別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

ヒョードル敗戦 時代の終焉

 ヒョードルが敗れましたね。69秒で初めて一本負けした衝撃以来ですね。イヤ、あれは調子が…コンディションが…。コンディションさえ整ったらまたやってくれるはずだ!そう思っていましたが、今回もヒョードルはダメでした。前回はグラウンドで、今回はスタンドで、こうしてPRIDE出身のファイターがその栄光を失うことで日本の総合格闘技の火も消えるのでしょう。
 よく、UFCメジャーリーグなんていいますけど、別にルールが違いますからね。日本の総合と海外のそれは全くとは言わないまでも別物。野球と違って、日本人偏重はあっても、外人は三人までとかわけの分からない制限や枠は無いので、レベルの差があるとか、そういうわけでもはない。
 重要なのはキャラ立っているファイターがどれだけいるか。別にいままでUFCの選手がいたから、盛り上がったわけではないですし。寝技、立ち技で秀でてたり、柔道とかキックとか全く畑違いの人間がいてぶつかりあうから面白いわけで。UFCみたいに一つの競技ジャンルとして確立してしまうと、却って面白くないと思うんですけどね。競技自体のレベルの高さは上がっても。
 日本の格闘技の裾野が広くて、多くの選手を獲得してこれたからこそ、総合格闘技の隆盛があったといえますが、もうダメかもしれないですね。裾野自体、つまりパイ全体が狭くなっていくのかも。タコツボ化する日本にあって、ああいう何でもあり的な、何が起こるかわからないシステムは非常に貴重で面白かったのに。石井以外目立ったニュースもないですしね。柔道・キック・総合、たまに著名なボクサー・力士・レスラーそういう雑多なジャンルが交わるのがおもしろいのですから。相撲もそうですし、格闘技全体がこういう時代にあってシュリンクしてしまうのでしょう。
 そしてそのきっかけがフジテレビというスポンサーの撤退。寡占テレビのやり方一つ、さじ加減一つで何もかも決まってしまうという偏重にあり。ああ、本当日本のテレビ界全部死なねぇかな…。世界標準で50くらい?少なくても民放20くらいあれば、こんなことにはならなかったでしょうにね…。
 日本のスポーツが巨人放映一つしかなかったこと、そうして成立する興行がプロ野球しかなかったことが象徴的ですよね(相撲があると言われればそうなんでしょうけども)。サッカーもバスケもバレーもテレビ放映あれば変わっていたでしょう。テニスだって卓球だってラグビーだってなんでもいい、テレビでいつでも見られる。そういう環境でスポーツの発展が全然違う。相撲放送なんてそうでしょう。その相撲放送が事実上国民の税金で無批判に継続される。公共の電波を公平に開放するんじゃなくて、利権として作るのがまた腐朽官僚制の典型的現象。開放するのではなく、ちょっとだけ恵んでやるというのが。カースト制度のアンベードガルの話みたいです。カースト制度なくすのではなく、一身分あげてやるよ。だからそれでいいだろ?我慢しろみたいな態度ですね。
 
 あ、ヒョードルの話ね。ヒョードルは前に高岡さんの本で話したぬりかべディレクター。あれがなくなってるんじゃないかな?という印象を受けました。圧力が相手選手アントニオのほうがあった気がします。相手はそこまで強い選手ではないでしょう、全盛期のヒョードルに比べれば。それが常に後手、後手に回ってしまいましたね。体全体の圧力、気がなんか衰えた感じがありました。よってこれまでどんなに不利な状況でも、あっという間に立て直して、良いポジションを取る彼の強さが発揮されなかったーこのように見えました。
 一流の選手ですから、そのテクニックが素晴らしいことは間違いないのですが、別にテクニック自体上手い選手はいくらでもいます。彼の場合グチャグチャっとしたり、こんがらがっている状況で先をとられない。身体の再構成能力が異常に優れている。つまり、その状況をたちどころに認識して、最も優れた行動が取れるわけです。そんなこと考えて出来るわけではなく、細胞レベルで思考できるからこそ可能な芸当でしょう。一流選手は考えてやってませんからね。
 ですから、ヒョードルが下になったり、グラウンドで不利な展開になることがこれまで無かったわけです。唯一藤田が一発当てて、あわや!よもや!なんていう展開があったくらいですからね。ノゲイラにだってミルコにだって、決定的な不利なポジション持ちませんでしたし。それが今回はパウンドもらうわ、肩固め決められかけるわ散々でした。そこまでいかないのがヒョードルの凄さだったわけで。ああなったらだれでもどうしようもないでしょう。というか、一流の選手がああいう展開になるのは昨今珍しい試合であったといえます。
 引退ではなくサンボの大会にまた出るようですが、こういったコンディションでは難しいのではないのでしょうか?寝技でも彼の凄さの身体で感じる能力がなければ。初心に帰ってコマンドサンボからやり直したいということなのでしょうか?

 しかし、八百長でググったら高田戦が出てきましたが、PRIDEも八百長がひどかったですね。八百長というか「つくり」のある試合ですが。純粋なアングル・仕掛け・つくりなら良かったんですが、片八百長(両者ではなく、片方の選手にだけ交渉する)とかはねぇ。許容範囲を超えているでしょう。片八百長って物凄い大変でしょうね。総合なら、事前に両方知っていればともかく、片方だけが試合を作らなくてはならないんですから、相当な実力がないと難しいでしょう。
 相撲の場合、護送船団方式。派閥を作れば、その下のものやら、後輩が支援してくれる。星の貸し借り含めて。結局一匹狼では横綱になれない。八百長を断れば、その派閥から巡業などでかわいがりをうけると。完全にシステムが出来上がっちゃってますからね。今では欧とモンゴル派閥が隆盛だそうで。強いということもあるでしょうけど、その派閥の外に置かれちゃうともう出世するのは大変だということが昨今の海外力士優勢になるんでしょうね。これまで日本人力士がそうやって海外の力士を排除してきたように。そう考えると大麻の件とか、本当は日本人力士の誰かが垂れ込んだんじゃないのか?という気もします。
 そういえば、ホーストの最後の試合で、マフィアに負けろと脅されてボブ・サップが逃げ出したなんてのもありましたね~。ヒョードルの話と関係ないなこれ(^ ^;)。まあそんな思いついたことをだらだら書き連ねて、おしまい。

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