別館、身体論・武術・スポーツのお部屋

身体論・武術・スポーツ関係を分割してこちらで独立して書いてます 野球評論は辛辣に書いてますので苦手な方はご注意下さい。また基本長いので長文が無理な方はお気をつけ下さい

【2016工藤采配批判④】 「継投」概念の欠如が生んだメイ工藤ラマ 

【2016工藤采配批判③】 歴史的V逸の最大の原因は「継投」にあり

➖の続きです。今回も「継投」の話ですね。今年の大逆転劇はメイクドラマとかけてメイ工藤ラマと言われているようで。まあ今後ずっと言われ続けるでしょうね。ダライ・ラマ、パンツェン・ラマ、ソンツェン・ガンポ、工藤ラマですね。

 

栗山も工藤も吉井コーチを放出することで組織を崩壊させた

 吉井理人コーチが中継ぎ陣の酷使を防いでいたというのは単なる推測ではなく、彼が日本ハムを退団した際の理由が、栗山監督との継投を巡っての衝突だったからですね。その年ダルビッシュが抜けても優勝したものの、一年目の新人監督だった栗山は中継ぎをドンドン使っていくマシンガン継投をするタイプの監督でした。そんなことをしていれば投手がどうなるか?両者の思想・方針が根本的に異なるので、自分が身を引くしかないと吉井コーチが退団した過去があるからですね。

 アメブロの彼の過去のブログには、当時の事情が記されています。いわく、中継ぎを準備していなかった・肩を作らせていなかったから怒られたとか。徹底してコンディション重視でリリーフを守ろうとしていたんでしょうね。彼が抜けた翌年、日本ハムが最下位に沈んだことも何ら不思議ではないといえるでしょう。優秀な投手コ
ーチ(現場のNo2・No3に値する)が抜ければ組織は崩壊するに決まってますね。この栗山と全く同じ過ちを工藤は犯したわけですね*1

 

投手ローテ・継投の計算の一例、今年はその計算があったのか?

 去年三連敗をしない、特に同一カードで三連敗をしないという大事なテーマがあり、優勝が決まるまで三連敗は3~4回ほど。同一カードでの3連敗はありませんでした。*2

 ちゃんとした投手起用・継投によって、中継ぎの足を終盤に残しておくという戦略ならば、序盤に連敗が続いてしまうということもありえるはずですが、そこは戦力・打てる選手&守れる選手が揃っているだけあって、回避することに成功していました。

 ところが今年はファイターズとの直接対決で3タテをくらうと、続くオリックスとの対戦で連敗して、4連敗することがありました。またハムに初戦勝って連敗、次のオリのカードで三連敗・3タテされて、続くロッテとの初戦にも破れ6連敗ということもありました。

 一つのカードで3タテされる・3連敗をすると、次のカードで負け越した場合、このように5連敗・6連敗という大型連敗をする危険性が出てくる。そのためにまずは一つのカード・3連戦で絶対に三連敗をしない計算を立てる。最悪の展開でも「1勝2敗」で済むような投手起用の中継ぎの配分を考えるのがひとつのセオリーです。

 そうすると一週間二つのカードで最低「2勝4敗」ということになります。その最低ラインから、どうやってもう1つ2つ勝ちを拾うか計算していく。確か中日の新監督森さんなんかそういう考えだったと思います。要するに大型連敗をするという最悪の前提から逆算をして投手起用を考えていくわけですね。

 まあ基本はこういう形でしょう。勿論こういう方式ではなく、各投手コーチの計算方式があるでしょうから、これが必ず当てはまるとは限りません。最近のペナントは前半は一週間に5試合が普通というパターンですしね。エースや10勝を計算できる先発が出遅れているから、前半は多少の負け覚悟で2勝4敗で計算して、借金を作らないことがメインで3勝3敗を狙っていくなんていうこともあるでしょうしね。チーム状態がマズイから初めからCS狙い、今年は無理をしない・させない。2年目・3年目で勝負をかけて優勝する!なんていう計算から無理をさせない育成中心の起用もあり得るでしょう(滅多にそういうビジョンを持った投手起用をする監督を見かけませんけどね…)。

 三連敗しないという考えで計算するとカードの初戦が非常に重要になる。勝てば3連勝が見えて、負ければ3連敗の可能性が出てくるわけですからね。だからこそ去年はカードの頭を~ということが言われていたわけで。どこのチームもそれは自明なのでカードの頭にいい投手をおいてくる。だから無理せずにカードの真ん中に優秀な投手を置いて、6連戦を最悪●○●●○●で乗り切ろうと考えて先発ローテを組む投手コーチもいるでしょうね。まあこれは、いつものごとくどうでもいい話でしたかね。

 

今年も吉井コーチの計算通りの継投でシーズンが動いた。

 吉井コーチはまず3連敗を避けるという思想に基づいて配分するコーチと見て間違いないでしょう。今年のファイターズは同一カードで三連敗がなかったのを見ても明らかですね。去年・今年と所属するチームが変わって、いきなりタクトをとっても、彼の計算通りにペナントレースを動かせたことになります。

 この2チームはNPB・日本プロ野球界を代表する2チームで元から自力があるチームだということを差し引いても、ここまで完璧に計算どおりにことを進められるのは見事としか言いようがないでしょう。個人的には今日本で一番優秀な投手コーチの称号を与えるべきだと思っています(セリーグを見ていないので、そこら辺少し不安要素がありますが…)。

ファイターズの戦績をチェックしてみると次のようなものでした※引き分け除外
 3月 2勝3敗
 4月 11勝12敗 3・4月計13勝15敗
 5月 13勝9敗
 6月 15勝7敗
 7月 17勝4敗
 8月 14勝12敗
 9月 15勝6敗

 月間で負け越したのは3・4月のみ。ペナントレースでは終盤に強いことが大事だと何度も力説していますが、6~7月の15連勝&5連勝という大型連勝のあとで8月にはちょっと失速していますね。それでも負け越していませんし、まあ9月でちゃんと巻き返しているので誤差として考えてください。

 そして肝心の3連敗は、4月の5~8日、5月の24~27日、8月の28~31日にかけてカードをまたいでの3連敗が3度あるだけですね。同一カードでの3連敗が一度もありませんでした。そのためファイターズは大型連敗をして負けが混んで沈む。チームが「ウチ最近、負けが混んでいるけど大丈夫か…」と不安になることがなかった。歯車が狂ってチーム全体が浮足立つことがなかった。それがウチとファイターズを分けた差ですね。

一方、今年のホークスの戦績を見てみると、
 3月2勝2敗
 4月12勝6敗
 5月18勝5敗
 6月16勝6敗
 7月11勝11敗
 8月11勝14敗
 9・10月13勝10敗

序盤~中盤に突入する6月までの貯金がほとんどであることがわかりますね。6+13+10、6月まで築いた29の貯金を維持しただけのペナントレースでした。まあ、普通のシーズンならば29も貯金を作れば優勝するものですが、そうは問屋がおろさないということになりましたね。

リリーフ崩壊こそ大逆転負けの要因

 そら当たり前ですよね。リリーフ崩壊させてるんですもの。負けないほうが不思議ですよ。むしろアレでどうやって勝てというのか?去年の完璧に近い継投からド素人のようなひどい継投になって我が耳目を疑わざるを得ませんでしたからね、今年は。

 ホークスは救援防御率7年連続一位というDHCランキングのような栄誉を独占していましたが、今年は日2.67 、ソ2.98 、ロ3.35 、西3.42、楽4.46、オ3.98➖となって、とうとう日ハムにその座を奪われてしまいました。前半戦は確か1点台で相当抑えていただけに、いかに後半打ち込まれたかわかる数字ですね。

 

 こちらの記事を参照していただきたいのですが、今年は救援陣で借金9を作ったと。ハムは対照的に貯金13、「こんなところにもV逸の要因が」なんて書かれていますが、むしろそれ以外に何があるというのでしょうか?前半馬鹿みたいにリリーフ使って、その上、リリーフを毎試合のようにブルペンで肩作らせていたって、そんなんでコンディション保てるわけ無いでしょうに。一年本来のパフォーマンスを発揮できるわけないでしょうに…。

 吉村のエラーでサヨナラ負けをした試合がありました。あれでなぜ工藤は守備固めをしなかったのか!という批判もありました。それも最もですが、本質的にはサファテを使いすぎなんですよね。バカみたいに投げさせる・準備させるから、パフォーマンスを落とすんです。秋山時代にも投げたがりのサファテを投げさせまくって同じようなことになっていました。去年のようにサファテの登板をセーブしながらでないと、パフォーマンスが落ちて失敗する確率が上がるというのは当たり前のこと。なぜそれがわからないのか…。

 クローザーは出ればまず間違いなく試合が終わるという絶対感・安心感がなくてはならない。途中から今年のサファテはその絶対感が消えていました。そしてこのように他のリリーフも不安定になって、8月頃に勝利の方程式が機能しなくなった頃、野手陣が浮足立ち始めました。これまでは7回までにリードしていれば、流れ作業のようにゲームを決められたのが、リードしていても勝てるかどうかわからないという状況になってしまった。

 となると守備でもそわそわするもの、勝てるかどうかわからない不安定な状況では流れが来るわけがない、流れが作れない。終盤はチームが勢いに乗るサヨナラ勝ちというものがまったくなかった。リズムが本当におかしくなりました。攻撃面にも影響を与えるからこそ、勝ちパターン継投は絶対的でなければいけない。およそ常勝チームの野球とは思えないペナントでしたね。今年の後半は。その日その日の目先の1試合を勝つのがやっとという展開でしたからね、終盤でも継投陣がしっかりしていて、1点リードしていればウチが有利だ!と着々とゲームを運んでいたハムとはチーム状況がまるで違いましたね。

なぜ、過去の大逆転負けの事例から学ばなかったのか?

