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【ボクシング感想】 大晦日の内山とガンボア戦について、あとおまけに西岡選手について

内山×バスケス戦の感想、今更ですが書いていきます。

 バスケスも無敗で、無敗対決となった今回も前年にひき続いて暫定王者との統一戦であり、厳しい戦いになると予想されました。バスケスは一六五センチ、リーチは一六九センチ。当然内山より小柄であり、リーチ差十二センチというボクシングにとっては非常に厳しい目方の差です。これがあったため、試合はなかなか見応えのある伯仲した展開でしたが、終始内山がバスケスをコントロールした展開となりました。

 バスケスは内山よりも身長が小さいが、その分ヨコに大きい骨太タイプであり明らかにタフだろう、パワーが有るだろうと想像させる体格をしていました。そういうタイプは足を使うのが苦手という選手が多い中、軽快に足を使ってゲームメイクをするバスケスに、追っていく内山という展開になりました。

 無敗でありながらもKO率は大体50%とというところ。タフさ、パワーだけでなくフットワークでゲームメイクも巧みなのでしょうか?事実ディフェンステクニックというか左の腕、L字ブロックを中間距離でうまく使ってペース作ろうとした、内山にゲームをもっていかれないような旨さが終始光りましたからね。そういったところが若くして30試合(今回の試合で)をこなしてきたというキャリアを気づけたのかもしれません。

 ダウンなしだったかな?とにかくタフでそれにくわえてテクニックも備えているという強敵を内山はさばいたわけですが、やはり内山の巧さ、特にリーチ差の前に完全に封じられたといった感じでしたね。

 当然その距離の前に動いて隙間を探してたなきゃいけないバスケス対し、内山は迎え撃つ&前に出て手を出してペース崩すだけでいいわけですから。リーチ差なければそんな簡単ではないですけど、このリーチ差では動いて隙間を探す&出てきた内山を対処するの二つの作業をこなさなくてはいけないですからね。そりゃ厳しいですよね。

 【序盤】1R~足を使って回っていく以上、当然フックが主体、あんまりストレート系やジャブの伸びがある感じはしませんでしたね。内山相手だったからそう見えたのかな?しかし見事に回転力があるフックを見せて、その連打&まとめることでボディ打ちから活路を見いだせるか!という感じに映りました。内山は序盤は前でというよりその場でダッキングなどでかわしていました。ブロックやスウェーでなく、その場での対処は多用するとそこにパンチ合わせられるのでちょっと怖い避け方でしたが、リーチ差ある分、パンチの出処が見えやすく対処が容易だったのでしょうか?

 スウェーでさばいたときは目一杯下がるのではなく、ちょいだけで処理してしまいました。もっといいタイミング・角度で決まってもまだまだスウェーに余裕があるのでこれはコントロール出来るなぁと感じましたね。慣れればリカバリーが決まるでしょうしね。

 やはり内山のストレートは素晴らしく、あれ一本でゲームメイクが出来てしまうという感じに見えました。まっすぐに打ち出されたあれを何とかしなくてはいけないバスケスは終始内山の本丸、懐に入り込むのに苦労して終わったのではないでしょうか?

 前回KOした左で相手が距離を詰めてきた時の迎撃ようの武器として使っていたため、懐で距離を詰めても左でまた苦しむという非常にタフでヘヴィーな展開だったと思います。結局じゃあどうせいっちゅうねんという感じでなかったでしょうか?バスケスにとって見れば。4Rから気持ち左を肩口に上げる構えが目立って、前に出る。より前でもさばいて攻撃的になりだしたというところか?

