別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【身体論】 脛骨を上手く使って立つために


 脛骨の話です。立ち方というか、歩き方というかしっかり動くためには下腿の脛骨にしっかり体重をかけないといけない。

 常人はそれが間違って腓骨サイドに体重がかかっている。重心がずれている。太くて体重を支える構造になっている脛骨ではなく、細くて補助部分であるはずの腓骨に力・体重がかかっている。だから効率が悪い動き、故障する&疲れやすい身体の使い方になる。

 自転車で例えると補助輪みたいなものでしょうか?補助輪があると安定はする。コケることはない。しかし自転車本来の機能を活かした速さを出すことが出来ない。

 おそらく幼児期に立つことを覚えて、歩く・走るにつれて転ぶことの恐怖を覚える。転ばないために、安定を重視するがゆえに腓骨サイドを固めてしまう。筋肉も骨も関係なく全身をひとつの塊として使ってしまう。よって本来の使い方、パワー・スピードが出なくなる。

 あとは成長するに連れて、身体を固めることを覚える。強制されるからか、動かない生活の比率が多いからか、知らず知らずのうちに固まることに順応する。動かないのならばその使い方で別に問題がないから。何の違和感も健康な子供のうちであれば感じない。成長してからなんとなく調子が悪いなんて感じても後の祭り。

 まあ、こういうことは何度も書いてきたので、本題。いかに腓骨ではなく脛骨で立つか?どうやったらそうすることが出来るのか?普段腓骨で立ってしまうということは足の外側、アウトライン・アウトサイドを固めているということ。意識を内股・身体のセンターライン、軸に意識があればそういうことはなくなる。軸を立てる、軸を通すということは身体の中心に重心が通ることを意味する。外側ではなく内側に重心をシフトさせることが大事。普段から背骨に重心を通すことを意識した姿勢を取ること、動きをすることを心がければ良い。背骨直下の延長、脛骨に乗るのが自然で効率が良い動き、疲れにくい動作につながる。

 靴下履くのでも、下着を脱ぐのでもなんでもいいが、そういう時に片足立ちをしてみるとバランスを取るために体重を支える側の足は腓骨に向かって力を入れている。一本足で立つとき、外側に力を入れるという使い方が身についてしまっているわけだ。

 ナイファンチン、空手の型でも波返し、足をその場で上げる動きがあるが、どっこいしょと反対側の足に乗っかってやるとその意味が全くなくなる。むしろ足をあげた足の方向に身体が沈みながらも足を上げて波返しをする(足を動かす)、んで倒れる前に着地をする。倒れようとする力をむしろ利用する感じで、倒れるのを恐れないと足がパッと動くんですね。一々片足を浮かしているあいだに、反対サイドの足・軸足にどっこいしょとシフトウェートする動きは無駄以外の何物でもないことを型を通じて知るわけだ。

 まあ型の説明で一般の人はピンと来ないだろうから、簡単に説明すると、要するに軸足と動かす足(空中にある方)のうち、軸足を必要以上に固めない・力を入れる必要はないということ。足が片方空中にあるということは当然バランスを失う。バランスを失うことを恐れない訓練をしなくてはならないということ。優れた蹴りをするキックボクサーは蹴る足そのものが軸足となっていると高岡さんも言ってましたけど、そもそも軸足という発想がおかしいとも言えますね。

 軸足は必要ない。足にしっかりぐっと力を入れる必要性はない事に気づかないといけない。空中にある方に力を入れても、普段より早く着地して無様にドスンと地面を蹴ってしまうだけですが、力を抜きながらバランスを取ればより効率的な動きができる。

 悪しき使い方では外側・腓骨側に力を入れて固めて安定させようとする。事実投げるための「崩し」の技法では手を引っ張って、足でその重心を支えきれないところまで相手の上体を動かせば崩せるということを教えている(無論、相手もバカじゃないから、重心を下半身で支えないところまで動かされたら抵抗するし、足も動かして重心と上体を投げられないように一致させようとするけども)。

