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身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

八重樫VS井岡WBA・WBC統一戦の感想

井岡VS八重樫戦予想なんかで試合前にチラッと書いて、日があきましたけどまあ、取り敢えず振り返ってみましょうと。

 TVで見ていたときは、それほど面白いと思わなかったんですけど、もう一度見返してみると結構面白い。

 井岡はパッキャオ意識しているのかな?髭はえて、日焼けしてフィリピン人みたいでしたね。引き分けだと双方王座で、そのまんま。統一しても双方の指名試合をこなすのは不可能なので、そのまま10日以内にベルトを返上するという取り決め。じゃあ何のための統一戦なんだい?って気もしますけどね。

 そういえば、井岡はWBAからスーパー王者認定されるはずだが、この統一戦を最後に階級をあげるはずだから、スーパー王者はどうなるんだろ?階級昇格にスーパー王者ってついてくるわけないよなぁ?そもそも統一戦で勝っても保持しないからスーパー王者にはなれないのかね?あとスーパー王者の防衛戦って王者負けたらどうなるんだ?正規王者が別にいるのに挑戦意味あるのか?

 最後見てなかったですけど、 感動のベルト二本シーンを流さなかったようで。アホですね。すぐ統一王者じゃなくなるんだから、せめてその意義を示すためにリング上で史上初めて統一した二本のベルトを持つシーンを流して、いかに勝者が凄いか!っていうブランド効果をもたせるべきでしょ?どういう構成しているのか?

 辰吉VS薬師寺の世界戦・日本人対決を振り返ってましたね。世紀の一戦再び!ってことで振り返ってましたけど、時間きっちり知らせといて欲しいですよね、毎回のことながら。

 薬師寺が「この試合で殆どクリンチしなかったよね?」って聞いて、辰吉は「男同士で抱き合うのはどうかと思うで」とか、あれ?どうした?どうしたやない、あんたのパンチで切れたんやとか、いちいちやり取りが面白い。

 薬師寺にはマッククリハラという名トレーナー・名参謀がいた。徹底して目を狙って視界を塞ぐ作戦。辰吉はケンカ感覚。下がるとかディフェンスするっていうのがかっこ悪いと思っていたって言ってました。それじゃあ勝てるわけ無いですわな。

 まあ、だからこそ辰吉のボクシングには華があったのですが。辰吉ドランカーかな?ろれつ回らなくなってるなぁ…。最後のほう辰吉さんどうでした?ってアナが尋ねても、舌回ってませんでしたからね。違うところでパンチドランカーだな、こりゃ。もうやらせたらダメだな―ということを確信させる皮肉な結果になってしまいましたね。しかしアイ・オブ・ザ・タイガーってセコンドが叫んでるの笑ってしまったんだがw 

 アナは辰吉がまともに答えないから、話振らなくなってました(笑)。内藤は面白い解説をするんだが、ときたま興奮してわーわーうるさい(笑)。最後のほうずっと、おーおー言いっぱなしで素人みたいでした。

 辰吉とか薬師寺なんて名前を見てると、久々にろくでなしBLUES読みたくなってくるっていうツイート見てメッチャ共感。

 薬師寺vs辰吉、畑山vs坂本は日本人同士の世界戦というだけでなく、両方共一歩も下がらずに殴りあったから、ものすごいインパクトを残した名勝負になった。今回もそれに続く日本人同士の世界戦、それもWBAWBC統一戦という舞台での井岡vs八重樫という名勝負になるかどうか期待したいというのが戦前の感想。

 日本人同士の世界戦は双方歴史に名を残すという意味合いを理解しているから名勝負になりやすいね。薬師寺vs辰吉、畑山vs坂本と比べて、井岡vs八重樫はどうだったか?うーんどうだろ、今回の統一戦は前二戦と比べてそれを上回るという程ではなかったかな?個人的には。いい勝負っちゃそうでしたが、打ち合いが終盤だけで少なかったでしたからね。

 多分ボクマガの記事だったと思うんですけど、

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どっちかちょっとわかりませんが、戦前
八重樫選手が新しいことに着手して肉体改造を行なっていたと。んで、六ヶ月くらい前から身体を作っていたとありました。面白いことに井岡叔父が、世界防衛戦で敗れた時パワーアップを図って失敗して破れているんですね。肉体改造というのは一年越し(一年半だったかも?)でようやく成果を見せるもの。井岡サイドはその時期を見誤って短期間で肉体強化を行ったことによりコンディション調整に失敗して敗れた―と高岡さんが鍛錬の~~シリーズで書いていました。

 皮肉なことにその同じ失敗を八重樫選手が行ったことになります。見事な身体を作っていましたが、半年くらいじゃその成果を十分に発揮することは不可能だったはず。そもこの統一戦が結構急に決まりましたからね。あと一年・半年後の対決だったらどうだったか、非常に興味深い話であります。ライトフライ転向を見越したものであれば、その移行もよりスムーズに行きやすいかもしれませんけどね。