 1996年、広島が11.5ゲーム差を巨人にひっくり返されています。このメイクドラマが有名ですが、戦力の乏しいチームや投手陣に不安があるチームはひっくり返されやすいわけですね。カープの主砲、江藤智が打球を顔面に受け骨折で離脱したのが理由としてよく挙げられますが、継投ですよね。当時の広島といえばいつも夏まで強くて、夏になるとピッチャーがバテて負けまくるというチームでしたからね。

 1998年、日本ハムが西武に10ゲーム差をひっくり返されたそうです。この頃見ていないのでわかりませんが、西武はリリーフにデニー橋本武広らが活躍したとのこと。リリーフがいてこその逆転優勝と見ていいでしょう。まだ日ハムが弱い頃というか、パ・リーグ全体を見ても、いてまえ打線やら、ビッグバン打線やら、ダイハード打線やら打撃中心で守備や投手の視点があまりなかった時代のようですね。ですからどのチームも非常に崩れやすかった時代と見ていいでしょう。

 2008年には有名な「Vやねん!」で阪神が巨人に13ゲーム差をひっくり返されました。この一件で岡田監督はどんでん(どんでん返しから)という不名誉なあだ名になるほど見事な大逆転劇でした。巨人は、山口・越智・クルーンの方程式で猛追を図った結果、つまりリリーフの差が命運を分けたわけですね。

 大逆転されたことで迷将のイメージがある岡田監督ですが、彼は04年・07年と二度リーグ制覇をしている。優秀な監督であることは間違いないわけです。その原動力となったのが、JFKと言われる勝利の方程式を確立したことにありました。絶対的なリリーフ3枚で789回を制す。6回を終えて勝っていれば、間違いなく勝てるという必勝パターンを作り出すことで、リーグを二度制覇。球界の常識となる必勝リレーという戦術を生み出したのですから間違いなく優秀でしょう。

 ところが、前述通り大逆転をされてしまった?何故か。それはリリーフ管理・継投の概念がなかったからですね。同じく主砲新井が離脱したから、などと言われますが、問題は一年を通じてリリーフをもたせられなかったこと、JFKのような優秀なリリーフをむちゃくちゃ投げさせまくって数年で方程式を壊してしまったことですね。

 2011年、ヤクルトが中日に10ゲーム差をひっくり返されました。結構新しいので記憶に残っている人も多いかと思います。己もこの頃中日がひっくり返すだろうみたいな話を書いた覚えがあります。そして前年には前半首位を独走していた巨人を8ゲーム差ひっくり返して優勝したこともあって、落合野球・守備重視野球の信奉者になりました。そしてまたしても巨人・ヤクルトは最後迄リリーフをもたせられなかった、「継投」に失敗したからですね。

 96年・98年は古い時代の話なのでまあいいとして、08・10・11年と直近にどれだけゲーム差をつけてもリリーフが崩壊してしまうと、大逆転されてしまう可能性があるということをプロ野球ウォッチャーは学んだわけです。なぜこんな常識を知らないのか?頭が悪い監督ならともかく、頭の良い工藤監督が?中日とは縁が無いとはいえ、愛工大名電・愛知県出身であり、もしかしたら地元つながりでコーチの声がかかる可能性がある中日・落合野球を何故研究していなかったのか?理解に苦しむ所ですね。

 こういうところを見ると、昔見当違いのコメントを秋山ホークス時代にしていて「ペナント、シーズンちゃんと見てるのかな?」と思ったことがありましたが、あまりペナントは見ていなかったのでしょう(監督就任してからは全試合チェックしているようですけどね)。

 話を岡田監督に戻して、リリーフ整備・育成に優秀な監督であれ、起用によって壊してしまう・一年もたせられない。そうなると、大逆転される可能性がある。もし大逆転負けをすれば、監督の評価は急落・失墜する。この危険性を外から勉強して監督の座を狙っている監督候補生達ならば肝に銘じているはずなのですが…。

 この倍以上の文量になったのでとりあえずここまで。また編集し直すかもしれません。続き→【2016工藤采配批判⑤】 指揮官としての人格、自身とチームの認識のズレの問題

アイキャッチ用画像、吉井信奉者になったので吉井さんの画像で

BBM2006 レコードメーカーズ アクティブスターズ No.AS5 吉井理人

*1:言うまでもなく、組織の方針はそのままで、同等でないにせよ抜けた人材に匹敵する新しい人材を連れて来て穴埋した場合はまた別ですけどね。今年の投手コーチは出戻りの田之上氏でしたからね…。

*2:優勝したあとは戦力整備・休養などがあって6連敗などをしましたが、ペナントというゲームの性質上あとの勝敗はどうでもいいので考慮に入れる必要性はありません

二刀流使えなかった?とか、広まらなかったわけとか、片手剣&両手持ちのミックスとか

 二刀流は昔からあったという話 を昔書いたことがありました、それに関係するかどうかはともかく、昔そんなことを書いたこともあったので、興味深い武蔵の二刀流の話をなんとなく書き残しておこうかなと言う気になりました。ツイッターで面白そうなツイを目にして、それで思ったことなんかをメモしただけですが。

 武蔵は実戦で二刀を使わなかったという説があるようですね。巌流島の戦いで、櫂を削った長大な木刀を作ったという話がありますね。吉岡一門くらいですかね?二刀流で戦ったというのは、まあ、その吉岡一門との戦いも殆ど創作だろうという感じのようですが。

 武蔵が二刀で実戦・試合で有名な誰々を破ったという公式記録がないのがそういう説に繋がったのでしょうかね。

 ただ二刀流って真剣で相手が武装した多数という条件で生まれたものなら、通常の一対一の試合形式なら二刀流を用いなくても普通のような気がしますけどね。相手の体格や流派・得意技などで二刀流やったりやらなかったりしただけなのではないですかね?相手も同じ一本同士で試し合いをしてくださいというケースもあったでしょうし。

 秘伝で甲冑バトルをやっていた気がしますけど、鎧兜一式を武装した相手に挑むというのと、何もつけずに木刀や竹刀で勝負するというのはまた違いますよね。完全武装した相手に対して武蔵は二刀流で斬りかかったわけですよね。多分、鎧の隙間を一瞬でスパっとやって仕留める達人技だったと思うのですけど、武装して真剣以外の武器で二刀流ってどうなのかしら?有効な戦法を構築できるのかしら?

 どういう思想の上で形成された武術(剣法?)なのでしょうね?鈍器で鎧を着込んだ相手だろうとも、叩きのめす/ねじ伏せるということなのかしら?うーん、でも日本刀だとそれはないか。すぐ使えなくなっちゃいますしね。

 機動隊的な発想の元の上に構築されているのかな?機動隊員が武装して鈍器を持って、相手をねじ伏せるタイプの実戦に有効なのかな?と思いましたが、違うかしら?

 でも、機動隊なら盾を持つから違うかな?盾って消極的な守備のための道具と思わせて、実は相手をグリグリやって押しつぶすのに良いんですよね。地味な攻撃道具で個人的に大好きなんですけどね。盾武術(剣法?)はもっと流行ってほしいなァ。普段持ち歩くのが大変だけど(笑)。

 二刀流は使えない、武蔵は二刀流使ってない説が意外と根強くあるとのこと。なんでしょね。剣道関係者なのかな―?剣道では二刀流が通じない・ありえない戦術だとはよく言われますからね。自分たちが出来ないことだから、二刀流なんて!!というロジックになるんでしょうかね?