 固める必要がない、力を入れる必要がない。脛骨で支えればいい。腓骨の逆なんだから当然内側を意識すればいい。以前足は外側ではなく反対側の足に向かって倒れたがっている。右足は左足に向かって、左足はその逆に~ということになっていると書きました。ということは脛骨から下の足の部分を地面にポンと置いたら、内側に倒れる。そしてそれを持ち直すというバランスを取るのが本来の機能になっているはず。

 であるから、腓骨を使う悪しき習慣から抜けるためには、普段からその動きをトレーニングすればいい。脛骨に体重を載せる訓練をするには脛骨を逆の足の方向にかける訓練をすればその動きを体に覚えさせることが出来る。

●脛骨で立つ訓練法
 もったいぶってますけど(^ ^;)、今回思いついたその上手いやり方・トレーニング方法は、①壁に手をつく(真正面ではなく横に壁がある状態で)。②そして手をついた側の足を浮かせます。すると当然、手に力が入る、手で浮いた足の代わりにバランスを取ることになります(右手を壁についたら右足を上げるということね)。これで腓骨に力を入れて体重を支えるという間違った使い方を排除できます。要するに一本足で浮いている時に必ずこのような倒れ方をすることを、体で覚えておかないといけない。自然とそうなるように訓練しておかないといけない。身体の使い方、バランスの取り方の上で一つのポイントになることかと思います。

 少し傾かせてやれば、自然に脛骨サイドに体重が乗ります。そのまま、ちょっと上下動してやれば脛骨に体重が乗っていることが実感できるんで、そうすることもお勧めですね。そもそも脛骨に意識がないとそういう感覚がわからないので普段から解きほぐすことやゆる体操の膝プラプラとかコゾコゾ体操的なものをやるといいんじゃないでしょうか。

 脛骨なんて知らなかったという人には、いきなり、この壁付き片足バランスの前によくもみほぐしたり、膝のお皿の下の脛骨をさすって、ああこれがけいこつか。下腿の一番大きい骨か。と実感しておいたほうが良いかもしれません。痩せ型だからそうすることに何の不便もありませんが、太っている人だとそれも難しいのかな?そういう人は脛骨を感じられないという鈍い感覚持ちだったら、相当大変ですね。

 この体重の乗せ方・バランストレーニングのいいところは軸足・脛骨への体重の乗せ方だけでなく、足を浮かせた側の足のトレーニングにもなるということですね。自然に膝を曲げて宙に浮かす形になりますが、浮かせて少し足が体重を支えている方の足と違って傾くので、反対側より位置が下がります。下がる、体重の重みが足が浮いている分よくわかるので、腸腰筋ハムストリングスで足を吊っている・つながってブラザがっているという感覚を理解しやすくなると思います。むしろ脚は横隔膜から筋肉が大腰筋と繋がって吊られているのだということを認識するトレーニングとしていいかもしれません。

 下から脚・腰・腹・胸・頭と積み木を積み上げるような形ではなく、人間は上から始まっている。上から吊り上げることで身体を動かしているんだということを実感するためにもいいと思います。地面についてる脚で脛骨を、浮いてる脚でハムストリングス腸腰筋を意識する。結構オススメですね。

 脚は浮いていて、後ろに引っ張ることでその力が発揮されるという事を理解するのにいいでしょう。やはりバレリーナのように手をついて脚を後ろ蹴りのようにスーッと上げていく、吊り上げてバランスを取るという訓練もいいでしょうね。ハムストリングスを使って、足を後ろに引くことで力が出るというのもなかなか実感しづらいですし、その感覚を実感できなかったら足上げでそういう意識を養成するのもまた一つの手かと。

