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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる

「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!



 以前これ→書評―身体のホームポジション/藤本靖を書いて、今回新刊が出ましたので、これについて書きたいと思います。だいぶ前から書こうと思ってかけていませんでしたけどね。もう二年以上前ですか、前回書いたものに大体重要なポイントがまとめてありますから、今回は追記的な感想録になりますが。

 疲れないためには、身体の内側のバランス・外側の世界と係る上でのバランスを取らなくてはならない。バランスが崩れている、バランスを感じるセンサーの機能が低下しているために、疲れやすくなってしまう。目・鼻・耳・口といった器官を上手く使って、センサーとしての機能を発揮してやって、体の疲れをとる。また、疲れにくい体にするというテーマですね。

 アマゾン見ても評価かなり高いですね。個人的にもオススメ出来ます。センサーがくるって身体が固まってしまうから、身体のつながりを取り戻す。身体が固まって、繋がっていないとマッサージだとかヨガとか温泉とか一時的にスッキリするようなことをしても、すぐまた不快な感じに囚われるようになる。大事なのは常に快を感じられる身体にしておくことですね。

 目を使うと重心は前に傾く。対照的に耳を使うと重心は後ろになって、リラックスする。ですから、目を酷使するとき、そのような人は目を休めるために目を閉じて耳を澄ます、耳に意識をおけばいのですね。スポーツ選手がリラックスするために、音楽を聞いて精神集中するのもそのため。

 目を緩めるために横になって、ただ目を上から触る・目で呼吸をするイメージを持つ・動かす。これだけで目の疲れをかなり取ることができます。前回同様、眼窩の海の上で浮かぶボールのような意識を持つことも重要ですね。目の周り、額のあたりまでガチガチに固まっていることを意識出来ましたので、目を酷使する人は、これで休憩する・疲労をとるのはかなりお勧めです。ものすっごい気持ちいいです。スッキリ眠れますしね。

 耳を軽く引っ張って体の緊張をとるというのは前回の通り。今回は耳をいろんな方向に引っ張って頭蓋骨の筋肉の緩め方、緊張の取り方が書いてありました。頭の筋肉が固まっていることがよくわかります、ここの緊張を取ると自然に、考えない状態、頭脳より身体感覚優位状態になりますね。勿論リラックスするので自然と眠くなる感覚もあります。

 口・舌・内臓のリンクは前回通り、鼻も前回の話の延長ですが、個人的に額・頭が固まっていることと、鼻が固まっていることに気づきました。いい匂いをかぐ、自然に囲まれていなければ、自然とものを嗅ぎたくないという感じになるので鼻が固まるんでしょうね。排気ガスとかそんなのばっかですから。頭蓋骨のなかに鼻からウルトラマンアイスラッガーのように背骨につながっていく。

 これを読んで、背中を緩ませる、緊張・疲労をとるにはもっと鼻をテーマにすべきかも?と最近思っています。鼻骨・眉間・額・頭のてっぺん・後頭部のでっぱり・そして背中へとリンクが生まれないと本当の頭・顔の緩みは生まれないのではないか?ここを緩ませれば背中の慢性的な疲労が取れるかも?というのを最近の拙テーマにしてます。

 鼻で呼吸するとき、鼻のてっぺんから口での呼吸もあって、顔半分の下を意識してしまいますからね。鼻の意識って。むしろ鼻の意識は鼻腔もある顔半分の上に行かなくてはいけない。頭・顔の鼻から上を使った鼻の意識&呼吸が課題ですね。*1

 疲れる座り方というのが書いてあります。身体のつながりが切れてしまって上手く身体を支えられないから、身体がまるまる=姿勢が悪くなってしまう。大事なのは足と骨盤の三点で体重を支えること。

 歩いたほうが人間の身体は繋がりが生まれるから楽、じっとしているとつながりが切れてしまう=疲れることになる。歩くというのは片足立ちの繰り返しだから、必然的にどちらかの足を中心に軸を作ることになる、交互に軸を作るから自然と整うわけですね。また骨盤底を意識してやるとつながりが出来る。力士の回しの部分を、タオル使って意識を高めると骨盤底を意識しやすい。ふんどしが身体の理にかなっていたから昔っから使われていたんでしょうなぁ。