 宮本武蔵だけが突出して有名で他にいろいろな名人・達人の記録がないのが反二刀流論の原因になっているとのこと。二刀流流派は普通に存在するし、日中戦争時代に戦った記録もあるとか。普通に武蔵の二天一流意外にも二刀流が存在することを考えれば、「使えない説」は成立しないのではなかろうか。むしろ武蔵以外の二刀流を研究することにこそ、武蔵の二刀流の凄さがわかりそうで面白そうですよね。

 ※こちら(「二刀流は難しい、普通の人にはできない」という疑問に対する宮本武蔵の回答 - Togetterまとめ)を読んで思ったこと。そういや室町時代は片手剣が主流で、そのあとに両手持ちに変わっていったんだっけか。無二斎も武蔵も、その昔の片手剣スタイルを今に活かした。古流武芸の復興者だったのかもですな。

 二刀流のいい所=片手剣のいい所は、戦場で怪我をおって、片手が使えなくなった場合、応用が効くところでしょうね。武蔵の剣法・兵法って応用範囲というか、念頭に入れてあるもの・視野が広いのでそういうことも考えていそうですよね。

 新しい剣術が登場し、その実力の前に駆逐され衰退し消えかかっていた昔の主流の剣法を復活&革新的に改良させた。考えたことなかったですが、そんな武蔵像も非常に面白いですよね。そういう創作あったらウケそうだな~と思いました。

 片手剣時代の人が両手持ちの新スタイルに勝てなくて、試行錯誤で挑んでもうまく行かなかった。その後に登場した武蔵の二刀流というのは片手剣&両手持ちのいいとこ取りとも考えられますわな。両手持ちならぬ、二本持ちですが。 ただ二刀主体は後発の新しいスタイルなので広まるのが遅れたという話もあるとか。戦乱の世がもっと続いていたら二刀流の広がり方もまた変わったのかもしれませんね。

 平和になって剣術は教養みたいなものになった所ありますしね。幕末に需要が高まって盛り上がったからみんな学んでいたみたいに考えがちですが。また、そもそも江戸からじゃないと全国的に広まらない。武蔵がどんだけ凄かろうが、九州を超えるはずもなかった。まあ中興の祖、武蔵級の達人が更に出てきて、布教しないと無理だったというパターンでしょうね。パウロがいないと広まらないキリスト教的な。

 九州で終わる可能性があったことを考えると、絵とか優れた芸術だったり、五輪の書のようなもので自分の思想を残しておく必要性があったとも考えることが出来るわけですね。五輪の書は藩主に要請されて書いたんだったかどうだったか忘れたけど、まあそういう背景もあったんでしょうね。

 おまけ:両手持ち剣、片手持ち剣の話。日本は両手持ちが普通で世界的には片手持ち剣ばかり。そういわれれば、世界的には武器って大体片手持ちか。日本刀の技術向上で両手持ちが良くなった。逆に他はそうではないとか?槍とか他の武器に片手持ちのほうが応用が効くからなのかな?まあ集団戦術・運用が基本だし、個の破壊力上げてもしょうがないとかそういう感じかしら?それとも防御重視で正中線を相手に晒さないとかかな?

【雑誌】 月刊秘伝 2014年10月号

月刊 秘伝 2014年 10月号 [雑誌]/BABジャパン

「忍術学とは何か?」「リアル忍術修行譚」川上仁一
 忍者特集ですが、興味ないので殆どパスです。忍者修行の話だけ面白かったのでメモ。
 末端、指・足を鍛える。金的を打たれても効かないように睾丸をしまう。肩を外す訓練。手首は細かいことが出来ないリスクがあるので余りやらない。肘は外すメリットがないので外す訓練はやらない。こういう関節外しが縄抜けなどに有効だと。
 忍びこむ時に便がしたくなって、バレたらいけないので、我慢する訓練。土やガラスなどなんでも食べる訓練などをした。
 印に、蝋燭の火を見つめる精神鍛錬法。何メートルにも見えるようになって、火の中に自分がいるように見えるようになる。こうなると「外界」、眼に見えない範囲のものが見えるようになったり、聞こえないものが聞こえるようになると。忍び込んでものを取ってくる訓練もあった。返す時の方が、任務をやり遂げたとなって、緊張が切れているので難しいとか面白い話ですね。


大東流 蒔田修大 心技清榮館に伝わる居合心剣流柔術の理合を解く!“抜かぬ居合"が生む合気とは?
 抜かない居合。柄の角度を上下どちらでも変えるだけで抜けなくなってしまう。柄を取りに来た相手の肘を下から持ち上げるだけで腕が決まるのでそれを防ぐことが出来る。以前取り上げたことがあるので、かぶるのでもう書きませんけど、剣を持ったまま四方投げなど出来る。剣を持って出来るように考えられている。そして氏の考える柔術と合気の違いの話。合気は棒で柄を抑えられていてもかけられる。


増田俊也氏が語る、高専柔道・七帝柔道が生んだ“分け役"と“カメ"の意義とは?高専・七帝柔道百年。
 国際ルールと違うオリジナルルールで生まれる技術、活かされるワザがあるのでこういうの良いですよね。しかしチーム戦のためにカメが必要というのはどうなんですかね?それが社会に出ても役に立つ的な見方には個人的には疑問ですね。まあ、そういう要請が社会にあって、そのための人材育成という物もあっていいと思いますが。武術・武道は本来チーム戦ではないですからね。戦場・戦争だとまた話は違うのでしょうけど。カメという技法を禁止するルールってないんですかね?そういう消極的な戦術・戦法のは本来ルールで禁止するか、ポイント取られるとかにすべきだと思いますけどね。競技の根本思想と反するので禁止した方がいいと思うのですが、競技が成立しなくなっちゃうレベルではないということなのかしら…?まあ全部が全部そうしなくても、そういう思想のもとでやる大会があってしかるべきかと。


ゆる体操には“裏"の存在があった!高岡英夫の漢語由流体操「腰仙揉溶法 8」
 第三法、骨横面滑切法、尾骨と仙骨の間から腰椎まで
滑切面を作る。計七で、第二法の5塊と同じで、七×5で35パターンになる。滑切面は胴体より大きくイメージすること。かつ、骨と骨の間が動くように意識する必要があるので、リアルな骨と骨の間の滑切面を意識すること。
 第四法、骨縦面開割法。寝ながら仙腸関節をさすって開いていく。次は柱や壁の角を使って仙腸関節をこすって開いていく。基本は上下動だが、左右の動きを微妙に入れるのも効果的。次は平面の壁を使い落下の力を利用して仙腸関節を開く。最後はなにもないところで自然落下の力を利用して仙腸関節を開く。もちろん急激にやって痛めることに注意して。膝を曲げるときに腸骨がより落ちるようになるようにすると。
 座談会があり、その中の話で骨に意識を及ぼす話があって、そういえば立つ・歩くに脛骨の意識をもっと効かせられるなということにいまさら思い至りました。コゾコゾふくらはぎをもみほぐして終わってたらアカンがなと…今さら気づきました。


注目連載第2回! 大宮司古神道や武術に通じる“霊術"の世界を明かす!霊術講座「断縄法と武術の技に見る共通法則 」
 
断縄法、手の中に輪を図にあるように作って一気に引く。一箇所に力が急激にかかるようになれば、引っ張るだけでビニール紐はちぎれる。一気に急激な力がかかればちぎれるに決まっていますね、あとはそのやり方・コツ次第だと。ただし失敗のリスクがあるので、やる場合は半分にして脆くしてコツを掴んでからやったほうがいいと。
 コツは緩みをなくすこと。両手取り呼吸投げなどもそう。緩みをなくしてかけるのがコツ。舟漕ぎ運動で腰を後ろに引き、両手の緩みがなくなった時に両手を腰の方に引けば受けの身体は自然と前方についてくる。藤平氏は帯の例えで説明して緩みがあると伸ばした瞬間に相手に察知されるとしている。せっかく技に入っているのに緩みがあるから相手が体勢を立てなおしてしまう。自分、そして相手の腕の緩みを消して片手を引くと相手は勝手に倒れる。手首を引くという意識ではなく、相手の背後にいる霊魂でも引き寄せるつもりでやるといいとのこと。
 意念・意識をどうするかが非常に重要なファクターだというのは言うまでもないですけど、実際に丹田・軸を自分の体内外に延長させて何かをするというのはあまり意識してやっていないなぁ、そういえば。竹田二男氏の想いの力という話がこの後にありますが、相手に届かせるということも意識しないとダメですわな。対人稽古やってないからどうしようもないんですけどね。自分の軸、丹田ということに意識はあっても相手のそれというのはもっと意識してもいいかもしれない。そりゃ殆どの人にはないのでしょうけど、あると仮定して相手を見る・捉えるというのは日頃できることなのでは?とふと思いました。