 浮いてる方の足で注意すべきは膝を曲げているわけですから、膝頭・大腿四頭筋のすぐ膝近くを中心に使ってしまうということですね。傾いていて膝が落ちやすいということもあって、そこが痛くなってしまいます。おしり・ハムストリングスのところを意識して足を吊り上げるという感じ、足を動かす感じがないと膝痛いのでそこをしっかり使わないとダメですね。ハムから吊る。そうすることで腸腰筋を動かせる・鍛えられるかと思います。

 そんなことやって、立ち方を見直していて、歩き方を見直して、走ってみたら、ハムストリングを収縮させる。ハムから足を動かすということがわかった気がします。そこを意識して空中期に収縮させると体が前にバビュンと出て行く。地についた状態で地面を蹴ったり、弾いたりするよりも、空中にある状態の足のハムを使う=ハムを収縮したほうが自然に身体・上体を中心に前に引っ張られて速く走れることを実感しました。脚でガシガシ・蹴る必要がないってことですね。上から身体は始まっているんですから、上から傾けていけば位置エネルギーを利用してサッと動けますからね。むしろ脚が空中にあるときにいかにバランスを取るのか、無論足だけでなく身体全体でしょうけど、そのバランスを取ることが大事。そしてその時に発生するブレーキ成分を減らすことが重要なんでしょうね。

 初めて走ってて怖いと思いました。もし今倒れたら大怪我するんだろうなぁ~と感じましたので。本来走るということはそれだけ身体がばらばらになるということ。それを感じられないということは、それだけ身体を固めて走っているということなんでしょうね。多分子供の時は走るのが楽しいという感じと同時にこういう感じもあったんでしょうね。最早覚えていませんが。

 走るのは楽しい&怖い。一流のアスリートはこの怖いと感じるようなブレーキ成分を減らしたり、より身体を緩ませてバランスにボディコントロールを磨き上げているのかな?と漠然とそんなことを感じていました。

 ※追記、そういえば、そうやって脛骨に乗ることで自然に踵・ウナにも乗れるようになるかと。ウナに乗るというのはよくわからない、理解しづらく、そこを意識するとどうも足裏全体を意識することになり足を固めることになりやすい。ですので、脛骨を意識して自然に足の裏が普段より内側に傾く・重心が内側に寄るようになることに任せています。拇指球・ウナ・踵といった足のインサイド中心になっていますね。以前、靴の踵の外側がすり減っているという話を書きましたが、昔の踵が潰れた靴を履いて、ああ、外側がすり減って内側が高くなっているんだなぁと実感出来ました。今履いている新しい靴もすでにちょっと外側がすり減っていますが、果たして内側をすり減らすことが出来るでしょうか?

 ※追記2、そういえばすり足というものがあります。優れた力士は常にすり足を意識して歩くとか。それはともかく大事なのはすり足をすることではなく、すり足に「なること」だと以前書いた気がしますが、力が抜けると勝手にすり足になります。だからと言ってAlwaysすり足かというとそうでもない。ベタ足・すり足は動けないで鈍いように見えますが、そんなことはなくサッサと動くのには結構適しています。足より股関節とかが動きますからね、んで足が後から付いて行くにはこっちの方がいいですし。
 だからと言ってず~っとすり足にしていることが効率的かというとまた違う話。要するに使い分けなんでしょうね。その方がいい場合もあれば、きっちり足をあげたほうがいい場合もあるわけで、地面の状態だったり、コンディションの問題もあるでしょうし。

 ついでに、足裏マッサージをしていたら、足が結構柔らかくなっていましたね。足の指を逆方向に伸ばす、ストレッチをするようにやっていて、中足骨などまでより感じる。足を手でそこを動かせる感じがありましたね。拇指球から横のラインが柔らかくなっているという感じですか?きちんと立てばそういう風に柔らかくなっていくのかも?だからきっと今ならバラエティの罰ゲームにある足つぼマッサージなんかで痛い!みたいなこともないような気がします。たまにいる痛いと感じない人はやはりきちんと立てているということでしょう。そういや今更ながら距骨直下で立てばいいというアタリマエのことを書くのを忘れていたな…。まあいいや(´-ω-`)。

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