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【ポイントは投球回!】 北海道ファイターズ、斎藤の開幕投手の是非

読売の高額契約金について書こうと思ったけども、長くなりそうだから短く書けそうなこっちから先に書きます。

 さて絶対的エースというか、日本のエースであったダルビッシュ有が抜けて、その後一体誰が開幕を投げるのか?という話になった時、なんと斎藤佑樹投手が指名されました。オイオイと。己も最初は思いました。なんだ、開幕捨てゲーかよと。1/144でしかないと割りきって、勝てるゲームを拾いに行くぞ!と。

 てっきり己は開幕楽天だと思っていたので、マー君対決で、客寄せ&捨石だと思ってました。したら、開幕西武でしたね(^ ^;)。すんつれーしました。まあそれはさておいて、開幕エース涌井に対して斎藤というのはどうなんだろうと誰もが思ったところ。

 つぶやきでは、史記にあった孫臏の兵法(だったかな?)、上の馬に下の馬を当て、中の馬に上の馬を当て、下の馬に中の馬を当てる。これで競馬レースで絶対に勝てるという方法だ!と。ならばまあ悪くはない、勝利至上主義のドライな選択だろうと。

 これについては反対/批判のほうが強かったのかな?おい!開幕は武田勝やろ!と。なんかそんな声のほうが強かったような気がします(テキトー)。しかしちょっとデータ調べたら、これは間違いなく栗監督の判断が正しいです。開幕斉藤投手以外ありえませんね。むしろかなりセオリーというか、定石と言っていいかと思います。

 ※1ダルビッシュの去年の成績

 【28試合、18勝6敗、防御率1.44】

 だったかな?まあ大体、そんなところだったかと思います。このダルビッシュの残した数字を見て、ダルさんの投球能力は五臓六腑にしみわたるデェ~とか、誰もが思うでしょうけども、ここで重視すべきはこの数字ではないんですね。正直こんな数字どうでもいいんです(良くは無いですけど)。重要な数字は彼の

 ※2ダルビッシュの去年の成績

 【投球回232、完投10】

 ―という数字なんですね。単純計算で144かける9で1296。実際は延長があって、1300を軽く超えるでしょうが、彼が投げたイニングは一人で、全投球回の六分の一近く及んでいるわけですわ。去年はマー君がようやく220イニングを投げて、ダルビッシュ独走を阻みました。が、他のパ球団のエース級でも200イニングどころか、180がやっとというレベルで、エースといってもこの二人にはるか及ばない状況でした。余談ですが、沢村の一年目200イニングというのはこの二人もやっていない事で相当凄いと言えますね。チームを一年目から完全に支えたと言えますんで。

 このダルビッシュの穴というのは勝ち星の貯金ではなく、彼が抜けることで必然的に中継ぎに掛かる負担という要素が大きいんですね。彼がいたから完投によって中継ぎを使う試合が10も少なくて済む。さらにその投球能力の高さから最後の1・2回に投げるだけでよかった。しかし彼が抜けることで、最後の3・4回になってしまう。セットアッパーに掛かる負担が倍増することになります。単純に1ダルビッシュ10勝クラスの先発1人+中継ぎ2人と計算したいところですが、投手陣をやりくりすることを考えると、中継ぎ二人分で収まるかどうか…(もちろんダルは15~20勝ですが、まず最低でも10勝する先発でないと話しにならないという現実的な意味でね。15~20勝クラスの投手なんてそうそう用意できないですからね)。打線がより打って楽にするとか、連投が効く鉄腕がいるとか、勝ち試合・負け試合をはっきり見極める―かつ負け試合で、使えそうな新人を育成するといった要素がないとかなり厳しいでしょう。

 ダルビッシュ一人で済んだ投手陣のやりくり、特に中継ぎ陣の調整を二軍も含めてよっぽど投手コーチがうまくやらない限り、この穴は埋まらないわけですからね。

 監督としては勝ち星とか防御率以前にまず、232イニングを誰が投げるかということを考えなくてはいけない。誰か?まず斉藤投手だろうと。斎藤しかいないでしょうと普通は考えますね。

 日本ハム主要投手陣

ケッペル(29)   14勝6敗    3.22   162

ウルフ(31)    12勝11敗    3.60   154

武田勝(33)    11勝12敗   2.46   160

斎藤佑樹(23)   6勝6敗    2.69   107

吉川光夫(23)   0勝5敗    4,74   38

 糸数・八木は知らない間にどこかへ行ってしまったのか…?去年全く投げていないですなぁ。日ハムは投手王国のイメージがあったが、ぜんぜん違うジャマイカ。

 勝ち負けのあとは、防御率・イニング=投球回です。あと()の数字はもちろん年齢です。注目すべきは斎藤君の107イニングという数字です。彼は己のイメージでは5・6番手、それも6番手ピッチャーで日ハムという強いチームだからこそ、将来性を買われておこぼれで使ってもらっているというモノでした。ところが100イニング消化していたんですねぇ…。全く意外でした。確かに勝った6勝のうち、2つか3つは危ういものでしたが、先発ローテをそこそここなしていたんですねぇ。