南半球に伝えられた日本柔術の技と精神豪州紀行 赤道を越えた日本柔術 扱心流柔術
 という流派があるという紹介ですね。肥後三大道場と言われた流派で、木村政彦氏の師匠牛島辰熊さんの流派だとか。
扱心流江口吉太夫が熊本に入った時に、領主(藩主じゃないのかな?)細川公に不意打ちを仕掛けられ、投げられた後に、どうして投げられてしまったのか?と尋ねられて、「躰術とは敵の死命を制することであり投げられることを防ぐにあらず。あいての襟首をご覧あれ」と返す。そして相手の襟首には脇差しの笄が刺さっていたというエピソードがいいですね。彼は久留米の名家蒲池氏で、松田聖子がその子孫なんだとか。日本では絶えてしまっている流派が豪で稽古が行われているというのが面白いですね。


えっ、観てない? TV放映後話題騒然、あの戦いを! 研心会館 横山和正異種武器術トーナメントから見えたもの
 水曜日のダウンタウンに横山氏が出演してたんですね。知りませんでした。バラエティだから武道をバカにする造りにならないか心配だったが、そうにならなかったと。鎖鎌が相手の武器に引っ掛けたのを上手く有効出来なかったのが残念だと。当然武器術は歩法・位置取り、有利な位置をいかに確保するかに尽きる。安全性確保のために、柔らかい・軽い素材でぶっつけ本番のような形になってしまったのは残念。まあ武道修行の場であるが故の一テストにすぎない、勝敗に拘るべきものでもないので構わない。試合・競技の弊害にきっちり触れてあるのがいいですね。


藤本靖動きのホームポジション
 均等なビニール意識を持ち続けるのは難しいという話。Airという感覚のコード、360度全方向の風の流れを意識すると良い。このAirをより意識しやすくするために自分が今いる部屋の6面を意識すると良い。6面体の中にいるということでニュートラルな皮膚感覚が保てる。丹田・軸また大腰筋など特定の部位を意識すると、動くたびに意識しているものが変わってしまうので感覚をつかみにくい。6面体の中でホームの意識が作られる。自分が受け入れられている、皮膚感覚も空間認識も良くなる。逆の感覚がアウェイ。アウェイという本来のパフォーマンスが発揮できない環境をホームに出来る人が本番に強い人。馴染み深い自分の部屋で6面体を意識しやすいが、新鮮さに欠ける。そのためAirの感覚を加えるといい。6面体が静で、Airが動。
 OIのアプローチによって、大腰筋がどう動くかなどを知っておくのは必要。ただそうすると部位認識だけに終わる。筋膜、全体のつながりのためにIOが必要。呼吸が基本だが、緊張が強い人などは随意的にコントロールできない血流を意識するのがいい。自発的な反応だから。横隔膜・心臓から深層の筋膜、そして表層の筋膜という流れ。
 他者・外の世界との距離感のために竹ひごを使うというのがあります、以前も藤本さんはこの竹ひごの話を紹介していたと思います。これってヒモトレだったり、刀禅と同じ発想なんじゃないでしょうかね?推手なんかも、全部同じ発想ぽいですね。

竜王戦 将棋の不正疑惑、不正の証拠なし

 <将棋>三浦九段のソフト使用疑惑「不正の証拠ない」
 <将棋>三浦九段の承諾なく出演取りやめ 新春イベント
 疑惑が晴れた「将棋のソフト不正問題」と将棋連盟に対して望むこと

 将棋の不正疑惑問題について、結局確たる証拠はなく、疑いのまま終わったようですね。しかし、気になるのは三浦氏がPC・スマホを提出したというのなら、解析されたら一発で不正をしたかどうかわかると思うのですが、それでも疑問が残るのでしょうか?どんなソフトを使っても解析できないという特殊なソフトを使ったとか、データ消去が行われていたとかそういうわけでもないでしょうに。

 疑惑で対戦を休みますという経緯でなんでやらなかったの?やましい所があるんじゃないか?という指摘もあると思いますが、大事な一戦で変な疑いをかけられてしかも世間の注目を集めたら、コンディションを保つのは大変だと思いますね。スポーツと違うとは言え、一瞬で何万通りの手を考えて判断しないといけない。相当神経使うと思いますから、ゴタゴタがあって精神的に動揺してしまったら、真剣勝負の場には望めないでしょう。

 渡辺竜王がソフトと指し手が一致していると指摘したことが問題の発端ですが、他の棋士いわく普通の手。だとしたらそんなに神経質になってタイトル戦中止!とすべきことだったのでしょうか?

 シロクロはっきりさせたいのなら、それこそこっそり竜王戦タイトル戦をやっているさなかに離席する三浦氏を監視していれば疑惑が真実かどうかはっきりわかったと思いますが。

 将棋界・棋士という者は選ばれた特別な者達、その神聖な棋士から不祥事で追放など醜聞があってはならないということなのでしょうか?最悪の事態を想定して、三浦氏が不正をしていたとしても大丈夫なように事を済ませたということなのでしょうか?

 まあどちらかというとリンク中にあるように第三者が関与していない身内による組織運営であるために、保身第一の事勿れ主義でなあなあ判決で終わったという感じですかね。

 メディア対応も未だにこういうやり方なのか…というもの。それならば変な天下りは論外として、運営・管理は違う組織に任せて自動的に行われるような形にしたほうが良いのでは?という気がしますが。そういえば将棋界も徒弟制でしたっけか。やはり変化を嫌う性質が強いのでしょうか?

 しかし会長が「疑いが晴れた」という形でしっかり謝罪したのは良かったと思います。高架下に飛び降りた社員を責めるようなトップと違い、こういうときに守るという姿勢を見せることは大事かと思います。

 そういえば、文春に疑惑追求みたいのが書かれていたのでしたっけ?それより先行して処分をしたかったという話がありましたが、それは理由としてどうなのでしょうか?疑われたからタイトル戦中止なんてことやっていたら、その都度中止しなくてはならなくなってしまうのでは?

 本人の同意なしにイベント参加が中止になっていたなど、色々おかしなことになっているみたいですが、正常化というプロセスでも問題がありそうですね。

 そもそもスマホを対局中に持ち込まなければいいだけだと思いますが、棋士の反対があって実現していないとか。対局中でもスマホで録画の確認とか株価のチェックとか色々やる人が多いということなのでしょうか?

 まあ使用や退出自由にして、その代わり監視カメラのようなものでも設置して録画・検証可能にするという取調可視化の導入を将棋界が先んじて行うという手もありますね。棋士達の妙手で無言のプレッシャーをかけるのも一興かと。

 シロクロはっきりではないですが、シロクロといえば囲碁囲碁界でもネットで凄い打ち手=ソフトが出てきたとか。セオリーを度外視した指し手で囲碁にまだ未知なる可能性が!何ていう話を聞きましたけど、ソフトによってまるで異なった新しいセオリーが出てくるとすると凄い話ですね。コンピューターが人の手を超えて新セオリーを作る初めての例になるかもしれないですね。

【2016工藤采配批判③】 歴史的V逸の最大の原因は「継投」にあり

【2016工藤采配批判①】 元エース投手故のリード・守備軽視≒攻撃重視

【2016工藤采配批判1.5】 見当外れな打順批判、固定的起用は好ましくない

【2016工藤采配批判②】 李大浩の穴は存在しない。李大浩がいる前提の野球をしているだけ

―の続き、第三弾になります。本題は「実は継投の概念を理解していなかった工藤監督・ヨシコーチ」のところになりますので、初見だけど長い前フリめんどくせーよ、うっとーしいわ!という方はそちらからどうぞご覧ください。

「去年の工藤公康」は間違いなく名将だった

 どうせまた無茶苦茶長くなるので、新PCでサクサク環境で書きたいと思っていてあと伸ばしにしていましたが、マザーボード云々で一向に完成する気配がないので、今書くことにしました。今年の工藤采配の最大の問題継投についてです。

 以前、というか去年頃ですかね?「工藤公康は間違いなく名将である」*1という記事を書きました。名将というか、間違いなく史上最高の監督は誰か?という話題になった時に、必ず名前が上がる監督になるだろうと思っていました。ですから、もう3・4連覇するのは間違いない。5・6連覇は主力の衰え、他チームの状況や海外FAなども色々関わってくるのでちょっと不透明になるだろうなとは思っていましたが、それも適切な手をちゃんと打って対処をすれば、場合・状況によっては十分狙えると見ていました。


 このチームの問題はフロントもさることながら、優秀な監督がいないこと。そしてOBと元西武のコネだらけで組織される偏ったコーチ陣にある(藤井さんのようにちゃんと実力・能力で取ってくることもありますけどね)。優秀な監督とプラスαとしてのサポートするコーチ、優秀な指導者・コーチが加わりさえすれば、もとより選手層が厚くて優秀な人材が揃っているわけですから、そこのウィークポイントさえ改善されれば、間違いなく最強チームの誕生・黄金時代が幕を開ける事になると見ていました。