 4R終盤両手を下げるバスケステンポを変えて幻惑したかったか、それとも疲れたのか?というのも続く5Rで距離を詰めて内山の顔面に右が入る。しかし内山のボディが刺さると口を大きく開けてオゥっ!という表情。やはり殺人ボディが効いていたのか。

 【中盤】前R少しガードをあげていたような感じは消えてお互いレバー打ち合い、刺し合い。前手ガードが厚く両者刺さらない。内山はコンパクトにガードの間から顔面刺しましたね。返しの左の印象が強くなってきたか。テンプルにくると思って、挙げてしまったところを顎にもらう。相手のほころびが少しづつ増えて、Hが今後も増えていきそうな予感。

 ボディが2発、3発刺さる刺さる。明らかにボディでくの字にバスケスが歪む。んで右のスピードが明らかに落ちる。効いていますね。1・2Rどちらか忘れましたが右構え、逆がまえにたまになりますね。そういう器用さもあるのかな。

 6R明らかに前に出てきた内山、しかしバスケスもまだまだ。ボディを当てて弱めたところを仕留めたい所。ココらへんから先程からも目立っていた審判の注意が増えてきます。身体が流れたり、距離を見誤っているんでしょうね。慎重さ考えてバッティングからのまさかに気をつけて欲しい所。一度頭がぶつかりましたしね。

 バスケスはやはり無敗だけあってパンチをまとめて、何度かいいヒットがありました。しかし内山は返しを忘れない。またしてもいいパンチがボディに刺さり、苦悶の表情のバスケス。前に出ておお!という展開がある以上、内山優位でもバスケスに勝利の目が完全になくなったわけではないという感じに。

 これまでは内山の周りを回っていたバスケスが足が落ちたか、解説でもパンチが雑と言われだした時、内山が距離を詰めていいのが顔面にあたり6R終了。そろそろか!?という感じ。

 ところが7Rパンチの殺し方がうまいと解説の畑山氏が言うように、まだまだ出てくるバスケスまたしてもサウスポーにしたり、肩をうまく使って距離を短くしたり、やっぱり巧い選手だなぁと関心。いいのを何発か当てる。これまでの展開からすると、ちょっと信じられない感じでした。傍から見ているとわかりませんが、リズムが変わったんでしょうかね?途端にパンチが決まらなくなりましたから。それとも次のRのために観察、餌撒きだったのか?

 内山の頭に絡みついたり、細かいごまかし方、相手をコントロールする細かい技術がうまいですね。左のショートでやはり決めて来ましたね。良い左がヒットするもガードの固い内山。内山の右が決まっても、畑山氏いわく今のも殺しているとのこと。あんなん食らったら普通KOだと思うのに、どうやって殺しているんだろう。スウェーでも首振りでもなく顔面のパンチを殺せるものなのだろうか?上体の柔らかさとか、強さとか?

 ガード無視して打っていってKO狙いで活路を開くのは悪く無いですが、ガードが硬い内山にそうやってもあんまり意味が無い。むしろカウンターを取るためにどうするかを考えるべきでは?スタミナに難がある選手、やはり巧いというのはこのスタミナ不足を補う上で築きあげられたものなのでしょうかね?減量キツイのかな?がっしりしているし。

 左のショートがアッパー気味にはいって残り35秒、一気に試合は决まりました。残り22秒段階で一瞬試合を止めようか審判迷いましたね。自制してました。ここから内山いわく倒れないだろうから、まとめてTKO取ろうと練習していた連打だと。この人毎回プラン通りなんだよなぁ…。恐ろしい子!!!

 去年のホルヘ・ソリスが内山について海外でやったら苦労するわ!なんて捨てぜりふを吐いて負け犬ぶりを露呈したのと対照的に、内山リスペクトをバスケス語っていました。彼のいうようにまだまだ若いバスケスは再び王座に返り咲くことも十分あるでしょう。ガンボア、内山の年齢を考えると再び彼が…ということも十分ありえますね。まだ25、26?だったかな。そういう点ではこの戦いは素晴らしいキャリアを積むことが出来たとも言えますね。