 最後のほうではマー君と投げ合って、8~9回近くまで投げていたはず。首脳陣が今年の斎藤に望むのは平均6回も行かない頼りないピッチャーから、7~8回まで投げらてくれる投手というモノ。先発の柱をこなしてくれると期待するのが普通でしょう。欲を言えば貯金を作って欲しいが、それよりはまず、ローテをこなす。座して死ぬような、ゲームを作れないという最悪の状態をなくすことを考えますね。10-10、11-11、また上のウルフ、武田のように、12-11及びその逆レベルになってくれれば恩の字というところでしょう。

 オープン戦の感じだと吉川投手が調子がよさそうで、7~9勝・100イニングラインを越えて、120イニングくらいは投げてくれそうな感があります。ドラフトの新人は中継ぎみたいですね。ということで先発の穴埋めにはならないので、糸数・八木の復活にかけるしかありません。しかし、この二人が復活して働いてそれでダルの穴が埋まると考えるのはあまりにも調子がいい考え。その分誰かが怪我して戦列を離れるのが普通ですからね。

 年齢的なものを考えても、去年実績を残した二年目の斎藤が消化イニングをグッと伸ばしてくれる、成長してチームを支えてくれると考えるのが自然であり、キーでしょうね。ですから吉川か斎藤かで、斎藤!という選択になったと言えましょう。107から、150は当然、180イニング=パのエース級を期待している、欲を言えば200イニング!というのが監督の考えている所ではないでしょうか?

 誰が一番イニングを伸ばしてくれるかという視点に経てば年齢という視点から斎藤が自然でしょう。ですから一番状態良く一年間投げてもらうのに、少しでも調整が早くできる開幕から投げさせるのは自明の理ですね。今シーズンの日ハムは誰がイニングを消化するのか、斎藤・吉川の投球回がどれくらい伸びるのか?

232イニングのうち二人がどれくらい埋めるのか!という視点で見ると面白いかと思います。

 多分栗山監督もこう考えて開幕投手に選択したんだと思いますよ。同じ同姓の巨人のエースだった斎藤雅樹にあやかって、完投してくれ!って言ってましたから。斎藤に期待しているのは完投・投球回と見て間違いないでしょう。

 あと武田だろ!ってのはまずないと思いますよ。というのは、彼は防御率良くて失投がない、コントロールミスしないという素晴らしい投手なんですけど、変則フォームで打ちづらいと同時に、守備側もタイミングを測りづらくて、守りづらいんですよ。だから違う意味で守備の負担がかかって打線が援護できないんじゃないかな?と個人的に思ってます。その可否はさておき、武田さんにするなら、まずケッペルでしょう、去年の貯金からいって。なんでケッペル!ケッペル!って声がないんでしょうね?不思議ですね。

 ※追記:武田勝さんの去年の登板が26で、投球回が168、そして一昨年が25で164。平均を計算すると6.46、6.56で完投はそれぞれわずか3つづつ。ゲームを作るQSなどの能力は高いと思われますが、完投能力は低いと思います。

 ついでにマサルさんの成績を見たら統一球になって、去年1あった完封が0に、被安打・被本塁打がそれぞれ、161→143、12→7と減少してやはり統一球効果があったことを思わせます。まあ相変わらず素晴らしい制球力で年間たった18しか四球出しませんしね。しかし面白いのが、奪三振と失点の数字なんですよね。106が87に、47が51にと数字が悪化しているんですよね。守りづらくて守備の負担がかかると書きましたが、それなら前年に14勝7敗という成績にはならないですよね。

 訂正しますね。思うに統一球で、変化球の曲がりが悪くなって何らかのボールが使えなくなったのではないでしょうか?相手のミスショットでヒットは減ったが、こちらも決め球あるいは投球の幅が狭まって三振がとれなくなった。ここぞという所でとれた三振が取れるケースが減ったゆえの失点増。だから今年の負け数、勝ち星が増えなかった要因かと思います(それが相まって守備のリズムも~ということになるでしょうね)。なにより統一球でも投球回平均が伸びずに後ろをリリーフ任せにせざるを得ないところも大きい要因ではないでしょうか?全体的な投高打低で投球回を伸ばしきれなかったことがマサルさんの課題でしょうか?ということを考えても今年投球回増えて平均7イニングいくかな?とおもいますね。

 逆に言えば、今年使える球を増やして平均イニングを7以上に伸ばせば、すごいよ!!マサルさんとなって、チームを支えることになるわけですね。

 日ハムはダルぬけてもAクラス余裕と思ってましたが、これは投手陣のやりくり相当苦労するでしょうなぁ…。まあ他のチームの戦力見ないとわかりませんけどね。それでも、田中・中田・金子・山賊・糸井・稲葉・陽とか打線がいいですからね。後キャッチャー大野とか守りがしっかりしてますので、他との比較次第ではイケるかも…?後はケガですよねぇ。コンディショニングコーチがどれくらい整備されたか気になるところ。