別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【サッカー】 ワールドカップついでにゆるめる重要性 日本代表は世界のトップと比べてゆるんでない

 ワールドカップついでに高岡英夫さんの話でも、ちょうど福祉のために消費税増税の話もあったしね。


 人間は生まれてから死ぬまでに、生命体としてのハフォーマンスを一貫して低下させていく(成長期はまたちょっと違うでしょうが)。優れた人間とそうでない人間は一体なにが違うのか?体格?才能?センスと言われて大体終わる運動論(学術では、~筋が優れているとかそういう話はありますけどね)。ではそのセンスって一体なに?このセンスの正体を、筆者は「身体意識*1という概念で説明し、一流選手の優れたパフォーマンスの説明を行うんですね。

 んで、そういった話は面白いけど、脇において、優れたアスリートなり、武術家なり、この身体意識以前にその土台として、何より「ゆるんでいる*2という事実が挙げられる。筋肉はもちろん、骨、内臓、血管までもがゆるんでいるのである。
 ゆるんでいない人間にハイ・パフォーマンス成し遂げる身体意識は発生しようがないし、出来るわけがない(むしろパフォーマンスを劣化させる悪い身体意識が形成される)。健康になりたければ、まずゆるめ!常日頃から体をぐにゅぐにゅ、べろべろ、だらんだらんにして、体を溶解・融解させる必要がある。

 死体と生きている人間はなにが違うかと言えば、その柔らかさ・硬さにあるのは一目瞭然。老人になると、体が硬くなるのも同じ。老い=硬化、それを防止してやればよい。

 どうして歩くことが健康に良いのか、歩いて体中に血液を循環させること。atsapさんなんか脳の仕組みという本で、脳トレは歩くことである。歩けば自然と脳が活性化する―と説いてましたし、まあ皆さんご存知のことですよね。今更、歩くことの重要性は言うまでもないでしょう。

 しかし、歩くことの一番大事な本義を見落とすと健康に悪い、かえって害になりがちなんですね。ウォーキングとかいって、「がんばって、やるぞ!」みたいな気持ちでやると、かえって身体に悪くなるんです。肩こりも筋肉が固まることで起こる問題ですから、身体の使い方の問題なんです、要は。
 

高岡英夫のゆるウォーク―自然の力を呼び戻す (GAKKEN SPORTS BOOKS)

高岡英夫のゆるウォーク―自然の力を呼び戻す (GAKKEN SPORTS BOOKS)

 

 これなんかで、高岡さんは歩き方を丁寧に説明してます。面白いですよ。ぜひ健康が気になってる方はどうぞ。歩くことによって身体をゆるめる→歩きながらゆるめる。歩くことでゆるんでいく…→∞という好循環をつくることで、身体を作り上げることが重要なんですね。

 特に武道家にとって歩くことの重要性を説いてます。人間、健常人なら、一日一万歩歩く。この膨大な運動、どんな行為よりも行う歩行運動に目を向けずして、あらゆる身体運動家の芸の大成はない。超一流と言われるアスリートは例外なく歩行が美しい。竹原はん、イチローマイケル・ジョーダンタイガー・ウッズetc…。しかし彼らは先天的にこのような運動をマスターした。凡人は当然そんな高度な歩行が出来ない。よって後天的に修得しましょうという話。

サッカー世界一になりたい人だけが読む本

サッカー世界一になりたい人だけが読む本

 

 ―で、サッカーの話がされています。確か最新刊『「ゆるめる」身体学』にもサッカーの話がありましたが、日本代表と世界のトップレベルはいわゆるスポーツテスト的な能力値は全く引けを取らない。しかし実際には、圧倒的なパフォーマンスの違いが発生する。そこに身体意識の差があるのだという話し。おもしろいですよ。特に中田選手が固まってしまっているという指摘なんか、納得しました。ゆるんでいる選手として松井大輔と川口が高い評価がされていました。前回、松井がいればなぁ…。

 世界のサッカー選手のトップは年齢と共に技術も向上しているのに、日本の選手は加齢に従って、成長がストップしてだめになる。それは身体が固まっていくから。また、身体の使い方として何より大きな違いがある。世界のトップは、モモ裏=ハムストリングスを使用しているが、日本代表・日本のトップクラスの選手は、大腿四頭筋・表側を使っている。ブレーキ筋・アクセル筋といった筋肉があって、腿の表がブレーキで、裏がアクセル筋なのに、それを誤用している。運動を根本的に認識し間違えていることにある(当然割合の問題であり、100%どちらかということはあまりない。状態が悪い時には表の割合が強くなるということ。調子の良い時に一時的に物凄い良いパフォーマンスができている時というのは裏中心になっている)。

 もちろんサッカー技術がないと無意味で、それも重要だけど、運動の土台である身体力学をちゃんと知ろうね~という話です。氏の本は80冊くらいあるのかな?大体全部読みましたけど、初期の難しいの以外は面白く読めますからお奨めです。最近相撲の話題続いてますし、相撲もいいですよ。確か『意識のかたち』だった気がします。

 結構、拙ブログの読者様は年齢層が高い方が多いと思うので、取り組んでみてはいかがでしょうか?武道=健康法の面も確かにありますし。もちろんすぐに結果は出ませんけど、己は5年くらいやって、ああ、こういうことかと実感するようになって来ました。面白いですよ。何かスポーツ取り組んでいる人は特に。後、子育てされている方も。幼年期にどういう運動能力を持つかって、人格に大きな影響を与えますからね。

*1:※めんどくさいので、以後括弧省略

*2:同上