【VSガンボアについて】

 そういやまだボクレコ読んでないや、本人インタビューチェックしないとな。なんかバスケス選手サイドの考察のほうが多かったな…(^ ^;)。なんでこうなったかというと、次回のユリオルキス・ガンボアについて書きたかったから。彼は強い、ドネアみたいにスピード・バネ・バランス・コンビネーション備えた万能型です。

 しかし、内山が勝つ!と断言しておきましょう。身長一六六センチ、リーチ一六五センチのガンボアはやはりリーチ差の壁を超えられないと見ます。その壁実に一六センチ!!!これは内山が階級の壁を思い知らせる戦いになると確信しております(というか内山勝って!(>人<)マジお願い。)ガンボアの長所はその階級の壁に消えると思うからです。ガンボアのアマデヴューはフライ級だと言いますしね。

 もしガンボアが本来の階級で内山とそこまで体格差が開いていなければ、内山でも厳しいかも…とならざるを得なかったでしょうけど、ここまで差があると内山の戦略次第では十分に勝てると見ていいと思います。彼のクレバーな戦いぶり、頭脳からして、ガンボア対策を講じて対処することは十分可能だと思います。

 無論、ガンボアとバスケスはタイプが全く違って参考にならないんですが、体格的にはああいった感じで試合が展開されるということ。内山には迎撃用のショートの左があることを考えてもガンボアと言えどリーチ差を埋めて上下に打つ&同時にディフェンスをこなすというのはかなり難しいと思うからですね。この試合簡単なスウェーでさばいたように、内山がガンボアをさばくのにさらに前後の距離を使ったらまずガンボアは当てることが相当難しくなる気がします。

 ポイントはここ数試合の彼の出来でしょうかね?内山が故障中止を挟んだくらいでほぼ完璧とは対照的に彼は完勝したがダウンした、プロモーターと揉めて一年試合を遠ざかったなど。コンディション的にもどうかな?という気がしますしね。

 ※追記:ナンバー読んだら、内山のジャブは初速が遅い、故にタイミングが取りづらくスピードがないように見えるらしいです。本人も映像見て遅いと感じたそうです。大抵内山と対戦した選手は、内山はスピードがないとコメントして、やったあとで思ったより早かったとコメントすると。あとボディーが見えないとも言うみたいですね。これはボディ打ちの技術の素晴らしさでしょうか?あのボディ食らったら序盤で動けなくなりますから、良い材料ですね。やっぱ勝つでしょう。

【西岡×ドネア戦】

 で、忘れてましたけど西岡×ドネア戦今更見ました。ヤフトピで先に結果見て知ってしまったから見る無くして放置してましたが、あんな感じだったんですね…。いい試合した過程でのKO負けだと思ってましたが、終始ディフェンシブでしたか…。うーん。1・2R学習のため、序盤のドネアが危険すぎるということでガード上げて、捨てていくという選択肢はありだと思いますけども、6Rくらいまであれやってたらダメですよね。

 サウスポーの西岡は右ジャブで右に回ってコントロールする、左の大砲がある西岡はそれでドネアの能力・引き出しを制限できるッッ!だからこそドネアでもわからない!―ってなるとおもってたのに、あれでは…。体格・リーチ差殆ど変わらないんですね、西岡・ドネアはその点やはりガンボア・内山戦は同じ展開にはならないと言えますね。ガンボアって身長井岡と変わらないんですからね。

 あれじゃあドネアがやりたい放題で、西岡が自分の引き出しを狭めてしまっているという真逆、やってはいけないパターン。なんで右に回って外から攻めないのか…?西岡はストライドが広いタイプですが、足が使えないタイプなのでしょうか…?うーん、わからん。右に回りコントロールできるから、ドネアの左の引き出しが狭くなる。しかしドネアの距離詰めの速さから言って、その西岡の位置取りの優位も終始維持できないから、外の取り合い・間合いの詰め合いがポイントでそこのスリリングな駆け引きが面白く展開されると思っていたのに…。