 去年、かなりシーズン最初の方から、「ああ工藤はやっぱり優秀だなぁ。わかっているなぁ」と思っていました。李大浩を起用し続けたり、盗塁させなかったり、疑問に思わないこともなかったのですが、それでも彼は優秀。絶対大丈夫だろうと考えた理由は、その優れた投手起用・継投にありました。

 2015年ホークスの継投は全てが全てではありませんでしたが*2、工藤政権になってから、目先の勝利のために、その時状態のいい中継ぎを無闇矢鱈につぎ込むマシンガン継投がなくなったからでした。

継投を制すものはペナントを制す。マシンガン継投はチームの崩壊を招く

 マシンガン打線が一つの理想であるならば、マシンガン継投は真逆に存在する最悪の采配の一つ。先発投手というのは毎試合大体、100~120球を目安に投げるものですが、一回15球目安と考えて、7回を終わる頃にちょうど交代の時期が来る。当然、その目安で先発が7回まで投げきってくれることはそんなにあるわけではありません。

 6回を終わったら、先発が110球くらい投げてしまっているというのはよくある話。ここで7回からリリーフにスイッチだと考えるのが現代野球の常識ですが、毎試合・毎試合、先発を6回で降ろしてしまえば7・8・9回に投げる勝利の方程式をいつも使うことになってしまう。そんなことをやってしまえば、当然セット・アッパー&クローザー=大事な勝利の方程式は、一年コンディションを維持できなくなる

 先発は立ち上がりとスタミナが切れた100球以後に失点する確率が上がるもの。6回・7回に失点することが多いという先発投手は枚挙に暇がないわけですね。当然、使う監督・起用を決める投手コーチにしてみれば、失点リスクを減らして勝利する確率を上げるために先発を早く降ろしたがる。さっさと勝利の方程式・勝ちパターンに移行して、流れ作業のように勝ちを決めてしまいたい・確実なものにしてしまいたがるわけですね。

 しかし、繰り返しになりますが、その目先の試合はそれでよくても、一年というロングスパン、ペナントレースの長さを考えれば、大問題。8月・9月という勝負を決める山場になって、勝利の方程式が調子を落として、同点・逆転されるということになってしまう。そうなると残り30~40試合という段階で、最低~勝して、貯金を大体いくつ作れるから、このゲーム差で逃げ切れる。また追いついて首位を奪えるという計算が立たなくなってしまう。

 だからこそ、どの試合のどの先発で、今日の誰々なら130球まで投げさせても7回を抑えてくれる!と、計算して点を失うリスクを覚悟して、続投を決断しなくてはならないわけです。

 ペナントレースというのは終盤の勝率が高ければ高いほど制しやすいのですから、逆算して、序盤は(当然中盤もなるべく)極力勝利の方程式を使わないことが重要になります。オセロで言ったら、最初に石を多く取ってしまうと置く場所がなくなって不利になるから、序盤はむしろ極力石を取らないようにゲームを進めるというのがセオリーになっているようなもんですね。

 去年、どこかでよそのファンの方から「ホークスは優秀なリリーフがたくさんいるのに、工藤って中継ぎあんま使わないようにみえるけど、なんで使わないの?」と質問されたことがありました(別に己をご指名したわけではないんですけどね)。それに対して「中継ぎを早いうちからアホみたいに使っちゃうと一年持たなくなっちゃうからだよ。去年のオリックスが今ボロボロになってるでしょ?むしろ序盤はこれが普通なんだよ」と応えて、「ああ、そうなんだ。なるほど」みたいなやり取りをしたことがありました。

 2015年のオリックスの序盤からの超低迷を例にあげれば一目瞭然ですね(その翌年の2016年も序盤はかなり負けが込みましたし)。前年最後まで優勝争いをしたオリックスがその次の2015年にどうなったかを見れば言わずもがなですね。一年というスパンでもそうですし、その後の来年・再来年という3年先を考えてもリリーフが崩壊してしまうような継投(マシンガン継投)はしてはいけない。タブーなわけです。

2015の継投はセオリー通りだったが…

 2015年のホークスの継投が完璧だと見なしたのは、記憶だけで具体的なデータを調べていないので定かではありませんが、とにかくリリーフの負担が高まる連投というものをさせなかったからですね。*3

 昔書きましたが、勝利よりも武田の成長のために負け覚悟で引っ張った試合がありました、工藤監督は「今日はサファテが3連投になるから使えなかった。最初からサファテを使うことを考えていなかった。だから武田を続投させた」というようなコメントをしていて、序盤でクローザーを酷使しない。一年をきっちり見据えて戦うビジョンを示していました。だからあの武田続投で逆転負けした試合で、工藤采配は素晴らしい!流石工藤!中継ぎのコンディション管理の重要性をよくわかっている!と唸りました。

 武田の球威・コントロールが落ちて、打たれる確率・逆転負けの確率が高くなっても、シーズン終盤のためにリリーフの連投を避ける継投を優先した。この継投をずっとやってほしかっただけに、「ようやく…ようやく…来たか!まともな継投をする監督が!!」と欣喜雀躍したのも懐かしい思い出です。愛する息子が出征して、死ぬ確率が高い戦地に送られたけれども、無事帰還してくれた時の母親の心境になりましたね(例えが伝わらないかな(^ ^;) )。

2014年までのホークスの継投と言えば、中継ぎ使い潰し継投

 秋山政権時代の継投には、一つの特徴があって、①勝利の方程式を作る。②勝利の方程式をとにかく使う。③そのために先発よりも中継ぎに人材を配分する。という特徴がありました。結果言うまでもなく、④その時状態がいい中継ぎを隙あらば投げさせて、挙句壊す―ということになります。

 「あれ?去年リリーフで良かった誰々は今年どうしたの?」という話がよく話題になると思います。特に、そのチームのファンでない人間がよそのチームを見た時によくありますね。リリーフは毎年毎年安定して数字を残し続けることは稀。山口・岩瀬といった存在は本当に珍しい(だからこそ賞賛されるわけですけれども)。

 そういう傾向がある役割なのですから、彼らの選手寿命のために投手コーチは何をすべきかと言えば、負担がかからない起用ですよね?そしてその配慮をした上で勝つということ
(このことを拙定義で「継投」としています)ペナントレースをやっている以上、優勝が最終目的ですから当然勝たなくてはいけません。

 勝つためにリリーフの酷使は仕方ないとするのは、10年に1度くらいしか優勝できない万年Bクラスのチームがやることであって、毎年優勝争いをするホークスのようなチームにとっては誰か一人に過剰に負担をかけて、優勝のための犠牲にしてまで勝とうなんて考えることはあるまじきこと。

 とにかくその時その時優秀な投手をつぎ込んでいく、なんていうのは采配・継投とはいえません。その年に優秀なリリーフを選び出して、その一人に任せてあとは壊れようがどうか知ったことではないなんて、無責任にもほどがありますし、なおかつそれで勝てることは少ない。

 それで序盤にいくら勝っても終盤に負けが込むようであれば、わからなくなる。2014年がそうでしたよね?優勝争いをした相手、オリックス高山投手コーチで、ウチでマシンガン継投をやっていた人でした。序盤からリリーフを惜しげもなくつぎ込んでいたオリックスは、やはり終盤リリーフが崩壊しました。もし高山投手コーチに継投の概念があれば、ウチは間違いなくまくられて、負けていたでしょうね。

毎年のように消えていく犠牲となった中継ぎ投手達…

 秋山政権で何人の投手が投げられなくなったか?甲藤・藤岡・馬原・嘉弥真…まあ秋山采配のせいというより、三瀬・神内・柳瀬など王政権時代の方の酷使が祟っている選手もいるでしょう。馬原は抑えなのに9回から12回まで投げさせられたといいますし…。千賀が連投に次ぐ連投の挙句、故障して一軍を拒否したのも懐かしい話ですね。同じシーズンでは、今年花開いた岩嵜も同じく序盤は良かったものの、千賀同様結構なペースで投げさせられて、結果終盤には機能しなくなり、その後しばらく一軍マウンドから遠ざかっていましたしね。

 マシンガン継投のハシリとなった、SBMの中心といえば摂津。摂津が二年連続70試合投げていた、しかもイニングマタギありで年間登板イニングは79回と82回。何を考えているかわからない継投・球団と言われてもしょうがないでしょう。継投の役割分担の概念がないなんて、それでどうやってビジョンを形成するのか問い詰めてみたいものです。