 そして前回の予想で書いたように経験が浅い故にアクシデントに脆い、調整も比較的劣る。そういう予想をしていましたが、やはり前日だったか五日くらい前に扁桃腺が腫れてしまったとありました。

 やはりなぁ、という感じ。もし八重樫選手が万全ならどうなっていたか…。まあそれはさておき、試合内容を見直すと、2Rから八重樫の目が腫れる。井岡の左がスパっと決まってしまう。この時点でああ、もう井岡勝ったなと思ったので、興味が削がれてしまったのでそこまで燃えませんでしたが、あとからyou tubeにあったリングサイドのTVより近いアングルで見ると、早い早い、この迫力ならそりゃあ見応えあったろうなぁ、と感心しました。もっと近いアングルの映像を流せばもっと魅力が伝わると思いますけどね。軽量級は特に。

 後から見ると井岡そんなにリードしていない、コントロールできていないんですね。コントロールするより相手の目を潰すことに意識した結果ならいいんですが、それよりむしろ単に動きが悪い、リズムが掴めなかった。結果コントロールできなかったという印象ですね。序盤は五分か八重樫となってもおかしくないですね。そりゃ。

 思ったより井岡にポイントが行ってなかったのは、やはりキャリアが未熟でペース配分とか、ラウンド終わりにパンチまとめて印象を良くするとか、そういう技術が甘い結果。見せ方次第では井岡のワンサイドになりそうなものなのに。井岡大丈夫か?なんかキレが悪くなったという印象。アクシデントか?階級下で減量苦だからか?

 3Rでもう完全に目が塞がってしまった。細目なんで、見えることは見えたでしょうけど視界はかなり狭かったはずですね。途中見失ってあさっての方向に行っちゃって背中向けちゃいましたから。あそこ後ろから追撃されたら、もうアウトだったでしょうね。

 んで見直すと左ジャブの印象と、元々の体格の差・リーチで圧倒的に上回っている井岡がワンサイドでコントロールして当たり前という先入観があったから、井岡がワンサイドのように見えていたが、見直すとそうでもない。むしろ全然コントロールできていない。なにやっとんねん井岡!

 ボクサーとしてのクオリティ・完成度はむしろ八重樫の方が高かったと見えましたね。動き・パワー・パンチの種類・回転力・総合的なキレなどなど八重樫の方が良かった。だから「なるほど、いい試合だった!」という人に「え~?別にそうでもなかったよ」と答えてしまってましたが、いい試合・互角ではありました。世紀の名勝負というようなお互い欠点の見当たらない高いレベルのぶつかり合い、もう二度と見られないだろう!というものではなかったですが。

 井岡が唯一優っていたと言っていいのは左ジャブ、そしてパンチの伸び。あ、唯一じゃねぇや(^ ^;)。あの左ジャブ、そしてストレート系・まっすぐのパンチの伸びが良かったから直線の距離を支配できて、尽く有利な展開を築けた。まさにリードブローとなりました。

きのこる先生の もう、ゴールしてもいいよね・・・?

 八重樫は写真のようになんか仮面ライダーにでも出てきそうな状態になってしまいました。相当スナッピー・伸びがある左だったということでしょう。まぶたザクロみたいにされちゃいましたね。言おかは対照的に左まぶたちょっと腫れたくらいでしたからね。

 ああだ、こうだという戦術・選択より、一つの武器で勝ってるほうが~って書いたとおりに、やっぱりこういう結果になりましたね。左・距離という一本の槍でゲームが決まってしまった。一階級・二階級上の体格をしている井岡の左・直線系に対処できませんでした。

 佐藤選手が最近世界とって指名で強い相手で大丈夫か!?みたいなこと言われてましたけど、体格がスーパーフライじゃないでしょ?あの人はもう。あんだけリーチあったら、それだけで離れて戦えますから余裕でしょう。

 そういう闘いってのはやっぱりちょっと冷めてしまいますね。そういうものだとは知っていますけど、体重別だけでなく・リーチ・身長もある程度規制を設けないとボクシングになりませんよ。細身が階級落とせばそれでよくなっちゃいますからね。ガツンガツンうちあうボクシングの醍醐味・華のボクサーが不利になりますから。

 対照的に井岡選手は顔が綺麗でしたよね。フック気味・回転力を活かす八重樫に対し、まっすぐ系統の組立をしたセオリーをそのまま発揮した井岡の勝ちというところでしょうかね。威力があるけども、キレない・腫らせない。そもそも真っ直ぐが当てられない。そこが勝負の分かれ目だったかと思います。無論バランスが良かった八重樫選手もストレート系はあったんですけども刺し合いで負けてしまいましたからね。

 6Rくらいかな?井岡選手のエンジンかかってきたのは。調子が掴めてなかったからか、減量からあえて序盤は貯めといたのか?視界を失った八重樫選手の圧力が消えたからなのか?まあここから井岡ターンという感じでした。4Rなんか視界ふさがってきたのに完全に八重樫でしたからね。

 でもいいのを当てて下がらせても井岡がぐらついたり、効いた!ヤバイっていう感じではなかった。そこで一発で展開が全く変わるという可能性が消えましたから。八重樫が優勢なのに、もう無理だろうなという事を感じさせるという不思議な展開になりましたね。