 身体は違和感・痛みのほうをより感じやすい。身体は痛い部分を全身に広げないように切り離そうとする。鍋で言うと具材を仕切り板でわけるようなもの。鍋の狭いスペースに仕切りが入れられた状態で、狭いスペースには具材でぎゅうぎゅうになった状態と考えてもらうとわかりやすい。仕切り板を外せば元の均一な鍋に戻る。このモデルは面白いですね。

 痛い時は痛みから遠いところどこでもいいので触れてそこを意識する、感じると全身の繋がりが取り戻されるので痛みが緩和される。感覚を取り戻すためには動くのがいい。が、大きく動くと運動神経は動くけれども、感覚神経自体は目覚めない。感覚神経を目覚めさせるためには、ゆっくり動く。太極拳や空手・剣術の型のようにゆっくり動いて感覚神経を運動神経に調和させる。

 内観、自分の身体を観察することで鍋の仕切りを外す、身体の協調性を取り戻すと。指の第一関節をゆっくり一ミリずつ動かすという方法が書かれていますね。

 薄皮を一枚入れる感覚というのは、前回の本で書かれていたっけな?パソコンで疲れないタイプの仕方として、キーボードと指の間に一枚薄皮があると思って体を動かすと疲れにくくなる。これはなんにでも使える感覚。同じ料理でも包丁や具材と自分の間に一枚薄皮があるとイメージして行うと動作がなめらかになる。椅子や立ってる時でもそうすると良いと。

 PCの次に疲れるのが人と会うこと。人を見ること、話を聞くこと、話すことについてスムーズに行くちょっとしたコツが書いてありますね。あんまりそういう感じはないので、人が苦手な方は試して欲しいですね。鼻が通った状態で、目の上・目の下・こめかみ・後頭部の四点が響くように発声する。360度に声が広がっていくように。こうすると、頭に響いてゆるんで、しゃべるたびに気持ちよくなっていく。

 人と会うと疲れる理由の一つは、不安だから。おへそに手・意識をおいておへそセンサーを意識すると落ち着くのでおへそセンサーを意識すると良い。寝付きが悪い時なども使える。おへそは母親のお腹にいた時の感覚を呼び起こす。なるほどね。

 自分が安心すれば、そのリラックスは相手に伝わり、相手も落ち着く。逆も真なりでしょうね。人は無意識レベルで影響しあっていますから、いい人間がそばにいるだけで快適になりますからね。精神も肉体も相互影響しあうのが人間という生き物ですね。

 外の世界の情報に振り回されて自分を見失う=自律神経失調症にならないための方法。ストロー呼吸、口をすぼめて息を吐いて、鼻で吸う。頭・胸・腹にはそれぞれ司令官がいると考える。三つどこかの司令官が失われるとバランスを崩す。頭・胸・腹を触って、それぞれの司令官を確認する。

 三つの司令官が整うと軸が整う。男性と女性のコミュニケーションがすれ違うのは、中心となるのが頭と胸の違いがあるから。相手に応じてどの司令官でコミュニケーションを行うかがポイント。三つの司令官ができていればどの部位のコミュニケーションが必要とされるかわかる。胸のコミュニケーション=共感を求めている人に、頭=論理を説いても話がすれ違うだけなのは当然ですよね。

 しかし腹のコミュニケーションとはなんじゃろか?腑に落ちる、腹を割ってというやつ、身体での深いところのコミュニケーションなのかね?腹=身体・行動ということは、動き=実際の行動になるんですかね?男性は胸=意欲につながる部位を忘れがちなので注意。

 外の受けとりたくない情報と適切に距離を取る方法。距離感は腕で作るもの。目にとらわれ過ぎて距離感を失ったら、腕で距離感を作る。PCで疲れるが、本なら疲れにくいのは実際に手で触れているかどうか、腕の距離があるという違いがある故。

 嫌いなものは遠ざけようとして距離感を失うが、好きなものは近づけすぎようとして距離感を失う―か、なるほど。嫌いなものを想定して壁に手をついて自分との距離感を想定するだけで、適切な距離感は取り戻せると。
 
 と、まあいくつか拾って書いてみましたが、興味深い内容なので是非おすすめします。身体論に興味がなくとも、ちょっとしたコツで体の疲れをとる、疲れにくくすることができるので是非一読して試してみてください。

*1:口に意識においた呼吸は、口から下の筋肉と内蔵に繋がるものとなり、鼻に意識をおいた呼吸は額から頭骨・背骨へと至る骨に繋がるものとなりやすいとか、そういう傾向があったりするのかな?