 今年の森の数字は、去年・一昨年と比べて数字が落ちました。良くない内容で彼が叩かれるのを何回か目にしましたが、デビューの年に「とにかく困ったら森」状態で投げさせられたら、劣化するのは当然でしょう。プロの環境にまだ慣れてないルーキーが投げさせられまくっていたことを考慮すると*4、むしろ嘉弥真のように何故二軍暮らしになっていないのか不思議なレベルですね。森を叩くのは筋違いな気がします。仮に叩くとするなら一年目の無茶な使い方とセットにしなければ筋が通らないでしょう。

「秋山政権の負の遺産」を乗り越える2015の工藤継投

 今年の工藤采配を叩きたいがあまりに「秋山政権の遺産」という言葉を使う人を何回か見ましたけど、「秋山政権の負の遺産―先発育成失敗&中継ぎ壊しまくりはどこへいってしまったのでしょうか?そういえば病気明けの大隣を2014で酷使する、大隣頼みの終盤&ポストシーズンというのもありましたね…。

 若手育成の放棄、特に捕手など負のツケがあるのに、秋山監督を過度に持ち上げる姿勢には疑問を通り越して都合のいいところだけを見ているとしか言えないでしょう。次の監督になったら「工藤政権の遺産」と言い出して、次の監督を叩く気がしますね。

 とまあ、秋山政権の無思慮・無配慮な中継ぎ酷使とは違い、2015の工藤政権・工藤采配では、中継ぎ管理が徹底していた。故に一年間最後まで勝利の方程式は余力を残して、本来の実力を発揮し続けてくれた。彼らが投げていて、不安になることなんて本当になかったですからね。前半バリオスが活躍して、オールスター以後不安定になって、バリオス使って大丈夫か?くらいでしたかね?継投で不安に感じたのは?

 投手出身の監督は傲慢なため失敗しやすいというのは杞憂でしかない。工藤の完璧な投手管理・継投を見ていれば、工藤が素晴らしい名将であることは一目瞭然ではないか?何故世の野球評論家、野球ウオッチャーはこのことを評価しないのか?理解できませんでした。

 それがまあ去年から今年にかけての秋山→工藤政権の感想ですね。似たような話は以前から書いてるので、まあおさらい・前回までのあらすじみたいなもんですね。

実は「継投」の概念を理解していなかった工藤・ヨシコーチ

 それはさておいて、本題。「ここで書いたように、おんどれが工藤公康が優秀だ、名将だと言うなら何故馬鹿みたいに今年11.5ゲーム差も開いた大差をひっくり返されたんだ?リリーフが崩壊したんだ?工藤が名将だなんて、いい加減なこと抜かすな」ということになってくるかと思います。

 その答えは実に簡単でして、非常にたったひとつのシンプルな答えです。工藤公康は継投に関する理解は実はなかった。佐藤義則ことヨシコーチにもなかった。吉井理人ことリトコーチ唯一人、「継投」の概念があった・重要性を理解していた。吉井こそが優秀なコーチだったわけですね。さすリトさんですね。去年の素晴らしい継投、中継ぎの酷使を止めていたのは吉井コーチであって、工藤・ヨシコーチは継投の重要性を理解していなかったと考えるべきでしょう。今年の暴挙というべき継投を見ていると。

 現役時代から優れた数字を残した三人の名投手は、名投手であるが故に三人共継投の重要性を理解している。そう考えていました。ところがそうではなかったんですね。継投の重要性を理解していたのは吉井コーチだけだった。吉井理人ただ一人だった。その彼が消えたらあっという間にホークスの悪しき伝統のマシンガン継投・中継ぎ使い潰しスタイルに戻ってしまった。今年の8月からのリリーフ陣崩壊・勝利の方程式の崩壊は、そういう理由によるものですね。

 楽天ファンの方が、ヨシコーチは先発大好きおじさんで、隙あらば先発を育てようとする。日本ハム時代から、大エースを一人育てるけれども、そのエース以外は目立った功績を残せないという評判が定着しているよ―と教えられたことがありました。個人的に、それはファイターズやイーグルスというチーム事情によるものだろう。ホークスなら戦力的に余裕があるから、そんなことにはならないだろうと思っていて、実際2015年のシーズンを見てやっぱりねと安心していました。

 また、何かの野球ニュースを見ていた時、ヤフコメに「ホークスファン、騙されるなよ。佐藤義則は、時代遅れの中継ぎ軽視のクソ野郎だから、いずれ痛い目見るぞ」というコメントが有りました。表現が汚いので、いつものヤフコメのアレだろうと思ってスルーしていましたが、ヨシコーチは継投・中継ぎを軽視するというのは当たっていたようですね。今年を見てそう思いました。

 思い返せば、2013だったかの楽天日本一の年は、打線と守備で勝って中継ぎは機能していなかった。最後に田中がクローザーをやっていたことを考えれば、ヨシコーチというのは中継ぎ・リリーフ整備が出来ないコーチなのでしょうね。ダルビッシュ田中将大といった日本屈指の投手を育てることに貢献しているので、裏方として、育成に専念させるのが最適な人材とみなすべきでしょう。一軍で投手起用・戦略や戦術といった采配には不向きな人材とみるべきですね。*5

 CSで武田がエラーをした際に、マウンドに行って一度落ち着かせるべきだという失念しましたがどなたか野球評論家の記事を見ましたが、そのとおりだと思いましたね(西本聖さんだったかな?と思ってググったらやっぱり西本さんの記事でしたね)。吉井コーチが高山投手コーチはマウンドに行って間をとる・タイミングを開けるのが見ていて巧いなぁという話をホークス戦の解説でしたことがありましたけど、ヨシコーチがマウンドに行って良い結果になる、間のとり方が巧いという印象はまるでないですね。今年の継投はおかしかったので、特にえ?なんで今マウンド行くの?というシーンが目立ったということもあるでしょうけど。

どうした工藤公康。一体何のための投手出身監督だ

 同じく、工藤公康も投手育成は巧い。長年くすぶっていた岩嵜・東浜といった1.5軍の人材を秋季キャンプなどから見事一本立ちさせた。チームの主力にまで鍛え上げた。その手腕は絶賛されるべきでしょう。

 ただ、終盤の起用法・3回や4回という早いイニングでランナーためたから東浜降板とか、隙あらば岩嵜継投とか、ああいう常識では考えられない起用をすることからも、投手継投・起用を考えることには向いていないと考えるのが自然でしょう。今年のちょっと打ち込まれたら先発を降ろす継投は、怒りを通り越して恐怖を感じるレベルでしたからね。さまぁ~ず大竹のごとく、「うわ~何!怖い怖い怖い怖い」と叫ぶレベルですね。

 早い段階で先発を代えたら、残りの5イニング・6イニング計算がたたない。同点延長になった場合どうするのか?3連戦・6連戦でリリーフどうやりくりするのか?ロングリリーフというポジションはいつでも行けるようにしておくが、その分投げなくても負担がかかる。そしてWBCのような短期決戦で第二先発が重要と言われるように、いつ投げるかわからない、どこが出番がわからないというのは非常に難しいと言われる。ペナントを見ていても、危険球やアクシデントで先発が早い段階で降板する時は、ロングリリーフは打ち込まれる可能性が高い。仮にロングリリーフを使うのならば2回2/3など投げる中で2失点はするものと計算しなくてはならない。

 楽天戦で東浜が満塁のピンチで3回か4回に飯田にスイッチして、飯田がパスボールかワイルドピッチで点を与えてしまっていましたが、ああいうことはむしろ当然。ああいうことをやっていれば先発の東浜・ロングリリーフの飯田のやってしまったという負の意識を生むだけ。ナンセンス以外の何物でもない継投の決断でしたね。

 投手出身なのに継投の重要性がわかっていないというのは、まるで考えられないことで、思考の盲点を突かれましたね。その発想はありませんでした。頭の悪い監督ならともかく、工藤公康は頭がいい。彼の書いてある本を読むと野球に対する情熱、研究熱心な姿勢が見えるので、野球についていろいろ考えている・研究している。ペナントレースのセオリーである継投の概念・重要性を知らないということは想定していませんでした。その発想は本当になかったので、継投がおかしくなった中盤以降は、軽いパニックになりましたね。一体チームに何が起こっているんだ?どういうことなんだ?と不思議でしょうがありませんでした。*6

 今更なのですが、工藤公康の著書を見ると、

工藤公康 粗食は最強の体をつくる!
40歳から進化する心と体 (青春新書インテリジェンス)/青春出版社
DVDでマスター 工藤公康のピッチング・バイブル/カンゼン
ピッチャー視点で“観戦力”を高める 工藤公康のピッチングノート/カンゼン
工藤公康の野球のススメ【DVD付】/朝日新聞出版


