別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

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内藤大助、現役続行

 現役続行の内藤大助に第2子! 4月に出産予定

1月31日11時0分配信 オリコン

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100131-00000002-oric-ent

 

 んで、またもう一回書き直しと(´・д・`)。まずはおめでとうございます。

しかし内藤選手はもうボクサーとしてのピークを過ぎているため、復帰には反対です。再戦したとしても勝つ見込みは殆どないでしょうし。彼がボクシング史上に残る名チャンピオンということを認めてもです。

 

 彼が17度防衛した伝説とも言っていいポンサクレックを破った試合を観て、己はこれはすごいボクサーだと思いました。彼の中間距離での空間の作り方は素晴らしいです。あんなことされたら、並みのボクサーはパンチを当てることすらできないでしょう。彼との試合で入場シーンで見せた身体のキレは素晴らしく、心技体充実しているのが手にとるように見えました。

 

 しかし、三度目の清水選手や五度目の熊選手との対戦を見て、かなり危ういなという感じを抱きました。実質三度目の戦いで王座陥落していたとしても、全くおかしくない内容でした。急遽対戦相手が変わったとはいえ、亀田戦前には格下の相手にダウンを喫し、相手の長所をスポイルできないという内容。相手の超ロングからのアッパー一本の戦いに、相手の馬力を殺せず、危うさを感じさせる。かつてチャンピオンと戦った時のような素晴らしさはなく、ピークをもう過ぎたと言わざるをえませんでした。

 

 戦前己の予想は内藤が6:4で勝つと見てました。それでも内藤のキャリアと巧みさで、内藤が試合をコントロールできると思ってました。亀田は強敵とやってないために、翻弄される可能性が高いと思いました。ポイントとして3つ。

 ①内藤が試合当日どの程度の状態であるか。事実試合入場時、あまり身体を動かしませんでした。これで少し大丈夫かな?と思いました。さらに前日の報道で内藤選手は視力が落ちたという報道がなされ、ボクサーにとって視力というのは生命線とも言って良い能力で、その点が影響しなければいいが…と思いました。

 ②どの程度までサウスポー対策がなされているか。前にちらっと書きましたが、サウスポーと戦うとき、格闘技では全く違う競技になると言っても過言ではありません。それほど根本から変わってしまうものなんです(ブルース・リージークンドーなんかは、しっかりその重要性を理解して、殆どの格闘技と異なって右を前に出します)。射角というものを理解していないと、まともに戦うことが出来ないのです。はじめの一歩なんかでサウスポー対策は先に左を振って相手の右を封じるなんてありましたが、全然違います。そんなんでいいんだったら相手も同じことやって、こっちもスポイルされるだろ!そのサウスポーに対する理解と、それ用のパンチを幾つ用意しているのかということですね、要は。

 ③まぁ、言うまでもなくどれだけ引き出しがあるか。ボクシングはパンチの種類四~五種類しかないと思われていますが、実際には遠・中・近距離という距離と、強いパンチから軽いパンチ、速さ重視、威力ではなくスナッピーに打つパンチだったり、タイミングや力の入れ具合で何百種類ものパンチがあります。まぁもちろん、そんないちいちこのパンチがどうとか、こうとか、分類分けして数えたりしませんけど。その引き出しの多さが勝負を分けます。相手を研究して、どのパンチを磨いてくるか、さらに相手がそれに慣れてきたあと中盤・終盤にどんな戦略を立てて、リードブローを生かすかという戦略を立てるかということにボクシングの見所があります。

 

 サウスポーはポンサクレック選手との対戦経験があると言っても、亀田の場合は中距離で戦うポンサクレックと違って遠距離、出入りを使う選手だから、そこにどう対処出来るか。亀田が前後なら、内藤は左右といったタイプの違いがあります。どう自分のペースに持っていくのかが勝敗を分けます。リング入場時の身体のキレが見られなかったこと。そして2Rでの亀田の左をまともに食らった時点=反応できなかった時点で、亀田の勝ちだなと確信しました。リードブロー一つのパンチが勝敗をまさに分ける結果になり、中盤それに右をかぶせようという工夫を見せたものの、やはり対応出来ず、鼻骨骨折というケガも加わって敗れるという結果に終わりました。必死に距離を潰して、自分のペースに持っていこうとしていましたが、いかんせん事態を打破しうるパンチが無く、どうしようもありませんでしたね。内藤選手は遠距離からあさっての方向を向きながらの右のボディ・アッパーを得意としていましたが、それもサウスポー相手では空振ってしまうために、亀田の足をとめることができませんでした。アウトボクサーの、しかもサウスポー相手に有効なパンチが無かったこと、それが全てでしたね。サウスポー相手にはいかに相手の外側に回るか、かつ奥側の手を内から打てるかということにつきます。しかし、徹底した亀田のアウトボクシングでそこに行くまでに至りませんでした。

 

 あの状況からして、再戦して内藤選手があの状況を打破できるとは思えません。そういうパンチがないだろうし、なによりアウトボクサーについていけないでしょう。亀田が成長していくことはあっても、内藤選手はそうではありませんから。差が開くことはあっても縮まることがない以上、よっぽどの名トレーナーによる亀田対策がない限り勝てないでしょう。

 

 本当なら身体を痛めるだけなのでやめなさい―と言いたいところですが、日本のボクシング界の状況では世界チャンピオンになってもそれで一生くっていけないという現実があります。亀田のようにスポンサーが付いていないために、試合をしてもろくにファイトマネーすらもらえません。内藤選手が賃銭交渉をして、金に汚い等という評判がありました。しかし、これはボクシング界という構造の問題です。日本社会が抱えるようにボクシング界も致命的な欠陥を抱えています。世界チャンピオンでもゼニが稼げないのです。どんなプロスポーツでも底辺の人間、活躍できなかった人間の給料が安くスポーツを選ぶ上でリスクが高いという現実があるのですが、ボクシング界はてっぺんでも食えない、その後の人生が安泰でないという異常な現実があります。

 

 己は相撲界も好きではないですが、角界は閉鎖的な体質を帯びているとはいえ、トップクラスはしっかり一生困らない給与が支払われることになっています。十両で月給八十万位もらえますからね。内藤選手は次もう一度やって、どんなに惨めに負けようが、身体を壊そうがやるしかないのです。やらなくては食っていけないんです。たぶん次の一戦で間違いなくスポンサーついて、五千万から一億くらいのファイトマネーが入るでしょう。そんだけあればとりあえず十年くらいなんとかなるでしょうから、彼としてはその後の潰しがないためにやらざるをえないのです。ボクシング界の構造を何とかしない限り、いつかのようにまたチャンピオン零の暗黒期に入ることでしょう。亀田と長谷川いなくなったら、あっという間に火が消えますよ。ボクシングは。

 

 評判の悪い亀田ですが、彼がやっていることはプロスポーツ・興行として全く、疑う余地なく、正しい。彼いなかったらどうなってたかわかりませんよ。ここでも自己改革ができないという日本社会の恐るべき現実がまざまざとあるわけです。 

 

 名チャンピオン内藤があっさり辞めることができない現状。正しいことをやっている人間が貶められる現状。こういう現実がある中では本当にボクシング界の将来は暗澹たる物です。もっと、すっきりして純粋に楽しみたい。そういう環境を作って欲しい。なんなんだろう。日本スポーツ界の現状は。誰が変えてくれるのか…。とりあえず寡占マスコミが崩壊して、スポンサーがもっと多種多様について、毎日テレビでいろんなスポーツが見られるようにならないと日本のスポーツ振興など夢のまた夢でしょうね。