくなり、一回目線が上に泳ぐのでストレートを打ち損じやすくなりますからね。細川の洞察力でカーブ・ストレートどちらを待ってるのか読み取ることが出来ますから、それでカーブの狙い撃ちも避けられるということでしょう。去年もカーブでHR打たれたというのはなかったはずですしね。カーブピッチャーであるがゆえに細川の洞察力が必要で、彼に全幅の信頼をおいているということなんでしょうね。

 横の幅を活かすためスライダーを使って、横を広く使うというのが去年までの摂津でしたが、今年はカットの割合が多いようですね。カット等は左バッターのインハイに使って詰まらせてゴロアウトを取りたい。そしてインハイを振りにくくさせたいものですが、今のところそれが目立ったような気がしないのですが、その精度はないということでしょうか?

 ツーシーム・カットを交えて球数を減らし、イニング数を伸ばすというのが今年のテーマであり、己もそうしてほしいと思っていたことですが、果たしてその球種を導入して、他の球の制球やコントロールが維持できるのでしょうか?ロッテ・楽天・ロッテ・西武でマリンスタジアムの試合は見ていないのですが、動かすボールでサクサクアウトというのはまだ一回しか見ていない気がします。このボールの制球が安定してくれるといいのですけどね。

 データが信頼できればの話ですが、その分まっすぐの割合が10%くらい落ちていました。摂津は調子がいい時は142~145kmくらいの球を投げますが悪い時は137~ということもあります。まっすぐの割合を減らすことが吉になるのか、凶になるのか、今年のシーズンが終わった頃に明らかになると思いますが注目したいと思います。それとも微妙に動かしたりしているのでしょうか。まっすぐで空振り三振あんまり見ないですし。

 あとちっちゃく落ちる球はアレはカットなのだろうか?解説者がチェンジアップと言っていたようだけど、チェンジアップを投げるのかしら?

 まあ、とにかく今年も摂津はやってくれるでしょう。当然チームの柱ですから、前もって大事をどこで取るか、一回どこで休ませるかを考えるべきでしょうね。今はまだまだ完全とはいえない状態。でもそこそこというところかと思っています。シンカーが決まりだしたら、「ああ打てないよ、お手上げ」と相手チームが思うような投手になるでしょうね。出来ればカットやツーシームの精度を上げてシンカーがダメなときでも相手に打てないような投手になって欲しいですが、それはまた次の課題でしょうかね。


 そうそう、江夏さんがプレイボーイの記事でコントロールがいい投手は四球を出さないのは誤りだと書いてました。田中のようにコントロール+球威、真っ直ぐがある投手ならともかく、コントロールで勝負する投手はボール一個分の出し入れでしか勝負ができない場合、審判によって大きく左右される。勝負した結果ファーボールになると。なるほど、摂津や大隣が良い投手であるがゆえに歩かせても、必ずアウト3つを計算できるから無理に勝負しないという視点で以前書いたことがありましたが、そういう要素がありましたか、勉強になりましたね。