 ―とまあ適当にピックアップしましたが、こんなような著作が続いていまして、彼の著作というのは、プロ野球・ペナントというのは~という野球論ではなく、ピッチャーとして、アスリートとしていかにあるべきか?どうやったら成長できるのかという技術論ばかりなんですね。投手コーチとしてプロアスリートを鍛えるトレーナーとしてはよくても、監督としてどうあるべきなのか?とか、では球団としては?あるいは球界はどうあるべきなのか?とか、そういうマクロの話がないんですね。

 まるで触れられていないということではないのですけど、主体はそちらの投手の技術論。投手コーチとしてユニフォームを着ることは考えていても、監督としてユニフォームを着ることはあまり考えていなかったのではないか?と思えてしまいますね。

 また、監督してユニフォームを着た時、「優秀な選手・コマさえ揃っていればなんとでもなる、チームとして優秀な選手が多くいるかどうかだ」と考えていた節もありますね。最低限の守備、クリーンナップを打てる強打者、及び資金。それさえあれば、投手は自分が育てるから、投手を育てられる環境ならうまくいく。そのような発想で監督を引き受けたのではないでしょうか?確かに万年先発ローテ不足、特に若い先発の柱が不足しているウチにとっては投手・先発育成に自信があればピンズド補強ならぬ、ピンズド育成になりますから引き受けない手はないでしょうね。

ホークス悪しき伝統・DNAの復活か…

 ホークスの伝統、悪しき伝統だと思うのですが、エースと4番バッター(HR)にこだわりすぎているところがあると思います。もちろん、エースと4番(≒打線の中心)がないと、ペナントレースを戦うのは苦しいのでしょうけど、それだけではないわけです。リードオフマンの1&2番。投手陣を支える捕手、二遊間の堅い守備、 勝利の方程式やリリーフ陣…。まあ色々大事なポイントはあるわけですけど、エースとHRバッターにこだわりすぎて、クリーンナップを打つ前後の打者の役割や先発以外のリリーフの役割が軽視される傾向があります。

 ダイエーホークスにいて、そのチームの基礎を作った主力の一人である工藤公康にも同じような考え・DNAが染み付いていると考えるべきなのでしょう。去年・今年を見ていると、先発&HRを重視して考えていると思います。結果が出ていないのに吉村を使い続けたのは、他の選手に比べて安打を打つ確率が低くとも、一発の可能性がある。だから吉村にこだわって、彼を使い続けたのでしょう。

 また長くなったので、今回はこのへんで。次回は吉井コーチの話と。継投がまずかったという話をしても、その実情には踏み込んでないので、いかにまずかったかの話を。まあファンならいかに連投してたかとか、シーズン見てて知っていると思うのでいらないと思いますけどね。というか今シーズンはアホみたいにブルペンで肩つくらせていたというので、どちらかと言うとそちらのほうが痛かったとも言えますし…。

*1:工藤公康監督は名将か

*2:確か8月ころに五十嵐を連投させたり、投げさせる必要があるのか?と疑問に感じることもあるにはありました。無論、現場にしかわからない理由があったんでしょうけどね。一年キッチリ持ったのでそれについては勿論どうこういうつもりはありません。

*3:言うまでもなく2日続けて投げるのは許容範囲内で、二連投がNGならペナントで戦えるわけないので問題になるのは3連投ですね

*4:森の一年目を見ると58試合65イニングでそれほど酷使とはいえないのでは?と思われるかもしれませんが彼がでてきたのは5月の中盤。既に35試合を消化していた。残り109試合から58試合ですからそのペースがおかしなものかわかるかと思います。しかも危険球かアクシデントか何かでロングリリーフをやったこともありましたからね…

*5:―以上のようなことを考慮すると、星野監督離脱で代理監督を務めることがありましたが、完全に失敗だといえるでしょうね。楽天首脳陣が田中将大がいなくなって、もうマイナス要素のほうが大きいと判断して首を切るのも必然だったといえるでしょう。

*6:もちろん序盤からサファテ5連投とかおかしなことをやっていたので、なんで今年はこんなことやってるんだ?と思ってはいたんですけどね。中盤からますますひどくなっていきましたね、今年は

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島津兼治伝とてつもなく実用的な古流武術柳生心眼流柳生心眼流とは?
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人体構造を攻めよ! ~骨絡・筋絡・皮絡
 昔の人の歩き方は草履でつま先から着地した。だから一歩の歩行距離が今の人の倍近い。松尾芭蕉忍者説はおかしい、ありえない。昔の人は普通にあれくらいの速さで歩いたと島津さんが前に話をしていて、どっかでメモした気がしますが、その話ですね。武術は伸筋を鍛える。腱のところ、付着部を鍛える。ボディビルのような筋の真ん中を鍛えて隆起するようなものは武術ではダメ。
 前にあった骨・筋肉・皮膚をつかむという話。技をかけるのは一瞬でやるもの、「その一瞬でできなければもう終わり。その時は大人しく死ね」と師匠から教わったと。


対談 吉田朗×平直行
 リズムを外す。相手が予想している・意識している技は効かない、かからない。意識を外すことを考える。スイッチなどは外す技術だと。まっすぐ相手を見ない。大勢に囲まれた時、刃物相手の時、片目で見る。緊張して居着いてしまうということですかね?片目で見る方がよく見えるというのは、ノムさんの片目でボールを、もう片方の目でバッターの反応を見るというそれに近いのかも?片目の使い方で逆に全体がよく見えるという力学があるかもしれないですね。喧嘩の経験で、大抵の相手は肩に力が入っているからパンチが遅いとのこと。目付けをすればもうもらうものではないと。得物を使った喧嘩での体験談、幕末の剣士が離れた所で剣を振り回したというように、地面をみんな叩いていたと。怖くて間合いに入れないとのこと。面白いですね。背中から入るのは怖いが、この方が刺されたり・掴まれたりする危険性がない。そうして裏拳を入れると。


長沼敬憲「身体知の世界」第4回松村卓 骨ストレッチに学べ! 脱・筋トレ信仰のススメ
 骨トレの松村さんですね。肋骨を動かす写真がありますが、凄いですね。肋骨を動かす方法とか本に書いてあるのかな?野口三千三さんの弟子のところに行って、背骨が動くのを体感できたと。ベンチプレスは大胸筋のトレーニングだが、骨を意識すれば肋骨と肩甲骨の鍛錬になる。


注目新連載開始! 大宮司古神道や武術に通じる"霊術"の世界を明かす!霊術講座

霊術家の黄金時代/ビイングネットプレス
 
霊術家の饗宴/心交社
 
霊術伝授/学研パブリッシング

 ―が参考としてあげられていますね。ビニール紐を両手で引きちぎる方法、霊術ではポピュラーだが、武術家の集まりで誰も知らなかった。意外と知られていないことを紹介するという話。指円金剛力法、オーリングとも。藤平光一氏が海外で広めたものが逆輸入されたとか。いずれにせよこのOKの形のように親指と人差指で輪を作って、人に開かせようとしても開けないというものだが、簡単なこと。相手の首の近くでやれば、肩を動かしにくくて力を入れられないから開かせることが出来ない。また閉じているところではなく指の付け根に近いところでやってもらうのがコツ。合気揚げと理屈は同じ。


禅とシステマ、奇跡の邂逅 藤田一照×北川貴英宗教的身体操法[後編] 信仰と行法
 静かな観察と全てを受け入れること。般若は獲得するものではない。既に備わっているもの、それをどう発見するか。手に入れようとすると隠れてしまうもの。システマのセミナーで何もするなと言われて、なにもしないで待ってたら相手が勝ってに崩れていった。座禅をするではなく、座禅「が」する。座禅が飯くったり掃除したりということになるのだと。へぇ。


ゆる体操には“裏"の存在があった!高岡英夫の漢語由流体操「腰仙揉溶法 7」
 第一法擦重発展法・第二法横断面
滑切
 氷の塊を舐めて溶かしていくように、腰塊をほぐしていく。床から1センチ・2センチ・3センチとだんだんおなか側に意識が届くようになっていく。
腰塊が小さくなったら、今度は柔らかくするようにしていく。
 次は構造を探索していって、手で触って仙骨・腰椎などを認識できるようにする。腰が呼吸をすると感じる、爽快さを得られる。
 次の二法では、滑切面を作って、上下の箱をツルツル滑るようにする。ぐにゃぐにゃだと意味が無いので注意。へそ、へそと恥骨の中間、さらにへそとその中間の間の計3パターンを行う。手で何度もしつこいくらいに切る意識をつけること。綺麗にスライドしないと、くるんと回転してしまう。それだと一法と変わらない。ずれストレッチ、背骨・肋骨が上下で平行移動させることが目的。脊椎系の開発にはこのズレストレッチが必要不可欠。
 上塊、下塊、上塊をずらしたまま下塊を反対にずらして戻してから上塊を戻す。次はその逆で下塊からやる。最後は上下同時ずらし。ミリ単位で行うもの。三ミリ動いたら大したもの。動かそうとすると面が崩れてくるんと回転してしまう。三×五=一五パターン全部できるのは熱心な人でも五~一〇年かかる。