 勝つとしたら汚いことをやること。しかし丁寧に礼をしたり、頭ぶつかって謝ったり、性格がいいのでしょう、彼は。ああいうんじゃ、勝ちはつかめないなぁ。まあこの闘いには卑怯をやって何が何でも勝つより、正々堂々のほうが得られるものは大きいでしょうが。

 頭おっつけてゴリゴリインファイトで相手の長所を潰すようないやらしいことをやる日本人選手って見ませんね(世界線しか見ないニワカですが)。審判に見えないところでおっつけた頭をぶつけにいくとかね。大体エリートだからかな?世界に行くのが。そういう地味な試合に持ち込んだら面白いなぁと思ったんですけどね。まあ、ああいうエリートはそういう泥臭いことまずやらないですよね。

 己だけ喜んで、世の中の90%近い人は嫌うでしょうからね(笑)。もしくはこっそり耳打ちする。クリンチして「アカン目が見えない。止められちゃうから、左目止めて!」とお願いする。脅し気味に「今判定なら俺勝つで!」みたいな感じだと、「やれるもんならやれや!」と逆ギレする可能性がありますが、良い人ベースにして「もっと世紀の闘いをやりたい、こんなに早く終わりたくないよ!僕と契約して魔法~(ry」のように、「協力してもっと長いラウンドやろうよ!ね、お願い」みたいなことをささやいたら面白かったんですけどね~。

 なにせ4Rは互角。長ければ間違い無く井岡が勝つという展開で、早めにレフリーストップで無効・引き分けとか冷めるような展開は絶対避けたいですから。そういうお願いが通用する5Rにぜひささやいて欲しかったんだけどなぁ~(^ ^;)。そういう面白いボクサーなかなか出てこないんだよなぁ。

 9Rは完全に井岡。判定を聞いてこのRだけは足を使って、ポイントとって絶対負けないという勝ちを確定させてから、勝負しようという形になりました。目が見えない八重樫選手にとって、お手上げ状態でしたね。ここで試合は決まったというところ。後はもうお約束のごとく盛り上げ打ち合い。

 12Rまでいい戦い。逆に言うとペース配分という点で両方共失敗したのかも?思ったよりパンチが入らなかったから、双方スタミナ消耗しなかったのかな?井岡は減量苦もありそうだけど。前半もうちょっとギア入れたほうが良かったかもね。まあ序盤様子見はセオリーだけど。

 井岡は階級上げてくれてようやく上に行ってくれて一安心。しかしロマ・ゴンは無理だろうね…。今の感じでは。勝った井岡にむしろ課題が多い、穴が多い展開でしたからね。2・3戦かませとやってライトフライの体を作る、キャリア・経験積むところからですね。

 キャリアが浅いから、今いけるってとこで手を出せなかったり、パンチもらったりというのが目立ちました。特に序盤がまずかった。後半の戦い方を全Rに渡って出来ないと話しにならないでしょう。それでもどうかな?っていう感じですからね。元世界王者orランカーの経験豊富な引退間近で、引き出し多い&巧いロートルとやって、ああこういう戦い方があるのか~という勉強をして欲しいと個人的に思いますね。

 体格的にはフライがちょうどいいのかな?という感じもしますけどね。ライトフライでローマン・ゴンサレスとやるよりはもっとキャリア積んで成長したときにフライでぶつかった方がよりベストかな?って気がしないでも無いです。そういえば検診で身長伸びたって言ってましたしね。

 166センチで、ロマゴンが159センチなるほど結構な差がある。リーチでも7センチくらい井岡が有利なのかな?だったら足使いまくれば勝てるって見込んでるんですかね?新井田はなぜかロマゴンの打ち合いに付き合ってましたからね。なんで足使って強打を捌かなかったのか不思議でしたが。

 んー、ライトフライでもきついような…。ベルト巻いたらさっさとフライに行って、階級あげろ!と挑発して、ロマゴン対決のほうがいいかと思います。あの破壊力はスーパーバンダム位あるんじゃないでしょうか?

 井岡の次の試合はいつになるか発表まだ~。

 んで、対策パンチも不発で、なんやねん!といいたいところですが、八重樫選手はガッティのリスト、むこうのボクシング界の見たい選手ランキングに入る=ショッパイ試合をしない、魅力ある選手に見事にまた入ったということ。統一戦という耳目を集めることより、勝とうが負けようが、人気が命ですからボクサーとしてのなを売ることに成功したので今後はベガスに呼ばれる可能性もあるんじゃないでしょかね?それが狙いだったのかなぁ?八重樫さんの方は。

 八重樫が意外とむこうの興行主に気に入られてあっさりベガスデビューするんじゃないかな?という気がしますがどうなんでしょうね。絶対コケない試合をするボクサーは商品価値が高いと思うんですけどね。

 ※八重樫と五十嵐間違えて書いちゃった。最近試合あったから混同してもうた。なんとなくイメージが近いんだよあなぁ。語感の話だけど。