 6Rドネアがフックを打つ身体の回転をしながら、西岡見て途中でアッパーに切り替える。西岡は警戒し過ぎで早めにダッキングしてしまい、そこでカウンターがズドン。自分からパンチ貰いに行く形に。あれを見てうーん、試合完全にコントロールされてしまってるなぁ、と感じました。

 あとローブローなどの審判の注意も西岡が一方的に多くもらっていた。完全に距離を見誤ってミスショットしているからこそ、そういう注意につながっていくわけですね。そこら辺もパンチの警戒のしすぎでバランス、距離感覚が完全におかしくなっていると見ました。完全に戦略ミスのような気がしました。

 ガードを上げて1・2Rの序盤捨てても、3Rからは右のジャブで積極的に外側からパンチを放っていく、スイッチしたり、足を使ったりいろんな工夫するかな?と思ったんですが西岡はそういうことが出来ないタイプなんでしょうか?左の大砲を主軸にしたじっくり型で、そういうことが出来る器用なタイプではなかったんですかね?

 ガード主体で手数が相当少なかったですね。ドネアがのびのびやってしまった。左を痛めていたというドネア、右を警戒して左は多少構わないという選択肢なかったのか?いずれにせよ後半勝負と言ったって、ポイント全部取られちゃえば、あとは勝負する必要ないですから、ドネアは乗ってこないですからね。なんかもうちょっと、相手をビビらせる意外な戦術・引き出しが欲しかったかなぁという感じがしました。

 年齢的に言っても視力が落ちるでしょうし、もう3年くらい彼が若い頃にこういうビッグマッチが見たかったですね。であればまた展開が違ったのかもしれません。つまり他に戦略とりようがなかったのかもしれませんね。今のコンディションでは。いずれにせよ歴史に残るビッグマッチでした。

 ※追記2:同じくナンバーで西岡は2Rアッパーもらった時既にドネアが二人見えると言ってました。つまり目がやられてしまったんですね。うーん、そりゃそうなりますね。6R打ち合いをした時には治ってたらしいですが、やはり年齢か…。ジョニゴン戦の話もありましたが、ステップインしたら左が当たる。やったことないけど二回ステップインしたら当たるなって感じていきなりやったらしいですね。んでKO。本人もなんであんなことが出来たかわからない。二度と出来ないといってました。あれが当たり前にできるとこっちは思ってました。そりゃ厳しいですわな。

 次はベガスかMSGで内山×ガンボアという日本ボクシング史上に残るエキサイティングな試合を見たいと思います。いつ決まるかなぁ~。ガンボア戦

【おまけ井岡VSロマゴン】

 ―ですがどうなりますかね?なんで五回の防衛でロマゴンがスーパー王者に昇格???またWBAの例の病気でしょうか?清水の休養王者みたいに。てっきりWBCがロマゴンで、取りやすいWBAから先に井岡がとったっていう展開だと思ってましたが、ロマゴン格上げの空位挑戦だったんですね。うーん、この(年末大晦日のライトフライ級ね)タイトルマッチ自体、井岡との実力差がありすぎましたからね~。ボクマガみたら、ロマゴンが一階級上げる?という処置でスーパー王者に昇格させたみたいですが、春先に統一戦なのか、それともロマゴンのフライ級王者の試合が先に決まって流れるのか?

 個人的にはIBFWBO解禁となって、スーパーチャンピオンはタイトルコレクターになる時代が始まりますから、他の団体のベルト取り尽くしてキャリア積んだあとで2年後~3年後にフライ級でVSロマゴンって形のほうがいいかと思います。しかしロマゴン意外とちっちゃいんですなぁ。まあミニマム級の選手ですから当り前ですけどね。ロマゴンとしては今のうちに叩いておかないと、フライ級ではかなり厳しいでしょうから、井岡戦優先するでしょうね。

 まあ、そんなこんなで今年は内山・井岡のスーパーマッチをこなすという感じでボクシング界が動いていくんじゃないでしょうか?