「直線に支えられた円の動き」システマ・セミナー レポート ヴラディミア・ザイコフスキーCATCH the ATTACKER'S CHANGE 事の起こりをとらえる!
 しゃがんで抑えこまれた状態から、相手の肩・背中・腰の緊張を察して、そこのバランスを崩して相手を崩す。自分のベスト状態・クリーンを保つこと。ボクサーとボクシングをしない、グラップラーグラップリングをしない、相手のゲームに付き合わない。こちらのゲームのルールにすること。know yourself―自分がわかったあとに、本当に他人のことがわかる。一流の歌手は自分のコンディションよりも聞き手にどう伝わっているかを感じて歌い方を変えるという、そうならないといけない。


連載第2回! 安田洋介太極遊戯―陳氏太極拳・大陸練拳秘訣「生活の中で育まれる武術」
 気候の違い、口で呼吸をしていると喉をやられてしまうから、自然と鼻呼吸になると。白鶴亮翅が
白鵞亮翅、周辺に鶴がいないから鵞鳥に例えられたと面白い話ですね。舌を上あごに軽く押しつけて呼吸すれば鼻から体温が出て行かない。鼻で呼吸をしないと、呼吸の長さが変わって脈拍が乱れる。バランス感覚を磨くためにあえて滑りやすいところで行う。かかと重心で、湧泉が僅かに触れるようにする。立身中正は背骨を意識するよりも、両耳で後ろの音を聴くようにして下顎を僅かに引くようにしたほうがよい。小さい椅子での生活により、自然と股関節が鍛えられる。

特別寄稿 濱田雅彦寝技の萌芽を古流武術の乱捕にみる
 甲冑組討の話、竹内流とか小栗流とか関口流とかあるようですね。日本の鎧は動きやすいように重量が外に逃げるようにできている。その分倒れると起き上がる技術が必要になる。そこを狙って押し倒す、組み伏せて相手を召し捕るという技術が発達していったと。講道館柔道の乱捕技法に最も影響を与えたのは、楊心古流(戸塚楊心流)だった。講道館は、都下実力第一といわれ、千葉に拠点があった戸塚楊心流を倒さねばならなかったと。なかなか幕末武術面白くて興味深いですね、剣術にはあまり惹かれないですけど、幕末関係だと色々世の中・武術界も動くので惹かれるものがありますね。

日野晃武道者徒歩記
 自分の子供にいじめの問題があったが、大した事にはならなかった。普段のいじめよりも武道修行のほうがキツイから。出来るまでやらせるという過酷な稽古で子供は登校拒否ではなく、帰宅拒否になったと。学校に問題はあったが、興味がなかったのでどうでもよかったと。連れの親父がよく「お前らは悪くない、社会が悪い」と言って、ほんとにアホな人だな、可哀想と思っていた。暴れたいから暴れていただけで、社会なんか関係なかった。その人の家には共産党のポスターが貼ってあったとか。反抗期は間違った大人に反抗することによって生まれた。

松原秀樹100%動ききるための調整術
 治療の実例の話ですね。原因を考えてそれを治すべきだという。いろんなケースありますが、まあいちいちメモってもしょうがないのでパス。

武術秘伝書夢世界 平上信行
 柔道という言葉は柔術時代から普通に存在していた。柔術が柔道になったわけではないという話。

SB内川「プレー妨害」ブチギレに批判殺到―に個人的非難を殺到させた話

SB内川「プレー妨害」ブチギレに批判殺到 「完全な八つ当たり」「何様のつもり」

 小ネタでこちらに書くつもりはないものでしたが、せっかくなので転載。

 久々にカチンと来る内容だったのでコメントを。あれで内川を批判する人間が多いという事実に絶句。まるで理解できない。プレーを妨害すべきでないのは当たり前だろう。鷹ファンだから、内川に好意を抱いているからどうこう言うのではない。仮に内川を好きではない、敵意を抱いていたとしても今回の一件では感想は変わらない。対戦チームだった西武再度・メヒアが妨害されていたとしても、妨害したカメラマンが悪いという意見は変わらない。ああいうエリア・エキサイトシートと呼ばれるゾーンで、選手が近寄ってくる可能性のあるところで選手の邪魔をしてはいけないのは当たり前。

 インプレー中に観客(カメラマンでも同じ)が、選手の邪魔をすべきではないに決まっている。打球と選手の動きを見ながら、適切な行動を取るのは当然のこと。打球を追いかける選手がぶつかって、選手のケガに繋がることもあるのだから何をか言わんや。

 観客が選手の邪魔をしたこと自体は珍しい話ではない。が、それは滅多に足を運ばない球場で気分が高揚しているとか、思慮の足りない青年とかの話。こういうやらかしをする人間は必ずいるもので、それはもう避けられない現象。観客があそこから手を伸ばして選手のプレーの妨害をしているシーンはもう枚挙にいとまがない。テレビ中継を見ていれば、まあ毎年必ず観客が邪魔・妨害をするシーンを見かける。毎年必ず数回は起こることだとわかる。内川がレフトを守っていて、ボールを追いかけたサラリーマン?良い年をしたオッサンとぶつかったのは記憶にあたらしい所。

 ところが今回はプロのテレビ関係者、こういう時に何をすべきかは熟知しているはず。そういうプロの行為だから罪が重い。素人・お客さんならともかく、プロが何をやっているんだ!となるのは当たり前、内川が怒るのは当たり前。観客でケガをさせられそうになった時、内川が一私人の観客に対して怒ったか?今回の時と比べてみればトーンが違うのは明らかだろう。仕事でお金をもらっている人間とファンの観客=私人では立場が違う。だから内川は怒ったのだ。*1

 あれを見て、八つ当たりだと解釈するのは百歩譲って良いとして、人格にからめるのは正直どうかしていると思う。人格を論じるなら彼の人間性に関わる全てのことを挙げていちいちチェックしてから最終的な結論を出して頂きたい。一つの過失で人格批判をするというのは魔女狩りの発想である、気持ち悪くて見るに耐えない。

 まあ、武井壮という人間に好感を抱いていたわけでもないからどうでもいいのだが、「自分たちの楽しい遊びを仕事にさせてもらっているという意識がなくなればアスリートなんて終わり」なのだとか。内川が震災の時や日頃どういう発言をしたのかも知らないからそういうふざけたことが言えるのだろう。

 アスリートがどれだけ真剣にその遊びについて研鑽を積んでいるか、努力しているか、そういうことを弁えないから、こういうことが言えてしまうのだろう。アスリートがプロとして仕事をこなしている聖地・職場で、同じくプロとして仕事をこなしているカメラマンがいる。そのカメラマンがプロとしてあるまじき行動を取ったから内川が怒ったということが理解できないのだろう。


 よく知りもしないのに、評論をすると人間性を下げる・損なうという格好の見本ですね(ブーメラン)。あと基本的にテレビ関係者、マスコミ関係者は傲慢ですよね。こういう発言が好んで取り上げられるのもそういうことなんでしょうね。他人事ではなく私も気をつけたいとテレビで発言する人って滅多にいない気がしますね。そういうコメンテーターさんの意見を聞きたいんですけどね。

 それと、さっき見たら、「その場で怒るのはともかく、試合の後でもグチグチ言うからダメ」という意見を見ました。これは絶対コメントすべきことだから言うに決まってるでしょう。その特定の人物を叩きたいということじゃなくて、しっかりそういうことは謹んでいただきたいと釘を差さないと、カメラマン業界として行動を改めないでしょう。無論、殆どのカメラマンはプロとしてしっかり自覚してああいうことは決してやらないという人達だと思いますが、ああいう行動をしてしまう人がいる。そういうことをしっかり注意しておかないと再発する可能性があるでしょう。会社が今後こういうことがないようにしっかり教育しなくなる。だから内川は苦言を呈するに決まってますよ。当たり前でしょう。

 まあ、野球を見る階層というのは、アレということでこういううんざりするようなことが定期的に起こりますね。いやんなりますね、本当。

*1:確か、CSだと思うが、当時ファースト小久保が似たようなケースで観客に怒ったことがあった。なぜコチラは非難されなかったのに今回非難されるのは全く理解できない。度合いで言うと小久保の方が悪質なのに、アスリートごときに批判されたくないというマスコミ連中が工作・ネット世論を煽ったということなのか?